滑りやすい素材のPEラインとリーダーの結束は、初心者アングラーを悩ませる要因の一つだ。今回は釣り歴50年以上の丸橋英三さんと平井覚さんに、実際に結んでいただいたノットの強度を測定。中でもおすすめのノットを紹介する。

まとめ◎つり人編集部
1946年創刊の日本最古の総合釣り雑誌。海・淡水問わず、四季折々の多彩な釣り物を紹介し、初心者からベテランまで幅広い読者に愛読されています。確かな情報と美しい写真で、釣りの奥深さを伝え続けています。
目次
PEラインとリーダーの結び方おすすめ5選
実験で強度を測定したのは、結束強度に定評のある町屋ノット、ノーネームノット、FGノット、PRノットの4種類(PE1.5号×フロロカーボン3号)。
FGノットとPRノットは5回の測定すべてで結束部ではなくリーダー本線から破断し、結び目は最後まで耐え抜く強さを見せた。一方、町屋ノットは高強度ながら強度にややばらつきが見られ、ノーネームノットは結束部をコンパクトに抑えられる反面、4種の中では最も低い数値にとどまる結果となった。
とはいえ、ノット選びの基準は結束強度だけにとどまらない。PRノットは専用のボビンノッターを要し、町屋ノットは現場で素早く結べる反面、コブが大きくなりやすいデメリットを抱える。ノーネームノットは今回の実験値こそ控えめだったものの、結び目が小さくロッドガイドの抜けが抜群によいため、エギングアングラーを中心に根強い支持を集める。
今回はこの4種に、細番手PEと相性がよく十分な強度も引き出せる編集部おすすめの「SFノット」を加えた計5種の結び方を、図解と詳細な手順で分かりやすく解説していく。
なお、各ノットの破断強度実測値やふたりによる詳細な考察は、後半の「強い結びは? 強度実験の結果」にまとめている。
町屋ノット(変形オルブライトノット)
「町屋ノット」は太さや質の違うライン同士を結ぶのに適した結びで、結束強度も非常に強い。ただし、太い側の釣り糸を折り返し、そこに細い側の釣り糸を巻き付けるので、接続部はやや太くなるのが弱点だ。そのため、沖釣りファンの間で愛用者の多い結び方。
オルブライトノットの変形で、オルブライトノットにハーフヒッチを加えて強度を上げている。

- リーダーの先端を15cmほど2つ折りにする
- 先端の輪の中へミチイトを通す
- ミチイトは20~30cm通しておく
- ミチイトを2重になったリーダーの向こう側から手前に回しかける
- 10回ミチイトを回しかける
- 巻き終わりを爪を立てるようにして押さえ、今度は先糸の輪に向かって密に巻き戻す
- ミチイトを2重になったリーダーの向こう側から手前に回しかける
- ここまで10回巻き戻す
- ミチイトの端をリーダーの輪の中へ、本線とは逆の方向に通す
- このように通っていればOK
- ミチイトの本線と端を合わせて持ち、ゆっくり引いてリーダーの輪を絞る。この時左手で重ね巻きした部分を押し込むと形が崩れない
- この状態にしてからミチイトとリーダーを強く引く
- ミチイトの余りで本線を8~10回編み込む
- ミチイト、リーダーの余りをカットして完成
SFノット
エギングやシーバス、タイラバなど、細めのPEラインを使う釣りに適した「SFノット」。ガイド抜けのよさと結びやすさを両立した、摩擦系ノットの草分け的存在だ。
最大の特徴は、FGノットと同様の編み込みを行った後、最後にユニノットで仕上げる点にある。このひと手間ですっぽ抜けのリスクが減り、素早い結束が可能になる。十分な強度を誇る一方、FGノットに比べれば結び目のコブがやや大きくなる弱点がある。


- ショックリーダーにPEラインを、10回前後編み付ける(図の1〜4)
- ショックリーダーで、PEラインの本線と先端部を3回ユニノットで巻き付ける
- 2本のPEラインとショックリーダーを引っ張って、編み付けを締める
- ショックリーダーとPEラインの余分をカットして完成
ノーネームノット
エギングやアジング、メバリングなどでPEとリーダーの結束で愛用者が多い。結び目が小さくキャスト時にガイドが引っ掛かりにくいのがメリット。ただし、しっかりと締め込まないと、結束強度にバラツキが出やすいので注意が必要。

- リーダーで8の字を作る
- リーダーの根元部が8の字の下側から出ているのでPEも同様に下側から入れてさらに下側に抜く
- PEをリーダーに巻き付けて15回目にハーフヒッチで仮止め
- ハーフヒッチをしたPEを軽く締める
- PEをリール側に向かって最初のPEの上に14回巻き付ける
- 2と同じ方向へ逆からPEを通す。リーダーの根本側は3本になる
- リーダーの8の字を先に締める
- リーダーの根元部を口にくわえ、PE2本とリーダーの先端部の3方向を締める
- メインのPEとリーダーを束ね、PEの先端部を左右交互に4回編み付ける
- リーダーの根元部の余分をカット
- メインのPEの先端部にPEを左右交互に4回編み付ける
- PEの余分をカットして完成
FGノット
PE(メインライン)とリーダーの結束では最も愛用者が多いといわれる。リーダーにPEを編み付けて締め込む摩擦系ノットのひとつ。

- リーダーにPEを最低7セット最高で20セット編み込んでいく。厳密には編み付けというより交互上下に巻き込むようなイメージ。編み付け部分をしっかり指でつまんでPEラインを下に押し込むように引いて締める
- リーダー先端を少し引き出しPE本線と合わせて2本一緒にPEの端糸でハーフヒッチで止める
- リーダー本線とPE本線をゆっくりと引き、編み付け部分を締める
- リーダーの先端にPEを沿わせ、PEの端糸でハーフヒッチを5~10回行なう
- リーダーの端を2~3mm残してカットし、ライターなどで焼き玉を作る
- PE本線にハーフヒッチを5~6回行ない、最後にエンドノット(PRノット7.参照)をしてから端糸をカットして完成
PRノット
丸橋さんいわく専用のノッター(結び器具)を使わなければできないが、これほど高い平均強度を得られるPEの結びはないという。構造は単純でリーダーにPEを巻き付けて折り返してからも巻き付け、ハーフヒッチで仕上げる。ボビンノットと言う人もいる。

- リールに巻いたPEの先端をノッターに通し、ボビンに10回程度巻き付ける。抜けないように調整
- ノッターはリーダーから離れるとテンションが均一にかかりにくい。ラインに密着するようなぐあいに調整
- PEラインを下から手前に向けて回転させながら巻き付けていく
- 左側に7~10cm巻き付けたPEを右側に巻き重ねる。なによりも密に巻き付けるのが大事だ
- 巻き付け幅は長いほど抜けにくく高い強度を得られるが、長すぎるとキャスト時に支障がある
- リーダーの端糸とPE(メインライン)を重ねてハーフヒッチを4回程度行ない、余分なリーダーをカットして焼き玉を作る
- メインラインにPEの端糸をハーフヒッチで5~6回行ない、最後にエンドノットをしてから余分な糸をカットして完成
強い結びは? 強度実験の結果
PE同士の結びに始まり、PE1.5号にリーダーとしてフロロカーボン3号を結束。町屋ノット、ノーネームノット、FGノット、PRノットと強度を測定した。

――平井さんはPEに縁がないとおっしゃっていましたね。
平井PEはパスです(笑)。なにしろ滑る素材の糸で非常にややこしい結びが多いでしょう。船釣りもルアーも私はやりませんから正直に言って縁がない。
丸橋ほんとに結びが滑るんだよなあ。
PE同士の結びは滑ってほどける
――今回は試しにPE同士を結んでいただきました。まれにですが船釣りでは高切れした糸を補充する時や、投げ釣りではチカライトのPEとミチイトのPEを結ぶ時に使います。図Gがそうですが……。

丸橋見事に途中で抜けたでしょう。前にも試したことがあって、どんな結びをしても抜けてしまう。今回は「ブラッドノット」と、ナイロンとフロロの結びで強度の高かった「三原結び」の2つの結びを試していますが、どちらも結んだ両端の端糸に2重のコブを作りました。やはり、案の定結び目はすぐにほどける。コブに引っ掛かって少し持ちこたえるけど、やがては抜ける。PEは糸に弾力があるというか、潰れても戻るんです。だから結束しきれない。
――なるほど。投げ釣りのエキスパートに聞いたのですが、根掛かりが外れない時は、チカライトから抜けたほうがいいといっていました。高切れするとミチイトの損失が大きい。なにしろ飛距離を出しますからね。投げる時はチカライトの結び目はリールの中に巻きこんであり負荷が掛かりにくいんです。どんな結びをしているかというと、電車結びの人が多いようです。抜けにくくするため細いミチイト側の巻き数は多いみたいですけどね。
実験に使ったPEとリーダー
――次にPEとリーダーの結束結果。図Hです。
丸橋船釣り、ルアー釣りに革命を起こした糸がPEです。強度はすごい。今回実験した糸はバリバスの「アバニジギングパワーブレイドPE X8」。1.5号で30ポンド。約13kgの強度に耐えられます。ちなみにリーダーに使ったフロロカーボン3号(ハードトップ磯プレミアムハリス)の強度を測ると、約6kg。バランスの悪い組み合わせですが、結束強度を測る分にはいいでしょう。
町屋ノットとノーネームノットは結び方で強さが変わる
――まず試したのが町屋ノットです。非常にシンプルで作りやすい結びですけど、実験結果は強いですよね。
丸橋これはオルブライトノットの変形ですね。太さや質の違うライン同士を結ぶのに適した結びで非常に強い。町屋ノットは初めて結んでみたけどね、誰もがどこでも結びやすいし、とてもいい。巻き数は上10回、下10回。この巻き数を多くするとPEが締まりきらずに弱くなるかもしれないけどこの回数で充分でしょう。リーダーを折り返しているだけだからPE本線は潰れにくいし抜けにくい。納得の強度が出ましたね。
――ただしリーダーを折り返すことによって、その部分が分厚くなります。結び目を巻きこんでキャスティングするとガイドに引っ掛かるのが難点。その点ノーネームノットは結び目が小さく、エギングファンをはじめ多くの人が愛用する結びです。
丸橋僕が慣れていない結びということもあるけど、安定した強さが出にくい印象は受けました。ちゃんとPEの色が変わるまで締めきらないとリーダーの8の字部分に負荷がかかる。結び目の中で切れることが多かったよね。
FGノットとPRノットは安定して強い
――ノーネームノットは標準偏差にバラつきがあります。その点FGノット、PRノットは安定して強い。
丸橋PRノットは完璧だね。ノッターを使わないとできない結びだけど、誰もがこの器具を使えば、大抵100%の強度が出る。多少巻き方が雑でもかなりイイ線いく。いまのところ最強のPE結びだと思います。注意すべきはリーダーにPEを巻き付ける長さ。これが短いと抜けちゃう。今回は最初に2cmの長さを巻き付けたけどリーダーから抜けちゃって測定不能。最低7cm以上の巻き付けが必要です。
――試した4つの結びのうち、FGとPRは5回ともすべてリーダーから切れましたね。100%強度でしたが、FGのほうが若干弱い数値が出ました。ちなみにルアーマンの間では、PRは巻き付け部分が長いのでガイドに引っ掛かりやすくキャスティングには向かないという人もいます。キャスティングはFG、船下のジギングなどバーチカルな釣りはPRというぐあいに使い分けているそうです。
号数は糸の太さ(PEは重さ)、ポンド(lb)は強さの表示
ラインの表示には「号数」と「ポンド(lb)」の2種類がある。同じ糸に両方が書かれていることも多いが、表しているものは違う。
| 表示 | 表しているもの | 例 |
|---|---|---|
| 号数(ナイロン・フロロ) | 太さ。1号の糸の断面積の何倍か | 3号は直径約0.285mm |
| 号数(PE) | 重さ。9000mあたり何gか(1号=200デニール) | 1号は9000mで200g |
| ポンド(lb) | 強さ。何kgの負荷で切れるか | 4lbは約1.8kgで切れる |
ナイロンやフロロカーボンの号数は、直径0.165mmの糸(1号)の断面積0.021382mm²を基準に、断面積がその何倍に相当するかを表わしている。つまり、糸の断面積の倍数表示と考えればよい。たとえば3号であれば、断面積は0.021382×3=0.064147mm²。糸の直径に直すと約0.285mmになる。
PEラインの号数は太さではなく重さが基準で、1号は200デニール(9000mで200g)。同じ号数でも、メーカーや編み本数によって強さは変わる。
ポンドとはラインを強さで表す指標。1ポンドは453.592g。4ポンド(lb)と記されているラインは、だいたい1.8kgまで引っ張られると切れる。どのクラスの魚をねらうのかを定めてラインを選定するので、分かりやすいといえる。強度実験で使ったPE1.5号は30lb表示で、約13kgの強度があった。
ハーフヒッチは強度を落とさない。仕上げは濡らしてソフトに
PEとリーダーの結束にはすっぽ抜け防止でPE本線にハーフヒッチを行ない仕上げる結びが多い。しかしこの工程がPEの強度低下につながるのではないかと編集部では気になった。
特にハーフヒッチを結び目に寄せる時は、ヘタをするとPE間に摩擦が起きやすい。そこで、FGノットの最後の仕上げで実験!
PE本線のハーフヒッチを0回、5回、10回というぐあいに結び分けてみたところ、いずれも強度は変わらなかった。
「PE本線に巻き付けるハーフヒッチは引っ張られた時に絞り込まれる結びではありません。摩擦を恐れるなら、濡らしてから締めること。締めるというよりも、結び目に寄せるくらいの力加減でソフトに行なうといいでしょう。実験では強度が変わりませんでしたが、最後に本線にハーフヒッチをして仕上げないと、魚が暴れた時にリーダーの端糸が本線に擦れると思います。それが原因で切れることもあるでしょう」と丸橋さん。
PEに結びコブができると強度は半分以下に
エギングやジギングなど、フケ(ラインスラッグ)を利用してルアーや餌木を跳ね上げる釣りでは、PEに結び目ができることがある。これができると果たして強度が落ちるのか。

試したのはブラッド・ドロッパー・ループ(ドウヅキ仕掛けで枝スを結ぶために作るチチワ結び)。この結びでコブを作ったPEと、コブをほどいた後のPEの強度を測った。
もとの強さが約13kgの負荷に耐えられるPEが、コブができると約5kgまで落ちる。コブをほどいた糸も約6kgの強度しか出なかった。
「PEは結ぶと強さが半減するといわれています。結びコブができるとやはり半分以下の強度しか出なくなる。もっとも、知らぬ間にできる結びコブがどんな構造なのかによっても強度は変わります。この数値はあくまで参考程度」
ほどいても強さは戻らないので、釣りの途中でコブを見つけたら、その部分は切り捨てて結び直したい。
※この記事は『つり人』2017年2月号に掲載したものを情報更新・再編集しています。
・第1回 ハリと釣り糸の結び方&釣り糸とリング(金具)の結び方編
・第2回 釣り糸と釣り糸の結び方編
・第3回 PEラインとリーダーの結び方編

