市販のサケ釣り用のエサは種類が多く、どれを選べばよいか迷ってしまいがち。しかし、それぞれに適材適所があり、選び方しだいで釣果を左右する場合も。そんな悩みに釣具店スタッフが助言。
市販のサケ釣り用のエサは種類が多く、どれを選べばよいか迷ってしまいがち。しかし、それぞれに適材適所があり、選び方しだいで釣果を左右する場合も。そんな悩みに釣具店スタッフが助言。
解説◎齋藤壮平(North Angler’s)
齋藤壮平(さいとう•そうへい)プロフィール:『つり具センター西岡店』副店長。3歳から祖父とともに川釣りに始まり、小中高はコイ・ソウギョ釣りや投げ釣りに熱中。大学時代からはソルトルアー中心にライギョ、内水面などさまざまなジャンルにチャレンジ。近年はショア/オフショアのソルトルアーをメインとし、アユ釣りや本州遠征にも挑戦中。『サッポロルアーフェスタ』の運営にも携わり、北海道の釣りをより多くの人が楽しめる環境づくりを目指している
なぜサケ釣りにはエサが必要?
サケは産卵のために川へ戻ってくる魚なので、空腹を満たす目的でエサを食べている(ルアーや仕掛けにバイトする)わけではありません。そのため、たとえばウキルアー釣りではルアーの形状やアクションだけだと、なかなか口を使わせにくいのが現実。もともと海ではオキアミや小魚などを捕食していましたから、その記憶は本能として残っています。そこに匂いや味を与えることで、本能を刺激し、食わせる確率を高めるのがエサの役割です。
フロートの色やサイズ、ルアーのアクションといった要素も大切ですが、それだけに頼るとどうしても釣果にムラが出ます。エサは嗅覚や味覚を直接刺激するため、捕食意欲が低い個体にも効果があり、釣果を安定させる助けになります。
もちろん、ベテラン勢のなかにはエサを使わずに釣果を出す人もいます。ただ、それは経験や技術があってこそ可能なこと。幅広い層がサケ釣りを楽しむためには、やはりエサが欠かせないと思います。
サケ釣りに有効なエサの種類と特徴
サケ釣りには実にさまざまなエサが用いられます。種類ごとの特徴やおすすめのアイテムを紹介します。
カツオ
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ずばり現在の主流はカツオです。ただ一口にカツオといっても、形状や加工方法などで種類が分かれています。
まず素の状態(一本もの)で販売されている『ソーダカツオ』は、好みの大きさに切ったり、形を整えたりできるのが利点です。
次に『極薄カツオ』。三枚におろし、骨を取り除いたうえで身をさらに薄くそいであります。ウキルアーやウキフカセで使いやすく、扱いがとても楽です。ただし縦方向には切られていないので、自分の仕掛けやハリに合わせて大きさを調整する必要があります。
『開きかつお』は厚みのある身をそのまま開いたもので、投げ釣りやウキフカセで大きな身を使いたいときに向いています。
そして一番人気が『切れてる君薄切りカットカツオ』です。こちらはすでに短冊状に加工されていて、そのままウキルアー、ウキフカセ、投げ釣りなど幅広く対応できます。大きいと感じる場合は半分や二分の一に切って調整すればよいので、汎用性の高さから最も選ばれているエサです。
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一本もので販売されている『ソーダカツオ』は、好みの大きさに切ったり、形を整えたりできるのが利点。ウキルアー・ウキフカセ・投げともに加工次第で使える。
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三枚におろし、骨を取り除いたうえで身をさらに薄くそいである。ウキルアーやウキフカセで使いやすく、扱いがとても楽。ウキルアー◯・ウキフカセ◎・投げ◯
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厚みのある身をそのまま開いたもので、投げ釣りやウキフカセで大きな身を使いたいときに向く。ウキルアー△・ウキフカセ◯・投げ◎
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短冊状に加工されていて、そのままウキルアー、ウキフカセ、投げ釣りなど幅広く対応。大きいと感じる場合は半分や三分の一に切って調整すればOK。ウキルアー◎・ウキフカセ◎・投げ◯
サンマ
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サンマはカツオに比べて身がやわらかく、匂いも控えめなのが特徴。そのため魚がスレていて、強い匂いに反応しづらい状況では、自然な香りがむしろ効くことがあります。また皮目の光沢(フラッシング)がサケにアピールし、場面によってはカツオよりも効果的に働きます。細切りに加工されたものはウキルアーやウキフカセで使いやすいですが、ハリ持ちが弱いため投げ釣りにはあまり向きません。
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細切りに加工されていて、ウキルアーやウキフカセで使いやすい。ハリ持ちが弱いため投げ釣りにはやや不向き。ウキルアー◯・ウキフカセ◎・投げ△
フクラギ
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フクラギ(ブリの幼魚)もサケ釣りに使われます。メリットは皮が非常に硬く、ハリ持ちがよいこと。キャストを繰り返す釣りや、エサ取りが多い場面でも外れにくいのは大きな強みです。ただし匂いや食いのよさは、カツオやサンマに劣ります。そのため「食わせ能力よりもハリ持ちを優先したい」ときに選ばれるエサです。開きであれば投げ釣りに向きますし、カットタイプならウキルアーやウキフカセでも扱いやすいでしょう。
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匂いや食いのよさはカツオやサンマに多少劣るが、とにかくハリ持ちを優先したいときに選ばれる。カットタイプならウキルアーやウキフカセでも扱いやすい。ウキルアー◯・ウキフカセ△・投げ◯
イカ
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イカに関しては単体で用いられることは少なく、多くの場合はカツオやサンマとの抱き合わせで使います。繊維が強く、ハリから外れにくいのが最大の特徴です。よって「せっかく付けたエサがすぐに落ちてしまう」という状況を防いでくれます。種類もいくつかあり、食品由来の赤色を付けた『赤いか』、ニンニクの風味を利かせたもの、さらにラメをあしらったものなども。視覚的なアピールをねらえるのもイカならではです。
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食品由来の赤色を着色した『赤いか』。視覚的なアピールをねらえるのもイカならではの強み。ウキルアー◎・ウキフカセ◯・投げ◯
エビ
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最後はエビについて。サケ釣りに限らず、エビはどんな釣りでも活躍するエサで、食わせ能力がとても高いです。身がやわらかいぶん、魚にとっては口に入れやすく、渋い状況でもしっかり食わせられます。一方で弱点もあって、どうしてもハリ持ちが悪く、投げ釣りのように強い負荷をかけると外れたり千切れたりしやすい。ゆえに遠投主体の釣りには不向きで、ウキフカセやミャク釣りのような軽い仕掛けとの相性がよいエサです。
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身がやわらかいぶん魚にとっては口に入れやすく、渋い状況でもしっかり食わせられる。ウキフカセやミャク釣りのような軽い仕掛けとの相性がよい。ウキルアー✕・ウキフカセ◎・投げ✕
エサの付け方
カツオ・サンマ・フクラギ
基本的にはチョン掛けでOK。ハリ先は皮目から出すようにします。ウキルアーで飛距離重視の場合は、写真のように1cm角ほどにカットしましょう。
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イカ
カツオやサンマとの抱き合わせで使用します。ハリ先側に掛けるとイカがストッパー的な役割を担い、ハリ持ちがよくなるのが特徴です。
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エビ
主にウキフカセで使用。半分ほどにカットし、ハリは身の形状に沿わせるように刺します。フックポイントを出しておくのがミソです。
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”味付け”もいろいろあるが……
エサを選ぶ際、”味付け“がたくさんあることにも気づき、迷ってしまうと思います。なかでも絶大な人気を誇るのがニンニク味。とくに活性が低く、全体的に食いが渋いときでも、ニンニクの強い匂いで反応を引き出せることがよくあります。場合によっては、他の味付けのエサよりワンテンポ早く食わせられるケースも。それくらいニンニクの集魚効果は大きいのです。
とはいえ万能ではありません。ニンニクが効かない状況もはっきり存在します。群れが目の前を通っても全く口を使わない、あるいは匂いを嫌って避けるような場面です。魚が学習している可能性や、匂いが強すぎて逆効果になるケースもあるので、常に最初から最後まで通用するとは限らない。だからこそ、ニンニク一辺倒ではなく、他の選択肢を用意しておくことが重要です。
そんなときに役立つのが、素材本来の風味を残したエサ、つまり「生」や「塩締め」です。たとえば、生が効かないのに塩締めにだけ反応する場合もあれば、その逆もあります。群れの状態やその日のコンディションによって最適解が変わるということです。よって基本は、生から試してダメなら塩締め、さらにニンニクなどの味付け系へと切り替えていく。こうやってローテーションしながら”アタリエサ“を探すのが理想です。
もう一つ、欠かせないのがエビ粉。強い匂いで広範囲にアピールでき、ニンニクほど極端に匂わないのが特徴です。位置づけとしては「無加工」と「ニンニク」の中間より、やや強めのアピールと考えるとよいでしょう。ニンニクを嫌う魚が多い状況や、使う側がニンニクを避けたい(匂いが苦手な人)ときの選択肢にもなり得ます。
エサ交換の目安
エサはとにかく鮮度が肝心。解凍したての1投目が一番アピール力が強く、魚も反応しやすいです。なので「こまめな交換」が鉄則になります。
とはいえ毎回付け替えると手返しが悪くなるため、見極めも必要です。色が抜けて白っぽくなったり、身が半分取れそうだったり、形が崩れてきたら交換の合図。サケの活性が高い朝イチや群れが入ってきたときは、迷わず新しいエサに付け替えて確実にチャンスをものにしましょう。逆に魚影が少ない時間帯は、エサが残っている限りは少し長めにようすを見ても問題ありません。
エサの保存について……再冷凍は厳禁
保存に関しては「二度冷凍はしない」が前提です。一度解凍したものをまた冷凍すると、身や皮がボロボロになり、匂いも抜けて食いが悪くなります。真空パックを開けた後に再冷凍すると冷凍焼けもしやすいので、基本的に再利用は不可と考えてください。ただし数日以内に再釣行するなら、冷蔵保存であれば使える場合もあります。その際はしっかりと密閉し、匂いが漏れないように管理することが条件です。
釣り場で余ったエサは原則として持ち帰って再冷凍せず、近日中に使えないなら廃棄が妥当です。少しもったいなく感じるかもしれませんが、結局は新鮮なエサが釣果に直結します。ハリ持ちも食いもまるで違いますから、基本は釣行ごとに新しいエサを購入するのがおすすめです。

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※このページは『 North Angler’s 2025年秋号』に掲載した記事を再編集したものです。