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イワナ釣り/長野県志賀高原・雑魚川

豪雪の高原が育む原種のイワナ

案内◎小澤 哲

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清冽な渓流でも水温む夏。多くの魚は活性が低くなるのだが標高1000mを超える高原の川は別世界。元気いっぱいのヤマメやイワナが毛バリに出るし、張り出す木の下にチョーチン仕掛けでエサを送れば一発で食うことも多々あるのだ。そんな真夏に熱いフィールドをエキスパートがセレクト。

この記事は『つり人』2016年9月号に掲載したものを再編集しています。

案内◎小澤 哲
昭和22 年生まれ。長野県在住。渓流釣り歴25 年。日本渓流釣連盟会長。長野県内水面漁場管理委員会委員、渓流釣りクラブ『信州川蝉会』会長などを務める。長野県内の渓流に精通し精力的に釣行する

放流に頼らない増殖


 標高1600mを超える志賀高原には高天ヶ原、一ノ瀬、奥志賀高原といったスキー場が集中している。雑魚川はこのスキー場一帯が源流部となり、新潟県津南町切明で信濃川支流の中津川に合流する。解禁が遅いのは流程のほとんどが積雪3mを超える豪雪地のためだ。奥志賀高原ゲートから切明までの林道は11月初旬から半年間も積雪による通行止めとなる。雪で渓が埋まっているばかりか雪崩の恐れがあることも解禁が遅い理由のひとつ。

038-047kougen-tsuriba_cs6 (23) 奥志賀林道のゲート。夏場は濃い緑に覆われるが11 月から深い雪に閉ざされる

038-047kougen-tsuriba_cs6 (21) 奥志賀高原ゲート上のポイント

 解禁当初は渓際で積雪が2m以上もあり、健脚を自負する人は輪かんじきを履き、奥志賀高原ゲートから雑魚川林道を1~2時間歩いて入渓する。越冬するイワナは好条件の淵に溜まっていることが多く、その淵を探りあてれば大釣りの幸運に恵まれることもある。ゲートが開く頃は林道のどこからでも入渓できる。アクセスがよいので400~500mごとに釣り人を見ることもある。この入渓のしやすさが雑魚川のよさ。そして魅力といえば太古からこの川で命をつなぐ天然イワナが釣れることだ。管轄する志賀高原漁協は渓魚を放流しない。自然ふ化を促す徹底した環境保全と増殖策によってオレンジ色の斑紋が眩いほどの天然イワナが釣れる。

038-047kougen-tsuriba_cs6 (22) 原種イワナの腹は濃厚な橙色である

 しかし、大釣りする日がある一方で全く釣りにならずオデコをくらうこともある。日によって極端に釣果の差が出ることも雑魚川の特徴といえる。

 日釣り券は数年前に値上がりしたが500円と超安い。大掛かりな禁漁区の指定や20㎝以下のリリースを徹底するなどの保護策が安価な入漁券に反映されているのかもしれない。ほとんどの支流が禁漁区に指定されているので、釣りができるのは本流最上流部の中沢が流れ込む付近から下流の本流全域と支流の満水川と外川沢だけである。また雑魚川橋の上流、右岸の側流も天然産卵場として禁漁区に指定しているので注意したい。

038-047kougen-tsuriba_cs6 (24) イワナの産卵場となる多くの沢が禁漁になっている

 好釣り場は大きく分けて2つある。奥志賀高原ゲート手前にある、今は空き家になっている大きなホテル跡付近から入渓し、スポーツハイム奥志賀前の橋までの1・5㎞。もうひとつはゲートから2・2㎞下った熟平橋からゲートのすぐ下流で左岸から流れ込むガキ沢の出合までとなる。

 夏の釣りは奥志賀高原ゲートから7㎞ほど下った満水川出合から上流が好釣り場となる。ただこの辺りは平坦な瀬が続く。雑魚川橋の上流、熟平橋との中間点で最も林道に接近している辺りがおすすめで大岩が作る淵が連なる渓相となる。それだけに場荒れも早いと思いきや、湧いてくるかのように魚影が濃いのは雑魚川ならではの魅力だろう。

ダイナミックな下流部


 支流の満水川は釣りができる。満水川橋から入渓し、カヤの平に抜ける林道と交差する2㎞ほどが釣り場だが、盛期になると渓沿いの木々が覆い被さり、ルアーやフライでは厳しい条件となる。チョウチン仕掛けでのエサ釣りなら釣果は間違いないだろう。

038-047kougen-tsuriba_cs6 (27) 雑魚川流域でサオをだせる数少ない支流の満水川

 また徒渉もあり少々難易度が高いソ行になるが、雑魚川取水口から大滝までの間は中上級向きの釣り場として面白い。取水口までは点検歩道を林道から15分ほど歩き、吊り橋を渡った右岸から入渓する。渓際までは階段もあり容易に降りることができるが、取水堰を越えるには左岸に先人が残してくれているロープを使って越えなければならないなどソ行技術を要する。まずは取水堰下の淵をじっくりねらってから釣り上がるとよいだろう。

038-047kougen-tsuriba_cs6 (26) 雑魚川取水口から大滝までは中上級者向き

 大滝までは大きな淵が続くダイナミックな渓相でポイントは随所にある。尺上も潜んでいる好釣り場だが、両岸が数十メートルもある切り立った断崖になっている。落石には充分な注意が必要であり、ヘルメットの着用が望ましい。

 大滝のすぐ手前には深さが5~6mもあろう大淵がある。減水していれば左岸伝いに大滝壺まで行けるが水が高い時は泳ぐしかない。一帯は熊の出没が多く、幾度か姿を見かけたことがある。熊よけの鈴は必須で、万が一のためできれば単独釣行は避けたほうがよいだろう。

038-047kougen-tsuriba_cs6 (28) 清水公園は名のとおり清水が湧いている

038-047kougen-tsuriba_cs6 (25) ヒレのきれいな8寸イワナ

●管轄漁協:志賀高原漁協(℡0269・34・2721)
●交通:上信越自動車道・信州中野IC を降りて直進。志賀中野道路からR292 に入り、蓮池から県道471号を奥志賀高原方面へ。3つのトンネルを過ぎると、高天ヶ原スキー場に出るが、この辺りが分水嶺になり雑魚川の源流域になる


2017/7/25

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