ネコリグの使い勝手を向上する名脇役
ネコリグの使い勝手を向上する名脇役
Basser編集部=文
ネコリグにチューブを使う理由
ネコリグをリグる際に使うチューブ。これまでは熱で収縮するものをワームに通し、それをライターなどであぶって使用する方法が多かったが、この「ワームプロテクトチューブ」は専用のアタッチメント「チューブプライヤー」を用いてワームに固定する(ラジオペンチで代用したり、やりづらくはなるが手でセットすることも可能)。内径3~7mmと細かいサイズ展開があるうえ伸縮性が高いので、幅広い太さのワームにびったりと合わせることができる。
ワームプロテクトチューブ
内径3~7mm までをラインナップ。伸縮性と強度に優れ、ワームのハリ持ちを格段によくしてくれる
そもそもネコリグになぜワームチューブが必要なのか。G7のプロスタッフである小森嗣彦さんに話を伺った。
「僕はネコリグを使う際、ほとんどの場合このチューブを使います。第一の理由はワームの脱落防止のためです。シンカーを挿入したワームはその重さゆえ飛んでいきやすくなりますから。
たとえば僕がよく使う4inカットテールワームの0.9gネコリグを例にとると、チューブなしではバスを平均1.5尾釣るとワームが飛んで行ってしまう感覚です。しかしチューブを付ければ、ワームが飛ばずに平均3~4尾は釣ることができ、使っているだけであれば1本のワームが一日中持つこともあります。この差は大きいです。
また、僕はフックのタイプにかかわらず、ネコリグのフックを縦刺しで使うことがほとんどです。なのでチューブを使った際、たとえばガード付きのマスバリは、チューブに1回刺して、ワームの部分から抜くようなセッティングになります。理由は2点あります。
まず、横刺しの場合はチューブにフックを刺し、ワームも通して最後にチューブから抜く。つまりフックがチューブを2回貫通することになります。これだとフックが強くホールドされてしまうので、フッキングの際にワームがズレにくくなってしまいます。
対して縦刺しはフックがチューブを一回しか貫通していないので、適度なホールド力と、フッキング時のワームのズレやすさが両立されているわけです。
もうひとつの理由は、縦刺しはフッキングの方向を選ばないということ。少し難しい説明になってしまいますが、横刺しはフックポイントが常に左右のどちらかに向いているので、その方向と反対にロッドを煽ったフッキングをするとすっぽ抜けてしまうことが多いのです。真上にフッキングしたくても、バスがワームを咥えて走ったとしたらその逆方向にロッドを煽ってフッキングするしかないので、その場合1/2の確率に賭けるしかなくなってしまいます。縦刺しであればどのフッキング方向でもハリ先がバスの口内に触れてくれる可能性が高いです」
ねじ込み式シンカーの利点
G7から発売されているタングステン製ネイルシンカー2種は、どちらもワームに押し込むタイプではなく、回すことでねじ込んでいくスクリュー式。市場には脱落防止のために突起などが付いたデザインのネイルシンカーが数多くあるが、その点においては刺す工程でワームの素材を痛めにくいねじ込み式のタイプが有利だ。小森さんはどのようなときにねじ込み式のネイルシンカーを使うのか。
タングステンスクリューシンカー
0.9~2.2gをラインナップ。重心が一点に集中しているので、ソフトスイムベイトのお腹側にセットして泳ぎを安定させるといった使い方も有効。また、ウエイトに対して長さが短いので、シュリンプ系の短いワームをネコリグとして使用する際にもアクションを妨げにくくなる
タングステンスクリューシンカー・ストレート
0.4 ~ 1.8 gをラインナップ。ねじ込み式で抜けづらく、ロングキャストやヘビーカバー撃ちに最適
「単純に、シンカーが抜けやすいシチュエーションです。たとえばシンカー自体が重めのとき、ロングキャストをするとき、濃いカバーを撃つときなどです。ねじ込み式を使うことのデメリットはほとんどありませんが、僕はトーナメントアングラーなので、試合時間は1秒でも無駄にできません。なので試合中にネコリグをリグり直すときは、刺すのに時間が掛からないタイプを選択することはあります。ストレートタイプのネイルシンカーはワームの内部に埋め込むことが多いですが、ボトム中心の誘いをするときは感度を上げるために先端を出しておきます。
ちなみに、ストレートタイプではなく、ヘッドにウエイトが集中したネジ形状のスクリューシンカーはネコリグ以外にも裏技的な使い道があります。それはシャッドテール系のソフトスイムベイトのアクションを安定させる使い方です。このようなタイプのワームをノーシンカーで使うとアクションが安定しづらいですが、お腹側にこのシンカーを挿入することで低重心化され泳ぎが非常に安定します。バランスの取れた刺し位置はワームやフックサイズによって変わってくるので、刺した後スイムチェックをしてベストな位置を探してください。スクリューシンカーはワームを傷めにくいので、何度も刺し直しができるのも魅力ですね」
●G7
最高峰のトーナメントの場でもたびたびウイニングルアーになるなど、近年カバーに潜むバスを脅かし続けている「カバーネコリグ」を特集。巻頭では折金一樹さんが笹川湖に挑みます。3.5~9inという幅広いワームサイズを使い分け次々バスをキャッチ。バスのコンディションとフィールド状況に応じたルアーローテンションが、ネコリグ用ルアーのサイズ選択の悩みを解消してくれます。
また、「カバーネコリグ道場」では、川村光大郎さんが編集部員を生徒に招き、自身が世に広めたスナッグレスネコリグの使いこなし術を徹底解説。「ネコリグが釣れる理由は『強いのに、弱いから』」という理論に基づき、川村さんの解説どおりの状況に合った攻めを展開できれば、その名のとおりカバーのバスを「根こそぎ」つることができるはずです。
また、今号は国内外のトーナメント情報も充実しています。JBTOP50では、早野剛史さんが勝利した開幕戦を詳報。試合の結果やテクニックだけでなく、早野さんが人生をかけて決断した河口湖から霞ヶ浦への移住と武者修行など、勝敗を決定づけた知られざるドラマに注目です。
バスマスタークラシックでは、ジョーダン・リーが2連覇という偉業を達成しました。アメリカで長年トーナメントの最前線を取材してきた雨貝健太郎さんをして「30年にひとりの天才」と言わしめるスーパールーキーの強さの秘密に迫ります。
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2018/05/03