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編集部2022年12月3日

【バサクラから学ぶ】伊藤巧選手/濁りで使い分けるサンカクティーサンとエスケープチビツイン

ブラックバス Basser バス釣り BasserAllstarClassic2022

2日間を通して利根川をメインエリアに戦った伊藤巧選手。カレントが出始めるタイミングを予想し、時合は昼前だと読んでいました。

オカッパリ&レンタルボートでも真似できる出場選手のメインパターン

2022年10月29~30日にかけて利根川・霞ヶ浦水系で行われたBasser Allstar Classic2022。トーナメントの釣りには、オカッパリやレンタルボートの釣りに生かせるヒントが詰まっています。今回は伊藤巧選手の釣りを紹介します。

◎まとめ:編集部 ◎写真とフットステップレポート:DAY1プレス/金澤一嘉 DAY2プレス/木内武雄

伊藤巧選手のプロフィール

itotakumi

伊藤 巧(いとう・たくみ)

1987年生まれ

主な戦歴:

主な戦歴:

2015年 H-1グランプリAOY

2016年 TBCトーナメントAOY

2018年 TBCトーナメント第5戦優勝、TBCクラシック優勝

2021年 バスマスターエリートシリーズ セントローレンスリバー戦優勝

2022年 バスマスタークラシック レイク・ハートウェル戦7位 

 

ルアーの使い分けと、久しぶりの日本のトーナメントで感じたこと

伊藤巧選手のメインルアー

■サンカクティーサン(ノリーズ)

+インフィニ #1/0(リューギ)

+DSヘビーデルタ TG 1/4oz(リューギ)

+グラブガード(ゲーリーインターナショナル)

+テキサスロック L-1 M(デコイ)

itou_lure (2)-1

 

■エスケープチビツイン(ノリーズ)

+ダブルエッジ #1/0(リューギ)

+DSデルタ TG 3/16oz(リューギ)

+キャロダンスイベル ライト(リューギ)

itou_lure (1)-1

 2019年よりアメリカのトーナメント「バスマスターエリート」で活躍している伊藤巧選手。Basser Allstar Classicには2018年大会ぶりの出場となりました。アメリカで揉まれている伊藤選手が、日本でどのような釣りを展開するのかが注目されましたが、本人には葛藤があったといいます。それは日本の釣りの繊細さに対する葛藤でした。魚がいる場所にはたどり着けるのに、魚に口を使わせるのが難しくなったといいます。

伊藤「利根川・霞水系はサイズ感だけでいえば2日半あれば回れる規模感のフィールドです。けれど魚からの答えが返ってこないからなかなかエリアが狭まらない。魚が薄いというのもあるかもしれませんが、それよりも僕がバスを釣りこぼしてしまっているような気がしました。アプローチやルアーセレクトなど、日本のバスを釣るための繊細さが、良くも悪くも失われてしまっていると感じました」

 その代わり、アメリカで得たものもあると伊藤選手は話します。それは魚を探すスピードです。アメリカで戦っていく中で、これまで培ってきた経験値と感覚的な部分をうまくミックスできるようになったと感じている伊藤選手。その日、その場の状況を瞬間的・即興的に判断できるようになったといいます。それでは実際に、伊藤選手がどのように魚を探したのか、初日のプランから見てみましょう。

伊藤「大会数日前の利根川の水位の動きを見ると、夜間に一気に水位を下げる操作をしていました。朝は最低水位になり、日中から夕方に向けてだんだんと水位が上がっていたのですが、日中の昼前に1時間ほど堰を開けて水位を下げていたので、この時間帯がチャンスだと考えました。河口堰を開けると、流れが加速する動きが、下流から上流に向かってゆっくりと伝わります。10~11時くらいに佐原エリアが流れ始めたら、流れ始め(時合)を追いかけるように若草大橋エリアまで釣り上がってキロクラスを3本釣る作戦でした」

 初日、伊藤選手は8時15分と9時3分にバスをキャッチしています。本命ではない時間帯で、どのように魚にたどりついたのでしょうか。

伊藤「下流域に流れが出ない時間帯(実際にバスをキャッチした時間帯)は、流れを求めて上流方面を探りました。水位が低く岸際のブッシュは干上がっていたので、消波ブロック帯のような水深がキープできるエリアを中心に回りました」

 伊藤選手によると、今回釣った2尾の魚はそれぞれ性質の違う魚だといいます。

伊藤「1尾目に釣ったのは『留まっている魚』。釣った場所は三連水門の消波ブロック帯の穴です。水温が下がっていたので、消波ブロック帯に入っている魚をねらい、穴撃ちをして1尾目をキャッチしました。ですが水が悪かったので、このスポットには新しく差してくる魚はいないだろうと判断して、粘らずに移動しました。2尾目は『タイミングで差す魚』。釣った場所は若草大橋周辺の消波ブロック帯の沖にあるオダです。流れが当たるストレッチで雰囲気がよく、この魚こそ僕が見つけたかった魚でした」

 伊藤選手が2尾目を釣ったのは、『1200%釣れる』とプレスアングラーにコメントを残した数分後のこと。魚が差してくるタイミングを捉えて釣った1尾でした。

伊藤「その後昼になっても河口堰は閉じたままで、期待していた下流域のカレントは発生しませんでしたが、状況を判断してタイミングを読んでいったことが2尾のキャッチにつながったと思います」

 この日、伊藤選手が使っていたのはサンカクティーサンの7gネコリグとエスケープチビツインの5gヘビーダウンショットでした。どのように使い分けていたのでしょうか。

伊藤「主にシルエットの強弱で使い分けました。濁っているエリアでは水押しの強いサンカクティーサン、そこまで濁っていない場所やエビが見えるエリアではエスケープチビツインのヘビダンを使いました。サンカクティーサンには7gのダウンショットシンカーを入れて、テキサスリグを撃っている感覚で消波ブロックの穴を撃ちました。ヘビダンは5gを中心に、根がかりづらいオープンな場所では7gを使いました。キャスト数を増やし、スピーディーに穴を探っていくために重めのシンカーをセレクトしています。また、消波ブロック帯の穴撃ちをするときに気を付けているのが穴の色です。晴れているときは、よりシェードの中にバスが入ります。消波ブロックが重なって影が濃くなっている場所を重点的に探るようにしています」

 

[タックル]

ito_takumi_day1 (3)

■サンカクティーサン ネコリグ用

ロッド:ロードランナー ストラクチャーNXS STN670MH-St(ノリーズ)

リール:アルデバラン BFS XG LEFT(シマノ)

ライン:R18フロロリミテッドハードバス 12Lb(シーガー)

■エスケープチビツイン ヘビーダウンショットリグ用

ロッド:ロードランナー ストラクチャーNXS STN650M(ノリーズ)

リール:アルデバラン BFS XG LEFT(シマノ)

ライン:R18フロロリミテッド 10Lb(シーガー)

伊藤巧選手のフットステップ

DAY1

_____

▼スタート前~直後

「いつもアメリカで戦っているとおりに魚を探していこうかと思います」とランチングインタビューでコメント。

DSC_1999

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手の甲に「佐原10時~11時」、「北総12時くらい」とマジックでメモ

 

_____

▼利根川

6:30

水郷大橋、南岸の消波ブロック帯

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DSC_2057

サンカクティーサンのネコリグで誘う。消波ブロックの穴の隙間に沈めて、4~10回シェイクしてから再びフォールさせる釣り方。水位が相当低い。

6:44

ルアー回収時、表層を高速で動くサンカクティーサンを魚が追ってきて水面が割れた。

「食ってくれよ~」

7:23

ギャップジグ+ポークでジグスト。浅場でエビが跳ねる。

「流れが出る10時過ぎからがチャンス。ゾクゾクする展開」

7:39

常総大橋付近。北岸の消波ブロック帯

サンカクティーサンのネコリグで穴撃ち。水位が低くても食うバスを探す。穴に入れて10秒くらいシェイク。ネコリグのシンカーは穴に入れるときは7g、ラインはPE+太いロングリーダー。消波ブロック帯の沖側のエッジを探る場合にはシンカー3.5~5g。ラインはフロロカーボン。

「水位が低くても、この消波ブロック帯からはバスが外に出ない。絶対中にいる」

7:55

長門川合流地点よりも下流、千葉側にある消波ブロック帯

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サンカクティーサンのネコリグやエスケープチビツインの5gダウンショットリグで誘う。穴に入れてシェイクする釣りはネコリグを使い、穴を探りつつも横に引きたいときはダウンショットリグを使う。

「流れがない時間帯は、ノリや雰囲気を大事にしてエリア選びを展開する。フィーリング、オープンマインド、キープルッキング、チャレンジ、ビリーブマイセルフです!」

8:15

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1尾目キャッチ。1130g。エスケープチビツインの5gダウンショットリグを岸寄りの穴に入れてバイトが出た。潜られたが、ロッドを曲げたまま数秒待って、ロッドのトルクでバスを上に引き出した。ロッドをグイグイあおるとラインが消波ブロックにこすれて切れてしまう。それなので、しっかり曲げた状態で待つのが正解。

8:27

長門川河口の上流、千葉側にある4列の水制杭

一番上流の列に入る。サンカクティーサンの3.5gネコリグ。杭に絡む水中のカバーをふわりと誘いたいのでシンカーを軽くした。エスケープチビツインの7gダウンショットリグで水制杭の土台の石積みや沈んでいる木を探る。

8:41

若草大橋周辺、北岸の消波ブロック帯

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「流れてるじゃん! 朝は上流に行くほど、夜間の流れがまだ残っている。上流熱いのかも!」

消波ブロック帯の沖側のエッジにエスケープチビツインの5gダウンショットリグをフォールさせて、底でスイミング。

「1200%いる」

 

8:56

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2尾目キャッチ。710g。消波ブロック帯の沖に沈んでいる木をエスケープチビツインのダウンショットリグで探ってバイト。

「アイハブアペン!」

「釣れた。やりたい場所しか思いつかない!」

9:04

若草大橋北岸の消波ブロック帯から、上流の水制杭に釣り進む。ギャップジグ+ポークのジグストで中層スイミング。茨城県側のほうが水がいい。陸上では季節外れにアマガエルが泣いているほど暖かい。

9:43

さらに上流、カモ撃ち小屋の上流。水中にゴロタ石が多数あるエリア。ブッシュをカメラバ、パワーフィネスで探る。ギャップジグ+ポークで探る。

10:45

佐原、会場対岸の消波ブロック帯

ito_takumi_day1 (25)

流れを発生するタイミングをつかむために下流に移動。サンカクティーサンのネコリグで穴撃ち。

「ここで釣りをしていれば、流れの出始めに気付く。流れ待ちです」

11:45

津宮の消波ブロック帯

なぜか流れが発生しない。

11:30

水郷大橋・千葉県側の消波ブロック帯

「流れはまだ?」

ルアー回収時、表層を高速で引いたサンカクティーサンをバスがハイスピードで追ってきた。この現象、本日2回目。

11:59

神崎大橋の下流、千葉県側

水制の杭をエスケープツインの7gテキサスで誘う。

11:59

杭と杭の間をズル引きしてバイトが出るが掛からず。

12:23

神崎大橋上流、千葉県側

沈んでいる木をエスケープチビツインのダウンショットリグ、サンカクティーサンのネコリグで誘う。

12:36

神崎大橋の下流、千葉県側

水制の杭があるエリアに入り直す。

「待っていても流れが発生しないので、上流に行きたいけれど時間がない」

12:55

神崎大橋下流・消波ブロック帯

沈んでいる消波ブロックの隙間をサンカクティーサンのネコリグで探る。

「もう1本釣るぞ。エサを食べているバスはどこかに必ずいる」

13:03

消波ブロック帯の穴でエスケープチビツインのダウンショットリグにバイト。穴の奥で暴れられてバラシ。掛けきれなかった。

13:09

ito_takumi_day1 (26)

沈んでいる消波ブロック帯をディーパーレンジ1/2ozで流す。そのあとサンカクティーサンのネコリグで流し直す。

13:33

水郷大橋、千葉県側の消波ブロック帯

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サンカクティーサンのネコリグで探る。

14:00

帰着。

「水位の変化を読み間違えた。今日は水を流さない日だった」


DAY2

▼スタート前~直後

ito_takumiday2 (1)

ランチングインタビューで、解説の秦拓馬さんと会話。

「アイハブアンアッポー。昨日はペン。アッポーペン!」 

「絶対釣ってきます」

スタート前に湖上でしっかりストレッチ。

「昨日は下流域から釣り始めたんですけど、今日は朝から上流行っちゃいます」

_____

▼利根川

6:25

長豊橋上流の消波ブロック帯

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エスケープチビツインの5gダウンショットで探る。

「水が悪くてバスが外の水を嫌っている。テトラの中の閉鎖された場所に入り込んでいるイメージ。今は居着きの魚をねらっているが、回ってくる魚を探すことができればベスト」

6:58

若草大橋下流の消波ブロック帯

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エスケープチビツインの5gダウンショットでヒットするも250gのノンキー。

7:35

若草大橋の少し上流

杭をエスケープチビツインのダウンショットリグで誘う。杭に絡むブッシュをカメラバ5g+スイッチオントレーラー、2.9inレッグワームの7gダウンショットリグ、サンカクティーサンの7gネコリグをローテーションさせて探る。

8:19

長門川合流地点下流・千葉側

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乱杭をギャップジグ+フレックスチャンク、エスケープチビツインのダウンショットリグ、カメラバで探る。

「いないな~」

9:06

若草大橋上流

エスケープチビツインのダウンショットリグ、レッグワームのダウンショットリグで誘う。

9:25

上流に移動。ギャップジグのジグスト、サンカクティーサンのネコリグ、エスケープチビツインのダウンショットリグ、カメラバをローテーション。

「どうしたらいいかな~」

9:56

若草大橋・千葉側

「水が流れていていい感じ、ここの水、とてもいいな」

10:10

長門川河口

エスケープチビツインのダウンショットリグ、カメラバ、2.9inレッグワームのダウンショットリグで探るがノーバイト。

10:25

朝イチに入った消波ブロック帯に入り直す。エスケープチビツインのダウンショットリグ、で探る。

10:49

尾羽根川に入るが小森選手とバッティングしたため移動。

10:54

常総大橋下流の消波ブロック帯

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サンカクティーサンのネコリグに使うシンカーを7→5gにチェンジ。

「より食わせを意識。よりゆっくり。バスは絶対にいると思う」

「初めてだなー、このデコり様は……」

11:25

神崎大橋下流の消波ブロック帯

沈んでいる消波ブロック帯をサンカクティーサンのネコリグや、ギャップジグのジグスト、エスケープチビツインのダウンショットリグで探る。

「お願いします。釣れてください」

「集中力を保たなければ。絶対に突破口が見つかるので」

11:50

会場対岸の消波ブロック帯

ボイル発生。スクーパーフロッグのダウンショットリグ、3inヤマセンコーのノーシンカーワッキー、エスケープチビツインのダウンショットリグで探る。

「いそうだなと思ったところにいたけど食わない。困ったな―絶対にいるのに」

12:20

津宮の消波ブロック帯

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エスケープチビツインのダウンショットリグ、サンカクティーサンのネコリグで探る。

13:25

ストップフィッシング。帰着へ向かう。

 

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Basser Allstar Classic2022 最終成績表

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