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編集部2017年2月24日

アマゴ釣り/美味アユの川で育まれる渓魚

アマゴ 魚種別釣りガイド

長良川と馬瀬川、2大名川の狭間を流れる和良川。 美味アユの川として知られるこの流れですくすくと育つ渓魚は多い。 そんな和良川で今年も朱点鮮やかな妖精が目覚めている。

おすすめ時期:2~9月

つり人編集部=写真と文

和良川育ちのアマゴ。うっすらとサビが残る肌に均整のとれたパーマーク、朱点のアクセントはこれぞ自然美


長良川と馬瀬川、2大名川の狭間を流れる和良川。
美味アユの川として知られるこの流れですくすくと育つ渓魚は多い。
そんな和良川で今年も朱点鮮やかな妖精が目覚めている。


この記事は『つり人』2016年4月号に掲載したものを再編集しています。

美味アユの里川で


 伊勢湾に注ぐ木曽三川に、日本海に注ぐ神通川、九頭竜川、手取川と幾筋もの水脈が広がる美濃と飛騨の山々。まさに渓流王国といえる岐阜県は2月1日に解禁を迎える河川が点在する。奥美濃は郡上市和良町を潤す、和良川もそうである。

 和良川といえば、美味アユの川である。高知県友釣り連盟が主催する『清流めぐり利き鮎会』で3度グランプリを受賞した。同会は全国のアユを集めて利き酒ならぬ〝利き鮎〟を行なう。和良川が3度目の受賞をしたのは2014年のこと。第17回の開催で全国49河川のアユを250名の参加者が品評。見事グランプリに選出された。ちなみに3度の栄冠を手にしたのは和良川のみ。その反響は大きい。

024-027wara_cs6 (3) 日本一に3度輝いた和良川のアユは道の駅売店『ちんちろ屋』で販売している。在庫僅少につき購入したい方はお早め


024-027wara_cs6 (4) 和良川のヌシといえばオオサンショウオと言う人も。これは道の駅に飾ってあった写真のひとつ

024-027wara_cs6 (5) 豊かな自然が残る里には獣の数も相当なもの

 「2015年シーズン、年券を購入された釣り人が例年より一割は増えました。東京をはじめ県外から訪れる人も多かったです。中には1週間も滞在して美味しいアユを釣っていく人もいましたよ」とは地元のエキスパートであり和良川漁協の副組合長でもある大澤克幸さん。

024-027wara_cs6 (8) 大澤克幸さんは和良川漁協の副組合長。ダイワ鮎マスターズでは全国大会にまで駒を進めたこともあるエキスパート。春はやっぱりアマゴ釣りに勤しみ入梅のころは長良川でサツキマスを追う


 なぜ和良川のアユは旨いのか。真偽は定かでないものの推測される理由のひとつが当地に多い石灰岩にある。和良川には白い石が目立つ。その多くが石灰岩なのだが、主な成分は炭酸カルシウム。この岩に生えた苔をアユが食むと、美味しい魚に育つと考えられている。和良川源流部の山には鍾乳洞がいくつかあり、鍾乳洞は石灰岩が水によって溶食されてできる。カルシウムを含むミネラル水はいかにも美味しい魚を生み出しそうではある。そして美味アユを生む清流はアマゴ、イワナと豊かな渓流魚も育む。

「2015年秋、支流の鹿倉川で50㎝近いアマゴが産卵していました。群れになってバシャバシャと。本流のダムから差してきた魚かもしれません」

024-027wara_cs6 (2) 鹿倉川上流部の支流、御坊川。石灰岩が多く川底の石が白いのが和良川の特徴。この周辺で2015年秋、50cm に届くアマゴが群れをなし産卵していたそうだ


 そう言う大澤さんは当然アマゴ釣りが好きである。本格的に渓流ザオを振るのは4月から。2、3月は本業の自動車整備の仕事が多忙を極め、なかなか釣りに行けないという。それでも解禁を迎えれば川のようすが気になるもの。解禁3日目、和良川の支流群を巡ることになった。

ウケの巣穴をねらい打つ


「今年(2016年)はいつになく雪が少ないんですよ。アマゴが目覚めるのも早いと思います」と最初に向かったのは鹿倉川の上流部だ。この川は和良町鹿倉の集落で東洞と御坊川に2分される。昨秋に派手な産卵風景を見たのは御坊川の堰堤下だ。玉石底のフラットな川相で水色は青く透明である。

 大澤さんの道具立ては6mのサオに水中イトが0・3号。ガン玉3号にハリは4号。エサはイクラだ。

「岩穴にエサを落とし込まないと厳しいかもしれません」

024-027wara_cs6 (9) 流れを受ける石の下にぽっかりと掘れ込んだ空間や横穴。こんなスポットがあれば穴の中に上手くエサを送り込もう。活性が低い早春のアマゴに有効な穴釣りである


 水温の低い解禁当初、魚たちは速い流れでエサを活発には追いにくい。つまり穴倉でじっとする渓魚の前にエサを落とす算段である。ねらいはウケ。流れを受ける石頭に隙間があるスポット。またはオーバーハングした岩である。しかし御坊川は平坦すぎて魚が潜り込めるフトコロのある石がほとんどない。30分ほど探ったものの、エサに反応を示す魚は皆無である。

 東洞に移動する。上流河畔にある温泉スタンドの付近に入渓し、段々瀬を釣り上がる。例の穴釣りを試みるうち、目印をググッと押さえ込む反応が出た。合わせると影のように真っ黒な魚体が岩の中から飛び出す。が、ポロリと空中で外れてしまった。

「まずまずの型でしたが、えらくサビていましたね(笑)」

 しばらく釣り上がってみるも音沙汰なし。しかし、温泉スタンドに架かる橋から上流を見ているとライズがあった。大澤さんは岩に化けて振り込むが、イクラには見向きもしない。

ぽっこりお腹のアマゴの群泳


 東洞を下る。鹿倉川との合流点近くに小さな橋が架かっていた。上から川をのぞいていると晴れ間が差した。トロリとした流れを陽光が明るく照らす。そこにはアマゴの姿があった。1尾、2尾、「ほらあそこにも!」大澤さんの声も弾む。大半は稚魚であるが6寸クラスもいる。しなやかな尾ビレをくねらせて時おり軽快に走る。

「これは釣れそうですよ」

 大澤さんは静かに川原に降りた。イクラを振り込む。数投で目印が躍り、合わせる。とお腹がぽっこりとした愛らしいアマゴが舞い上がる。

「かわいいけど、きれいな魚体です」と目尻が下がる。

 同じ場所で2尾掛けると、アタリが遠くなってしまう。上流の瀬を探る。流れの中は食わないと思っていると、意外にも小深く掘れた所で当たった。期待して釣り上がるも、その1尾が最後だった。

「土京川に行ってみましょう」

024-027wara_cs6 (6) 土京川は変化に富んだ流れである。盛期にはテンカラファンの姿が多い

 和良川が「く」の字に大きくカーブする安郷野地区。そこに注ぐ支流が土京川である。オオサンショウウオが生息し、サオをだしている側で川底からぬっと姿を現わすことも珍しくないそうだ。渓魚は多いものの両岸から山が迫り日当たりが悪い。よって水温が上昇しにくい。河畔に立つとひんやりとした冷気が漂う。鹿倉川よりも明らかに厳しい雰囲気。大澤さんは深みをいくつか探ってみたが、案の定ピリッともしない。

 早々にサオをたたんだ大澤さんが源頭部の山を見る。「雪雲を被っていますね」。そう言って間もなく、我々の頭上にも白いものがふわふわと落ちてくる。

「土京も鹿倉もテンカラファンが多いんです。盛期になれば膝下くらいの水深の瀬で毛バリにもよく反応します。5月を過ぎてアユ釣りが解禁するまでは深みに悠々と泳ぐ尺上が出てきて、これを専門にねらう人も少なくありません」

 大澤さんが言う和良川の盛期はもうすぐそこだ。

024-027wara_cs6 (7) 鹿倉川に左岸から合流する東洞。日溜まりのトロには尾ビレをしなやかに振って泳ぐアマゴの姿があった

024-027wara_cs6 (10) 和良川はガン玉3 ~ 4 号が好適。大澤さんの愛用ハリはオーナー『カッパ極』4 号

024-027wara_cs6 (11) エサはイクラ。匂いで魚を誘いだすことが可能なエサだ。盛期はキヂの出番も多いという

●管轄漁協:和良川漁協(℡ 0575・77・2271)
●交通:中央自動車道・中津川IC で降り、R257 で下呂方面へ。帯雲橋を左折し、R 241 を南下、下妙町の信号を右折してR 256 で和良川へ


2017/2/24

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