JBTOP50最終戦(桧原湖)の直後からオールスターのために霞ヶ浦入りをした福島選手。10日間のプラを通して勝機を見出したのが、ワイルドハンチによるクランキング。その理由はオールスターウィーク前半に関東を襲った冷え込みでした。
オカッパリ&レンタルボートでも真似できる出場選手のメインパターン
2022年10月29~30日にかけて利根川・霞ヶ浦水系で行われたBasser Allstar Classic2022。トーナメントの釣りには、オカッパリやレンタルボートの釣りに生かせるヒントが詰まっています。今回は福島健選手の釣りを紹介します。
◎まとめ:編集部 ◎写真とフットステップレポート:DAY1&DAY2プレス/内條譲
福島健選手のプロフィール
福島 健(ふくしま・けん)
1978年生まれ
主な戦歴:
2011年 JB TOP50 年間優勝
2011年 JB TOP50 旧吉野川戦 優勝
2012年 JB TOP50 霞ヶ浦戦 優勝
2015年 JB TOP50 旧吉野川戦 優勝
グッと冷え込んだ時こそハードベイト
福島選手のメインルアー
■ワイルドハンチ(エバーグリーン)
■フラップクロー4in(エバーグリーン)
+スタビル ヘッド2.0g/シンカー3.5g ※ラバーカットチューン(エバーグリーン)
+ワームフックLDマスター #3/0(がまかつ)
JBTOP50最終戦(桧原湖)の直後からオールスターのために霞ヶ浦入りをした福島選手。10日間のプラを通して勝機を見出したのが、ワイルドハンチによるクランキング。その理由はオールスターウィーク前半に関東を襲った冷え込みでした。
福島「大会の週の前半にグッと冷え込んで、水温が3~4℃下がったんです。もちろんバスの活性は下がるんですが、釣りは絞りやすくなる。ズバリ、ハードベイト。例年、これくらいのタイミングでワームからハードベイト優勢に切り替わるんですよ。食性からリアクションに切り替わるというか、ワームの水押しよりも明らかに硬いハードルアーの水押しに反応が良くなる。そのタイミングがオールスター前にやってきた、ということです」
メインとなったルアーはワイルドハンチ。水深1mのシャローエリア攻略において、福島選手が絶対の信頼を置くクランクベイトです。カラーは「ブリーディングブラウンクロー」。福島選手はこのカラー含めた2~3色のクロー系カラーしか使わないことで有名です。
福島「ワイルドハンチはザリガニやテナガエビなど、常に甲殻類を意識して使うのでこれらのカラー……、なんですが、これはもうコンフィデンスというか、自分のなかの経験上、とにかく『釣れるから』としか言えないですね」
とにかく優しく、軟らかく
福島選手のメインエリアは外浪逆浦~常陸利根川にかけてのハードボトムやその沖にあるヘラ台など。ここにクランクベイトをベッタリと絡ませて巻きました。ただ巻きかと思いきや、その釣りは非常に動的です。
福島「とにかくモノに絡める。根掛かりとの戦いです。バンク際に投げた直後はハードボトムにタッチさせ、水深が深くなってボトムからクランクが離れたら、次は沖の杭やヘラ台に絡ませます。何もない中層の一定レンジを泳がせるのではなく、常に何かに絡めて引く繊細なワーミング・クランキングです」
福島選手が意識したのが「優しく、軟らかいタッチ感」。リアクションの釣りというと高速巻きなどをイメージしがちですが、福島選手が意識した食わせのキッカケはハードベイトによる硬い水押しとアクションの緩急やハングオフによるもの。リーリングはスローが基本です。
福島「グリグリっと巻くのは潜らせる最初の数巻きくらい。ボトムにタッチしてからはリーリングスピードを緩め、ルアーより前に障害物にタッチするラインの抵抗を感じて根掛かりに備えます。この事前の察知がとても重要。ハードタッチになりすぎるようだったらロッドを立ててレンジをコントロールし、高さのある何かを感じたらストップして回避。場合によってはポンプリトリーブのようにロッドでスローにさびいて障害物をクリアしたりも。とにかくロッドワークとリーリング速度をせわしなく調整し、軟らかいタッチ感で障害物を舐めるようにクリアしてきます」
性質上、根掛かりが付き物の釣りですが、実はそれこそが食わせのチャンスでもあります。軽くスタックした際は外れた瞬間のアクションがバイトトリガ―になるので、「バシッ」と強くロッドを煽ることはせず(ルアーが飛んで障害物から離れてしまう)、ごく軽くラインを弾いて「プルンッ」とルアーが外れることを意識します。
福島「とにかく神経を削る釣りです。この釣りを完遂するには、タックルバランスが不可欠。僕の場合は自分が監修したFACTの低弾性カーボンを愛用しています」
しかし、本番前からのポカポカ陽気で再び水温が上昇し、福島選手が思い描いていたクランキンゲームは不発に。利根川ではリーダーレスダウンショットによるアシ撃ちをメインにしますが、無念のノーフィッシュで2日間を終えました。しかし、同船したプレスアングラーのメモにはこうありました。
「2日間を通して自分のスタイルを崩さず、クランクとリーダーレスダウンショットを貫いた。そこには経験に裏付けられたルアーへの信頼を感じ、なによりデコを恐れない福島健という漢(おとこ)の姿を見た」
[タックル]
■フラップクロー4in用
ロッド:ファクトHFAC-70HST(エバーグリーン)
リール:スティーズ SV TW 1012SV-XH(ダイワ)※ZPIチューン
ライン:バスザイル マジックハードR 14Lb(エバーグリーン)
■ワイルドハンチ用
ロッド:ファクトHFAC-66ML
リール:スティーズ SV TW 1016SV-H(ダイワ)※ZPIチューン
ライン:バスザイル マジックハードR 14Lb(エバーグリーン)
福島選手のフットステップ
DAY1
▼スタート前~直後
フライトは16番。デッキの上にはタックルが一本も乗っていない。
「もう絞り込みは済んでいる。ほかのタックルがあると邪魔になるだけ」
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▼利根川・栄橋
6:55
鉄柱が並び立つエリア。ここで、ストレージからタックルを1本取り出す。ツインテールリンガー4.7inのネコリグで釣り開始。ゴミだまりはスモラバ(C-4ジグにフラップクロー3.3in)で丁寧に撃つ。
7:35
ネコリグで岸のテトラを流していく。途中、ネイルシンカーのウエイトを3.5gから2.7gへ変え、誘うスピードを少し落とす。
7:57
ひと通り撃つもバスからの反応がないため、常陸利根川へ移動開始。
「プラでは利根川上流でもバスからの反応があったけど……」
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▼利根川・小見川閘門
8:36
閘門が空くまで門回りをワイルドハンチを巻く。門が空いたところで河辺選手も閘門に到着。
「開けておきました(笑)」と冗談を言いながらしばし談笑。
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▼外浪逆浦
8:57
外浪逆浦と常陸利根川の合流地点。ワイルドハンチでヘラ台跡の鉄パイプをタイトに巻いてくる。その後もクランクベイト(ワイルドハンチとクラフト)を使い、護岸やゴロタ、ヘラ台跡を巻きながら流す。
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▼北利根川・潮来大橋
10:29~10:36
千葉県側のヘラ台跡を流していると、ワイルドハンチの着水後すぐにバイトが。しかし、残念ながらフックアウト。
12:14
午前中、巻きの釣りをやり切り、利根川へ戻るため移動開始。小見川閘門が開くまで、閘門付近をワイルドハンチで巻いていると鯉のスレがかり。
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▼利根川最下流域
12:36
利根川へ到着。阿玉川から利根川河口堰間にかけてのアシをフラップクロー4inのリーダーレスダウンショットリグで丁寧にかつスピーディーに撃っていく。
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▼利根川・水の郷さわら付近
13:30
会場の近くにある鉄柱をネコリグで誘うもアタリなし。
13:55
ストップフィッシング。
DAY2
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▼スタート前~直後
フライトは9番。
「今日は常陸利根川でのクランキングがメインです。小見川閘門が使いたいので、スタートからエンジン全開でいきます」
小見川閘門を使えるか、下流の萩原閘門になるかで釣りに避ける時間が大きく変わる(一度に閘門を通過できるのは6艇まで)。小見川閘門を使うには9番スタートでは厳しいが、スタート前からエンジンを温め、出艇と同時にフルスロットルで小見川閘門へ行けるよう準備を怠らない。
スタート後、2選手が利根川上流へ向かう。これにより前を走る選手は6名。小見川閘門を使うには最低1名を抜かさなくてはならない。宣言通り、スタートからフルスロットルで飛ばし江口選手をパス。その後、三原選手が閘門への水路を間違えるハプニングもあり、小見川閘門へは5番目に到着。無事、小見川閘門利用を勝ち取った。先に閘門についていたのは赤羽選手、橋本選手、千葉選手、青木選手、そして後から到着の三原選手。6名でしばし談笑。
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▼外浪逆浦
6:30
外浪逆浦と常陸利根川の合流地点に点在するヘラ台に到着。
「水が少ないな……」
ヘラ台跡の鉄パイプに一瞬だけクランクを当て、食わせの間を与える巻きで丁寧に攻めていくと、ワイルドハンチにヒット。サオが大きく曲がり、水面が爆発するが……残念ながらその正体は推定1800gのシーバス。
「朝イチ魚に触れたことは(精神的に)大きい。手が魚臭いのはいいことだが、バスが触りたい(笑)」
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▼北利根川
7:15
昨日アタリがあったヘラ台跡近辺からワイルドハンチを巻き、流す。
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▼外浪逆浦
8:49
外浪逆浦と常陸利根川の合流地点までひと通り流す。外浪逆浦と与田浦の合流地点付近で弱ったナマズのスレがかり。
「こういう弱った魚が掛かるってことは、魚の活性が低いな……」
ここで巻きの釣りを止め、利根川へ戻ることを決断。
9:10
閘門が開くまでプレスアングラーがクランクのカラーについて質問する。
「使用するクランクのカラーでザリ系カラーが多いのは一番信頼がおけるから」
ザリ系カラーのみがぎっしり詰まったクランクボックスをボートに積んでいる。
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▼利根川最下流
9:28
昨日と同じく、阿玉川から利根川河口堰間にあるアシをリーダーレスダウンショットで丁寧にかつスピーディーに撃っていく。ねらうのはアシ際にできたエグレ。この釣りをひたすら12時まで続ける。あまりにも浅すぎるところと釣れた記憶がない場所はスキップし、要所を効率的に攻めていく。
11:13
待望のアタリがあったものの、食いが浅く、フックが刺さらず。
12:00
小見川大橋の先にある、1本ポツンとあるレイダウンへ。
「周辺はプアだが、ここだけ釣れる要素が集まっている。バスがいるなら必ず釣れる場所」
しかし、ここでもバイトはなし。
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▼利根川・万世排水機場
12:13
残り時間の兼ね合いから移動。利根川・万世排水機場の下流にある杭、下流側のアシやレイダウンをリーダーレスダウンショットで撃つ。
13:14
タイムアップの瞬間までクランクベイト、リーダーレスダウンショットリグ、ここぞというところにはネコリグを投入し、1尾を絞り出しにかかる。
13:20
ストップフィッシング。
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Basser Allstar Classic2022 最終成績表