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編集部2019年10月30日

ワカサギ釣り/ドーム船で釣果を伸ばすための道具立てとテクニック

ワカサギ 河川・湖の釣り PICKUP 魚種別釣りガイド

関東屈指の人気フィールドである山梨県・山中湖。盛期になると、どのドーム船も満船となる人気ぶりだ。「FISHING HOUSE なぎさ」のスタッフであり、がまかつフックモニターの尾崎 渚さんは若手ながらベテランからも一目置かれる存在。そんな彼に山中湖のテクニックをお聞きした。

関東屈指の人気フィールド山梨県・山中湖を例に

尾崎渚=文


関東屈指の人気フィールドである山梨県・山中湖。盛期になると、どのドーム船も満船となる人気ぶりだ。「FISHING HOUSE なぎさ」のスタッフであり、がまかつフックモニターの尾崎 渚さんは若手ながらベテランからも一目置かれる存在。そんな彼に山中湖のテクニックをお聞きしました。



凝縮されたワカサギキャリアをもつ尾崎さん


 ワカサギ釣りを始めて約6年になる。私はもともと兵庫県出身で、ワカサギとは無縁だった。そんな私が今では「FISHING HOUSEなぎさ」のスタッフとして働き、年間約200日は湖上でワカサギ釣りのお客さんを案内したり、釣りを見たり、実際に自分で釣ったりしている。ちなみによく間違えられるのだが、「なぎさ」の息子ではない。この名前にも因果というか、山中湖に来る運命にあったのだろうか……とふと思うことがある。

 兵庫県にいたころはひたすら海釣りばかりやっていた。エサ釣りも好きだったが、一番心血を注いだのはソルトルアーフィッシングだ。ライトソルト、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ……。陸っぱりのソルトルアーフィッシングはひと通りやったと胸を張って言える。

 何かの釣りにハマると、とことん突き詰めたくなるのが自分の性格であり、今はその対象がワカサギになっている。現時点でベストだと思っている山中湖での釣り方を、道具選びも含めて解説したい。

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多点を抜き上げる瞬間は何度味わっても胸が躍るものだ

レスポンスがよい先調子の穂先がGOOD


 まずタックルについてだが、電動リールの二刀流が基本スタイルであり、電動リールはシマノ『レイクマスターCT -T』(2019年モデル)に穂先はシマノ『レイクマスター』シリーズを状況に応じて使い分けている。メインで使っている穂先は、『SH S 02R』、『エクスペック M 03K』、『エクスペックM 01E』、『エクスペックM 02E』、『エクスペックL 05S』の5本になる。この5本があれば、山中湖の釣りにほぼ対応できるだろう。

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電動リールはシマノ『レイクマスターCT-T』(2019モデル)を使用。スプールカバーが延長されてイトの巻き込みが解消されている


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穂先はシマノ『レイクマスター』シリーズを愛用。上から『SH S02R』、『エクスペックM03K』、『エクスペックM01E』、『エクスペックM02E』、『エクスペックL05S』の5本



出番が多いのが『エクスペックM 02E』。1尾ずつだが、ハイテンポで釣りたい時に使っている。群れが濃くて落とせば釣れるような状況では手返し重視で大オモリを使った、高負荷な釣りに対応できる『エクスペック L 05S』。この穂先はとにかく大釣りの時に向く。『エクスペック M 03K』はあるていど食いがよくて(最終的な釣果400~1000の時)、大きな群れがたまに入るが、拾い釣りもあり、といった状況下で使用する。使用オモリは7~12g で汎用性が高い。『エクスペックM 01E』はちょっと渋い時だ。食いが浅いと感じた時に使っている。バレにくい調子であり、1尾ずつていねいに釣らなければならない時に力を発揮する。釣果でいえば、1日やって200尾ほどの時だ。後述するが、私は手感を重視したリズムの釣りだ。そんなリズムの釣りがハマらず、穂先にアタリを出して釣っていく状況下で使うのが『S 02R』。胴調子気味の穂先で、置きザオでも掛かりやすい特徴を持っている。

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リズムの釣りでは、ほとんど穂先は見ずに魚探を注視。手感で釣っていく

 穂先は先調子を使うことが多いが、それは無駄を省きたいという考えから来ている。先調子は、穂先とオモリのバランスが合っていれば、アワセのストローク幅が小さくてもしっかりとワカサギの口をとらえることができる。仮に乗らなかった時でも、アワセが小さければ、すぐに次の誘いに移れて、リカバリーが早く無駄が少ない。手返しがよくなる。

 極端な例を挙げるが、これが胴調子だと、アワセの力を穂先のバット部まで伝えるのに、自分の目線くらいまでリールを上げて合わせる。アワセのストローク幅が大きいということは、乗らなかった時、「またオモリを底まで下して、誘いをかけて……」と時間にロスが生まれてしまう。誘いの中で比較的オートマチックにかつ素早く掛けられるのが先調子である。

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尾崎さんの釣り座。釣り座のレイアウトはいたってシンプルだ


仕掛けはトラブルレスを最優先


 続いて仕掛けに移りたい。山中湖では極端に細い仕掛けは不要だと思っている。山中湖はフラットな地形が続き、けっこう群れに依存する釣りである。群れが来た時にどれだけ手返しよく釣れるかが、釣果を上げるコツだ。細仕掛けにして、ハリス切れ、縮れなどのトラブルを誘発するより、いかにトラブルなく釣っていけるかが重要なのだ。細仕掛けにすることで得られるメリット(釣果)よりも、トラブルによる釣果ダウンのほうが大きいと思っている。ある程度頑丈な仕掛けが山中湖にはマッチする。

 具体的に言うと、幹イトは0.3~0.4号、ハリスは0.3号がスタンダードで細くても0.2号まで。ハリスの長さは2.5~3㎝の標準的なもので、ハリ間は12㎝ほど。6~7本バリ以上の仕掛けを使っている。

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ハリス0.2号、ハリス長3㎝で山中湖にぴったりな仕掛けが、がまかつ『ワカサギ連鎖ベーシック』。袖と狐タイプがあるが、尾崎さんは狐タイプの6本バリを使用した

 ハリも1.5~2号といった標準的(小バリ傾向なので、大きいと感じる方もいるのでは?)なサイズを使っている。このくらいのサイズのほうがハリは持ちやすく、エサ付けも早くなる。ハリのチモトにケイムラ留めがついた仕掛けも好きだ。ケイムラ留めがあると、ハリが持ちやすくなり、手返しアップが見込めるが、なにより保険になる。どういうことかと言うと、たとえば、強烈な群れが来ている時、7本バリを使っていて、1つエサが取れている。このハリにエサを付けている時間が惜しい……。という時でも、ためらいなく仕掛けを落とせる。ケイムラ玉があると、このハリにも食ってくることが多いからだ。

 7本バリ以上と書いたのは、10本バリ仕掛け(「なぎさ」オリジナル)を使うこともあるからだ。どういう時に10本バリ仕掛けを使うかというと、7本バリ仕掛けを使っていて、5~6尾の多点が続く時だ。使っている7本バリ仕掛けのハリ間に対して、魚の密度が濃いと判断して、ハリ数が多い、詰まった(ハリ間が短い)仕掛けに変えている。3~4尾しか多点しない時は、そこまで魚の密度は濃くない。この状況下でハリ数が多い仕掛けを投入しても、魚に違和感を与えるだけだ。魚の密度に合わせたハリ数やハリ間をチョイスしたい。

尾崎さんの仕掛け使い
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『ワカサギ連鎖ベーシック』
「新製品ということで今回はじめて使ってみた。刺さりがよく、ナノスムースコートの力を実感できた。ワカサギではハリ先が本当に重要。鋭ければアワセが多少遅れてもしっかり刺さってくれる。しっかりと刺さってくれるのでバレも少なく、多点させやすい。
 ケイムラ留めがあったほうが好きだが、絡みやすい一面もある。誘いが苦手な初心者の方にはケイムラ留めされていないほうがよいだろう。ナイロンはしなやかなので食いが渋い時に効果的」

『ワカサギ連鎖7本バリ狐』
『山中湖ワカサギ狐』
「山中湖で1000尾をねらう時にメインで使用する仕掛け。どちらもスタンダードな仕掛けで使いやすい。『ワカサギ連鎖7本バリ狐』は下のほうのハリ間隔が詰まっているので、魚の群れが底べったりで、密度が濃い時に多点しやすい。
 ハリ間隔が詰まっているのを嫌う時があるが、そんな時は『山中湖ワカサギ狐』を使う。この仕掛けの特徴は、一番下のハリスが長いこと。オモリを底に着けたフカセ釣りでは下バリを付けることができない。一番下の長いハリスが下バリの代わりに活躍してくれる」

『ワカサギ連鎖ロングハリス狐』
「山中湖以外で、湖流があるようなエリアに向いた仕掛け。流れがある時は長めのハリスが誘いになる。山中湖と同じ富士五湖なら西湖で使うとおもしろそうだ」




 最後にハリの形状についてだが、私はキツネを使うことがほとんどだ。キツネはハリ外しが楽。入れ食いの時に手返し勝負でいかに早く外すかが大事だ。1日1000尾を目指す釣りなら、断然キツネを選んだほうがよい。

 キツネをメインに使いながら、袖はバレてほしくない時に使う。アタリが分からないとか、上手に取り込めないといった初心者には、むしろ袖がおすすめ。

 私の場合、1日に数回しか群れが回って来ない、かつ群れの足が速くチャンスが少ない時に使う。キープ力をいかして1尾掛かってもすぐに取り込まず、多点するまで待つことができる。ただし、キープ力が災いしてハリから外すのは少し手間取ることがある。目安としては1日300尾以下の時には袖がよいだろう。

 続いて、オモリについてだが、2号(7.5g)を標準に14gまで使用している。多点が多いからといって、単純に重いオモリにすればよいかといえば、そう簡単ではないところが悩ましい。魚が掛かった後、ある程度魚に持って行かせて、仕掛けを躍らせたほうが多点することがあるからだ。そうかと思えば重いオモリで支点を作ったほうが多点する時もある。オマツリしない範囲の重さで実際に試してほしい。

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オモリは同じ号数で鉛とタングステンを用意しておく

 あと、オモリは同じ重さで鉛とタングステンの2種類を用意している。通常は魚探に映りやすい鉛を使うが、食い上げがひどい時は同じ重さのタングステンを使っている(魚探に映りにくくなるが)。タングステンのほうが体積は小さく、抵抗が少ない。そのため、落ちる力が強く、食い上げの予防になるからだ。

手感を重視したリズムの釣りで釣果を伸ばそう


 一定のリズムで左右交互に誘いをかけていくのがリズムの釣り。誘いの中で感じた違和感を捉えて、アワセを入れて巻きあげていく。ワカサギの水中映像を見て、思っていた以上にワカサギはエサを吸って、吐いてを繰り返しており、その情報はアタリとして穂先には表われにくい。そこで、絶えず誘いを入れて動かすことでワカサギが吸った瞬間をとらえるようにしている。こういった釣りを成立させるため、道具立てはレスポンスがよい先調子、アタリが出やすい標準的な2.5~3㎝長のハリスを使用している。

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手首を返すように電動リールの先端を持ち上げるように誘っていく。これを交互にリズムカルに行なう

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エサは半分カットより気持ち大きめ。エキスの持続性を長くするためだ

 標準的な誘いのピッチは左右ワンセットが1秒よりも気持ちゆっくりめ。誘いの幅はたたき台(机)に置いた状態で、手首が自然に上がるくらいの範囲だ。「カツ(右)、カツ(左)、カツ(右)、カツ(左)……」と叩き台の上で誘いを掛けていき、微妙な魚の乗りを感じたら誘いの延長線上で巻きあげて行く。基本的に穂先を見ることはなく、視線は魚探だ。魚探に映ったオモリの位置を見ながら、群れに魚を合わせていく。

 渋くて居食いしている時ほど誘いのピッチは上げる。そのほうが、魚がエサを吸ったタイミングにでくわす確率が上がるからだ。

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初期は群れの足が速いので、魚探を見ながら群れの有無に注視

 取材を行った9月下旬のタイミングは魚の足が速いうえに群れも単発で続かない。前日は1日やって100尾行けばいいという厳しい状況だったが、取材日はポツポツと釣れ、ときおり群れが入ってきた。納竿時間までサオをだして、300尾だった。

 手感を重視した釣りのため、あるていどワカサギを釣っていないと微妙な乗りは分かりにくいし、この釣りは慣れによる部分も多い。すぐには釣果アップしないかもしれないが、少しでも参考になれば幸いだ。

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群れが来た時にいかに多点を作れるかが重要

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この日は300尾でフィニッシュ



多点時の高速ハリ外し!


 多点した場合に使いたいテクニック。1尾ずつハリ外しに通すのではなく、数尾まとめて一気に外す。連続して掛かっている時のみ使えるテクニック。写真のように3尾が“連続”して掛かっている場合は使えるが、同じ3尾でもたとえば、上から“1尾、素バリ、2尾”となっている時に連続で外そうとすると、素バリの部分でハリ外しに引っ掛かってしまう。また、細いハリスだとすぐに切れてしまうので注意。

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連続して掛かっているのを確認したら、一番上のハリスを持つ 
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3尾一気にバケツに入れる 
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一気に引き抜く!

◆この記事は『なるほど!THEワカサギ大全2019-2020』でも読むことができます。


なるほど!THEワカサギ大全2019-2020

001_cover
定価:本体1,200円+税 AB判100ページ


2019/6/28

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