タックルボックスに当たり前のように入っているルアーたち。その一つ一つには、アングラーの「もっと釣りたい」という情熱をカタチに変えた、数々の画期的な発明が詰め込まれている。重心移動システムから最新素材まで、ルアーの歴史を変えたイノベーションの物語を紐解いていこう。
ルアーを作っていると、特定の機能やアイデアが本人も想像しない形で降ってくる瞬間があるという。今回はクランクとポッパーを融合させたニュータイプのトップウォータープラグ、「スティーズクランポ81F」の開発秘話をお届けする。
写真と文◎Basser編集部
スティーズクランポ81F開発秘話
YouTubeチャンネル「カスブラ」に出演しつつ、JBTOP50でも活躍する霞ヶ浦水系の名手・宮嶋駿介さん。エビパターンでハメられるトップウォーターがほしい、というところからクランポの開発は始まった。もともとエビパターンのトップではポッパー系やプロップ系を愛用していた宮嶋さん。
自分でエビパターン用ルアーを作るとなったとき、まずはどんな要素を入れようと思ったのか。
宮嶋「実は、最初は具体的なアイデアはなかったんですよ。エビパターンでめちゃ釣れるトップでコンパクトなのがほしい、くらい。でも、初めて自分かひとりで監修するルアーだし、絶対に釣れるし売れるモノにしたいという気持ちは強くありました。いざ作るとなるとオリジナリティーを出すのが難しくて……。まずはボディーをジョイントにしてペラを付けてみたりしたんですが、仲間から『それ○○じゃねーか』と言われたりして……。もう悩みに悩みすぎて、3ヵ月くらい、一日中このルアーのことしか考えられないような日々が続きました。心ここにあらずで、私生活にも支障が出るレベルだったと思います」
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クランクとポッパーのキメラ
しかし、そんな宮嶋さんを神様は見ていてくれたのだろう。
宮嶋「ある日、クランクとポッパーを連結させて動かしている夢を見たんです。起きた瞬間『これだ!』となりましたね。すぐに試作のリップ付きのボディーの後ろにエリアトラウト用のポッパーを改造したものを付けて動かすと、すごくよかった。左右へのアクションもさせやすいし、ボデイー後方のポッパーがブレーキになって移動距離が抑えられる。ポップ音もちゃんと出ました。なによりバスの反応がすごかった。たとえば、霞ヶ浦の流入河川である山王川の上流の見えバスは例外なく天才君なんですが、サイトで食わせられたんですよ。これはすごく自信になりました」
クランクとポッパーの融合というこれまでにないルアーに、霞ヶ浦のバスも好反応を示したわけだ。
そして、6月に行なわれたJBTOP50小野湖戦ではクランポをメインに準優勝。極めて高いプレッシャー下でも有効なルアーであることを自ら証明したのだ。
宮嶋「霞ヶ浦でよく釣れて、試合でも結果を残せた。それはもちろん嬉しいんですが、一番嬉しかったのは同じダイワスタッフの先輩である川村光大郎さんや佐々木勝也さんが『ミヤシ、ルアー作りのセンスあるよ!』とすごく評価してくれたことです。佐々木さんは同じ霞ヶ浦でやっててもそこまで多くの接点があったわけではないんですが、これ以降すごく連絡をくれるようになって。『ミヤシはこのルアーどう思う?』とか意見を求めてくれます」
自身で初めてハードルアーを監修して、宮嶋さんはあることに気づいたという。
宮嶋「ルアー作りの参考にするために、霞で釣れるメーカーさんのルアーをたくさん買って、分解してみたりしました。そうすると、釣れるルアーがいかに細かいところまで煮詰められてスキなく作られているかがよくわかるんです。とくにO.S.Pさんとかボトムアップさんのルアーは本当にすごい。最初は辛かったですが、クランポの開発を通して多くの経験をすることができました」


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※このページは『Basser 2025年8月号』を再編集したものです。