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つり人編集部2026年10月3日

【アユルアー】止めるだけが正解じゃない!大会優勝者の「速巻き」の技術

アユルアーはダウンでじっくりと石周りを探る「静」の釣りのイメージが強い。しかし魚の活性や場所によってはルアーを素早くリトリーブしても掛かる。川底がフラットな酒匂川をホームにアグレッシブな「巻き」の釣りで好釣果をあげる山口達朗さんに密着。

著者:月刊つり人編集部

写真と文◎月刊つり人編集部

1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。

競技会で優勝した山口さんが語るアユルアーの4つの魅力

2025年に開催されたダイワ「アユイングバトル in 相模川」で32尾の釣果を出して優勝したのが神奈川県秦野市に住む山口達朗さん(40)だ。2位はバスプロの並木敏成さんで25尾。近年はこうしたアユルアーの競技会が各地で盛り上がりを見せている。参加者は多様だ。ルアーに夢中の友釣りマンもいれば、アユに熱中するバスアングラーやトラウティストも参戦している。

山口さんはバスボートを所有するほどバスフィッシングに入れ込み、エリアトラウトも楽しむ。またマグロねらいで青森をはじめ各地の海に遠征するオフショアフリークでもあり「ルアーだけでなくアマダイなどの船のエサ釣りもすれば、テナガエビなど川の小物釣りも大好きです。興味が湧けばどんな釣りでも挑戦します」と話す。アユルアーを始めたのは4年前。近所の相模川で試してみると、虜になった。魅力は4つある。

  • 夏でも涼しい
  • 食べて美味しい
  • 短時間で楽しめる
  • アタリが強くてよく引く

山口さんには2歳と4歳の息子がいる。子どもたちはアユを食べるのが大好きで釣り甲斐がある。また子育て世代ゆえ終日釣りができないことも多い。近所の川で、短時間で満足のゆくアユルアーはちょうどよい釣りだという。

「盛夏の週末は朝の4時から8時までアユを釣ることが多いです。夏の朝マヅメはびっくりするくらいよく釣れます」

そう話す山口さんと訪れたのは小田原市を流れる酒匂川だ。相模川と同じくホーム河川のひとつという。

松本釣具店で聞く酒匂川の釣況とアユルアー可能区間

「酒匂川に来ると松本釣具店でおすすめポイントを聞いてから、サオをだすことが多いです。店主の松本さんはアユルアーに凄い入れ込みようで、よく掛かるルアーや釣り方も教えてくれます。私にとっては小学生の頃からの馴染みのお店で落ち着く場所です」

この日も松本釣具店に立ち寄ると、店主の松本修さんが笑顔で出迎えてくれた。直近の釣況を聞けば「上向いている」と話し、近年は「ルアーのお客さんが増えた」と言う。

6月1日からルアーが使える酒匂川本流のアユルアー可能区間は、足柄紫水大橋から飯泉橋だ。酒匂川は砂利の多い川で増水のたびに川の形状が変わりやすい。当然アユの付き場も変化する。この日は松本さんのおすすめで足柄紫水大橋下流の瀬肩から始めることにした。

松本釣具店(神奈川県小田原市蓮正寺370-46/TEL 0465-36-1418)。山口さんが小学生のころから馴染みのお店。店主の松本修さんはアユルアーにも精通し一家言をもっている
松本釣具店(神奈川県小田原市蓮正寺370-46/TEL 0465-36-1418)。山口さんが小学生のころから馴染みのお店。店主の松本修さんはアユルアーにも精通し一家言をもっている

タックルはベイト。ルアーは泳ぎ過ぎないバルサ製

山口さんはベイトタックルの愛用者だ。ロッドは9フィートのML、小型ベイトリールにPEライン0.6号、リーダーはフロロ1.5号。ルアーは酒匂川のアユルアーファンから絶大な支持を得ているバルサ製「OTORI AYU」を中心に使う。

「ロッドの性能は重視していません。ティップがそこそこ軟らかくて、9フィート前後のベイトロッドであれば何でもいい。ルアーはやっぱり性能いかんで釣果に大きな差が出ます。動きの強すぎるルアーはアユが驚いて逃げる。特に酒匂川のアユはその傾向が強いです。バルサ製のOTORI AYUはブリブリと泳ぎ過ぎないのと、不規則な動きをします。川底のレンジまで到達してからも、底に付かず離れず、いい層を勝手に泳いでくれるんです。それと高浮力で根掛かりしても浮きやすいから外れやすい。バルサ製といえばラパラのフローティングミノーも使えます。私が初めて酒匂で釣ったルアーはラパラの『F9』です。きれいに泳ぎ過ぎない〝勉強ができる不良〟みたいなルアーに、アユは反応しやすいと思います」

安達至泰さんというルアービルダーが作っているバルサ製「OTORI AYU」。松本釣具店のみで販売しており「本当によく釣れる」と山口さんが太鼓判を押す。80、100、130mmの3サイズがあり、この日は主に100mmを使用
安達至泰さんというルアービルダーが作っているバルサ製「OTORI AYU」。松本釣具店のみで販売しており「本当によく釣れる」と山口さんが太鼓判を押す。80、100、130mmの3サイズがあり、この日は主に100mmを使用

ハリ先が鈍るとヒット率が落ちる。ハリは惜しみなく交換

ハリにも特別なこだわりがある。ルアーを石に当てて探るためハリが底を掻きやすい。一方でハリを魚体に掛けるという釣りの特性上、ハリ先が鈍ると著しくヒット率は落ちる。

「ハリは惜しみなく交換します。大会時は4時間の競技で3パック分(42本)のハリを使いました。最近のお気に入りは颯ライト。線径が細くて軽量な速掛けタイプのハリで、7号もしくは7.5号を3本イカリで使用します。私はくるぶしくらいの水深の浅場も探ることが多く、ハリは軽いほうが石を掻きにくいし、ヘチを泳ぐ小型も掛かりやすい。あとチラシよりもなるべくイカリで釣りたいんですよ」

山口さんの愛用するオーナー製品には「鮎ルアーのフック」というその名もずばりのハリがある。「キープ重視」「掛かり重視」「大鮎用」とシチュエーションに合わせて使い分けができる分かりやすいコンセプトでパッケージングされている。こちらも多用しており20cm以上が掛かるのであれば迷わず「大鮎用」に換える。

「鮎ルアーのフック」の完成パックは14組入り。大型が多くなる盛期以降にマッチする太軸使用のパワータイプもラインナップ。適合するアユのサイズの目安も書いており選びやすい
「鮎ルアーのフック」の完成パックは14組入り。大型が多くなる盛期以降にマッチする太軸使用のパワータイプもラインナップ。適合するアユのサイズの目安も書いており選びやすい。
ハリスの長さは指3本半から4本。完成パックのハリはマーク付きのハリスで長さの調整がしやすい
ハリスの長さは指3本半から4本。完成パックのハリはマーク付きのハリスで長さの調整がしやすい

川底がフラットな川は「巻き」で広く探る

「アユルアーと友釣りはナワバリ本能に訴え、追わせて掛ける原理は一緒です。でも、友釣りっぽく釣る必要はありません。ダウンでルアーを止めて泳がす。いわゆる基本の釣り方がすべてではないと思うんです。私のホームの酒匂川、相模川は石が小さい川です。川底が平らなのでクロスやアップにキャストしてもルアーが根掛かりしにくい。ダウンで石をひとつひとつじっくりとねらう釣り方よりも、広くサーチして追い気の強いアユをテンポよく拾ったほうが数は伸びると実感しています」

砂利が多く川底がフラットな酒匂川。クロスやアップクロスで広く探っていく
砂利が多く川底がフラットな酒匂川。クロスやアップクロスで広く探っていく

45度アップに投げて速く巻く

アユルアーの基本操作はダウンでアユが付いた石にルアーを留めじわじわと泳がす。ところが山口さんは立ち位置から45度くらい上流にルアーをキャストすると、ササッと速くリトリーブして正面でルアーを回収する。

「アユは追い気が強いとルアーが着水した瞬間に追ってきます。アップで投げて早巻きしても活性が高ければ追うんです。長くルアーを見せてアピールするより、ナワバリに入った瞬間に追いの立つ高活性なアユを掛けたほうが勝負は早い。同じ場所を3回通して掛からなければ見切って次のポイントを探ります」

この日の水況は未明に降った雨で水位がやや高い。薄いニゴリが入っているが、川底の石色を判別できるくらいの透明度はある。

「掛からなくてもアユがルアーにアタックした時はトンとアタリが出るものです。そういう前アタリみたいなものを感じたら、数回は繰り返しアプローチしてみます」

そう話している間に掛かったのは12cmほどの小型。さらに2尾、3尾と追加していくがサイズは伸びない。

リールのハンドルは左右どちらでも使えるという山口さんだが「巻きの釣り」をする場合は繊細なリトリーブのできる右ハンドルを愛用。アユルアーも右ハンドルで「巻き」にこだわる
リールのハンドルは左右どちらでも使えるという山口さんだが「巻きの釣り」をする場合は繊細なリトリーブのできる右ハンドルを愛用。アユルアーも右ハンドルで「巻き」にこだわる

ハネの見えるヘチをねらい、バレたらハリを交換

下流には100mほど瀬が見える。しかし山口さんはその瀬に下りず、上流のトロ場に移動した。そして流れの真ん中近くに立ってヘチに向かってルアーをキャスト。

「トロ場であってもヘチ際の浅場にアユが跳ねていればポイントとして見ます。波立ちの激しい急瀬や荒瀬をねらうよりも、こういうヘチのほうが掛かりやすいことが多々あるからです」

しかしこの日は気温が低く跳ねているアユも少ないせいか掛からない。下流に移動しながら探っていくと瀬頭を前にする。対岸のヘチにはハネが多く見られ、良型もいる。

「跳ねているアユが簡単に掛かるわけではありませんが、付き場の判断材料にはなります」

友釣りでは「一跳ね千匹」という金言がある。1尾のアユが跳ねた場所の周辺には1000尾のアユがいる。それくらい過密状態にあることを意味する。山口さんはハネの見えるヘチにルアーを投げ、瀬の落ち口周辺を通してはピックアップ。何度かアプローチしているとアタリはあるし、掛かりもするがバレてしまう。そこでハリを「颯ライト」7号から「鮎ルアーのフック」キープ重視に交換。すると今度はしっかりと掛かった。タモに収まったのは17cmのまずまずのサイズだ。

アユの「ハネ」のある場所はポイントと見る。山口さんがよく探るのはトロ場の浅場のヘチ。瀬に比べて釣り人が少なく型は小ぶりでも数が掛かるという
アユの「ハネ」のある場所はポイントと見る。山口さんがよく探るのはトロ場の浅場のヘチ。瀬に比べて釣り人が少なく型は小ぶりでも数が掛かるという

水温の高い支流・狩川で良型をねらう

午後からは支流の狩川に移動した。本流よりも水温の高い川である。アユの生育がよく解禁当初から18cmクラスが釣れているとの評判で、山口さんもこの日の2日前に入って良型が連発したと話す。アユルアーが可能な区間は本流との合流点から大泉河原橋までだ。川相は酒匂川以上にフラットで落差が少ない。しかし石が詰まっていてハネも見られた。

狩川もまた流れの変化が乏しい川相。しかし酒匂川よりも水温が高いのでアユの生育状況はよい
狩川もまた流れの変化が乏しい川相。しかし酒匂川よりも水温が高いのでアユの生育状況はよい

瀬肩とブッシュ際で18cmクラスを掛ける

ザラ瀬の瀬肩に立った山口さんは良型が掛かることを見越してルアーに「颯ライト」7.5号をセット。1投目、いきなりのヒットである。サイズは16cmクラス。

「両岸のブッシュの際にルアーを入れると、その草陰からアユが飛び出て掛かることがよくあります。この川のアユは活性が上がると足もと近くまでルアーを追ってくる姿が見られ、足もとでルアーの泳ぎを確かめている最中に掛かったこともありました」

1投ごとに反応が出る。4投目でこの日一番の手応えの魚が掛かった。強い引きをいなして慎重に足もとまで寄せると水面を割ったアユは18cmクラスだった。

バレやケラレがあると即座にハリを交換する山口さん。クロスキャストで巻く釣りはダウンの釣りに比べて石を掻きやすく根掛かりもしやすいのだ。瀬、瀬落ちと下りながら探って反応を見るが釣果はいまひとつ。そこでもう一度瀬肩に入り直すといきなり掛かる。このポイントでラストスパート。ひとしきり入れ掛かりを楽しんだ。

狩川の18cmクラス。良型の天然アユは多い
狩川の18cmクラス。良型の天然アユは多い

酒匂川のアユルアー釣り場ガイド

アユルアー可能区間:酒匂川本流は足柄紫水大橋から飯泉橋まで、支流の狩川は大泉河原橋から酒匂川との合流点まで。期間はいずれも6月1日~10月14日

解禁日:6月1日
管轄:酒匂川漁協(TEL 0465-37-4277)
入漁料:日券2000円、現場売り3500円、年券1万3000円、つりチケ、フィッシュパス対応
交通:東名高速道路・大井松田ICの小田原方面出口からR255を直進。栢山入口交差点を右折して各ポイントへ

※このページは『つり人 2026年8月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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