テキサス・マニアを自称するBasser編集部の谷川(a.k.a.カバーハッカー)が、ずっと気になっていたあんなテキサスやこんなテキサスを独自取材しました。
テキサス・マニアを自称するBasser編集部の谷川(a.k.a.カバーハッカー)が、ずっと気になっていたあんなテキサスやこんなテキサスを独自取材しました。
写真と文◎Basser編集部
テキサスリグのセッティングを大調査
ども、編集部イチのテキサスリグフリークの谷川です。まぁ〜、Basser編集部は2人しかいないんですが。
この仕事をしていると様々なプロを取材したり、誰が何を使ってる、みたいな情報が入ってくるわけです。その中で、ずっと気になっていたセッティングのテキサスリグがいくつかありました。今回はテキサスリグ特集ということで、谷川のテキサス要警戒アラートにビンビンに反応した2名の独自セッティングを教えちゃいます。私の独断と偏見もありますが、ちゃんとインタビューして裏取りもしているのでご安心を。最後には、谷川のイチオシテキサスもこっそり教えちゃいます。お楽しみに。
「入らない」のがむしろいい!?江尻悠真のモゾモゾライトテキサス
2024年のJB TOP50AOY、つまり今日本で一番強いと言っていいアングラー、江尻悠真さんの十八番がテキサスリグです。霞ヶ浦・北浦をホームとする若き王者はモコリークローをどう使うのか、私は気になって仕方がなかったのです。
まず興味深いのが、江尻さんにとってこのリグは、落ちパクでは食べてくれないカバーのバスを食べさせるためのもの、ということ。そして、モコリークローのテキサスは水面直下、いやむしろ水面上がメインステージと言っても差し支えありません。

水面をモゾモゾさせて食わす
どういうことか?それは、江尻さんがこのリグを使う理由が、「水面のカバーを突き破りにくいから」。つまり、倒れたアシやチップカバーの上にリグを乗せ、そのうえでモゾモゾさせることでルアーを見せずにバスに存在をアピールし、その後隙間から「ニュル」っと水中に入ったルアーが襲われる、という算段。リーダーレスダウンショットと比べて、カバーの貫通性能だけは劣るというテキサスの特性を逆手に取った発想です。手段は違っても、「ルアーの存在を曖昧にする」という点はリアクションテキサスと同様です。
さて、水面モゾモゾで食わなかった場合、あるいは水面にリグを乗せられるカバーがない場合は、いきなりフォールさせずにカバー直下でシェイクして誘います(必ずラインを何かに引っかけて提灯にする)。これが第2の食わせどころ。それでも食わなければシェイクしながらレンジを下げる「振り落とし」を行なって、ボトムに着いたら回収です。
ですが、バイトのほとんどは水面モゾモゾをしたあとにルアーを水中に入れた瞬間、あるいはカバー直下でのシェイク中に出るとのこと。なかには、水面モゾモゾ中にカバーを突き破って食ってくるバスもいるのだとか。「モコリーのライトテキサスカバーに簡単に入ってくれないのがいい。水中に入っちゃうと食わせの手段が限られる。ワームなら、フォールで落とするか逃がすくらいしかやりようがない」とのコメントをいただきました。
江尻さんがモコリークローのライトテキサスを使う理由はそれだけではありません。まずはモコリークローの適度なアピール力。スモラバといったフィネスよりは水押しが強く、4inクラスのホッグ系をセットした重めのテキサスよりは食わせ力が高い絶妙なバランスなのだとか。また、リーダーレスダウンショットと比較して、提灯状態が解除されたあとに中層のスイミングがしやすいというのもセレクトの理由です。

フック:インフィニ#1/0(リューギ)
シンカー:スゴイシンカー4g(ゲーリーインターナショナル)
シンカーストッパー:コンボストッパーM(リューギ)
江尻さんは2023年のバサーオールスタークラシック・ワイルドカード霞ヶ浦戦において、花室川でこのセッティングをメインに優勝。花室川は霞ヶ浦の流入河川群の中でも人気が高く、バスは天才君だらけ。ここでフィネスではなくテキサスを選んだのは、前日の雨で濁りが入り、ややバスに食い気があったこと。そして「ランディングネット使用禁止」というルール(当時)から、フッキング後確実にバスを獲りたかったから
【TACKLE】
ロッド:ワイルドサイド・ヴァリアントモデルWSC ST69MH/TZ(レジットデザイン)
リール:メタニウムXGシャローエディション
ライン:アブソルートAAA 12Lb(バリバス)
カレント攻略&ゴールデンタイムの何でも屋 赤松健のオカッパリ特化テキサス
ステージを変えて、オカッパリ・プロフェッショナルのテキサスリグを見ていきましょう。とくにタニガワが熱視線を送っているのが赤松健さん。なぜかというと、村上晴彦さんや赤松さんって、カバー以外でテキサスを使うから。カバーハッカーを自称してはいますが、実はヘビキャロなどが大好きな僕としては、ボトムで使うテキサスとかもとっても興味があるのです。
聞くと、「フリーリグなど多くの選択肢がある現在、テキサスの出番はだいぶ減りました。それでも、『この釣りはテキサスでやります』というものが2つあります」と赤松さん。さっそく見せてもらいましょう。

超ロングワーム・スパテラ10inを使ったセッティング
まずは、超ロングワーム・スパテラ10inに1.8gという超軽量シンカーをセットしたセッティング。これは川などカレントのあるボトム、あるいは水深のあるゴロタや岩盤エリアのボトムで使うためのもので、赤松さん的には「ノーシンカー以上、フリーリグ以下」という位置づけ。
どういうことかというと、まずノーシンカーでは流されてしまって、ボトムに留めて誘ったり、何かに引っかけて誘うことは難しい。反面、フリーリグだと感度が高くてボトムを明確に感じることができますが、その感触が硬すぎてナチュラルさに欠けるとのこと。
そこで、極軽いテキサスリグにすることで、ノーシンカーよりは流されないけど、フリーリグよりはマイルドなボトムタッチで適度にシンカーをスタックさせつつ、ルアーのヘッドを上流側に向けてテールを下流になびかせて、ときにはドリフト気味にボトムを転がしながら誘える、という塩梅。同じシンカーウエイトであればリーダーレスダウンショットやフリーリグに比べてボトムタッチがあいまいになりやすいテキサスリグをあえて使うことで、ボトムを軟らかく釣るというねらいがあるのです。カバーを撃つわけではないので、シンカーはフリーにします。
そもそもロングワームを使うのは、ここ最近の赤松さんのブームだそう。小さいワームやクロー系、細身のストレートワームよりも、むしろこれくらい長くて太さもあるスパテラのほうが食う、ということが多いのだとか。

フック:ライトニングストライク#5/0(ハヤブサ)
シンカー:ウルトラスリヌケシンカー1.8g(一誠)
クッションゴム:チェーンクッション(ザップ)
どちらのテキサスにも共通して使用するのは「ウルトラスリヌケシンカー」。 表面積当たりの体積が最も稼げる(≒同じ重さで小さくできる)球体に近い形状にしつつ、障害物にガツっとスタックしづらくなる玉ねぎ状の突起など、村上晴彦さんの緻密な計算のもと開発されたテキサスシンカー。シンカーとフックの間には結び目保護とノットがシンカーホールに刺さってシンカーが固定されるのを防ぐ意図でクッションゴムを配置
キャラメルシャッド3.5inを使ったセッティング
次はシャッドテール系のキャラメルシャッド3.5inの5gテキサスリグ。これは、赤松さんにとって「マヅメの活性が高い時間帯に、とにかくどこにでも投げてバンバン釣る」ためのもの。オープンもカバーも、中層もボトムも場所を選ばず撃ち込んで引くことができるテキサスの利点をフルに生かした使い方です。活性が高いバスを釣る、となるとスピナーベイトなどのハードルアーも頭に浮かびますが、テキサスならカバーやボトムの岩の隙間など、より隅々までこぼさずに誘うことができますからね。
セッティングにも、赤松さんのその意図が見て取れます。巻き・撃ち問わないシャッドテールタイプに、釣りを遅くしないための5gシンカーをセット。水深などによっては7gでもいいそうです。逆に、軽すぎるシンカーはNG。キャラメルシャッド3.5のようなシャッドテールタイプは、ある程度ウエイトがあるシンカーでフォールさせないと釣れるテールのピッチが出ないとのこと。
ほかにもあるスナッグレス性能に優れたリグではなくテキサスを選ぶのは、見た目としてのリグの一体感。スイミングで使用することも多いので、泳がせた際にパーツが多くシルエットのまとまりに欠けるリグは避けたい。実際、いろいろなセッティングを試した結果これが一番食う、とのこと。「シンカーとワームがしっかり一体化しているので、スイミングさせた時に変な水流が発生しないのが良いんだと思います」と赤松さん。カバー以外でもテキサスがなければいけないリグだと再認識。ロングワーム試したい!
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フック:マルチオフセット#1(カルティバ)
シンカー:ウルトラスリヌケシンカー5g(一誠)
クッションゴム:チェーンクッション(ザップ)
フックセットが少し曲がってしまっただけで性能が発揮されづらくなるシャッドテール系ワームには、ワームを真っすぐセットしやすく、かつズレづらいマルチオフセットが好適。シンカーストッパーを使ってもいいが、「ワンキャストでも多く投げたい!」という時合に投入するセッティングのため、リグる作業の時短目的でストッパーを使用しないことも多いという
【TACKLE】
ロッド:リコリスNRC-78MH+S(一誠)
リール:スティーズAII(ダイワ)
ライン:スティーズフロロクロスリンク16Lb(ダイワ)
※どちらのテキサスも同一タックルで使用
テキサスが苦手な人はまずコレ!カバーハッカー・谷川の「一番簡単なテキサス」
いかがでしたか。プロフェッショナルが煮詰めに煮詰めたテキサスリグ・セッティングは、やはり説得力抜群ですね。
しかし、です。ここまで紹介してきたテキサスは、日々プレッシャーと戦うトーナメンターや食わせ方に工夫を凝らすオカッパリの達人が編み出したもの。「もっと、カバーに突っ込んで落とすだけで簡単に釣れるザ・テキサスって感じのはないの!?」と思った方もいるかもしれません。そんな皆様のために、テキサス・ラバーの僕がとっておきを紹介します。
近年テキサスをカバーに落とすだけで簡単に食ってくるバスは減ってき……てはいないんですよ、これが意外にも。むしろ、フィネス系のリグが台頭してきたことで、濃いカバーには意外なほどフレッシュなバスがいる、というのが僕の印象です。難しいことを考えずに、とりあえずカバーにねじ込んでフォールさせるだけ!というテキサスも絶対に忘れてほしくないんですよね。そもそも、テキサスってそういうリグだと思うので。

ドライブビーバー3.5inを使ったセッティング
前置きが長くなりましたが、テキサスで釣ったことがあまりない、という人におすすめしたいのが下の写真のセッティング。まずはこれで1年間、濃い目のカバーを撃ち続けてください。結果が出なかったら謝ります。

フック:サイス#1/0(ジャッカル)
シンカー:TGカラースリップシンカー8.8g(レイン)
シンカーストッパー:パーフェクトストッパー(アクティブ)
ドライブビーバーは重めのシンカーと相性◎。とにかくバスにアピールしたいので、カラーも濃いめがオススメ
まず、ワームはドライブビーバーから始めてみてください。理由は「サイズに対するアピール力が強く、操作がいらない」からです。繰り返しになりますが、僕が思うテキサスリグの前提は「確実にカバーに入ること」、そして「バスがルアーに気づくこと」です。
そうなると「でっかいワームに1.5ozシンカーを合わせれば解決」となるわけですが、それではかなり魚やシチュエーションを選びます。その条件を満たしたうえで、可能な限りバイト数が望める、そんな最大公約数的なテキサス用のワームがドライブビーバーだと思います。まず、ボリュームのあるアームとボディー全身をくねらせるバサロアクションで、とにかく水押しが強いです。そして何より、その水押しをアングラーの操作なしに出せるということ。つまりシェイクしたりストっぽく動かさなくていいんです。フォールさせるだけ!いろいろ言いましたが、単純にめちゃ釣れるワームです。トーナメントアングラーの中でもカバー撃ちでは使用率ナンバーワンのワームだと思います。
重要なのはワームだけではありません。ラインはフロロ16Lb、シンカーは8.8gから始めてください。江尻さんのタックルデータを見ると、12Lbと細めのラインを使っています。しかし、これはあくまでそのテキサスが細かい操作を要することと、濃すぎないアシなどライトカバーを主に撃つこと、そして何より細いラインでもミスをしないプロの技術が前提となっています。最低でも14Lb、できれば16Lb以上が個人的には推奨です。
シンカーは、食わせ力を下げすぎずにカバーに確実に入れることを考えると7〜10gがよいでしょう。とくに霞ヶ浦などのフィールドでは3.5〜5gが近年の主流かもしれませんが、何度も言うように「入らなければ意味なし」の精神でリグるテキサスを紹介してますので!14Lbラインであれば水の抵抗が少し減りますので、7gくらいがよいかもしれません。また、僕はピカピカしたシンカーからマットタイプに替えたら露骨にバイトが増えた経験があるので、できるだけマットタイプを使うようにしています。
次にフックはオフセットタイプ!それもハリ先があまり外に向いていない、フックポイントをワームに隠しやすいものを選んでください。「カバーフィッシングはストレートフックでしょ!」という意見もありますが、ストレートフックは完璧なフッキングができて、しかも距離が近くないとむしろミスが増えます。オフセットフックは口の奥にぐっさり刺さるような掛かり方は少ないですが、向こうアワセや中途半端なアワセになっても「とりあえず刺さってくれる」フックです。最近はオフセットフックでも、ナロータイプでフックポイントが開いており、性質としてはストレートフックに近いものがありますが、まずは「フツー」のオフセットフックがおすすめです。
ロッドは、6ft後半〜7ftくらいのMH〜Hパワーなら使いやすいと思うものを選んでOKです。ただし、注意なのはティップが柔らかすぎるものは避けてください。回収の際にルアーがカバーに食われやすくなります。まずはリズムの作りやすい、ハリのあるティップのロッドが良いでしょう。