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死ぬかと思った

死ぬかと思った

つり人編集部=写真と文

寒い。
ようやく冬将軍がお目覚めのようである。

普通なら
「おお寒ッ」
とコタツでミカン片手にテレビでも
となるのかもしれないが「グレ師」は違う。
寒ければ寒いほど燃えてくるのである。

ああ、磯に行きたい。
神保町をフラフラしている場合じゃないぞ。

程度の差こそあれ、どんな釣りにも危険はつきまとうが
中でも磯釣りは一歩間違えると大事故につながる。
だからこそ、ことさらロマンをかきたてられるのでもあろう。

あれは10年ほど前の真冬。
たしか2月くらいだったと思う。
友人と連れたって南伊豆妻良の沖磯へ渡った。
磯の名は忘れもしない「沖のカリマタ」。
2人がかろうじて立てるくらいの小さな磯だが
潮通しよくメジナはすこぶる多い。

凍てつくナライ風が山から吹き降ろしてくる。
午前6時出船で磯に乗ったのは6時30分くらいだったろう。
友人とふたり、手早く支度をすませて仕掛けを流す。
1投目から30cmクラスのメジナがウキを消し込む。
「こりゃあ、いいぞ」
DSC_1211.jpg
青い目の好敵手

気をよくして釣っていると
突風が吹き降ろしてきた。
バランスを崩した僕は体勢を整えようと足を一歩下げた。
しかし、ピラミッド状の磯の頂点に立っていたため、
後ろに下げた足が磯に触れることはなく、
そのまま頭から後ろにひっくり返った。

頂上から海面までは2mほどだろうか。
真っ逆さまに海に落ちた。
友人いわく
「かなり深く沈んだ」
とのことである。

沈んでいる最中、僕は妙に冷静だった。
(焦ると上と下が分からなくなるというから
ここはひとつ、浮き上がるまで待とう)

ライフジャケットを着ていたこともあり、
間もなく浮き上がり始めた。
水面に顔を出したところ
友人がタモの柄を差し出してくれたので
それをつかんで磯に這い上がった。

タックルも沈んでしまったがウキが浮いていたので
それをタモで寄せてミチイトを手繰ってタックルも回収。
「フー、助かった」
人心地つくと悪寒が走った。
それもそのはず、厳寒期の早朝に全身びしょぬれで
北東風にさらされているのである。

今みたいに携帯電話があればすぐに船を呼べようが、
そんなものはなく、昼に船長が見回りに来るまで待たねばならない。
やむなく、ウエアやらフリースを全て脱いで干し、パンツ一丁になった。
「オレの着ろよ」
と友人は言ってくれたが
サイズも合わないし、半ば意地になって
「平気、平気」
とパンツにライフジャケットという出で立ちで釣りを再会。

あの時の寒さは一生忘れないだろう。

結局、船が見回りに来た頃には衣類も乾き、
午後2時の上がり時間までみっちり楽しんだ。
DSC_1255.jpg
ダイナミックな景観が魅力の南伊豆の磯

さて、僕の「死ぬかと思った」体験は
このようにさして落ちがないまま終わるのだが、
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377_L.jpg
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