清涼を求めて渓谷の管理釣り場でフライフィッシングに初トライ。
清涼を求めて渓谷の管理釣り場でフライフィッシングに初トライ。
写真と文◎丸山剛
初めてのフライフィッシング
今回、初めてフライフィッシングに挑戦するのは、萩原真一さんとシップスマストのスタッフ山口英樹さん。2人が訪れたのは、山梨県にある奈良子釣りセンターである。奈良子釣りセンターは桂川の支流、葛野川のさらに支流、小俣川上流、奈良子川の奈良子にある管理釣り場である。首都圏から中央高速を使って大月ICを降りて、それほど遠くない場所にあるので、とてもアクセスしやすい。自然の渓流を利用した釣り場と池の両方で、エサ釣りからルアー、テンカラ、フライフィッシングを楽しむことができる。釣った魚はその場で焼いてもらうこともできるし、バーベキューで食べることもできる。魚の持ち帰りは1日コースで1人10尾までできるので、釣り&食が楽しめるということで、家族連れ等にも人気が高い。
2人はフライフィッシングが初めてということで、レンタルタックルを利用してフライフィッシングに挑戦することにした。フライフィッシングの初心者が、本やYouTube を見ただけでできるようになるのは不可能に近い。今回、レッスンしてくれるのは奈良子釣りセンターの管理人の渡辺さん。渡辺さんは、2人分のドライフライのレンタルタックルを用意した。フライフィッシングにはラインを沈めるシンキングの釣り方、ラインを浮かせて釣るフローティングの釣り方がある。前者は湖や本流でストリーマーと呼ばれるタイプのフライを引き、後者はおもにドライフライを使う釣りである。フローティングの釣りでもウェットタイプのフライを沈めて釣る釣り方もある。
フライフィッシングのタックルは、ロッドにラインを巻いておくだけのリール、ラインの先にはテーパー式のリーダー、リーダーの先にティペットと呼ばれるモノフィラメントラインを結び、その先端にフライを結ぶ。今回のレンタルロッドは渓流でよく使われるロッドよりも長く硬めの調子のもの。長めのロッドはラインを長く出しても振りやすいためだそうである。初はフライを結ばず、リーダーとフライラインのみで池を使ってキャスティングの練習をする。
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まずはポンドでキャスト練習
渡辺さんがロッドの持ち方から指南する。グリップの持ち方は人差し指でも親指でもやりやすい方法でよいが、グリップを持ったら、ラインを下側にある中指で押さえる。ラインをロッド長より長めに出して、キャスティングをする。前に垂らしておいたラインを引き上げたら、前に押し出す。この繰り返しだ。引き上げる力を強めにして、押し出す力は弱めにするのがコツである。引き上げ8割、押し出し4割くらいがよいそうだ。
さらにラインを引き上げた時のロッドの角度も重要で、後ろに倒し過ぎるとラインが後ろに落ちてしまいきれいに飛ばない。ロッドの振り幅は時計でいう1時から13時の間が理想になる。最初のうちは力が入ってしまい、力任せに振ってしまうのでラインのループが1回ごとにバラバラになっているが、その都度、渡辺さんから指南を受けている内になんとか飛ぶよなった。そこで実際にフライを付けてやってみることに。フライボックスの中から、各自好きなフライを選ぶ。萩原さんが選んだのはエルクヘアカディス。山口さんが選んだのはパラシュートフライ。フライはシカの毛や鳥の羽根等の自然素材の材料を使って作られるのが多い。天然素材を使った自然に優しい釣りであると渡辺さんは語る。
フライフィッシングは、キャストしたあとのフライから目を離さないことが大事。キャストしたフライがどこにあるのか分からなければ、もう一度キャストし直す。それくらいフライに集中している必要がある。
最初にヒットさせたのは山口さん。魚がヒットしたら、グリップの中指で押さえているラインの下でラインを引いて魚を寄せる。ある程度寄せたら、しゃがんでネットを持ちランディングする。ラインテンションを掛けながら、スムースにラインを引くのが難しい。ラインのテンションが緩んでしまうと魚が外れやすくなるからだ。
萩原さんにもヒットするが、このラインの引きがぎこちないのか魚が途中で外れてしまう。それでもようやく待望の1尾目をランディングさせることができた。池で数尾釣って慣れてきたら、次は本番の川へ移動する。
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止水から流水へのステップアップ
止水の池では魚がよく見えたが、流れのある川では魚の数は多いのに、川床の色に同化して魚の姿が見えにくい。山口さんは下流エリア、萩原さんは上流エリアに分かれて釣り開始。立ち位置から上流側、斜め45度くらいにキャストし、ラインを流しながら釣る。川は流れがあるので、ティペットの先にあるフライも見えにくいが、これが見えていないと魚がフライを咥えた瞬間が分からない。魚はフライを咥えて違和感を覚えるとすぐに吐き出してしまう。フライが見えていないとタイミングよくアワセが入れられないためヒットさせることができないのだ。渡辺さんによれば、アワセはハイッと片手を上げる要領だそうだ。
山口さんにヒット。少し慣れた手つきでラインを手繰り、無事ランディングに成功。萩原さんはフライが見えていないのか、アタリを見逃してしまっていて苦戦中。上流エリアが明るくて釣りにくいためか下流エリアに移動するとヒット。しかし、ラインの引きがぎこちないのかバラしてしまう。
それでも渡辺さんの指摘を受け、川でもヒットした。川の魚の引きは池の魚よりも強い。ラインを引きながら魚の手ごたえを感じる。
「フライフィッシングの魅力って、持っているラインの先に魚が付いていてダイレクトに魚と綱引きをしているみたいなところ。こんな釣りってほかにないですよね」と渡辺さん。2人ともその言葉に大いに納得している。
山口さんは今回のフライフィッシングを振り返り「やっぱりこの釣りは教えてもらわないと出来ないと感じました。テクニックの差が出ますし、掛かった後のラインの手繰りも結構難しい。でもこれからも続けていきたい」。萩原さんは「釣れないと手に力が入ってしまい、キャスティングができなくなる。そんなときは初心に戻ってキャスティングをし直す、フライが見えくなったときもキャスティングをし直すと渡辺さんに教わりました。ちゃんと見て、タイミングよくアワセを入れるようにすることを教えてもらって、釣れるようになった。もっともっと釣れるように上手になりたいと思いました」と笑顔で語った。
初めてのフライフィッシング。2人はその面白さの虜になったようだ。
今回、モデルの萩原さんとシップスマストスタッフ山口さんが着用しているのはユニセックスで展開するSHIPSMAST.U のフィッシングオーバーオール
フィッシングオーバーオールの前面にはポケットが2 つ配置
ポケット下部にはループがあるのでラインカッター等をぶら下げることも
左の飛び出し防止付きのポケットはスマートフォンなどのほか、すぐに使わないリーダーやティペットを収納するのに便利
杉綾テープのウエストベルト付き。ゆるりとしたシルエットからすっきりしたシルエットまで好みのスタイルを楽しむことが可能
右のポケットはすぐ使うフロータントを入れておくと取り出しやすい。ポケットの上にはフォーセップを挿しておくことができるテープが付いている
※このページは『つり人 2024年9月号』を再編集したものです。