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タナゴ釣り/可憐な魚と繊細な趣を楽しむ

おすすめ時期:12~1月

葛島一美 写真と文
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 霞ヶ浦を代表するタナゴといえば、オカメタナゴの愛称で親しまれるタイリクバラタナゴ。当歳魚は晩秋以降に本湖のドック周りや土手下のホソに群遊し、多くのタナゴフリークを癒してくれる。そんなオカメタナゴの新仔と肩を並べるように、通称「タナ研」こと東京タナゴ釣り研究会に入会したのが、大学2年生19 歳の新井友貴さんだ。

この記事は『つり人』2016年1月号に掲載したものを再編集しています。

祖父との釣りからタナ研へ


 近年タナゴファンが増えている。可憐な魚体を愛でること、手軽かつ繊細な釣趣、極小の道具に粋な和ザオ、宝捜しのような釣り場捜しなど、いくつもあるタナゴ釣りの魅力にどっぷりハマる若者も少なくない。東京都小金井市に住む新井友貴さんもそうである。

 5月以来、約5ヵ月ぶりのタナゴ釣りという新井さんが訪れたのは霞ヶ浦のドック。

「資格を取る勉強が忙しかったのですが、やっと解放されました。11月からはタナ研の例会も始まります。ようやく本格的にタナゴ釣りを楽しめるんです(笑)」とすっきりした表情だ。

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 新井さんの釣りとの出会いは、埼玉県所沢市に住む祖父の影響と話す。幼稚園の頃からクチボソ(モツゴ)やモロコ、小ブナなどの釣りを教えてもらい、祖父が最も好きなヘラブナ釣りにも挑戦する。高校に入ると近所の池でクチボソに混じって時々釣れるオカメタナゴに魅せられた。

「本格的にタナゴ釣りをはじめて、3年目です。最初の半年間は月刊つり人やタナゴに関する書籍を何冊も繰り返し読んでいました。もちろん、タナゴ用品が置いてある釣具店巡りも欠かせません」

 高校時代から『上州屋高円寺店』でアルバイトをして貯金をしながら、和ザオを含むタナゴ用品をコツコツ入手。平成26年の春に専修大学に合格すると、その年、稲荷町東作本店の誘いで東京タナゴ釣り研究会(以下タナ研)に入会した。

 新井さんはタナ研の大先輩から譲り受けたという古めかしい合切箱を肩に掛け、ドックを回って入念なポイント選び。本命といえる四隅の一角に釣り座を構えた。

小春日和のドック

024-027_101 ドックのエンコ釣りは寒タナゴの王道スタイル。「ドックのタナゴ釣りが一番好きです」と新井さん


 タナ研のとある先輩のマル秘ブレンドと話すグルテン練りを作った後、ねらうポイントに見合った寸法のタナゴザオを継ぎ、連動シモリ仕掛けをセット。

「仕掛けを工夫するのは子どもの頃から大好きです。今は毎日のように顕微鏡でタナゴバリをのぞき込み研究しています。研ぎバリをはじめ、イトウキやハリス止メなどのパーツも作ります。親ウキはタナ研のウキ作り名手の品を使っていますが、親ウキ作りも挑戦中です」

 エサを何10回と打ち込んでもタナゴが寄る気配がない。もう一度巡回すると「いましたよ、小舟の係留杭周りで単発ながらヒラを打っています」とポイントを移動した。


 小春日和の陽気に誘われたのか、水面近くのロープ周りでキラキラとヒラを打つ魚影が見える。ウキ下は25㎝ほど。上層ねらいに絞ると1投目から前アタリが出始めて3投目には3㎝くらいに育ったオカメタナゴが宙を舞った。「タナ研の先輩方は“小さいオカメを釣るほど偉い”と言います。僕も小型の数釣りが好きです」と話しつつポツリポツリと数を伸ばし、2時間ほどで数十尾が水箱に収まる。

024-027_206 霞ヶ浦と遠方にそびえる筑波山をバックにして、今季初のオカメタナゴと記念撮影!

024-027_110 サオの持ち手にグルテンを持つのが独特な、新井さんのエサ付け方法。小さなボール状にまとめたグルテンを手の甲と小指で軽くホールド。左手につまんだタナゴバリで引っかくようにハリ付けする

グルテンエサの作り方
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024-027_107 新井さんのグルテンはいくつかの粉をブレンドして仕上げる。タナ研の先輩が教えてくれた秘密のブレンドとか

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024-027_108 グルテン量と水量はきっちりと計る。「グルテンエサは毎回10cc ずつ作っています」

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024-027_109 グルテンと水を混ぜ合わせ、30 回程度練り込んでもっちり感を出す

ホソの良型と大らかに遊ぶ

024-027_201 土手下のホソの裏側には農作地が広がる霞ヶ浦。冬場でもハス田周りのホソはある程度の水位が保たれているケースが多く、越冬を目的としたタナゴが集まってくる


 ドックで満足のいく釣果を得られた新井さんは、今度は土手道の裏側にあるホソのようすを確かめることに。道すがらホソの流れをチェックし、目ぼしい釣り場でサオをだす。しかし小深くなった排水管の周りでアタリなし、ボサ周りでは小ブナが入れ食い。なかなか本命が顔を見せない。

 午後からは水草に覆われたホソに入る。草上にあぐらを組み、直径20㎝くらいの小さな藻穴をねらってエサを打ち込む。水深は80㎝ほど。ウキ下を45㎝くらいにして探ってみる。

 まずはイトウキを引ったくるようなアタリが頻発。クチボソだ。「ボソを釣っているうちに本命がくる計算なんですが……」といって、せっせとリリース。

 ウキ下を上下に5㎝くらいずつ動かしながら、オカメタナゴの遊泳層を見つける。突然、シモっていく親ウキのトップをふっと押さえ込むようなアタリが出た。

 タイミングよく合わせたものの、水面でバラしてしまう。「今のオカメ、5㎝以上はありそうでしたね。ハリが小さ過ぎたみたいです」といって倍率20倍の携帯用ルーペを取り出してハリケースをのぞき込み、「これかな」と1本の研ぎバリをつまみ出した。

024-027_104 倍率20 倍のルーペを携帯し、釣れるタナゴのサイズに合わせて自分で研いだハリを選ぶ。「この春にはタナ研の成田(臣孝)名人の自宅にお邪魔し、ハリ研ぎを習ってきました」

 次のひと振りで全長5~6㎝もあるオカメタナゴが水面を割った。

「きれいですね」

024-027_204 オカメタナゴのタナを絞り込み、良型が次々に水面を割る。型のよい秋タナゴは大らかなアタリで楽しませてくれる

 うっすらと婚姻色が残った魚体が手のひらで踊る。天高い青空はすでにオレンジ色に染まっていた。郷愁が包む秋の野原で新井さんは繊細アタリに一喜一憂。

 間もなく冬、新井さんが心待ちにしていた寒タナゴの季節がやってくる。

024-027_202 筑波山から飛来したのか霞ヶ浦にアキアカネが舞っていた。冬はもうすぐそこである。ちなみに新井さんは少年時代にトンボが大好きだったとか。自由研究の対象はいつもトンボだったそうな

新井さんの道具立てと工夫 p024-027 tackle
024-027_207 近所の釣具店でバイトをし、コツコツと貯めたお金で江戸和竿を購入している新井さん。左から竿辰/5寸元5本継ぎ、竿富/6寸切り5本継ぎ、東亮/8寸元6本継ぎ。3本とも替え手元付き

024-027_213 イトウキは発泡性。一番下はピアノ線に巻いた板オモリをミチイトに通し、UVペイントを塗布して動かせるように固めたもの。オモリを2段にすると仕掛けの馴染みが速く、風が強い時に効果的

024-027_211 愛用の親ウキは「タナ研の大先輩たちに譲っていただいた宝物です」

024-027_216 金オモリとハリス止メを一体化させたハリス止メも自作

024-027_212 大学から帰宅後、夕飯を食べてからの日課がハリ研ぎの練習とか

024-027_209 残ったミチイトの末端は邪魔にならないよう、タナゴザオに通したイト止メ用ゴムリングで挟んでおく(仕掛図参照)

024-027_217 金メッキが施されたオモリの中には丸型の純金オモリも見える

024-027_208 針金製の極小ヘビ口にはシリコンチューブのイト止メを装着。長めのミチイトを用いた仕掛けを使い、サオの全長によってミチイトの長短が変えられる(仕掛図参照)

024-027_210 タナ研の名人ウキで組んだ仕掛けを愛用。後方にある仕掛巻は京都旅行の際に買い求めてきた竹材で祖父が丹精込めて作ったもの。左上=薄スズ竹、右上=ゴマ竹、左下=黒斑竹、右下=純スズ竹

024-027_214 一部の仕掛けのオモリは劣化して浮力が変わらないよう、UVペイントでコーティングしている

024-027_215 新井さんはハリス止メに巻いた板オモリを、食い込み向上のため遊動式にすることもある。この際、ハリス止メのフックとオモリが密着しないように、フックのやや上にUVペイントを塗布して玉を作り固める。なぜならフックとオモリが密着すると仕掛けが馴染んで立った時にフックが斜めになりやすいと感じているから。これがアタリの出方や食い込みにも影響するのではないかと考えてのこと


●交通:常磐自動車道・土浦北ICまたは千代田石岡ICで降りて霞ヶ浦周辺へ


2016/12/6

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