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スミイカ釣り/釣期は10~1月。東京湾の美味ターゲット

エギングタックルで始められる手軽さが魅力

林良一◎文、葛島一美◎
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関東ではスミイカの名前で知られるコウイカ。
江戸前寿司の人気ネタは秋が親イカ釣りのシーズン。
ねっとりとした甘みと旨みが味わえる。
東京湾では元来シャコをエサにするテンヤ釣りが盛んだったが、
現在は手軽なエギングタックルの釣りが面白い。


この記事は『つり人』2016年12月号に掲載したものを再編集しています。

江戸前の風物詩的な釣りをライトタックルで


 軽量なタックルと餌木を使った船からのスミイカねらい。この釣りは、細く丈夫なPEラインの登場で可能になった。潮切れに優れるPEラインは餌木を安定させるための中オモリを軽くできる。この軽めの中オモリを使い、海底付近をトレースするように餌木を泳がせるとういのが今回紹介するスミイカエギングの基本形だ。

 この釣り方は軟らかめのゲームロッドなどでも楽しめ、あとは小型のベイトリールがあれば、中オモリと餌木だけのシンプルな道具立てでよい。これで東京湾の秋を代表する風物詩的な釣りができてしまう。

タックル 050-053-sumiika-eging_cs6 (2)
050-053-sumiika-eging_cs6 (8) ロッドとリールはダイワ「アナリスター エギスミイカ」と「エアドレッドチューン」を使用。オモリを背負えたうえで穂先の目視によるアタリが取れるものなら他魚種用も流用できる

050-053-sumiika-eging_cs6 (11) フロロカーボンハリスはリーダー用の4号とハリス用の3号を用意

050-053-sumiika-eging_cs6 (12) 餌木に吹きかけられたスミをこすり落とす歯ブラシは必携

〈餌木のバリエーション〉 050-053-sumiika-eging_cs6 (9) 右3本はレッド、ピンク、オレンジの背色をした万能カラーで、腹色に金系と銀系をそろえておけば万全。また、左3本は林さんが今季試してみたいというお楽しみカラーのダイワ「エメラルダスヌード」シリーズ各色

050-053-sumiika-eging_cs6 (10) 中オモリはスイベル付きの細長い紡錘形10号が基本。峯岸船長のおすすめはマッドブラックカラー


 中オモリは10号。ロッドは細身かつ軽量。具体的にはエギスミイカ専用ロッドか、湾フグ、マゴチ、LTタチウオ(浅場)などの釣りで使う、オモリ負荷15号前後のゲームロッドや胴が強めのシロギスザオを選ぶ。

050-053-sumiika-eging_cs6 (13) マルイカ用ロッドなど他ジャンルのロッドも「サオ先&手感度がよく思った以上に使えますね」と林さん。こちらは「マルイカXS/MH-155」

 リールはラインの出し入れがしやすい小型のベイトリール。ラインはPEラインの1号前後となるが、扱える範囲で細いほど有利だ。ラインシステムはフロロカーボンの4号を1.7mほど結節し、10号の中オモリを取り付け、フロロカーボン3号のハリスをキッチリと1.5m取る。それを餌木にループノットで結べば仕掛けは完成だ。

 この時に大切なのが餌木の接続にスナップ類を一切使わないこと。どんなに小型であってもスナップを入れてしまうとスミイカねらいに必要となる餌木のバランスを崩してしまうので絶対に避けたい。また、餌木は新品であるほど釣れる。前回釣れたものを使ってもよいができれば常に新しいものをセット。この効果はプラヅノなどでも実証されている。

仕掛け準備 050-053-sumiika-eging_cs6 (5) ①船宿にもよるがこの日の吉久ならハリス全長は150cmが指定。両手を広げた曖昧な1ヒロ(約150cm)ではなく、釣行前に自分が使うロッドのサオ尻からサオ先までで正確な150cmの位置を計っておくとよい

050-053-sumiika-eging_cs6 (6) ②餌木とハリスはスナップを介さず直結する。そのうえで動きのよい各種のループノットを使うのがベター

050-053-sumiika-eging_cs6 (7) ③ハリス長を常に150cmを保つため、林さんは交換用の餌木数個にあらかじめハリスを結んだうえで中オモリとの接続側にはスナップを付けて準備している

基本的な釣り方

050-053-sumiika-eging_cs6 (4) 出船30分前に行なわれた峯岸英人船長による約20分間の「餌木スミイカ釣り教室」。仕掛けとスミイカのぬいぐるみを手に行なわれる白熱レクチャーは実践的で面白い

 船がポイントに到着して開始の合図が出たら、まずは餌木を投げ入れ、沈んで行くのを見やりながら中オモリを投入する。中オモリが海底に着いたら、潮の早い時は50~70㎝、遅い時で1.2m程度中オモリが底を切り、餌木が海底スレスレを泳ぐようにする。私的には「リードで子犬を引いているような感覚」と思っている。

 重要なのがハリスの長さ。前述のとおりしっかりと1.5m取ってほしい。今回乗船した「吉久」ではハリスの長さが1.5mの前提で中オモリの指示ダナのアナウンスがある。それよりも長くても短くてもタナボケし、スミイカの泳層にうまく餌木を送り込めない可能性が出てくる。

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 スミイカは運動能力の高いスルメなどとは対極にあるイカで、シャクリなど余計なアクションを加えてしまうとまず餌木を襲わない。

 また、船の動きによっても、海面に突き刺さっているラインのズレがわずかに見える場合に、実際の海中では中オモリが2m近くずれることがある。すると餌木が底から離れてしまったと考えタナを取り直す必要がある。

 この「忙しいタナの取り直し」は基本中の基本で、スミイカの泳層により長く餌木を泳がせる大切な工程になる。また、この釣りは砂地の広範囲を流す釣りになるが、海底は常にフラットではなく起伏があることも付け加えておきたい。

入門者向けタナ取り法 050-053-sumiika-eging_cs6 (14) ①船長からの指示ダナは海底から1m上が基本。まずは海面に向けたサオ先で底ダチを確認してイトフケを巻き取ったら……

050-053-sumiika-eging_cs6 (15) ②ここからサオ先を持ち上げ、船べりとほぼ平行に保つと1mのタナを切ることが可能。①②のタナ取りは15~20秒ごとに根気よく繰り返し、餌木を海底近くの底層にキープする


アタリの出方と取り込みのコツ


 アタリはスミイカが触腕で餌木を触ってきた時の「ツン」という挙動、またはすべての腕で餌木を抱え込んだ時のモタレ、押さえ込みなどの形でサオ先に表われる。より大きくアタリを出すために、ロッドとラインの角度は90度近くが好ましい。アタリがあったら長いストロークで即アワセ。餌木を横から抱いているスミイカを、水圧によりカンナまでずらしてやりハリ掛かりさせる。「怪しきはアワセ」で釣り進めたい。空アワセを何度しても餌木になんら悪影響はない。

 スミイカが掛かると、大型の時ほど「ドスン」という根掛かりをしたような衝撃でロッドが止まる。これがこの釣りの醍醐味のひとつでもある。掛けた後はポンピングなどをせず、一定の速度でリールを巻き、水面を割って出た中オモリを掴んだら、ロッドを置きハリスを手繰る。カンナにはカエシがないので絶対に緩めないこと。掛かったスミイカを船ベリにぶつけないようにも気を付け、餌木を掴んだら茶色い背をこちら側に向ける。

050-053-sumiika-eging_cs6 (2)_1 大きく合わせたらあとは「拝み巻き」でずっしりとくるスミイカの重みを楽しむ

取り込みのコツ 050-053-sumiika-eging_cs6 (16) ①フッキングしたら一定のリーリングスピードで巻き上げ、海面にスミイカが姿を現わしたあともできるだけ刺激を与えないように引き寄せてくる

050-053-sumiika-eging_cs6 (17) ②船下にきたらまずは中オモリを掴んでロッドを置く。この時、スミイカが回転したり、スミを吐いたら落ち着くまで待つことが肝心

050-053-sumiika-eging_cs6 (18) ③ハリスを慎重にたぐり上げて餌木を持った後、スミを吐く吸水管がある白い腹を必ず海側に向け、模様がある背を手前にして取り込む


050-053-sumiika-eging_cs6 (19) ④そしてスミイカを掴む際はスミを吐かないように、胴体と頭の接合部の首根っこを強く握り締め餌木を外す


 スミイカは目と甲の間にロートがあり、ショックなどを与えると「墨」イカの名のごとく、そこから大量のスミを吐きだす。そこでこのロートを押さえるように親指と人差し指で輪を作って巻くように掴み、カンナを外し、バケツの底へ白い腹側が下になるようにそっと置くように入れる。

スミイカの締め方と墨洗い 050-053-sumiika-eging_cs6 (20) ①釣りあげたスミイカは水なしのバケツの中へ静かに置くように入れる。間違って投げ入れるとスミが爆発すること必至なので必ず丁寧に!

050-053-sumiika-eging_cs6 (21) ②取り込んだスミイカは首根っこを握ったまま締める。やり方は2つあり、1つは写真のように船べりの硬い部分にスミイカの先端部の鋭い突起を打ち当てる

050-053-sumiika-eging_cs6 (22) ③もう1つはハサミで鋭い突起を切り落とす。この突起を取り除いておくとビニールの収納袋が破れる心配も少ない

050-053-sumiika-eging_cs6 (23) ④納竿間際の時間帯になるとホースから海水が出るので、バケツの中で流しっぱなしにしスミを掃除して収納すればOK


餌木のチョイスは?


 スミイカ釣り専用の餌木というものはなく、アオリイカ用からチョイスするが、釣具店の餌木コーナーを覗くと種類も膨大で戸惑うことだろう。シーズン初期、俗に「コロッケ」と称される小型スミイカが多い場合は、1.8~2号が効果的なことがある。通常は2.5号が標準。それより上のサイズは必要ない。

050-053-sumiika-eging_cs6 (3) この日一番の当たり餌木はダイワ「エメラルダス ヌード」のゴージャスイワシ・カラーだった

 カラーは経験上、①ピンクの背、②オレンジの背、③マーブル(シルバー)の腹、④ゴールドの腹の組み合わせのいずれかが鉄板。東京湾の濁った潮の中では、膨張色のピンクやオレンジが目立つと思われる。ちなみにゴールドはルアーの世界では「濁った水中でも、反射光を遠くまで届かせる」と言われているそうだ。この背面2×腹面2の4パターンの餌木カラーを幹に、さらなる当たり餌木、渋い時合でも「この1本!」といえる自分だけの秘密色の餌木を見つけるのも楽しい。同様にピンクやゴールドメッキなどの中オモリを使うことでアピール力のアップを考えることもできる。

好調な今シーズンの開幕


 10月上旬に今期の釣りがスタートしたばかりの吉久の乗合船に乗船。天気は晴れ。スミイカ釣りの大場所である中ノ瀬から釣り開始となった。

 序盤は上げの潮止まりに向かっているにもかかわらず、船中活発な乗りを見せ、複数の釣り人のロッドが曲がる場面も。潮止まり付近でもペースは衰えず、私も1時間余りで6パイのスミイカをキャッチした。シーズン初期のコロッケサイズが中心ながら、400gくらいのシーズン中期に顔を出すサイズも混じる。

 ただ、潮が利きだす時合からなぜかこの日は釣果が下降。アタリが小さくなり、ベストタイミングでアワセを入れても、チップ(イカの一部にカンナが引っかかるが、直後にバレてしまう)が多発し、開始直後の様相から一変、テクニカルな釣りとなった。

 中オモリが底を1m切ったタナで釣っていると、底にカンナが掛かる感触がたびたびあり、風向と潮流は同方向ながら、風で上潮だけが流れていて、スミイカが生息する海底付近の潮はさほど動いていないことが読み取れた。

 そこでタナを20㎝上げて1.2mとし、餌木が海底を引きずり加減だったのを底スレスレに泳ぐようにしてみた。餌木が底を切っていない状態で、底をこするように引かれている状態では、スミイカが食腕でアタックしてくる「ツン」というアタリの初動を感知することができないからだ。

 このような時、餌木が底を切って泳いでいれば、アタリの初動は軟らかなティップに明確に表われ、その直後にしっかり餌木を抱いてくる。そうなれば8本の腕が餌木を横から捉えた瞬間にアワセを決めることができ、腕の元の太い部分にカンナを刺すことができるのでバレも少なくできる。

 一方で、チップの原因は底潮が動いていないことによるイカの低活性も原因に考えられる。8本の腕で餌木を抱く際、先のほうで挟むように抱くだけで、その状態でアワセを入れても腕先だけをひっかいてフックアウトしてしまうと考えられる。こんな点をテクニカルに考えながら釣りができるのもスミイカエギングの面白いところだ。

 結局、終盤は木更津沖へ移動し、ここでもう一度の盛り上がりがあり、20パイのスミイカを釣りあげ船中でもサオ頭となって開幕の釣りを充分に堪能できた。

スミイカエギングの魅力


 伝統的なテンヤ釣法では、重く長めのロッドを1日シャクる釣りとなり、「1000回のシャクリで1パイのスミイカ」のたとえもある。そこにも独自の釣趣がもちろんあるが、美味しいスミイカをより軽快にねらえるエギングのメリットはやはり大きい。1日ロッドを握って帰宅しても、疲労感が全く異なる。テンヤ釣りでは必要な生きたシャコの尾を切り、テンヤの串に刺すといった手間も省ける。

「アタリを創り出して掛ける」釣り自体の面白さも見逃せない。柔軟なサオ先にアタリを出すようなタナ取り、餌木のチョイスなどは、そのままこの釣りの楽しみであり、さらにタックルが軽いためイカが乗った時の「静」から「動」への変化も大きい。そして何より、高級江戸前食材のスミイカは身は刺身、ゲソはボイルしてからわさび醤油で和えるだけでも左党には堪らない肴となる。開幕間もない餌木のスミイカ釣りに、今シーズン、ぜひチャレンジしてみてほしい。

「浦安吉久」 050-053-sumiika-eging_cs6 (24) 千葉県浦安市猫実5-7-12 ℡.047・351・2983
(スミイカ乗合船)出船時間:7:00、料金:9500円、定休日:火曜日 
※週末は人数限定の完全予約制



2017/10/26

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