よく似てるブリとヒラマサの違いを写真で解説しています!
よく似てるブリとヒラマサの違いを写真で解説しています!
この記事は月刊『つり人』2021年11月号に掲載したものを再編集しています
目次
ブリとヒラマサ、カンパチとブリは自然界でも交配
この点についてお話をうかがったのは、河邊教授らの研究チームのメンバーでもあり、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校の高橋洋准教授。高橋准教授は魚類の集団遺伝学が専門で、交雑を介した種多様性の進化などを研究している。ちなみに趣味は釣り。そして2021年、他の研究者らとともに「山口県の日本海でブリとヒラマサの種間雑種が確認され、その大半がヒラマサ母系であった」という報告を初めて行ない、その中でカンパチとブリについても、やはり種間雑種が確認できることを報告した。
高橋准教授によると、ブリ、ヒラマサ、カンパチの種間雑種はどの海域にもまんべんなくいるのではなく、今のところ長崎県から山口県沖にかけての玄界灘~日本海西部の海域で発見されているそう。これらの交雑が目立ち始めたのはここ十年ほどで、「今は山口県日本海側ではヒラマサとブリの雑種が相当いると思われます(春先に定置網で20cm近い個体が数十匹同時に漁獲されたことがあります)。一方、カン パチとブリの雑種はごく低頻度でしかみられず、これまで山口県の日本海側で数個体の漁獲実績があるのみです」という。気になる見分け方については、「カンパチとブリ、ヒラマサとブリのいずれの組み合わせも最終的にはDNA を調べて判別しています。ただ、漁師さんや市場関係者はその外見からかなり正確に判別されています。色の違いやプロポーションなどで見分けておられるようです」とのことだ。プロの漁業者の目はやはり優秀なのである。今回、それぞれの資料写真もお借りできたので、自分なら判別できるか確認してみてほしい。
最後に「河邊先生も私も、近年起こりつつある交雑現象は、海洋の温暖化による産卵場所の変化や各種の資源量の変化に原因があるのではと考えています。同様の現象はフグ(ショウサイフグとゴマフグ)でも知られているので、今後このような現象がさまざまな魚種間で増えてくるのかもしれません」とのこと。釣り人にとって、「これはブリ? ヒラマサ? カンパチ?」と迷う機会は、これからさらに増えていくのかもしれない。
最後に「河邊先生も私も、近年起こりつつある交雑現象は、海洋の温暖化による産卵場所の変化や各種の資源量の変化に原因があるのではと考えています。同様の現象はフグ(ショウサイフグとゴマフグ)でも知られているので、今後このような現象がさまざまな魚種間で増えてくるのかもしれません」とのこと。釣り人にとって、「これはブリ? ヒラマサ? カンパチ?」と迷う機会は、これからさらに増えていくのかもしれない。
こちらはブリ。
スリムな体型をしているが「眼の位置が体の最大幅より前」「口角が丸みを帯びていない」「黄色いラインが薄く、胸ビレと離れている」などから判別できる
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