釣りの研究を始めてから50年、いまだに水辺に立つたびに新たな発見の連続です。今回は東京都内を流れる清流・柳瀬川にて、近年注目の新しいアユ釣りスタイル「アユイング」を楽しんできました。私が実際に足を運んで感じた柳瀬川の魅力と、今後の展望についてレポートをお届けします。

文◎大川雅治 写真◎月刊つり人編集部
東京都豊島区在住。大手釣具メーカーを退職後、釣り研究家として全国各地の海へ川へ東奔西走する日々。アユルアーは自身でバルサを削ってブーム以前から楽しんでいた。
都内で天然アユが釣れる柳瀬川の魅力
柳瀬川は武蔵野台地の湧水を水源として、東京都の東久留米市や清瀬市を流れ、新座市、新河岸川から隅田川を経て東京湾へと注ぐ都市河川です。この川の最大の魅力は、なんといっても東京湾から隅田川を上ってくる100%天然の遡上アユが生息していることです。
アユイングは身軽なルアータックルで手軽に楽しめる
本来、アユ釣りといえば友釣りが一般的ですが、長い専用ザオと生きたオトリアユが必要なことから、少し敷居が高いイメージがあるかもしれません。ところが「アユイング」はルアー釣りですので生きたオトリを用意する必要がなく、身軽なルアータックルで手軽に楽しむことができます。しかも友釣り同様にアユのナワバリ争いの習性を利用した新しいゲームフィッシングです。
都内の身近な河川を散策しながら、キレイな水の中で天然アユとルアーで勝負できる環境は、都会のアングラーにとってまさにオアシスといえるでしょう。実際、東京の住宅街を流れる川で、これほど美しい魚たちに出会えることに感動すら覚えます。
水質改善で戻った豊かな命と自然のサイクル
とはいえ柳瀬川も高度成長時代には汚染された川でしたが、地域住民と行政の努力によって水質が改善。もともと湧水が豊富であったことと海から最上流まで大きな堰やダムもなかったことから自然のサイクルがしっかり働き、毎年のように東京湾からアユやマルタ、ボラ、ウナギが遡上。オイカワや多様なハゼの仲間たちなど、本当に豊かな命が息づいています。

柳瀬川の釣り場解説と注意点
今回私が訪れたのは、「清瀬金山緑地公園」の周辺エリアです。今年は遡上がよいので金山公園上流500m前後までアユ釣りが可能です。
金山橋から城前橋下流までの狙い方
金山橋から城前橋下流500mあたりまでがメインポイントで、いずれも水際に遊歩道が整備されています。アユ釣りでは石が点在して瀬になっている場所などが主なポイントとなります。水深が浅く、コケの生えた拳大の石が沈んでいる流れのスジを探っていくのが基本です。
小規模な川に魚が多いこともあって通年トロ場で群れアユも見えます。観察としては楽しいのですが、群れアユはナワバリを持っていませんのでなかなか釣れません。執着すると時間ロスになります。また深みのトロ場には大きなコイやナマズがいますので仕掛けロストにも注意が必要です。
柳瀬川でアユイングを楽しむ前に知っておきたい4つのルール
ここでアユイングを楽しむにあたって注意点があります。
1.金山公園近辺は休日や夏休みには家族連れの水遊び場として多くの子どもがいます。釣りバリやイトは絶対に残さず適切に処理をして必ず回収してください。
2.ゲリラ豪雨などで急激に増水することがあります。減水も早いので翌日には釣り可能な場合もあります。
3.アユのエサ釣りを楽しむ方、アユ以外の魚釣りを楽しんでいる方の妨げになるようなロングキャストは控え、充分な距離を保って平和に釣りを楽しんでください。
4.柳瀬川ではいずれの釣法であってもアユ釣りには入漁券が必要になります。「埼玉南部漁協(TEL048-642-5706) 」の日券または年券を必ず購入してから釣りを楽しんでください。
悪条件も15cmクラス3尾をキャッチ
取材日は解禁日の翌日でしたが、台風6号が関東に最接近する直前でもあり、天候は曇り空で川の水は普段よりも濁りがありましたが、それでも湧水を集めた川のため水底の石や泳ぐ魚の姿がはっきりと目視できる水質でした。ただし、台風前までまとまった雨がしばらく降っていなかったためアカ腐れはかなり進行している状態。
ルアーをステイさせるスタイルでねらう
私はスピニングリールをセットしたロッドを手に、ダイワの「アユイングジョイント110S」などのルアーを使用しました。初期ということもあり見える群れアユが多く、積極的な追いがないことから、時々食む石周りにルアーをステイさせて掛かるのを待つスタイルでねらいます。雨風が強くなってくる前には納竿しましたが、掛かったアユのサイズは予想以上で、最終的に15cmクラスの美しいアユを3尾手にすることができ、大満足の釣行となりました。
柳瀬川のアユシーズン後半の展望
柳瀬川での例年のパターンとしては6月下旬ごろになると、梅雨の水を吸ってアユもさらに成長し、ナワバリ意識が一段と強固になり本来のアユ釣りが楽しめるようになります。水温の上昇とともにアユの活性も上がり、ルアーへのアタックがアグレッシブになる絶好のシーズンを迎えます。
シーズン後半は25cmオーバーもねらえる
さらに、晩夏から秋にかけてのシーズン後半も非常に期待できます。というのも、柳瀬川の天然アユは、成長すると25cmオーバーに達します。アユが大型化し、流れの強い瀬に付くようになれば、タックルセッティングの見直しが必要です。アユのサイズや引きの強さに合わせ、ハリも太軸の7.5号や8号へサイズアップさせたり、ハリスの長さを状況に応じて調整することが、バラシを防ぎ確実な釣果を得るための重要な鍵となります。
柳瀬川で釣りをしながら川岸の緑道を歩いていると、日常の喧騒を忘れさせてくれるほどの癒しがあります。ぜひ皆様も、近所の清流へアユイングに出かけてみてはいかがでしょうか。きっと素晴らしい出会いが待っているはずです。
※このページは『つり人 2026年8月号』に掲載した記事を再編集したものです。



