日本に根付いて久しいクローラーベイト。その可能性にいち早く着目し、「ハネが釣れる理由」を探究し続けてきた江口俊介さんと、ハネモノの基本をおさらいしよう

解説◎江口俊介 文と写真◎Basser編集部
1980年生まれ。千葉県出身。岡山県在住。JBTOP50で通算4勝するなど、トーナメントシーンで活躍したのち引退。ハイフィンのクリーパーに「ホナケン」の愛称を付けて全国区の知名度に押し上げた。
目次
ハネモノは2種類ある!小型クローラーベイトとデカハネの違い
ハネモノとはおもに、ボディーの左右にアルミ製の金属ウイングを装着し、巻くとハネを交互に傾けて、水泳のクロールのように進むトップウォータープラグだ。現在は1ozを超えるような大きめのタイプが主流となっているが、先に登場していたのはスピニングタックルで使うような小さくて軽量なタイプだった。そして、江口さんにとって小さいハネモノとデカハネは、形が似ていても別のジャンルのルアーだという。
「僕にとってハネモノは大きく分けて2つの分類があると思っています。ひとつは1ozを超える、いわゆるデカハネと呼ばれるタイプ。もうひとつはムシパターンで使われるような小さなタイプです。同じハネモノではありますが、これらは発展の歴史からルアーとしての立ち位置までまったく異なります」
小型ハネモノはムシパターンの先駆けとして発展した
小型のハネモノはヘドンのクレイジークローラーを筆頭に、ポコポコとスピーディーにただ巻きして、ノイジー的な使い方に始まった。そこから、スモールレイクのムシパターン(当時はセミパターンと呼ばれていた)の先駆けとして、シェイキングでピクピクと波紋を出して食わせるチューニングを施し、マッチザベイトの一種として、特定のエサを意識して使い、食性で食わせるルアーとして発展していったのが小型のハネモノだ。
その食わせ力はトーナメントでも存分に発揮された。JBTOP50の前身であるJBワールドや、JBTAの時代の池田豊選手をはじめ、江口さんが本格的にトーナメントに参戦する以前から多くの選手、一般アングラーの間に広まっていった。
デカハネのルーツはマスキー用ルアー、徳島での衝撃の出会い
では、ビッグクローラーベイトはどうなのかというと、バスフィッシングに浸透したのは2015年以降と割と最近だ。しかし、江口さんとデカハネとの出会いは、それからだいぶ早いおよそ20年前。
「こちらのジャンルで火付け役になったハイフィンのクリーパーやホグバスターは、バス用ではなくマスキー(マスキーパイク)用。小型のハネモノとはルーツがまるっきり別物なんです。ムシや小動物といった特定のエサを意識しない、もっと言うと食性ではなく威嚇や好奇心といった、何らかの興味を抱かせてバスに口を使わせるのがビッグクローラーベイト、いわゆるデカハネです」
デカハネとの出会い
「最初にこの釣りが浸透していたのは香川県や徳島県あたり。知る人ぞ知るローカルベイトといったところでしょうか。僕がデカハネと出会ったのはまさにその徳島で、とあるDVDのロケ中に浦川正則さんに教わったのがきっかけです。ローカルな釣りに挑戦してみようということで、クリーパーを買って試してみたんですが、吊るしの状態だと全然セッティングが出てなくて、動きも良くなければフックもバカでかくてハリ先も甘い。これじゃ釣れないだろうと思いましたね」
クリーパー入魂で確信、デカハネにのめり込んだ理由
結局この日はバイトをもらうことなくロケは終了。しかしその日、貴重な夕方のチャンスタイムに真剣に、いつ出てもおかしくないという剣幕でデカハネをキャストする浦川さんを見て、その本気度に「このルアー、なにかあるに違いない」と確信したのだとか。
このクリーパーを入魂したのが翌年。クリアウォーターの野池で、金森隆志さんが操るトーナメントクローラー8inを見切ったスレっからしのバスに変化球的に投入すると、激しく水面を割ったのだ。
「これでさらに僕のデカハネに対する本気度が上がって、クリーパーだけ持って釣りに行ったり、シェードも何もない炎天下の池で1時間に5連発したりと、刺激的な経験を沢山しました。語る熱の入り方ですでにバレバレかと思いますが、僕がメインに使うハネモノは圧倒的にコッチのタイプです」
デカハネを使うときに意識すること
「僕がメインで使うデカハネに絞って話をすると、最初に意識することはとにかく『デッドスロー』に引くことです。ゆっくり引けば必ずいいことがあると思っています。
デッドスローでハネモノを動かすコツは、リーリングでアクションさせるという意識を捨てると簡単にできます。ルアーの着水後にロッドを立てると、ラインの重さだけですでにクロールしていると思います。その状態がデッドスローだと思ってください。そして、そのうちラインの重さだけでは動かなくなるので、またイトの重さだけでルアーがクロールするくらいにまでほんの少しイトフケを回収する。この繰り返しを途切れなく連続で行なうのがデッドスローリトリーブです」
デッドスローでストラクチャーのバスにストレスを与える
「バスは大きくて賢い魚ほどテリトリー意識が強く、なかなか身を寄せているストラクチャーから離れたがりません。そこで極々スローに、カタカタと気になる音を出す目障りな存在が近くにいてなかなか離れていかないという状態にすることが大切です。
その状態にバスはかなりのストレスを感じているなと確信することが多いです。食性に訴える小さなハネモノは静かに吸い込まれることが多いですが、デカハネへのバイトは嚙み殺す勢いで激しく出ることが多いのもその証拠だと思います」
同じコースを何度も通す、焦らしてバスを浮かせるコツ
「ゆっくり焦らすのがキモですから、移動させる速度が速すぎるとその効果が半減してしまいます。かったるいなと思っても、ねらうストラクチャーがはっきり分かっているときは、とくにゆっくり通しましょう。同じ理由で、同じストラクチャーやコースに何度も投げ直すことも効果的。僕は同じストラクチャーに20分キャストし続けることもあります」
また、デカハネはボディーサイズによる存在感の大きさから、3mレンジくらいまでは難なくバスを引っ張り上げられるので、バスが浮上してくる時間を稼ぐためにも、デッドスローリトリーブを心がけよう。
江口俊介さんに聞くハネモノQ&A
最後に、ハネモノを使ううえで気になる疑問に江口さんが答えてくれた。
ボディーの形状とウイングの位置でわかるルアーの特性
「ウイングの取り付け位置がヘッド側に近ければハイピッチ寄り、テール側に寄っていればスローピッチ寄りになりやすい傾向があります。またボディーの断面が円に近いものは細かくて繊細なクロールアクションを出しやすく、扁平な楕円形状の断面のボディーをもつハネモノは、大振りでパワーのあるクロールアクションを出すものが多いです。初めて買うルアーでも、ある程度まではどんな動きを出しやすいのかは把握できます」
ハネモノが真っ直ぐ泳いでくれない原因
「ほかのルアーと違い、ルアーが真っ直ぐ泳がない原因に、ラインアイはほとんど関係ありません。ウイングの角度が左右で違うのが原因です。自分から見て、より水を多く掴んでいるハネの側にルアーが曲がるので、掴み過ぎている水を逃がすように角度を変えるか、水の掴み方が足らない方のハネがもっと水を掴みやすい角度に変えるかの2択で直せます」
ウイングが曲がったときの直し方
「特別な道具はいりません。たとえば、ダッジの場合はハネが曲がったらとりあえず頭側で閉じて、手で握り込んだあとに同じだけの閉じ具合になるまでグッグッと握って戻せばほぼ直ります。たまに金属疲労で折っちゃうひともいるので、そういうときはスペアウイングに交換です。でも相当使い込まないとそんなことにはならないので、その子はもう殿堂入りで飾ってもいいくらいだと思いますよ(笑)」
ハネモノに合わせるタックル
「ダッジは割とどんなサオでも使えます。M~MHくらいのお好きなロッドを合わせてください。デカダッジみたいな2ozクラスになると、ビッグベイトを操ったり、ラバージグを掛けるような、パワーがあって硬いサオが実は向いてます。グラディエーターアンチ GA-74XHC デフューザーやGA-72HCキングヘビー、最近ではGA-75XXHアンダーテイカーも使ってます。トレブルフックを背負ったハードルアーということで、グラスや低弾性素材を使う人も多いですが、それでは遠距離で太軸のフックを貫通させるのに難があります。ラインを弛ませて引いている以上、ロッドの硬さはルアーの動きに干渉しません。巻き物という意識を捨てて、硬いサオ、ハイギアのリール、14Lb以上のフロロカーボンを組み合わせるのが今のところ僕的ベストセッティングです」
オカッパリとボートの向き不向き
「デッドスローリトリーブに慣れていないうちは、足場が安定しているオカッパリの方が使いやすいのは確かだと思います。でも逆に言えばそれさえマスターすればどちらのスタイルでも問題なく使えますね」
※このページは『Basser 2024年7月号』に掲載した記事を再編集したものです。



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