夏の渓流を涼しく快適に釣る「ウェットウェーディング」。ただし素足にサンダルのようなラフな格好は危険が伴う。ウェーディングシューズからソックス、ゲーターまで、安全に楽しむための必須装備を解説。

写真と文◎月刊つり人編集部
1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。
ウェットウェーディングなら夏でも爽快!あえて濡れる渓流スタイルの魅力
今年も酷暑の夏になりそうだ。標高の高い渓流へ逃げるように釣りに行こうと計画している読者も多いことだろう。完全防水のウェーダーは夏だと汗でびしょ濡れ……。そんな時はもうひとつのスタイル、ウェットウェーディングが快適でおすすめだ。
ウェットウェーディングとはあえて濡れながら川に入るスタイルのこと。涼しくウェーダーよりも動きやすいのがメリットだ。

快適で安全な釣りのために!ウェットウェーディングの必須装備
とはいえ、素足にサンダル履きのようなラフな格好は危険。快適で安全にウェットウェーディングを楽しむためには装備が大切だ。
ウェットウェーディングの装備は主に以下の5つ。
・ウェーディングシューズ
・ソックス
・ゲーター
・アンダータイツ
・パンツ
それぞれのアイテムの選び方や、役割を紹介しよう。

渓流歩きの要!滑りにくい「ウェーディングシューズ」の選び方
滑りやすい川を安全に歩くために「ウェーディングシューズ」は欠かせない。一般的な靴との最大の違いはソール。ウェーディングシューズの多くはソールがフェルトでできており、コケの生えた石の上を歩いても滑りにくくなっているのが特徴だ。登攀要素が多い沢登りで人気のラバーソールタイプは、コケのある川ではとても滑りやすくなる。
日本の渓流は落差があり、岩を登ったり、へつったりすることも多いので、広い接地面を確保するためにもある程度の屈曲性があったほうがよい。サイズが合っていないと歩きにくかったり、最悪の場合脱げてしまったりする可能性もある。登山靴のように余裕を持たせるのではなく、なるべくピッタリのサイズを選びたい。
なお、フェルトが新品の半分近くなったらグリップ力は落ちているのでソール張替かシューズを交換しよう
水の冷たさと怪我から足を守る「ソックス&ゲーター」
渓流は意外と水が冷たく、素足や薄いソックスでは長く浸かることはできない。保温性が高く、クッション性もある発泡ラバー素材のソックスを履くのが基本となる。厚さは3mmが基本だ。発泡ラバー素材のソックスの下に乾きのよい薄手のスポーツ用ソックスを履く人もいる。
ゲーターは脛の保護をしてくれるだけではない。砂利がシューズやソックスの中に入りにくくなり、保温効果もある。ゲーターがズレるとストレスなのでややきつめにフィットするものを選びたい。
なお、ニーパッドは怪我を防ぐためにも極力用意しよう。ニーパッドとゲーターが一体になっているものであれば、装着の手間も省けてより手軽にウェットウェーディングが楽しめる。
保温性と速乾性が重要!「アンダータイツ&パンツ」のレイヤリング
速乾性のあるスポーツ用から保温性重視の発泡ラバー製などさまざまなアンダータイツがある。渓流釣りの場合は身体が冷えてしまうとかなり体力を奪われるので保温性を重視したほうがよいだろう。撥水性があるものや水を吸わないものだと水から上がった後も軽快に動ける。
パンツは速乾性の高いものであればどんなものでも使用可能なのでファッション性を重視して選べる。ハーフパンツは水の抵抗も少なく動きやすいが、足回りを保護しやすいロングパンツ、ハーフとロングの中間の特徴を持つ七分丈もよい。
上半身も濡れたままだと冷えに繋がるので速乾性のあるウェアを着用したい。日差しや虫対策も兼ねてなるべく肌を出さないようにするとよいだろう。また、想定外な寒さや、突然の雨対策としてウインドブレーカーや軽量なレインウェアを用意しておくと安心して楽しめる。
ウェットウェーディングスタイルで挑む渓流釣り

7月上旬、湿度が高くうだるように暑い東京でのデスクワークに耐え切れなかったつり人編集部のサトウ(写真:真ん中)、ナガシマ(写真:右)、トガワ(写真:左)は涼しさを求めて長野県北部に位置する志賀高原に飛び出した。ウインタースポーツやトレッキングで有名な志賀高原には雑魚川という川が流れており、釣り人からの人気が高い。雑魚川は放流をせず、ほとんどの支流を禁漁とすることでイワナを増殖している川で、オレンジ色が濃いこの川固有のニッコウイワナが釣れるのが特徴だ。奥志賀林道を下り、ひとまず雑魚川橋上流の駐車スペースに停め、準備をする。
釣り専用のウェーディングシューズ
今回サトウとナガシマが履いたウェーディングシューズは渓流 KR_3XF(キャラバン)。フェルトソールタイプで沢登りにも使える安心のグリップ力と385gという軽さで歩きやすい渓流シューズだ。足が幅広のトガワは渓流 KR_3XF WIDE(キャラバン)を使用した。
釣りでの使用を考え耐久性をアップさせたモデルで、履き口周りをフックにしたことでシュ―レースを調整しやすく脱ぎ履きが簡単になっている。いずれのシューズも表記が3mm厚の発泡ラバー素材のソックスの着用を前提としたものとなっているので普段の靴と同じサイズ表記のものを選べばピッタリのはずだ。
暑さから解放されて釣りを楽しめる
準備を終え、さっそく川に繰り出す。数日前にしっかり雨が降ったということだったが濁りはなく、天気もピーカン。日差しは暑いが高原を吹き抜ける風が最高に気持ちいい。まさにウェットウェーディング日和だ。
釣り上がるがフライで一度小さいイワナが飛び出しただけで反応がない。エサ釣りも反応はないようだ。それでも日頃の暑さから解放された3人は水に濡れながら川歩きを楽しんだ。とはいえあまりに反応がなかったため、車で大きく移動。道中で出会った地元の釣り人から教わったおすすめポイントに入渓することにした
午後を回り、どうやら魚の活性が上がってきたようで、川を歩くと魚影が走るようになった。段々の中にミノーを投げ込むとすぐにヒット!ナイスサイズのイワナを手にすることができた。
続いて奥志賀高原ゲート上流のポイントへ。カゲロウやトビケラが飛んでいるのがチラホラ見えたので、サトウはエサ釣りからドライテンカラ、ナガシマはルアーからフライへタックルを持ち替えた。入渓地点でも毛バリに飛び出すほど高活性。短い区間でダブルヒット連発と雑魚川の魚影の濃さを実感することができた。
ウェットウェーディングは爽快だが、丸一日濡れていれば体は案外冷えていたりする。近くの温泉で冷えた体を温めてから帰るのがベストだろう。これも渓流釣りの楽しみのひとつだ。この日は近くの湯田中温泉へ寄り、体を温めてから帰路に着いたのだった。
※このページは『つり人 2023年9月号』を再編集したものです。



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