バスから見ても人間から見ても、摩訶不思議なルアー・クアッドフォーゼ。パーツをカットすれば4つのモードに変わり、小粒なのに水押しは強い。オカッパリの鬼・佐々木勝也さんが、ライブソナーで答え合わせをしながら煮詰めた1本の使いどころを聞いた。

解説◎佐々木勝也
文と写真◎Basser編集部 取材協力=ともゑボート
1988年岩手県出身。小学校からバス釣りをはじめ、高校時代にガッツリ取り組むようになり、大学時代に狂い始めた。2018年にバスプロで食っていくことを決意し、地元岩手から霞ヶ浦へ移住。年間釣行300日を超えることもある、霞ヶ浦水系を徹底的に釣り込むオカッパリのスペシャリスト。関東に移住してから初めて訪れたレンタルボートフィールドが三島湖だった。自身プロデュースのクアッドフォーゼも同湖から生まれた。
目次
オカッパリの鬼、ライブソナーに出会う
クアッドフォーゼの開発は佐々木さんにとってターニングポイントになるかもしれない。これまでプロデュースしてきたものはどれも佐々木さんの主軸であるオカッパリから生まれたルアーだった。ところがクアッドフォーゼは違う。ボートフィッシングでの使用も視野に入れた、というより、ボートの上で煮詰められたルアーだからだ。
佐々木「ボートをやりはじめて3年目。ようやくビギナーを脱したくらいです。僕(佐々木)のイメージにはあまりないかもしれませんが、クアッドフォーゼの開発にはライブソナーの存在が大きく関わっています。もともとは松本幸雄(以下:幸雄)さんにボートへ乗せてもらったとき、見ていて楽しいな~と思ったのが興味を持ったキッカケです。今もシューティングは得意じゃないし、使いこなせているとは言えません。でも、魚の反応を見て答え合わせをできるのが新鮮だったんです。オカッパリではそれができませんから」
答え合わせ、とは具体的にどういうことだろうか?
佐々木「たとえば刺してあるラバーの本数。最初のころはもっと本数が少なくて、見た目が寂しかった。逆に今度は本数を増やしすぎて動きにキレがなくなった。存在感とキレを両立するポイントがあります。それらはすべてバスの反応を見て決めました。ダメなときは追ってきても食わないから、とても単純です」
パーツをカットして変わる4つのモード
クアッドフォーゼの名前の由来は、数字の4を意味する「Quad(クアッド)」、それから変化・変身を意味する「Metamorphose(メタモルフォーゼ)」を組み合わせたものだ。名の通り、パッケージに入った状態からパーツをカットすることで4つのモードに変化する。この可変性も、最初からねらっていたのだそうだ。
佐々木「ライブソナーでバスの反応を見ていると、ちょっとした違いで思いがけないほど反応が変わることがあります。たとえば去年(2025年)の12月。ノーマルモードでは反応を示さないバスが、半分にカットしたハーフカットモードだと急に反応し、一発で食ったことがありました。バスの反応を見てその場でパッとイジれるルアー。この可変性はライブソナーを持つボートアングラーには大きいです。でもそのことはオカッパリにもちゃんとフィードバックされています。持ち運べる荷物が限られるオカッパリでは、モード別でほとんど4つの異なるルアーといってもいいクアッドフォーゼが1つのパッケージで済むのは大きいですね」
クアッドフォーゼはどのジャンルのルアー?インスピレーションと開発経緯
多少強引にくくると、この不思議なシェイプのクアッドフォーゼは、どのジャンルのルアーに大別されるのだろうか?
佐々木「しいて言うなら『エラストマーのラバー刺し』じゃないでしょうか? もっとも影響を受けたのは幸雄さんのキャンタ虫ですね。2024年の艇王でロクマルを釣ったり、すごい釣りを見つけたなと。そういったこともあって『エラストマー×ラバー』という当時の新しいジャンルに威力を感じていました。エラストマーには浮力があるから水押しが強いからだと思いますが、そういう理屈を抜きにしてもよく釣れました。
そうするとやはり自分でも作りたくなってくる。フレッシュな魚が釣れるもの。小粒で、もっともっと水押しの強いルアーです」
クアッドフォーゼの複雑なパーツ類も、そういったコンセプトから付け足されていった。
佐々木「クロスリーフテールとサイドテールは水押しの強さ以外に、視覚変化にも一役買っています。水押しに惹かれて近づいたバスが見切らないよう、ラバーも相まって絶えずシルエットを変化させます。またこれらは水の抵抗になるため、ルアーが手前に近寄りにくいことにもつながります。
でもパーツの塩梅も難しいんです。水押しのためのクロスリーフテールを長くすると、ロールは弱まります。ロールさせるなら極論、パーツは無い方がいい。このあたりもテストを重ねました。また深いリブ構造なのは、ルアーの「芯」を細くすることで動きがなめらかになるからです。リブの間に空気をはらむのでライブソナーでも映しやすい利点もあります。しかし何より、小粒でも強烈な水噛み&水押しを生むのに深リブは欠かせませんでした」
強い水押しで、イージーなバスを釣る
小さくて細かいパーツが多いクアッドフォーゼ。一見フィネスなワームに見えがちだが、コンセプトは真逆だ。強い水押しで、イージーなバスを釣る。それは佐々木さんのスタイルそのものの反映でもある。
佐々木「僕は人より釣りが上手いとは思えません。ただ、霞ヶ浦のオカッパリだととくにそうなんですが、簡単な魚を釣るために、『いつ』、『どこへ』いればよいかを人より少し知っているだけなんです。実はこれも幸雄さんに教わったことの一つです。
もともとは頑張って口を使わない魚を食わせる釣りが得意でした。でもそれだけだと今後限界が来るだろうなと感じていたんです。そんな折、幸雄さんに簡単に釣れる魚の探し方を教わりました。はじめは『こんなに釣れるんだ!』と衝撃でしたね。クアッドフォーゼも難しいルアーではありません。スイッチONの魚を遠くから呼べるルアーです」
モリケンリグの有効性
クアッドフォーゼの力を見せてもらおうと3月頭に三島湖での取材を申し込んだ。同湖は5日前の雨でマイナス40cmから一気に満水状態に。当初は雨パワーで好調だったものの取材日は恩恵はとっくになくなり、カフェオレ色の水だけが残った。
佐々木さんは普段なら深場のある本湖をやるところだが、あまりの濁りに川筋へ向かうことを選択。二つある筋のうち、流量が多く、相対的にバスのストック量が多い豊英筋に向かった。運悪くライブソナーの振動子が故障しておりシューティングもできそうにない。佐々木さんが選んだのはクアッドフォーゼの大型版、メガフォーゼ(プロト)のモリケンリグだった。昨日も同じリグで2匹を釣ったという。
佐々木「モリケンリグは大好きなんです。オールレンジカバーできて、点でも線でも使える。スピード調整も効きますし、万能です。開発当初はまさかモリケンリグで使うとは思いませんでした。もともとクアッドフォーゼはダウンショットリグでの使用を想定していました。でもライブソナーのおかげでモリケンリグの有効性に気付けたんです。ショートリーダーダウンショットと、モリケンリグのスイミングはまったく同じ使い方です。でも、ショートリーダーダウンショットの方がルアーがシンカーに振り回されるため、アクションが強め。また今回は濁りが強すぎるためメガフォーゼを使用しています」
モリケンリグを岸際にキャストして、1点シェイク、もしくはマックス2mくらいまでスイミングさせる。バンクにいるバスが追ってくるであろう距離の限界だ。スイミングはウッドチップの切れ目や倒れた木や枝といった、「食わせどころ」を通り過ぎたらピックアップ。何かモノにつっかかったら、その場で吊るしてシェイクする。
反応が悪ければ少しカーブフォール気味にスイミングして、バスにルアーを近づけてやるイメージ。ハイシーズンはピックアップせずにボートまでスイミングさせるという。
メガフォーゼのモリケンリグ:時間のかかるカバー撃ちが苦手な人のために
佐々木「僕はカバー撃ちが苦手です。キャストも上手くないし、ルアーを抜くときもガサガサしてしまう。何より、自分の持ち味であるスピードを乱されるから苦手なんです」
そんな佐々木さんの重宝するのがモリケンリグ。スピードを乱さずライトカバーをテンポよく釣っていける。そこにはまた、他のアングラーとの棲み分けの意味もある。
佐々木「ゴージャスなカバーや、カバーの最奥はパワーフィネスの上手い人たちがいくらでも撃っています。その後をやっても正直釣れる気がしないし、少しズラす意味も込めてのモリケンリグです」
ライブサイトとリアルサイト
取材当日は大潮。スポーニング場の偵察に来たオスがいないかと、ディープ隣接のシャロー&ウッドチップを中心にねらうも、1バイト止まり。佐々木さんは移動の途中にもライブソナーに大規模崩落が映れば、オリジナルサイズのクアッドフォーゼのモリケンリグによるシューティングも試してみた(振動子が壊れて着水点がわからないため、満足のいくシューティングはできなかったが)。
佐々木「経験的に、崩落やレイダウンはバスの目線の上を通してやるとよく釣れます。だから、魚探に映る崩落の影より+1mをスイミングさせます(上写真1)。クアッドフォーゼはアクションが多少アバウトでも食ってきますよ。もし魚が出てこない場合は崩落の形に添ってシェイクリフト・シェイクフォールしてやります(上写真2)。バンクを撃つときにカーブフォールさせるのと同じ意味合い、つまりちょっとキツい状況で有効です」
見えバスにはシュリンプモードのネイルリグ
その後豊英筋最上流部では見えバスと遭遇する場面も。シュリンプモードのネイルリグでアプローチしたが残念ながら反応させられなかった。
使い方を決めるのはユーザー
クアッドフォーゼには4モードある、と冒頭で記した。しかし、それは数ある使い方のほんの一部に過ぎないという。
佐々木「提案する4モードはあくまで目安です。他にも実際に使ってもらい、人から教えていただいた使い方もあります。それに、僕はこのルアーの使い方をアングラーに決めてほしいと思っています。幸雄さんのように自由な発想で使ってほしい。決して僕の言うことがすべてではありません。
僕が三島湖が好きな理由は、バスが多いのに非常にルアーに対してセレクティブだからです。ちゃんと釣り方が合えば2桁釣れるのに、ダメだと1匹も釣れない日がある。だから、ノーマルモードのクアッドフォーゼには反応しないのに、ハーフカットモードでは釣れる、みたいなことが起こる。そんな三島湖でテストしたからこそ、一粒で調整の効くこのようなルアーが生まれたのかもしれません。
ひとつ確実に言えるのは、そんな可変性を持つルアーですが、ベースは煮詰めてあるので安心してほしいということです。テールやラバーの刺し方は、すべてバスからの反応を基に最適解を出しています。そのうえでカットしたり、チューンしたりして、誰もやっていない自分だけの使い方を見つけてくれたら嬉しいです」
佐々木勝也さんのタックル
【1】メガフォーゼ モリケンリグ用
ロッド:ブラックレーベルSC C69M+-ST
リール:スティーズ SV ライト TW 100HL
ライン:スティーズフロロタフネス12Lb
フック:ループモスキート#2/0(バリバス)
シンカー:TGグレネードクイックチェンジャー 5g×2個または3.5g×2個(バリバス)
【2】クアッドフォーゼ モリケンリグ パワーフィネス用
ロッド:BLX S68ML/MH
リール:エアリティ LT2500S XH
ライン:PEデュラセンサー×12EX+ Si3 1.2号
リーダー:スティーズフロロタフネス14Lb(ダイワ)
フック:ループモスキート#0(バリバス)
シンカー:TGグレネードクイックチェンジャー 3.5g(バリバス)
【3】クアッドフォーゼ モリケンリグ オープンエリア用
ロッド:スティーズSC S69UL
リール:エアリティ LT2500S XH
ライン:PEデュラセンサー×12EX+ Si3 0.6号
リーダー:グランドマックス 1.75号(シーガー)
フック:ループモスキート#0(バリバス)
シンカー:TGグレネードクイックチェンジャー 2.5g×1個または1.2g×2個(バリバス)
【4】クアッドフォーゼ シュリンプモード ネイルリグ用
ロッド:BLX S68UL-ST
リール:エアリティ LT2500S XH
ライン:PEデュラセンサー×12EX+ Si3 0.4号
リーダー:グランドマックス 1.5号(シーガー)
フック:スティーズワームフック FN #4(ダイワ)
シンカー:スルーネイルマイクロ0.15g×2個または0.2g×1個(ジャッカル)
※ロッド、リール、ラインはすべてダイワ
※このページは『Basser 2026年5月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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