トップウォーターブランド「フロッグプロダクツ」荒井さんに影響を受けた羽根モノルアーを伺いました。
先人に敬意を払い現代風にアレンジ
トップウォーターブランド「フロッグプロダクツ」荒井さんに影響を受けた羽根モノルアーを伺いました。
この記事は「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」を再編集しています
荒井謙太(あらい・けんた)
1965年生まれ。1996年にトップウォーターブランド「フロッグプロダクツ」を立ち上げ、以来、独自の世界観と斬新かつユニークなルアーをリリースし続ける
フロッグプロダクツ https://www.frog-ltd.com/
こちらの記事は 「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」に掲載されています。バスプロ、ルアービルダー、釣具店の方々が自信を持っておすすめするヘビロテルアーを忖度なしで大掲載!!!本当に釣れるルアー教えます↓↓↓
ジャージーワウとの運命的な出会い
1990年代後半、日本に第三次ブラックバスブームが巻き起こった。トーナメントアングラー、オカッパリ、トッパーなどさまざまな分野に分かれる中のひとつにビンテージタックルで楽しむスタイルが確立された。ヘドンのウッドプラグやオールドアンバサダーといえばピンとくるだろう。そんなオールドタックルやビンテージルアーブームの火付け役の一人である荒井謙太は、当時「フロッグ」というルアーショップを営んでいた。店頭に並ぶルアーの大半がビンテージで、とくにトップウォータープラグの品揃えは群を抜いていた。荒井は1990年代後半から2000年代初頭は月3〜4回のペースでアメリカまで買い付けに行っていたという。
ある日荒井は、彼のターニングポイントにもなるルアーに、ビンテージタックルオークション会場で出会った。ジャージーワウ。1928年にジム・ドナリーによって作られた、いわゆる羽根ものだ。
ドナリー/ジャージーワウ
1926年頃にジム・ドナリーが生み出した羽根ものの元祖。金属製の羽根が水をかくことでクロールするように動く、当時としてはかなり革新的なギミックを搭載していた
「羽根ものといわれるルアーで、当時有名だったのはヘドンのクレイジークローラーなんですが、ジャージーワウはその前身、いわば元祖クローラーベイトです。1995年か96年にフロリダかカリフォルニアのビンテージショーで見たのが最初ですね」
とても魚を釣る疑似餌には見えないジャンルではあるが、近年ではプロトーナメントでも用いるアングラーがいるほど不思議な威力を発揮するのが羽根ものである。1900年代初頭に作られた貴重なルアーだけに、たやすく入手することはできず、荒井は渡米するたびにジャージーワウの所有者に熱意を伝えた。「3回目か4回目にお会いした時にようやく首を縦に振ってくれたんです。ジャージーワウはアメリカでも文化遺産的ルアーだったので、安くなかったですけど、私にとってはそれ以上の価値がありました」
そう聞けばコレクターズアイテムのひとつとしてディスプレイすると考えるのが普通であるが、荒井の興味はそこにはなかった。
100年前に作られた羽根モノの動き
「およそ100年前に作られた羽根ものが、いったいどんな動きをするんだろうと思ったんですよね」
コレクターからすれば喉から手が出るほどほしいアイテムを、何と釣り場に持ち出し実際に投げたのである。
「これがビックリするほど動きがよかったんです。とくに泳ぎだしがよく、偶然かねらって作られたものかは分かりませんが、とても100年前に作られたものとは思えなかったです。実際、羽根ものは着水から1〜2m以内で魚が出ることが多いので、立ち上がりは非常に大事な部分です。このレスポンスのよさに影響を受けて自分でも羽根ものを作りたいと思うようになりました」
のちにクローラーの特許をジェームス・ヘドンがジム・ドナリーから買い取り、クレイジークローラーが誕生する。
そしてガンディー二へ
「クレイジークローラーも時代によっていろんなタイプがあるんですが、いちばんよいといわれていたのが#2100というファーストモデルです。自分で羽根ものを作ろうとすると、どうしても#2100に似通ってしまいましたね。やるからには100年前の先人が作ったものを継承しつつも釣果では超えるものを作りたかったんです。通常、羽根ものの羽根はだいたいボディー先端から3㎝、大きいものでは5〜6㎝の位置に羽根が付いているんですが、それだとやっぱりジャージーワウやクレイジークローラーになってしまうので、いろいろ試行錯誤した結果、思い切って頭に付けてみたんです」
フロッグプロダクツ/ガンディーニ
そして自身初めての羽根ものルアーとしてデビューしたのが、ご存じガンディーニだ。たしかにクローラー系ではあるが、羽根の位置が異なっているため別ジャンルのルアーにすら見える。
「羽根ものはとおり一辺倒になりがちなジャンルですが、ガンディーニは立ち上がりはもちろん、デザイン的にもオリジナリティーを発揮できたかな、と思ってます」
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