保温性を求めれば重くなり、軽快さを重視すれば防寒面で不利になる。そんなウエーダーの相反する要素を、素材の使い分けによってバランスさせたのが、リトルプレゼンツの新製品『W-55 N3 Base ハイブリッドブーツウエーダー』だ。ねらったのは特定の釣りに特化するのではなく、幅広い場面で使える一着である。

文◎North Angler’s編集部 協力=有限会社リトルプレゼンツ
北海道での釣りをメインに、北海道の自然を体感するキャンプの情報や、フィールドを守るための環境問題にも光を当て、多角的な視点からアウトドアライフを提案している「North Angler’s」の編集部。
クロロプレン系と透湿素材を組み合わせたハイブリッド構造
開発の背景にあるのは、クロロプレン系ウエーダーと透湿ウエーダー、それぞれの長所を組み合わせるという考え方だ。
ウエーディングで水中に入る時間が長いのは下半身。そのため、膝上から下には5mm厚のSCR(クロロプレン系合成ゴム素材)を配置した。厚みを持たせることで断熱性を確保し、冷たい水から身体を守る。同時に、下半身はヤブなどに触れる機会も多いため、耐久性にも配慮されている。
5mmという厚さは従来のクロロプレン素材なら重量増につながるが、SCRはクロロプレン100%に比べて軽量。厚みを確保しながら、動きやすさを損ないにくいのも特徴だ。
・価格:レギュラーサイズ=39,600円、キングサイズ=41,800円
※写真はプロトタイプ
上半身は透湿防水素材『LIPTEX N3 Base』
一方、股から上には透湿防水素材『LIPTEX N3 Base』を採用。防水性を確保しながら、発汗による蒸れを外へ逃がす。そもそも水中に浸かっている部分では透湿機能を活かしにくいため、上半身に透湿素材を配するのは理にかなっている。
同素材は従来の『LIPTEX N3』をベースに、基本的な透湿性と防水性を確保しながらコストを抑えることをねらって開発された。耐久性ではN3に分がある可能性はあるものの、負荷の大きい下半身をSCRでカバーすることで、全体として実用性の高い構成に仕上がっている。
すべてをひとつの素材で成立させるのではなく、必要な性能を必要な部分へ。その結果として生まれたのが〝軽くて暖かい〞という特性である。
ブーツも上半分がSCR、下半分がラバーのハイブリッド仕様
もうひとつのポイントが、ブーツの構造だ。くるぶし付近までの上半分をSCR、下半分をラバーとしたハイブリッド仕様。柔軟なSCRによって足首を曲げやすくし、オールラバー製のブーツに比べて軽量化も図られている。
下半分に採用したのは、PVC(塩ビ)ではなくラバー。フェルト系ソールとの相性がよく、将来的なソールの張り替えなど、メンテナンスにも対応しやすい。

幅広い釣りに使えるブーツウエーダーの魅力
ブーツウエーダーの魅力は、なんといっても脱ぎ履きの手軽さだ。ストッキングタイプのように別途ウエーディングシューズを用意する必要がなく、泥がシューズの隙間に入り込むこともない。釣行後の手入れが比較的楽なのもメリットとなる。
出勤前に数時間だけ、あるいは仕事帰りに少しサオをだすといったアングラーも珍しくはないだろう。そんな場面では、サッと履いてサッと脱げるブーツタイプが頼もしい。
もちろん、すべての状況に適しているわけではない。長距離を歩く釣りや、岩場を頻繁に上り下りするシチュエーションでは、ソックスウエーダー+ウエーディングシューズのほうが歩行性能にすぐれる。磯のように激しい動きを求められるフィールドも同様だ。
しかし、そこを弱点と決めつける必要はない。ひとつの性能へ振り切らないからこそ、使える場所と季節の幅が広い。
北海道なら、地域によって夏でも朝晩は冷え込むため、真夏の渓流で一日中歩き続けるような釣りを除けば、通年で使用可能ともいえる。本流や湖、サーフなども、腰や胸まで長時間立ち込む釣りでなければ充分にカバーできる。
ソールは守備範囲の広いフェルト
ソールにはフェルトを採用した。これも汎用性を考えた結果だ。サーフだけならラジアルソールに分があるが、河川や湖の濡れた岩場まで含めて一足でこなすなら、フェルトの守備範囲は広い。
素材、ブーツ、ソール。そのどれもが、特定の釣りだけを見据えるのではなく、できるだけ多くの水辺で使えるよう設計されている。
サイズの選び方と使用後のケア
サイズ選びでは、まず試着したうえで動きやすさを確認したい。しゃがんだときに肩が突っ張らないか、膝がしっかり曲がるか、足を開いたときに無理がないか。ウエーダーは単なる防水着ではなく、安全に動くための装備でもある。
冬場に防寒着を着込むことを想定してワンサイズ上げる方法もあるが、胴まわりまで大きくなってしまうケースも考えられる。本製品は比較的ゆとりのある設計で、インナーを重ねやすい。さらに「MK」、「LK」、「XLK」などのキングサイズも用意されているため、体格の大きな釣り人にも対応する。
ケアは水洗いと乾燥を丁寧に
使用後のケアはシンプルだ。水で泥や汚れを軽く流し、海で使用した場合は真水ですすぐ。その後、内外をしっかり乾燥させる。
長持ちさせるうえでとくに避けたいのは、湿気と直射日光。濡れたまま高温の車内へ放置するのは避けたい。乾燥後も直射日光に長時間さらすのではなく、できるだけ日陰で保管する。
防水スプレーなども〝必須〞ではない。表面の撥水性が高まることで見た目や手触りは変わるが、内部の透湿防水機能とは別の話。過度な洗浄や処理は生地への負担にもなるため、基本的な水洗いと乾燥を丁寧に行なうほうが重要だ。
短時間釣行のサブにも、最初の一着にも
『W-55 N3 Base ハイブリッドブーツウエーダー』が面白いのは、すでにソックスウエーダー+ウエーディングシューズを持っている釣り人が〝サブ〞として導入したときだろう。本格的な長距離釣行では従来の装備を使い、仕事前や帰宅途中の短時間釣行ではW-55を選ぶ。そんな使い分けができれば、釣りに出るまでのハードルはぐっと下がるはず。
もちろん、最初の一着として、ひとつのウエーダーでさまざまなフィールドを楽しみたい人にも選択肢となる。特化型ではないからこそ生まれる懐の広さ。それが、『W-55 N3 Base ハイブリッドブーツウエーダー』最大の魅力といえそうだ。
※このページは『North Angler’s 2026秋号』に掲載した記事を再編集したものです。

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