友釣りとアユルアーの二刀流で活躍する谷口輝生さん。どちらの釣りにも精通しているからこそのこだわりと思考をもとに、アユルアーの道具立てやアプローチといった基礎から、釣果を伸ばす実践のコツまでじっくりと聞いた。

解説◎谷口輝生 写真協力◎がまかつ 文◎月刊つり人編集部
谷口輝生(やぐち・てるゆき)1977年生まれ。京都府在住。長年続けている友釣りは2005年G杯争奪全日本アユ釣り選手権、2022年第53回報知アユ釣り選手権オーナーカップで優勝の実力者。近年はアユルアーの名手としてもおなじみ。
目次
アユルアーは友釣りより釣れることもある
ルアーの釣りはG杯争奪全日本アユ釣り選手権の安曇川会場で運営スタッフとしてお手伝いをしているとき、集合時間までの空き時間に廣瀬地区で遊び感覚でやり始めたのが最初ですね。2018年くらいからだったと思います。
最初は友釣り用のサオと仕掛けで始め、それでも釣れましたけど、そんなに面白いとは感じませんでした。そのうちにスピニングタックルでできるようになり、さらに飛びつきのアユ(ナワバリを持った闘争心のある野アユ)がガツーンと掛かって、あ、これ面白いって思って、そこから毎年、友釣りの合間に続けています。面白いなと思ったきっかけは友釣り用の長ザオから短いルアーロッドに持ち替えたことですね。オトリと違ってルアーは弱りませんので、ねらったところへキャストすることができ、止めておくことも巻いて泳がせることもできる。これはノベザオにはない恩恵ですから。
その後、同じ安曇川で競技終了後にスタッフ同士で釣りをする機会があり、何度か友釣りに釣り勝ったんです。それも僅差ではなく、2時間くらいやって友釣りは3人とも3尾ずつのとき、僕だけ18尾釣ったり。ルアーのほうが強い条件は天然遡上が非常に多くて、釣れるアユのサイズが軒並み小さめのときです。友釣りは循環の釣りといわれますが、野アユが小さいとどちらも弱りやすくて循環しにくい。こんなときに弱らないアユルアーは非常に強い。以来、友釣りに釣り勝つことを目標にアユルアーを楽しんでいます。
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アユはルアーを「気に入らないヤツ」として追い払う
アユには自分のナワバリに侵入してきた邪魔者を追い払う本能があります。基本的にはアユ同士でのことですが、野アユが釣れずにウグイをオトリにしてもナワバリに送り込めば掛かります。
同じようにアユルアーも必ずしもアユとは思っていないかもしれませんが、それでもナワバリに侵入してくれば追い払わずにはいられない。でもまあ、アユと思って操作すればいいのではないでしょうか(笑)。
専用ロッドは泳がせやすくバラしにくくパワー負けしない
私が監修に携わっているラグゼ舞香はスピニングモデル2機種、ベイトモデル3機種の計5機種がラインナップされ、いずれも流れの中で掛けた良型アユの走りを止めて、浮かせて、抜き上げるパワーを備えつつ、柔軟に曲がるテーパーデザインになっています。そして繊細な操作が可能なソリッドティップを搭載しているため、アユルアーの泳ぎが安定しやすく、ケラレなどによるバラシが減ります。
エギングロッドなどの流用でこの釣りを始めた方も多いと思いますが、専用ロッドは掛けてからのティップの追従性が全然違います。
ベイトタックルの利点とスパイラルガイド
ベイトリールの扱いに慣れている方であればベイトタックルがおすすめです。それはポイントの上手からルアーを下流に送り込む動作を親指だけのワンタッチで操作できるからです。また、キャストの際のアキュラシーが高く、サミングすることで着水音を立てないソフトなアプローチがしやすいのも利点です。
ただし、アユ釣りは基本的に抜き上げる動作が欠かせない釣りですが、ベイトタックルはリールをリールシートの上にセットしますので、通常はガイドが上向きに配置されています。ところが舞香のベイトロッドはスパイラルガイドを配置していますので、ラインがロッドの下側から出ることでロッドがねじれにくく、ロッドパワーを損なわない構造になっています。
メインラインは感度より視認性。ナイロンという選択肢も
2025年の月刊つり人本誌でも、私の釣りを取り上げていただきましたが、今年で大きく変わっているのがラインです。PE0.6号だったメインラインはナイロン1.5号に、ナイロン1号だったリーダーは色付きのナイロン4Lbに変えました。
そもそもメインラインのPEラインに求めたのは感度ではなく視認性だったんです。オトリを泳がせる友釣りほど細くする必要はないし、ルアーは泳ぎの抵抗も強いから感度はナイロンで充分。というかナイロンの伸びがショックアブソーバーになってライン切れを防いでくれます。
色付きリーダーを目印にする
残るは視認性の問題ですが、見やすい色付きのナイロンをリーダーに使うことで解消しました。だからメインラインは透明のナイロン1.5号、その先にサオの長さ分の色付4Lbを結ぶことで、赤いイトが見えてきたらロッドを立てればいいという目印になったんです。
ここまで大きく変化させたきっかけはPEラインのトラブルの多さです。特に0.6号前後の細イトは使っているうちにコシがなくなり、ガイド絡みが増えます。リーダーとの接続も摩擦系ノットでは手間と時間がかかるけれどナイロン同士なら俵結びでOK。しかもナイロン同士なので程よく伸びて、友釣りよりもハリスへの衝撃が大きなルアー釣りにも向いています。
ただし、これはあくまでも試行錯誤中の2026年バージョンですから、もっといい仕掛けや釣り方はないかと今年も試行錯誤をするつもりです。
ハリは4本イカリを基本に3種類を使い分ける
友釣りではハリ選びが最重要課題ですので何種類もの形状のハリがラインナップされ、合わせるハリスの種類や号数も非常にシビアですが、ことルアー釣りに関しては、ハリ選びはもっとシンプルな考え方でいいと思います。
大きく分けて4本イカリ、3本イカリ、3本チラシの3種類を用意しましょう。おすすめは4本イカリです。理由は掛かりが早いからです。基本的に友釣りよりもアタリが少ない可能性も高い釣りですので、まずは掛かってもらうことを優先します。特にアユの活性が高い状況なら4本イカリ一択です。これでアタリはあるのにケラレが多いようなら3本イカリを試し、それでも活性が低くて追いきってこないようなら、より深く刺さってバレにくい3本チラシを試します。
シンカーはダウンショットリグ用をフロントアイにぶら下げる
基本的にはシンカーなしで操作をしていますが、どうしてもノーシンカーではルアーがひっくり返ったり泳ぎが破綻してしまうほど強い流れの場所ではシンカーを使います。ちなみに友釣りでもシンカーは使いますが、それはハナカンの上のハリス部分にアユ玉と呼ばれる丸いオモリを噛ませます。
ルアーの場合はアユ玉ではなくバス釣り用のダウンショットリグ用シンカーをフロント側のアイにぶら下げることでひっくり返りにくくなり、重心が低くなってボトムでの姿勢も安定します。
ハリス抜けとハリス切れを防ぐ方法
まず、多くのアユルアーには自動ハリス止がセットされています。友釣り経験者であれば、自動ハリス止は逆バリで使っており、マクラを噛ますことが常識ですが、友釣り未経験の方は自動ハリス止にそのままハリスを通してしまっている方がとても多いです。イラストを参照して必ずマクラを噛ますようにしてください。これでハリス切れがだいぶ防げるはずです。
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それでも構造上、自動ハリス止はすっぽ抜けがよく起きます。友釣りの場合は野アユが反転することでハリ掛かりすることが大半ですが、アユルアーにセットされた回転する自動ハリス止の場合はハリスが外れる向きにアユが走ってしまうケースが少なくありません。さらにマクラを噛ましていなければ衝撃でハリスが抜ける、切れるといったトラブルが増えてしまいます。
友釣りの場合にはハリ先が野アユの皮の上に立って身に食い込むと、逆バリはその衝撃で尻ビレから外れ、中ハリスとともに長い直線になることでハリス切れを防ぎますが、ルアーの場合は基本的に掛ける前も掛かったあとも自動ハリス止のポジションは変わりません。特に私はひと回り細いハリスを使うこともあり、このハリス抜けとハリス切れに頭を悩ませていましたが、それを解消してくれたのが、がまかつ『音速PEジョインター』です。もともとソルトのライトゲーム用アイテムで、面倒な摩擦系ノットなど組まなくても、PEラインを挟んでクルクルと巻き付けるだけで止まり、その先のアイにリーダーを結べば抜けにくく切れにくい優れもの。ハリスを挟んでクルクルと巻き付ければアユがどの方向に走っても抜けず、巻きつけているだけなので衝撃で切れることも少ないです。
ルアー操作のコツは手での細かいライン操作
ナワバリになりそうな石があったとして、まず流れの当たる頭側から探り、その次は裏側へルアーを送り込みますが、ベイトリールのクラッチ操作だけでラインを送り込んでしまうとエビというトラブルが起こりやすい。というのも、通常のルアーはトレブルフックがボディーとアイでつながっていますが、アユルアーはハリスの先にイカリバリやチラシバリがぶら下がっています。
対してボディーはリップやバイブレーションのヘッド部で流れを受けていますが、ハリが受ける水の抵抗はそこまで強くないためボディーほどは下に流れず、結果的にエビになりやすい。そうならないために左手でラインテンションをコントロールしてルアーのボディーとフックが同じテンションで下るように操作をしています。
上下だけでなく左右に振ってクロスさせる
ちなみに1~2回は石に触れるくらいルアーを潜らせたほうがいいのは石を食む動きを演出するからですが、実はその後の逃げる動きに反応することのほうがむしろ多いです。だからルアーは上下だけでなく左右に振ってクロスさせると逃げる動きになって追われやすい。クロスさせるときもロッド操作だけではフックが同調せずにエビになりやすいため左手でラインテンションを保ちつつ、ティップの向きを徐々に右から左へと変えていきます。
※このページは『つり人 2026年8月号』に掲載した記事を再編集したものです。


