渓流と言えど真夏は暑い。そんな時はウエットウエーディングでダイレクトに川の清冽さを感じよう!
渓流と言えど真夏は暑い。そんな時はウエットウエーディングでダイレクトに川の清冽さを感じよう!
ウエットなら夏でも爽快!
今年も酷暑の夏になりそうだ。標高の高い渓流へ逃げるように釣りに行こうと計画している読者も多いことだろう。完全防水のウエーダーは夏だと汗でびしょ濡れ……。そんな時はもうひとつのスタイル、ウエットウエーディングが快適でおすすめだ。
ウエットウエーディングとはあえて濡れながら川に入るスタイルのこと。涼しくウエーダーよりも動きやすいのがメリットだ。とはいえ、素足にサンダル履きのようなラフな格好は危険。快適で安全にウエットウエーディングを楽しむためには装備が大切だ。ウエットウエーディングの装備は主にウエーディングシューズ、ソックス、ゲーター、アンダータイツ、パンツの5つ。
ウエーディングシューズ
渓流 KR_3XF(キャラバン)は軽くて乾きやすいメッシュポリエステルを採用し、排水性もよい。カラーはブラック、レッド、ブルーから選べる
滑りやすい川を安全に歩くために欠かせない。一般的な靴との最大の違いはソール。ウエーディングシューズの多くはソールがフエルトでできており、コケの生えた石の上を歩いても滑りにくくなっているのが特徴だ。登攀要素が多い沢登りで人気のラバーソールタイプは、コケのある川ではとても滑りやすくなる。
日本の渓流は落差があり、岩を登ったり、へつったりすることも多いので、広い接地面を確保するためにもある程度の屈曲性があったほうがよい。サイズが合っていないと歩きにくかったり、最悪の場合脱げてしまったりする可能性もある。登山靴のように余裕を持たせるのではなく、なるべくピッタリのサイズを選びたい。
ソックス&ゲーター
渓流は意外と水が冷たく、素足や薄いソックスでは長く浸かることはできない。保温性が高く、クッション性もある発泡ラバー素材のソックスを履くのが基本となる。厚さは3mmが基本だ。発泡ラバー素材のソックスの下に乾きのよい薄手のスポーツ用ソックスを履く人もいる。
ゲーターは脛の保護をしてくれるだけではない。砂利がシューズやソックスの中に入りにくくなり、保温効果もある。ゲーターがズレるとストレスなのでややきつめにフィットするものを選びたい。
なお、ニーパッドは怪我を防ぐためにも極力用意しよう。ニーパッドとゲーターが一体になっているものであれば、装着の手間も省けてより手軽にウエットウエーディングが楽しめる。
実際に着用するとこんな感じだ
アンダータイツ&パンツ
速乾性のあるスポーツ用から保温性重視の発泡ラバー製などさまざまなアンダータイツがある。渓流釣りの場合は身体が冷えてしまうとかなり体力を奪われるので保温性を重視したほうがよいだろう。撥水性があるものや水を吸わないものだと水から上がった後も軽快に動ける。
パンツは速乾性の高いものであればどんなものでも使用可能なのでファッション性を重視して選べる。ハーフパンツは水の抵抗も少なく動きやすいが、足回りを保護しやすいロングパンツ、ハーフとロングの中間の特徴を持つ七分丈もよい。
上半身も濡れたままだと冷えに繋がるので速乾性のあるウエアを着用したい。日差しや虫対策も兼ねてなるべく肌を出さないようにするとよいだろう。また、想定外な寒さや、突然の雨対策としてウインドブレーカーや軽量なレインウエアを用意しておくと安心して楽しめる。
シューズは店舗で試着して選ぼう!
ウエーディングシューズはなるべく足のサイズにピッタリなものを選びたい。そのためには試着してみることが一番。その際はソックスなどを持ち込んで履いてみるとよい。キャラバンショップ巣鴨店では実際にサイズを合わせてみることができるだけでなく、スタッフによるアドバイスも受けることができる。ウエーディングシューズ以外にもハイキングから本格的な登山、クライミングやバックカントリースキーまで幅広いアウトドアウエアやグッズが揃っている。
問合先 キャラバンショップ巣鴨店(☎︎ 03・3944・2426)
住所 東京都豊島区巣鴨1-25-7
営業時間 キャラバン公式サイトにて
フエルトが新品の半分近くなったらグリップ力は落ちているのでソール張替かシューズを交換しよう。キャラバンではソールの張替えや修理対応も行なっている
志賀高原の雑魚川でウエットウエーディング
7月上旬、湿度が高くうだるように暑い東京でのデスクワークに耐え切れなかったつり人編集部のサトウ(写真:真ん中)、ナガシマ(写真:右)、トガワ(写真:左)は涼しさを求めて長野県北部に位置する志賀高原に飛び出した。ウインタースポーツやトレッキングで有名な志賀高原には雑魚川という川が流れており、釣り人からの人気が高い。雑魚川は放流をせず、ほとんどの支流を禁漁とすることでイワナを増殖している川で、オレンジ色が濃いこの川固有のニッコウイワナが釣れるのが特徴だ。奥志賀林道を下り、ひとまず雑魚川橋上流の駐車スペースに停め、準備をする。
今回サトウとナガシマが履いたウエーディングシューズは渓流 KR_3XF(キャラバン)。フエルトソールタイプで沢登りにも使える安心のグリップ力と385gという軽さで歩きやすい渓流シューズだ。足が幅広のトガワは渓流 KR_3XF WIDE(キャラバン)を使用した。
渓流 KR_3XF WIDE。幅広設計でソックスタイプのウエーダーでも履きやすい。岩の多い渓流では安全対策でヘルメットを被ると安心
釣りでの使用を考え耐久性をアップさせたモデルで、履き口周りをフックにしたことでシュ―レースを調整しやすく脱ぎ履きが簡単になっている。いずれのシューズも表記が3mm厚の発泡ラバー素材のソックスの着用を前提としたものとなっているので普段の靴と同じサイズ表記のものを選べばピッタリのはずだ。
橙のまぶしいイワナが連発!
準備を終え、さっそく川に繰り出す。数日前にしっかり雨が降ったということだったが濁りはなく、天気もピーカン。日差しは暑いが高原を吹き抜ける風が最高に気持ちいい。まさにウエットウエーディング日和だ。
釣り上がるがフライで一度小さいイワナが飛び出しただけで反応がない。エサ釣りも反応はないようだ。それでも日頃の暑さから解放された3人は水に濡れながら川歩きを楽しんだ。とはいえあまりに反応がなかったため、車で大きく移動。道中で出会った地元の釣り人から教わったおすすめポイントに入渓することにした
午後を回り、どうやら魚の活性が上がってきたようで、川を歩くと魚影が走るようになった。段々の中にミノーを投げ込むとすぐにヒット! ナイスサイズのイワナを手にすることができた。
雑魚川のイワナは放流が行なわれていない稀有な集団。ナイスサイズがミノーにアタックしてきた
続いて奥志賀高原ゲート上流のポイントへ。カゲロウやトビケラが飛んでいるのがチラホラ見えたので、サトウはエサ釣りからドライテンカラ、ナガシマはルアーからフライへタックルを持ち替えた。入渓地点でも毛バリに飛び出すほど高活性。短い区間でダブルヒット連発と雑魚川の魚影の濃さを実感することができた。
ナガシマ(左)はフライ、トガワ(右)はテンカラ。ダブルヒットすることもあった
苦戦していた新人トガワを尻目にサトウ編集長はバシバシ釣りまくった
ウエットウエーディングは爽快だが、丸一日濡れていれば体は案外冷えていたりする。近くの温泉で冷えた体を温めてから帰るのがベストだろう。これも渓流釣りの楽しみのひとつだ。この日は近くの湯田中温泉へ寄り、体を温めてから帰路に着いたのだった。
※このページは『つり人 2023年9月号』を再編集したものです。