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お盆の夜に釣りをすると。。。

水辺で遊ぶ人の身の回りでは、ときどき不思議な現象が起きる。

つり人編集部=写真と文

台風で釣りどころではありませんが、
お盆は釣りをしてはいけないと子ども頃に祖母によく言われました。

なぜダメなのかと食い下がると
「お盆には、ご先祖様の御霊が海と川を通じて戻ってくるんだよ」
と祖母は諭してくれました。

とはいえ、釣り雑誌の編集を生業にするようになると
お盆だからといって、釣りをしないわけにはいきません。
でも、夜釣りだけは行かないようにしています。

書籍「水辺の怪談」を読んでからは。。。
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お盆の夜に釣りをすると、どんなことが起きるのか。
本書に収録されている怪談を紹介したいと思います。
夜釣りが好きな方は読まないほうがいいかもです。


「髪の毛」 土肥健一(仮名)

その日は道が混んでいて、釣り場に着いた頃にはもう辺りは薄暗くなりかけていた。
A町を少し過ぎた海岸線の橋の下が釣り場だった。
橋は海の30mほど上に架かっていた。
車で走っているときはこの磯には気が付かないが、降りて橋から海を覗き込むと、ようやくちらっとだけ見える。
真夏だというのに少し肌寒かった。
「な、道路から見えないから人がいないんだよ」
「そうだよな、俺も今まで何回も通っているけど、ちっとも気づかなかったよ。確かに釣れそうだな」
「へへへ。でもな、それだけじゃないんだよ。実はこの橋は自殺の名所なんだって。だから地元の人もあんまり近づかないんだよ」
Tはにやにやしながら3人の表情をうかがうように言った。
確かに、少し気味は悪かった。
だが場荒れしていない、クロダイが釣れる、良型のメジナも出る、
そんな釣り場を目の前にしてすごすご引き返すほど霊の存在を信じている者はいなかった。
車を路肩に停め、崖を斜めに下ると磯に出た。
思ったよりしんどくはなかった。これで魚が釣れれば本当の穴場だな……
気の早い4人の脳裏からは、そこが自殺の名所であるという噂は消えていた。
磯は思ったよりも広く、サオをだせそうなところはいくつかあった。
私たちは最も海に突き出たところに釣り座を構えることにした。
先端部は小さなワンドになっていて、海に向かって左の磯に私とI、右側の磯にTとOが乗った。
(中略)

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潮が止まるとアタリがピタリと止んだ。
空を見上げると満月の下を黒い雲がかなりのスピードで次々に通過している。
夜が明けたら風が強くなるかもしれないな、などと考えていると、Iの悲痛な叫びがした。
「あ~あっ!」
サオを折ってしまったのだった。
何かがヒットしたのだが、穂先にイトが絡んでいたのか、簡単にポキリと折れたという。
誰も予備ザオなど持参しておらず、Iは暇を持て余した。そのうちOがこちらの磯にやってきた。
「なあ、お前、サオ折れたんだろう。俺のでやるか。何だか風邪を引いたみたいなんだ。寒くてさ。車に戻って俺は寝るから」
「お前のリール、右巻きだろう。俺は左巻きなんだよな。いいよ、俺も眠くなってきたから車に戻るよ」
2人はそんな会話を交わして早々と引き上げてしまった。
(中略)

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睡魔に勝てず、横になって本格的に寝ようかと思ったとき、風とは違う空気が耳元に注がれた。
私は「うざったいな」と思うだけで相手にしなかった。
てっきりIかOが戻ってきてからかっているかと思ったのだ。もう一度。明らかに人の吐く息だ。
最初の「あ」という発音まで聞こえた。しかし、それは男の口から発せられるものではなかった。
いや、少なくともIやOのものではないことが直感で分かった。

 
パッ、と目が覚めた。嫌な汗がどくどく出てきた。
夢かもしれない、いやそんなはずはない。
状況を整理しながらTのもとに駆け寄った。
Tはサオをしならせていた。それにしては緊迫感がない。
「ちくしょう、ヒットかと思ったけど“根っこ”みたいだな」
Tが強引にリールを巻くと赤い鈍い光を放ちながらウキが上がってきた。
何とか巻けるらしい。そのうちにウキが水面を割った。寄ってきた。
「ウツボかな」
Tはヘッドライトで海面を照らしたが光が弱く届かない。
私が懐中電灯で照らすと、海草がゆらゆらと漂っていた。
内心ホッとした。
根掛かりじゃないかと毒づこうとしたそのとき、海草の下の異物に気がついて目を凝らした。
身体が硬直した。金縛り状態になった。
海草に付いた貝だと思っていたのは乱杭歯だった。その上に、カッと開かれた目が一つ、確認できた。
海草みたいに漂っていたのは黒々とした髪の毛だった。それは、潰れたか、腐敗した、人の顔だった――

続きに興味がある方は電子版でぜひ!

  
 

 

水という生命のゆりかごは、ときに私たちの知らない世界につながる触媒ではないだろうか。水辺で遊ぶ人の身の回りでは、ときどき不思議な現象が起きる。本書は、18人の釣り人が体験した、世にも不思議な話である。

 

水辺の怪談 Kindle版

つり人社出版部



2019/8/15

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