「どの価格帯を選ぶ?」、「サイズはどう合わせる?」、「動きやすさは何で決まる?」。ウエーダー選びは、意外と分からないことだらけだ。さらに買い替えのタイミングやメンテナンス、相性のよいウエーディングシューズまで、気になるポイントはさまざま。そこで大型プロショップ『キャンパーズアンドアングラーズ北広島』のスタッフに、店頭で実際に寄せられる相談を直撃。あらゆる「?」を一つずつ解決してもらった。

解説◎平沼大介・阿木裕介(キャンパーズアンドアングラーズ北広島)
まとめ◎North Angler’s編集部
大型プロショップ『キャンパーズアンドアングラーズ北広島』のスタッフ。
キャンパーズアンドアングラーズ北広島は、「釣り」と「キャンプ」にアウトドアの「食」、そしてこれらの「体験」を詰め込んだ大型複合施設。2023年にオープンした物販棟の延床面積は約460坪。店内では約8,000アイテム、約30,000点の商品を取り扱う。ギアだけにとどまらず、アパレルでは都市部の生活のなかで個人のライフスタイル(アウトドアやフィッシング)を表現できる、機能的でハイエンドなファッションを提案
目次
Q. 最近、店頭ではウエーダーについてどんな相談が多いですか?
平沼 一番多いのは、「高くなくて、かっこいいウエーダーがほしい」という相談です。最近は海外製品の価格がかなり上がっているため、国内メーカーを検討する方も増えています。やはり価格を気にされる方が多いですね。
同じグレードで比較すると、国内メーカーのほうがリーズナブルな場合もありますので、そうした選択肢も案内しています。一方、特定のブランドが好きな方は、価格が上がってもそのメーカーを選ぶ傾向。そういった場合は、以前より1~2グレード下げて選ぶケースもあります。
たとえばシムスなら、5万円程度から20万円前後まで幅があります。それぞれのメリット、デメリットを説明しながら予算に合わせて提案していますし、希望メーカーだけでなく、他社も含めて選択肢を広げるようにしています。
Q. 価格差は、どういった部分に表われるのでしょうか?
平沼 生地の厚みやレイヤー構造は大きな要素です。厚みが近くても、何層になっているかによって耐久性が変わります。また、裁断方法によって着用時のシルエットや、ウエーディング時の水切りのよさにも違いが出ます。
透湿素材も価格を左右します。ゴアテックスのようなハイエンド素材を使ったモデルは価格も上がりますし、防水ジップの有無、背中のパッドなどアクセサリー類、海外製か国内製かといった違いも価格に反映されます。
阿木 高価なウエーダーは、機能面だけでなく所有欲も大きいと思います。とくにSNSなどで有名なアングラーが着ているモデルや、海外のガイドと一緒に開発された製品などは、「これを着て釣りがしたい」という気持ちになりますよね。
もちろん、ゴアテックスだけが選択肢というわけではありません。現在は各メーカーが独自に開発している透湿防水素材も優秀なので、予算に応じて選べる幅は広がっています。
Q. ウエーダーの「動きやすさ」は、どんなところで決まりますか?
平沼 素材のストレッチ性と裁断が大きいですね。とくに股の部分など、どのように裁断されているかによって動きやすさは変わります。
そして、サイズ選びも重要です。ウエーダーは足の大きさだけでなく、胴まわりや胸まわりなど複数の部分に関係しますが、靴ほど細かくサイズが設定されているわけではありません。そのため、体型によってはすべてを完璧に合わせるのが難しい場合もあります。
たとえば、お腹に合わせてサイズを選ぶと、ソックス部分が大きくなりすぎるケースも。そうなると、ソックス部分に合わせて大きなウエーディングシューズが必要になります。
メーカーによってシルエットも異なるので、同じサイズ表記でもフィット感は変わります。実際に試着して、自分の体に合うものを選ぶことが大切です。
Q. 試着するときは、サイズ以外にどこをチェックすればよいですか?
平沼 サスペンダーのクッション性やベルトの幅、ポケットの大きさや位置などはメーカーによって違います。内側にポケットが付いているモデルもあるので、自分の釣りのスタイルに合っているかを確認したほうがいいですね。
また、ウエーダーだけでなく、シューズとの組み合わせも重要です。ソックス部分とのサイズが合っていないと、実際の釣りで動きにくくなってしまいます。
阿木 シューズまで含めて、実際の釣りに近い状態で試着してもらうのが一番確実です。お店でも試着用のブーティーを用意していますが、できれば普段使っているシューズを持ってきて、実際に合わせてもらいたいですね。
Q. どんな状態になったら買い替えを考えるべきでしょうか?
平沼 大前提は、セルフリペアもメーカー修理も難しい状態になったときです。目で見て分かるほど大きな裂けができた場合や、何十年も使って表地だけでなく内部のメンブレンまでダメージを受けていると思われる場合は、買い替えを検討したほうがいいでしょう。
阿木 シームテープがバラバラに剥がれていたり、どこからともなくじんわり水が入ってきたりする場合も、素材そのものが劣化している可能性があります。一部分を修理しても、別の場所から浸水するような状態なら、修理より買い替えを考えたほうがいいと思います。補修跡が残ることをどう感じるかは個人差がありますが、「もうこの状態では使いたくない」と思ったら、それも判断材料の一つです。
平沼 クロロプレンのソックスは内部に気泡が入っていて、それが体重や使用によって潰れてくると、防水性や防寒性が落ちてきます。そこだけが劣化しているなら、まずソックスを交換するという選択肢もあります。
Q. 長く使うために、購入後はどんなメンテナンスをすればよいですか?
阿木 適切な頻度で洗うことが一番だと思います。釣りが終わったら、まず裏返して内側の蒸れを乾かす。帰宅して内側が乾いていれば表側に戻し、手洗いで外側の汚れを落とします。ゴアテックスなどの透湿防水素材には、専用洗剤を使うこと。可能なら撥水剤も併用します。きちんと洗って適切に乾かすことが、長く使うためには重要です。
平沼 透湿ウエーダーは、皮脂やカビなどの汚れが劣化の原因になります。透湿素材には非常に小さな孔があり、そこから湿気を外へ逃がしていますが、柔軟剤などを使うと、その機能を損なう可能性があります。
実際に柔軟剤を使った状態で修理に持ち込まれるケースも散見されます。せっかく高価なゴアテックスのウエーダーを買っても、柔軟剤によって透湿機能を損なう可能性があるので、ここはとくに注意してほしいですね。
保管のポイントと釣り場での注意
阿木 保管時も高温多湿の環境は避けたほうがいいです。湿気の多い時期や汚れた川で使ったあと、そのまま密封しておくと、一晩で黒い斑点が出ることがあります。
風通しがよく、直射日光の当たらない場所で保管するのが基本です。ブーツウエーダーのように足もとが重いものは、肩のバンドに掛けたまま長期間吊るしているとゴムが伸びる場合があるので、その点にも工夫が必要でしょう。
平沼 物理的にウエーダーを守る手段も大切です。枯れたササやトゲのある植物、川に沈んだテトラや錆びた鉄材など、危険な箇所を察知して避ける。これはウエーダーだけでなく自分自身のケガを防ぐことにもつながります。
Q. シューズに関してはどんな相談が多いですか?
平沼 「軽くて丈夫なものを探している」という方が増えていますね。ただ、軽さと丈夫さは相反する部分もあるので、完璧に条件を満たせるモデルは、正直それほど多くありません。そのため、〝軽さを保ちながら充分な耐久性があるもの〞をおすすめしています。実際に軽量モデルを選ぶ場合も、アッパーの素材や縫製などを見ながら、どの程度の耐久性があるのかを説明しています。
Q. シューズを選ぶ際は、どんな点を重視すればよいですか?
阿木 まずはフェルトソールとラバーソールのどちらが好みなのか。そこから、軽さとタフネスのどちらを重視するのかを考えます。あとはミドルカットやハイカットなど、足首をしっかりホールドするタイプがいいのか、もう少し低めで窮屈感のないものがいいのか。価格やデザインも含めて、それぞれを聞きながら提案しています。
平沼 最初に、その人がどんなフィールドで釣りをするのかを聞きます。よく行く場所を基準に考えるのが一番ですね。そのうえで、ウエーダーのソックスとのフィット感を確認します。最終的には好みの部分も大きいと思います。
阿木 川ではよく動くことが多いので、軽くて歩きやすいシューズ。本流や湖など、どっしり構えて釣る場所では、サポート性や安定感の高いブーツが向いていると思います。一足ですべてをまかなうより、フィールドに合わせて複数を使い分けたほうがいいですね。フェルトとラバー、動きやすいタイプとサポート性の高いタイプを分ければ、それぞれの負担も減り、よりフィールドに合った釣りができます。
Q. ソールの使い分け、交換のタイミングについてはいかがでしょうか?
阿木 フェルトは使っているうちに毛足が短くなり、硬くなると滑りやすくなります。ラバーソールは、パターンの角が丸くなってきたらグリップ性が落ちているサインです。転倒やケガにもつながるので、早めに交換したほうがいいでしょう。

平沼 スタッドは滑り止めになりますが、フィールドとの相性もあります。ちなみに私は最近、アルミのスタッドが気に入っています。適度に潰れてソールの下地が岩などを噛んでくれるので、フェルトでもラバーでも扱いやすさを感じています。一方、タングステンピンは硬いので、場所によっては滑る可能性もあります。
いろいろな場所で一足を使いたいのであれば、ソールを交換できるモデルも選択肢。フェルト、フェルトピン、ラバー、ラバーピンなどに交換できれば、釣り場に合わせて対応可能です。
Q. 最後に、シューズを長く使うためのメンテナンス方法を教えてください。
平沼 ウエーダーと同じように、釣行後はきちんと洗ってあげることが大切です。専用のクリーナーもあるので、それを使って洗うのが理想。最低限、水洗いだけでもしたほうがいいですね。泥などは水をかけるだけでは落ちにくいので、ブラシなどを使って軽くこすります。ソールの汚れもきちんと落としましょう。
阿木 洗ったあとは、しっかり乾かすことが肝心です。ずっと濡れた状態にしておくと、ボンドなどにも影響する可能性があります。フェルトも乾きにくいので、置きっぱなしにせず、向きを変えながら乾かすなど、きちんと乾燥させる時間を作ってあげたほうがいいと思います。
平沼 インソールが外れるものは、必ず外して、その下まで洗ってください。あとは紐が切れそうになっていないかも確認しておきたいですね。
洗うことで、シューズの状態を見る機会にもなります。普段は気づかない傷みも、洗っているときなら見つけやすい。釣り場でシューズが壊れてしまうと帰るのが大変ですから、洗うことはメンテナンスだけでなく、不慮のトラブルを防ぐ意味でも大切です。
※このページは『North Angler’s 2026秋号』に掲載した記事を再編集したものです。

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