もはや霞ヶ浦水系で欠かせないルアージャンルとなっている多毛系エラストマーワーム。どんなバスをどういうシチュエーションでねらうのか、あらためて今泉拓哉さんにやさしく解説してもらった。明日から使える強力な手札がひとつ増えますように。

解説◎今泉拓哉 文と写真◎Basser編集部
1997年生まれ。東京都出身、在住。エンジン・プロスタッフ。(株)ツネミに勤務しながらJBTOP50に参戦中。2025年度は第5戦霞ヶ浦戦にて初優勝。勢いそのままに河口湖での全日本バスプロ選手権、津風呂湖のジャパンスーパーバスクラシックでも勝ち、メジャー大会3連勝を果たした。今回取り上げるパワーフラッフィーは羽生和人さんと共に監修。
多毛系ワームを使うのは「巻きモノが効きそうなタイミング」
「パワーフラッフィーは釣れる」。今、霞ヶ浦水系を中心にまことしやかにそう囁かれている。MLF霞ヶ浦シリーズの第2戦では優勝したコ・アングラーが、第3戦では3位に入賞した小野将大さんも使用していた。
リザーバーなどに比べ、釣れ筋のルアーがある程度絞られがちな霞ヶ浦水系。そんな折「多毛系」は突如現われ、いまや欠かせないジャンルとなった。今回はその活用法をイチからおさらいし、確実に手駒にしたい。
まず、ずばり「多毛系」はどんなタイミングで使うのだろうか。
今泉「朝夕の涼しいフィーディングの時間や、ローライト、風の吹いたとき、流れの出たタイミング……。簡単に言うと、巻きモノが効きそうなタイミングです。でも、そんなときにスピナーベイトを投げて良い思いをすることって、少なくなってませんか?」
――おっしゃる通りです……。
今泉「そういうスピナベを追い切らない現代のバスを、アピール力を保ったままスローに、横の動きで誘えるのが多毛系ワームです。だから、あくまで釣れるのはエサを食っている個体が多い。釣れたらデカいのもこのルアーの特徴です」
フィネスがジャブなら、多毛系は右ストレート
――フィネスなワームの釣りがボクシングでいうところのジャブなら、多毛系は右ストレート?
今泉「たとえがそれでいいのかわかりませんが(笑)。でも、そういう大振りな釣りのなかではよく釣れる方だと思います。1日10本釣れるようなことは少ないですが、5本釣れて全部キロアップのキッカーだったり。ゼロかイチかのビッグベイトみたいなものではないです」
――ハイアピールでゆっくりな横方向のルアーでいうと、ジグストとも近い気がしますが。
今泉「ジグストよりもスローです。これは最近の霞ヶ浦水系の特徴なんですが、ストライクゾーンがとにかく狭いんですよ。バスがルアーを追ってくるのはアシ際とか杭から、だいたい1~2mまで。その区間をなるべくゆっくりと誘いたいので、よりスローであるのはメリットだと思っています」
霞ヶ浦水系のトレンドは「中層の時代」へ
そもそも、この多毛系の釣りはどのように発見され、霞ヶ浦水系でどう広まっていったのだろうか?
今泉「それを知るにはまず、ざっくりと霞ヶ浦水系のここ10年を3つの時代に分けて考えてみる必要があります。まずはバスの個体数が多かった時代。このときはルアーをボトムまで落としてからアクションさせるのが常識でした。今でももっともベーシックなワームの釣りですよね。でもそれでは食わなくなってきた。
それを打開するために次は『表層で騙す時代』がやってきました。2019~2023ごろですかね。野良ネズミのブレイク年です。しかし次第にそれもパワーダウンしていって、今到来しているのが『中層の時代』だと思っています」
「ボトムにつかない」のが最近のバスのお気に入り
――近年は川村光大郎さんのジグストなどで一気にマッディシャローの「中層」が注目を浴びましたね。
今泉「そうですね。僕の身内では『1m未満の中層』と呼んでいるのですが、ルアーが『ボトムにつかない』のが最近のバスのお気に入りではないだろうかと。かなり前から小森嗣彦さんがモコリークローのスイミングなどで釣っていたのはその先駆けだったと思います。そこへ多毛系ルアーが登場し、そのレンジが一気に攻めやすくなったという流れです」
――誰がはじめに「多毛系」に目をつけたのでしょうか?
今泉「当時から同時多発的に、何人かの人が気付いていましたね。ライブソナーを使っていると、矢板やドックの中層みたいな変なところに魚が浮いてて、それを釣るために僕はコイケを使ったりしてました。多毛系の元祖です。あとになってみんなも同じことをしていたことがわかったんですけど。トーナメントでみんなが使うようになって一気に広がった感じです」
――面白いですね。リザーバーから多毛系の釣りが輸入されたわけではなく、昨今の霞ヶ浦水系のニーズが多毛系の釣りを生んだのですね。
今泉「藤田夏輝さんがMLFの試合中キングジミーヘンジで釣ったことも『多毛系』ブレイクのキッカケになりました。キングジミーヘンジはマテリアルが柔らかく、エビ食いバスの弱いアタックにも対応したことが大きかったですね」
パワーフラッフィーはボリュームとパワーで訴える
――どうして今、数ある多毛系ワームの中で「パワーフラッフィーが釣れる」と評判なのでしょうか?
今泉「ボリュームとパワーですかね。雨や濁りでもう少しパワーが欲しいときや、リザーバーで深いところからバスを呼びたいときにバスへ訴える力があります。状況に合わせてボディをカットし段階的にボリュームを落とせるのも良いですね。羽生(和人)と2人で、ボリュームや水押し、フォール中のアクション、とくにマテリアル(硬度)にこだわって作りました」
パワーフラッフィーのセッティング
それでは実践編。
まずはパッケージから出したパワーフラッフィーをカットしてボリュームを調整しよう。ボディの節に沿ってハサミでカットすればよいので簡単。今泉さん的に通常時の霞ヶ浦水系では2or3節分カットするのがちょうどよいという。
推奨のリグはフットボールヘッド5gに、ナイロンガード付きマスバリの組み合わせ。真っ直ぐ縫い刺しし、バーサタイルキーパーでワームがズレないよう固定。これがレンジキープしやすく、フッキングもよい。
ロッドはキンキンのファストテーパーでなければOK。レギュラーテーパーで振りやすい長さのM~MH程度のものを選ぼう。チャターやバズベイトなどと同じロッドでできるので便利だ。
ラインはリザーバーで12Lb、霞ヶ浦水系だと14Lbのフロロが推奨だという。
シンカー:フットボールヘッドG2 5g/フック:レギュラーガードタリズマン#3/0(フック・シンカーともにリューギ)
タックル

[激浅シャロー用]
・ロッド:スペルバウンドコアハイクラス65Mマルチアタック
・リール:STEEZ CT SV TW/ギア比8.1(ダイワ)
・ライン:ソラローム エクスレッド14Lb
・シンカー:バウヘッド3.5g(ザップ)
[通常用]
・ロッド:スペルバウンドコアハイクラス65MH-STデクステリティ
・リール:STEEZ SV TW SLPセミオーダーカスタム/ギア比8.5(SLP WORKS)
・ライン:ソラローム エクスレッド14Lb
・シンカー:フットボールヘッドG2 5g(リューギ)
※ロッドはエンジン、ラインは東レ・モノフィラメント
アクションはアバウトに
今泉「パワーのあるルアーなので、多少アクションがアバウトでも問題なく食ってきます。まず足元で泳がせて、パワーフラッフィーが上下に頭を振る(ヘドバンする)感覚を掴んでください。あとはルアーが見えないくらいのレンジをヘコヘコとアクションして引いてくるだけ。自分に心地の良いリズムでやってみてください」
――(ヘコヘコヘコ……)あれ。案外難しいな。
今泉「『スト』を意識しすぎないように! 引っ張りすぎてルアーが目に見えるレンジに来てしまいます。ラインを弾く感覚でやってみてください」
――(パシパシパシ……)あ、うまくいきました!
今泉「その調子です! カスミで『スト』と『中層』を意識すると難しいので、まずは『ルアーが見えなくなるレンジ』、それから『ボトムを切る(底に着かない)』を意識してみてください」
ほどよく「中途半端」なことで、カバーの魚を引きずり出す
出船してすぐのストレッチを流す今泉さん。連日の暑さがとれた初日で、朝はボイルも起きいかにも釣れそう。
ルアーパワーが強いため、ざっくり撃てばよいからテンポが早い。岸ベタにキャストし、1~3mくらいヘコヘコさせて回収する。
今泉「この釣りの良いところは、ほどよく『中途半端』なんです。最近のカスミはプレッシャーで魚が沖に出ている傾向にあるのですが、そういう魚も拾える。一方、パワーがあるからカバーに入っている魚もおびき出せる。
この『カバーから出てきて食わせる』というのが大事なんです。カバーにいる魚をテキサスで直撃しても最近はあまり食ってくれません。向こうから追わせることが重要です」
連続するアシに絡む冠水ブッシュで食った
開始から30分が経過したところで、連続するアシに絡む冠水ブッシュを撃ち1mほど泳がせたら、ラインが手前に走った!
今泉「よっしゃ! これはキロありますよ。普段ならノーシンカーかPEベイトフィネスで撃つようなブッシュから魚が引っ張ってこれた感じですね。この釣りはスポーン前後から10月くらいまで有効なのでぜひ試してみてください。もちろんリザーバーでも超釣れますよ」
巻きモノでは食わない、でも点で食わせるにはバスが動いている。そんなもどかしい隙間を埋めるのが「多毛系」である。「今日は撃ちか? それとも巻きか?」。途方に暮れそうになったときは一呼吸おいて、我々には第3の選択肢があることを思い出そう。
※このページは『Basser 2026年10月号』に掲載した記事を再編集したものです。

.jpg)

-Jun-27-2025-08-31-27-6526-AM.jpg)