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編集部2019年12月18日

メジナ釣りで実績大 伊豆半島の一級地磯沖磯15選

メジナ 全国おすすめ釣り場 静岡

東京近郊でウキフカセ釣りを楽しむなら伊豆半島は外せない。メジナの数は当然多く表情豊かな岩礁帯が各所にある。この半島周りで春夏秋冬メジナを追い、腕を磨くトップトーナメンターが友松信彦さんだ。

豊かな岩礁帯を厳選。沖磯・地磯どこに乗る?

友松信彦 解説


東京近郊でウキフカセ釣りを楽しむなら伊豆半島は外せない。メジナの数は当然多く表情豊かな岩礁帯が各所にある。この半島周りで春夏秋冬メジナを追い、腕を磨くトップトーナメンターが友松信彦さんだ。ここでは友松さんが惚れ込む東伊豆の地磯と南伊豆の沖磯群から一級の釣り場を厳選。各磯の特徴や攻略法の解説はもちろんのこと、風向きやその強さ、波高やウネリの方向から、どの磯ならサオがだせるのかも詳解する永久保存版ガイドである。

友松信彦◎案内
1983年生まれ。兵庫県神戸市出身で’10年に神奈川県横浜市に移住。20歳のころからトーナメントに参戦し、シマノジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権では’07年に24歳で栄冠を手に。同大会の最年少優勝記録を塗り替えた。近畿大学在学中には『メジナ幼魚の水温変化による捕食行動解析』なる調査をするほどメジナ釣りに傾倒。’12年には同大会で2度目の優勝を果たす。季節を問わず伊豆半島に通い詰め釣技を研鑚する若武者である。

この記事は『つり人』2016年2月号に掲載した記事の一部を再編集しています。

「グレ釣り KING OF KINGS」 2023年1月9日(月・祝)、YouTube釣り人チャンネルで生中継!

東伊豆地磯①富戸、城ヶ崎、蓮着寺


南西のウネリに強い富戸と一級のオナガ場も点在する地磯パラダイス

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 昭和30年代の磯釣り開拓期の象徴ともいえる東伊豆の玄関口が富戸、蓮着寺エリアである。北は富戸のスズメ岩~南は蓮着寺のダセンバまでに大室山をはじめとする伊豆東部火山群からの溶岩が海に流れ込み、固まった岩礁が何本もの小さな岬を形成している。

 釣り座から海面までが高い釣り場が多く、タモは6mあったほうがよい。沖には相模トラフが海岸線まで迫る。水深1000mまで落ち込む深海が側にあるのも特徴的。そのせいかメジナが沖の広範囲に分散しにくくシーズンオフの夏場でも比較的安定してオナガメジナ、クチブトメジナともに40㎝オーバーの良型が釣れる。

 潮の流れは伊豆半島に沿って南北どちらかに流れ、一部を除いてゆっくり流れる場所がほとんどである。この海域は北から南の潮が速く反対は遅い傾向がある。これも相模トラフと黒潮が関係しているようで、石廊崎から相模湾に入ってきた潮が相模湾奥で西側は反時計回り、東側は時計回りに反転する。東伊豆のある西側は反時計回りの潮になることが多いので北から南向きに流れやすいのである。実際の釣り場はこの沖の本流に引かれる反転潮を釣る場合がほとんどなので一概に南方向の潮が多いとはいい難い。

 富戸エリアの磯は悪天候に強い。東伊豆は冬期の大西が吹いても風裏になり比較的サオをだせるが、八幡野より南のエリアは強い南西が吹くと半島の南側から回り込んだ波が押し寄せ、磯に乗ることが難しい場面も多い。しかし富戸エリアは門脇崎が南西の波・風を遮ってくれるので、八幡野エリアが大シケでも驚くほどナギの場合が多い。また、台風(低気圧)の季節も同様に南西~南のウネリには比較的強い。とはいえ台風が南海上、石廊崎の真南より東にあると南東~東のウネリが入ってくる。そうなると東伊豆全域の磯でサオをだすのはほぼ不可能になる。

 門脇灯台周辺の磯は沖の本流が直接磯をかすめるため、東伊豆で数少ない本流釣りができる。潮の速い海域を好むオナガメジナ、青ものなど地磯とは思えない型、数が釣れるのだ。オナガメジナといえば伊豆半島の場合、高水温期がシーズンと思われがちだが、フタマタ~カドカケは春のナッパ潮以外であれば、水温が13℃台に下がる真冬も良型のオナガメジナをねらうことができる。良型に備えハリスは最低でも2号以上が好ましい。また門脇灯台周辺は本流が直接当たらない磯でもオナガメジナが多く、マヅメ時、潮止まりからの動き出しには、かなりの確率で良型が口を使う。油断は禁物である。

問合先:エサ=あおき釣具店(℡0465・68・3001)
   釣況=イシグロ伊東店(℡0557・44・5666)

富戸:長根
ナライ、南西どちらの風向きでも快適な釣り座あり
115-123_omomatsu-izu_cs3 (41) 富戸エリア北部にあり、このエリアで最も沖に長く突き出た磯が長根である。釣り座は北側先端をメインに南側の一部である。ナライ(北東風)が吹けば南側、南西が吹けば北側と風・波によって選択できるので悪天候に強い。北側先端の釣り座Aは70 m沖のシモリ根がねらいやすく、北へ向かって流れる時は迷わずここに入りたい。寒の時期は磯が切り立っているので、どこの釣り座でも足もとに1日をかけて寄せエサを入れ、上手くポイントができれば高確率で入れ食いになる。オナガメジナも出るがどちらかといえばクチブト場。ナライ、南西どちらの風向きでも快適な釣り座あり


富戸:大根
波高4mくらいならサオがだせ、沖の潮を直撃したい
115-123_omomatsu-izu_cs3 (42) 富戸を代表する1級磯である大根はこのエリアでは珍しく磯先端にハエ根が出ておらず仕掛けを流しやすい磯である。磯際は左右どちらかに潮が抜けてしまうため、寄せエサが溜まらずあまりよくない。その分、沖の潮をダイレクトにねらうとクチブト、オナガ、マダイ、イサキなど多種多様な魚が釣れる。またこの磯はたいへん波に強く波高が4mまでは入釣可能だ。それでも大シケの時は細心の注意と適切な判断で引き際を大切にしてもらいたい。駐車場が少ない富戸エリアだが近隣に有料駐車場があるのもよい。

城ヶ崎:モズガ根
本流がぶち当たる好釣り場。南西が15m吹いてもOK
115-123_omomatsu-izu_cs3 (43) 潮流、水深、雰囲気ともに申し分ないが隣の超一級磯カドカケの影に霞んでしまいがち。オナガメジナ、クチブトメジナともに実績は申し分なく、北から南へ流れる本流が磯にぶち当たる。本流に仕掛けを乗せカドカケの北側にあるシモリまで流すと、その手前で食うことが多い。エサ取りが多い時はより沖の本流をねらい、エサが残る時は手前の流れに乗せて流す。2月後半~3月の厳寒期以外はエサ取りが多く、潮が流れていないとかわせない。波にも比較的強く、冬の南西風はカドカケが防いでくれる。南西が15 mくらい吹いても入釣可能だ。

城ヶ崎:カドカケ
半島周りで1、2を争う超一級の地磯
115-123_omomatsu-izu_cs3 (44) ここに行くとクチブトメジナはエサ取り扱い。北から南へ本流が走る時が本命潮である。軽い仕掛けを潮に乗せ100~150m まで流して釣るとオナガメジナがヒットしやすい。潮が湧きあがって釣りにくい時は5Bなどの重い半遊動でタナを取ったほうがよい。南から北向きに流れる時は、北側のシモリがねらいめ。通常はシモリの手前をねらうが食わない時はシモリのさらに沖(モズガ根側)をねらうとよい。良型が掛かると必ず根ズレを起こすが比較的磯がツルツルなので無理なやり取りをしない限りバラしにくい。磯際は中央の際から南側のハエ根の間が深く溝になっておりクチブトメジナの良型がよく釣れる。周囲より沖に飛び出した磯のため、潮波・風波・ウネリの影響を受けやすく、南西なら波高2 m、北東なら2.5 mが限界である。南からのウネリがある時は磯の右後ろから波が抜けるのでそうなったら勇気ある判断でサオをたたむこと。

蓮着寺:陸平根(おかひらね)
どこで食うか分からないほどポイント豊富
115-123_omomatsu-izu_cs3 (45) 本流が流れる門脇灯台の少し奥まった場所にあり速い潮は入ってこないが、起伏に富んだ地形と沖の潮が合わさり大変魚が多い。沖には高瀬が点在しているので、どこで食ってくるか分からないほどポイントは多い。その時の潮に合わせてねらう場所を変えるとよい結果が得られやすい。また磯左側にはテーブル状のハエ根があり、寄せエサを絶え間なく入れるとハエ根伝いに良型が浮いてくる。こちらも見逃せないポイントである。北東風には強いが南からのウネリ、風が強い時は要注意。目安は南西風なら10m 以下。



東伊豆地磯② 八幡野、赤沢、稲取

駐車場から近い一級地磯が目白押し。ゴロタ浜広がる稲取岬も熱い


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 八幡野から赤沢までは蓮着寺周辺と同様に溶岩がそのまま海中に延びる地形になっている。狭い範囲に岬が多くポイントは無数にある。潮流は門脇崎とダセンバに当たった本流が沖にはけるので直接潮がぶち当たる釣り座は少なく、その反転流を釣ることになる。駐車場もあり遊歩道が海岸のすぐ脇に整備され入釣時間も15分以内の磯がほとんどのため、まさに地磯天国といえる。

 八幡野港のすぐ横にあるヒナダン・マサキは駐車場から徒歩1分!それでもシーズンになれば良型メジナが数釣れる夢のような釣り場である。そのため周年釣り人が絶えないのでキタマクラをはじめとするエサ取りも多い。これをかわす対策が釣果を左右する重要なポイントとなる。磯先端から沖の潮を釣るのか、ワンドの中を釣るのか、足もとの磯際を釣るのか、明確な意思を持ってねらうようにしないと一面がキタマクラだらけになる。また、ダセンバからサイツナまでは南西風の影響を受けやすい磯が多く冬型の気圧配置が強まる時は避けたほうがよい。

 赤沢から稲取まではゴロタ浜が多く、そこに小磯が点在している。もちろんメジナだけでなく砂地と岩場の両方を好むクロダイも多く生息しており50㎝オーバーも充分にねらうことができる。これは意外と知られていないが、カワハギの30㎝オーバーもウキフカセで釣れる。専門にねらっても面白いかもしれない。さらに南下して稲取周辺はトモロ岬.黒根周辺が本格的な磯釣り地帯となる。

 黒根は駐車スペースもあり南西風なら北側の平床、ナライなら南側のウノクソ・ゾレと全天候型の磯がある。しかし波が這い上がりやすい地形なので悪天候時の釣行は何度か通ってからにしないと事故の原因になる。黒根からさらに南下すると温泉地としても有名な稲取岬と続く。稲取岬は周囲をゴロタ浜に囲まれた浅場が広がりメジナだけでなくメバルをはじめとする根魚が多く生息している。周辺はクチブトメジナが多いが稲取岬の先端は潮が切れる影響でオナガメジナの40㎝オーバーも期待できる。浅場が広がっているため、波が海岸線に近づくと急激に大きくなるので波の方向を頭に入れてポイントを選びたい。最後に東伊豆の地磯はオナガメジナは44㎝以上、クチブトメジナであれば46㎝以上が納得のいくサイズといえる。


問合先:エサ=あおき釣具店(℡0465・68・3001)
釣況=イシグロ伊東店(℡0557・44・5666)

八幡野:カンノンガ根
浅場の付け根で良型が食う
115-123_omomatsu-izu_cs3 (46) 足場の高い磯が多い東伊豆で数少ないウキフカセに最適な高さと足場のよさ、濃い魚影を兼備する磯だ。そのためシーズンになると暗いうちから釣り人が押し寄せ、先端付近を確保するのは難しい。高水温期は先端から沖の潮をダイレクトにねらうと40cm オーバーのオナガメジナが釣れる。厳寒期は先端に入れなくても大島ヶ根との間のワンド内にクチブトメジナの群れが押し寄せるため、信じられないほど浅い付け根の釣り座でも良型が釣れる。隣のイガイガ根が冬型の南西風を防いでくれるので風速10 m以下なら入釣可能。

八幡野:イガイガ根
ナライの日がベスト。磯際が面白い!
115-123_omomatsu-izu_cs3 (47) イガイガ根駐車場から最短でアクセスでき、潮通し・水深・魚影と安定感のある磯だ。カンノンガ根同様に人気がある。ウキフカセができる釣り座は南側に集中しており先端はカゴ・底ものファンの釣り場となる。波のない日は先端のカゴ釣り座の一段下にウキフカセができる足場がある。絶えず釣り人が入っているため、キタマクラがたいへん多いがエサが残れば磯際が面白い。磯が垂直に切り立って沖まで海溝が入っている。その溝を伝って良型魚がエサに誘われ寄ってきやすい。エサが残らなければ遠投で探る。釣り座のある南面は冬場の南西がもろに当たるので、南海上を低気圧が通過する前日のナライの日がベストとなる。

八幡野:サイツナ
際から10mの水深。地磯とは思えない雰囲気も魅力
115-123_omomatsu-izu_cs3 (48) 橋立駐車場から20 ~30 分と遠くさらに先客がいると他の磯が周囲に少なく大変リスクの高い磯である。が、雰囲気は最高でとても地磯と思えない。波に弱く南.南西の日は風速5m でも行ってはいけない。ナライでも風速5m までが賢明だ。ウネリがある日は方向を問わず入釣不可。釣り場は垂直に2m ほど降りた場所に5畳ほどの低い足場がある。波が高いと釣り座全体が水没して流されるうえ、後方が垂直の壁なので逃げることができない。定員は2~3名なので単独釣行は控えたほうがよい。水深は際から10mある。潮通しはよくはないが流れる。潮の中はなぜか実績が低く、磯際にポイントが集中することが多い。厳寒期は小サイツナ側のワンドやサイツナの磯際で良型が出る。

赤沢:大灘(おおなだ)
往年のヒラマサ釣り場はウキフカセも好適
115-123_omomatsu-izu_cs3 (49) かつてのヒラマサフィーバーで大勢の釣り人が駆け付けた磯として有名。現在でもヒラマサやマダイねらいのカゴ釣りファンが足しげく通っている磯だが、ウキフカセのメジナ釣り場としても実績は高い。広い磯だがウキフカセができるのは左側の低い釣り座のみ。そのほかは高い崖を下ってやっと一人分の足場が数ヵ所あるのみ。低い釣り座は橋立方向に向かって馬の背状の根が沖まで伸びておりその周辺がポイントとなる。反対の右に行くほど深く、50 ~70m 沖でも水深は40m 以上ある。こちらはキタマクラ・コッパを我慢して磯際を念入りに探ると40cm オーバーのクチブトメジナが出る。南西風は赤沢が防いでくれるので問題ないがナライに弱いので注意が必要である。

稲取:稲取岬
秘境ムード漂うゴロタ浜の岬
115-123_omomatsu-izu_cs3 (50) ゴロタ浜が続く稲取岬だが唯一ここだけ磯があり秘境の釣り場となっている。しかし、30 分以上歩くうえ、あらゆる方向からの風・波に非常に弱い。また、潮位が120cm を超えると数ヵ所水没して行き帰りが困難になる。このように釣り人を容易に近づけさせない釣り場ゆえ、魚は非常に多い。潮が走れば沖でオナガメジナがねらえ、緩めば手前のゴロタの割れ目でクチブトメジナをねらえる。水深が沖でも7~8m しかないので沖でサオ1 本まで、手前なら2ヒロ(約3m)以内の浅ダナを意識して釣る。



南伊豆沖磯① 須崎、下田、手石、石廊崎

“準”離島を体験できる下田沖根、根の荒い石廊崎周辺はクチブト場

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 須崎から手石周辺は海水浴場が多いことからも分かるように、手前が岩盤でも沖は砂地であることが多く磯際がポイントになりやすい。横根、沖横根、石取根、豊根、平根からなる下田沖磯でも同様である。横根の際にはオオカミクラスのシマアジも棲み付くがこれは砂地があることも影響している。一帯はナライが吹き荒れると低気圧からのウネリと重なり分厚い大波になる。釣行の際は天気予報と船長の指示に従うようにしたい。

 下田沖磯から神み こもと子元島に続く沖合は一級の沖磯がずらりと連なる。ここは半島回りの沖磯とは数・型とも別モノになりクチブトメジナなら50㎝オーバー、オナガメジナなら45㎝オーバーが射程圏内のトロフィーサイズとなる。もちろんそれ以上の実績もあるので自己記録をねらうなら下田沖磯か神子元島である。魚のサイズだけでなく潮の強さ、波の大きさ、風の強さも半島の釣りより離島の釣りに近い。“準”離島を体験することができ、仕掛けもワンランク~ツーランク上げて臨みたい。

 田牛、下流、大瀬までは遠浅の磯が続き溝を釣る釣り場が多くクチブトメジナが多い。伊豆半島最南端の石廊崎まで行くとそれまでの平坦な海岸線が一変して高低差のあるリアス式海岸が海にせり出し断崖絶壁がそのまま海に落ち込む。石廊崎灯台を西側に回り込むとその傾向は顕著で磯に立っているだけで景勝地を楽しむことができる雄大な海域となる。

 石廊崎は南伊豆エリアでもトップクラスに根が荒い。半島最南端に位置するものの、オナガメジナよりもクチブトメジナのほうが多く釣れる。根が荒いことから居着きの魚体が多く、シーズンオフでも40㎝オーバーが有望だ。

 豆知識として伊豆半島の風の読み方について。冬場の西風は日本海側から太平洋側まで高い山が少ない濃尾平野で集約され強さを増して伊豆半島の南端をかすめる。冬型が強いと半島全体が西または南西風になるが、西日本で冬型が崩れ北日本で冬型を保っていると中央アルプスを迂回してきた風が関東平野を抜け北東風になりやすい。東伊豆はナライ、西伊豆は西風という変わった風になるのだ。だがこの風は長く続かずしだいに西伊豆もナライに変化する。つまり冬型でも西日本で崩れた気圧配置ならば、意外と西伊豆でもサオをだすことができるのだ。このことを頭に入れて半島の西へ行くのか東へ行くのかを選択すると大波で怖い思いをせず、せっかくの休日を棒に振ることが少なくなる。


渡船:須崎=喜一丸
     (℡0558・22・3970/渡船料金=横根・石取根6000円。平根・小根7000円)
下田=伊豆下田フィッシング
     (℡0558・23・0289/渡船料金=神子元島7500円)
石廊崎=宮島丸(℡0558・65・0108/渡船料金=5000円)

須崎:横根
メータークラスのシマアジが足もとに!?
115-123_omomatsu-izu_cs3 (51) 須崎~田牛から出船する横根エリアにあって最大の磯だ。半島から直線距離で約3km沖に出ているだけで離島を感じさせる潮と魚影。オナガメジナよりはクチブトメジナが多く50cm オーバーも充分にねらえる。そして何といってもこの磯は、シマアジのメータークラスが足もとを縦横無尽に泳ぎ回り、その姿を見ながら釣ることができる全国的にも特殊な磯といえる。磯周りはすべてポイントだがオススメは右本場。上り、下りどちらでも釣れる両潮釣り場。下り潮なら表本場、上り潮なら裏本場に入るのが定石である。

下田:神子元島 沖青根
オナガメジナ45㎝オーバーも有望
115-123_omomatsu-izu_cs3 (1) 磯周囲を高根が取り囲んでおり、そこに速い潮がぶち当たり多種多様な魚が居着いている。石廊崎からの下り潮が本命潮。右沖から当てながら左のカメ根方向に流れる潮に乗せて流しているとオナガメジナがサオをひったくる。サイズも半島回りではまずお目にかかれない45cm オーバーが出る。磯際や正面沖にある沈み根周辺をねらうと50cmオーバーのクチブトメジナも掛かる。半島回りよりワンランク上の道具立てで臨みたい。季節、潮によっては浮きメジナと遭遇するのでウキだけでなく周囲の海面にも注意を払うとチャンスが倍増する。

下田:神子元島 本場1 号
西.南のウネリが入る日にチャンス大
115-123_omomatsu-izu_cs3 (2) 離島の雰囲気が漂う神子元島で、なぜ地磯である本場1 号をここで紹介するかというと、条件によっては超А級磯に豹変するからである。近年は横根.神子元島にかけて小イサキが異常に多くそれを追って磯にサメが居着いている。潮通しがよい沖磯はどこへ行ってもイサキの入れ食いのち、サメがパクリ。そんな時に下り潮と西.南のウネリが重なる時、ここのワンド内に良型メジナが集まるのだ。目安として本場に渡船が付けられず裏波止場に着いたらチャンス。また厳寒期でも同様の条件ならチャンス大。対岸の長谷川岬に潮が当たり反時計回りに湾奥に仕掛けを流す。奥に行けば行くほど良型が出やすい。

石廊崎:陸の丸島
磯周りのすべてがポイント。ハエ根に注意
115-123_omomatsu-izu_cs3 (3) 牛ヶ背と石廊崎灯台のワンドの出入り口にあり、一見するとよい雰囲気はよくない。が、速い潮が走る沖合より、少し内側に位置し水深も充分。良型が居着く条件を満たしている。磯周りのすべてがポイントで、その時の潮に合わせて釣り座を決めるとよい。その中でも北側の牛ヶ背向きが面白い。足もとサオ1本程の水深に棚が張り出し、そこに寄せエサを効かせて丹念に探るのが一手。もうひとつは沖の潮目をダイレクトに探ろう。オナガメジナ、クチブトメジナともに実績が高い。手前のハエ根で切られやすいため太ハリスで臨みたい。

石廊崎:ウノ根
根周りを止めてねらえばクチブトの良型が
115-123_omomatsu-izu_cs3 (4) 本瀬港から石廊崎灯台を回り込んで隣の中木エリアの境界線付近にある独立礁。周囲をシモリに囲まれ釣りやすいとはいえないが、魚影はすこぶる多い。速い潮が通すので角度が悪いと頻繁に根掛かりしてしまう。磯際か周囲のシモリをねらう釣りになる。半遊動でしっかりタナを取り、根周りで止めて釣ると高確率で良型のクチブトメジナが口を使う。やり取りは、根ズレとの戦いになる。根にハリスが当たったら無理せず、離れたら強引にとメリハリのあるやり取りが良型を手にするカギとなる。



南伊豆沖磯② 中木、入間、妻良、伊浜

紺碧の冬海でバラエティーに富んだ荒磯を堪能

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 伊豆半島最南端の石廊崎を回り込むと中木から西伊豆まで延々と荒磯が海岸線を形成している。東伊豆と比べ沖磯が多く渡船に適した地形である。そのため各港には数軒の渡船店があり、沖磯の釣りが盛んな地域だ。

 冬場の西風をモロに受け、寒メジナのベストシーズンはなかなか出船機会に恵まれないことが多い。が、ナギさえよければダイナミックでありながら繊細な寒のクチブト釣りを堪能でき、ハイシーズンの出船率の悪さが自然の禁漁期間となり、このエリアの魚影を保っている。

 一部を除いてそれほど水深もなく、うっすらと海底が見える水深7~10 mの磯が大半。メジナを釣りやすい地形といえる。また各渡船区で磯の地形が少しずつ異なるので、その時のやりたい釣法に合わせて渡船区を選ぶこともできる。このエリアではオナガメジナなら45㎝以上、クチブトメジナなら48㎝以上が自慢できるサイズといえる。

 中木は大きな磯が多くグループでの釣行に適している。磯際から水深があるため、立体的な釣りに適した釣り場が多い。入間は沖磯から地方磯までバラエティーに富み、磯も大きくこちらもグループ釣行に適している。妻良は地方磯やゴロタ場ねらいの場所が多く、磯が小さいので2~3名の小グループで行くとよい。シモリ周りの釣りがメインとなるので半遊動の釣りが威力を発揮する。

 伊浜は伝統的な和ザオでの底物釣りが伝承されイシダイファンが多い。雲見側は磯が切り立っており魚が多いとはいえないがテクニカルで釣り応えのあるウキフカセ釣りができる。また、妻良側にある宇留井島周辺は浅瀬が広がっており数釣りに適した磯が多くある。また、半島の南に行くほど西風はもちろん、回り込んだ東風の影響も受けやすく波が荒い。半島の南へ行くほど数釣り場、北上するほど大もの釣り場となる傾向があるので数ねらいか型ねらいかで渡船区を選んでもよいだろう。伊浜の波勝崎を境に黒潮の影響がガラリと変わり海の色、潮の質が一変するのもこの海域の特徴といえる。

中木:大根 平島
西風に弱いが厳寒期は50cmオーバーが期待大
115-123_omomatsu-izu_cs3 (5) 釣り座が狭い大根の中でここは3人が並んで釣りをできる。中木の大根は西の風に非常に弱く厳寒期に渡礁できれば40cm オーバーのクチブトメジナは堅く50cm オーバーも期待できる。切り立った磯で右側の釣り座は足もとで水深が30m 以上ある。それでいて少し沖に高瀬が洗濯板のように無数にあるので意外と遠投でも良型が食う。水深が深くどうしてもオモリで速く仕掛けを沈めがちだが根伝いにメジナが浮いてホバリングしていることも多い。できるだけゆっくりと寄せエサと同調させながら深ダナまで入れ込んでやるほうがよい。ナギなら平島伝いに銀座側へ行くと、かろうじてバッカンが置けるマル秘ポイントがあるが、足場が悪く上級者向き。

中木:イガミ
やり取りはスリリング。昼過ぎの時合に集中
115-123_omomatsu-izu_cs3 (6) 中木港を出船して右に回り込んだ地方の磯。水深は7~10m で根が点在している。厳寒期に前日まで西風が吹きウネリが残っている時が絶好の条件となる。サラシと根がぶつかる場所を捜し1 日かけてポイントを作ると昼過ぎに良型が口を使う。地方で釣れないからと磯替えせず粘ると水温が少し上がる昼過ぎに時合が訪れるので粘りが必要なポイント。居着きの魚体が多く逃げ場を熟知しているため、やり取りは沖磯のオープンエリアよりスリリングで面白い。根回りの釣りになるので0~Bの半遊動で1ヒロ半(約2m)~海底までを時間をかけて探る。

入間:赤島
サオ1.5~2本分の深ダナで良型魚が当たる
115-123_omomatsu-izu_cs3 (7) 加賀根を越え吉田湾の沖にポツンとそびえる赤島。ここより地方側は浅瀬が広がり、赤島を境に水深が一気に30m まで落ち込む。そんな場所だけに深場と浅場を行き来する魚の通り道がある。潮は速くないが力強く複雑な潮目を形成しながら刻々と変化する。おすすめ釣り座は畳根向かい。ここは畳根に向かって潮が流れる時がよい。サオ1.5~2 本分の深ダナねらいで、良型のオナガメジナ、クチブトメジナが有望だ。釣り座から畳根に向かって40 ~50m 沖にシモリがありそこを重点的に探るとよい。厳寒期でも水温が少し上がれば深場からオナガメジナが浮いてくる。沖の潮で食わなければ右側のサラシ場の棚の上も面白い。磯際の斜面に寄せエサを入れ、棚の周辺に効かせると条件がよければ矢引き(約80 ㎝)のタナまでクチブトメジナの良型魚が浮上する。

妻良:サメノリ
サオ2本のタナまで探る本流。オナガメジナの宝庫
115-123_omomatsu-izu_cs3 (8) 大きな磯が少ない妻良最大の磯サメノリ。その中でも中央の出っ張ったポイントは、特に速い潮が通しオナガメジナの宝庫である。本命は下り潮。伊浜からの潮がサメノリに当たり潮目を形成して入間方向に流れる時がねらいめ。本流に直接仕掛けを入れ、潮下の潮目まで流す。食ってこなければそのままどんどん流し、サオ2本のタナまで探ると勢いよくスプールの指を弾くアタリが出る。ここはメジナが出ない潮でも、マダイが多く期待できるので気が抜けない。

伊浜:黒島
足もとから10mの水深。全遊動でタナをじっくり探りたい
115-123_omomatsu-izu_cs3 (3) 雲見との境界線近くにある黒島は底もの釣りでも人気の磯。沖向き、陸向きと足もとから10m 以上の水深がある。全遊動仕掛けで探る釣りに最適な磯といえる。フカセ釣りなら沖向きより陸向きのほうが実績は高く、ゆっくりと力のある潮に乗せてサオ1.5 本ほどのタナを中心に流す。良型は際ねらいが定石だが、ここは沖の深みでも充分に食ってくる。高水温期はオナガメジナもねらえるが良型はほとんどがクチブトメジナとなる。産卵で一服する春先からはマダイがよくフカセの仕掛けで充分にねらうことができる

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つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。