アジングにはさまざまな釣り方やリグがあるが、まずはジグ単から始める人が多いだろう。 軽量リグを快適にキャスト、操作するためには、どんなロッドが使いやすいのだろうか
アジングにはさまざまな釣り方やリグがあるが、まずはジグ単から始める人が多いだろう。 軽量リグを快適にキャスト、操作するためには、どんなロッドが使いやすいのだろうか
写真と文◎藤原武史
感知能力がアジングのキモ
近年、特に盛んで進化がめざましい釣りの一つがアジングであろう。その進化はロッドとラインの進化によるところが大きいと思われる。
エサを使ったアジ釣りは簡単でファミリーフィッシングとしても人気のある釣りの一つではあるが、アジングは釣行回数が増えれば増えるだけ不思議と難しさが身にしみてくるというところがある。いとも簡単に釣れることもあれば、見えているのに釣れないことがある。上手な人が釣れているのに自分には釣れない時は特にそう感じてしまう。
なぜ釣れないのか。ワームの色や形が合っていないのか、操作が違っているのか、もしかしてアタリが取れていないのか、さまざまな疑問が頭の中で錯綜するわけだが、何を改善するのが一番いいのだろうか。最初に確認するべき点はワームを思ったとおりのレンジやポイントに送り込めているかどうかを把握すること。そのうえで、魚の反応を確実に感知できることがアジングでは重要になる。
博多湾をホームとしてアジングを楽しんでいるP!NKO さんがこの日訪れたのは佐賀県唐津市にある神集島。アジ釣りでは数、型ともに実績が高い島だ。11月上旬のこの日は南西の風が5mほど吹いており軽量なライトリグではやや釣りづらい状況だった。まずは風の弱い港内を中心にジグ単で探り、夕マヅメに入ってくる型のよいアジをねらっていくという。
「風が強い時は、ジグヘッドを少し重めにして風上に向かって投げた方がいいですね。今日はエステルの0.4号とちょっとラインが太いのですが、ラインが風の影響を受けづらいし、1g台と軽いリグでもちゃんと沈んでくれます」
アジング最初の一本は6ft4inがおすすめ
この日P!NKOさんが使っていたロッドは23コルトUX 642L-HS。コルトUX はアジング専用ロッドとして人気の「コルト」シリーズの中でエントリーモデルに位置するが、価格以上の性能を持つと非常に人気がある。
「6ft4inだと長からず短からず、さまざまなシチュエーションに対応できますし、5gまで使えるのでシンカーを使ったリグやプラグなどにも幅広く使えるので一本あるととても便利です」
1g以下の軽量ジグヘッドの操作感となると5ft台のロッドには劣るが、6ft4inという長さは、ある程度の飛距離を担保しつつ、初心者が多用する1g台であれば問題なく操作感が得られるバランスの取れた長さだ。
「このロッドはかなりファストテーパーで、それにハードソリッドの名の通りソリッドティップにも張りがあるので、ロッドの動きと手もとの動きにズレがなく、リグを思いどおりに動かすことができます。その代わり、アタリを感じたらきちんとアワセを入れる必要があります。高感度で小さなアタリでもわかりやすいのでアタリを感じたらすぐに合わせるというアジングの基本を練習するにもおすすめです」
と豆アジを連続ヒットさせながらP!NKO さんは話す。アジング用のロッドで使われることが多いソリッドティップは食い込みをよくする効果もあるが、テンションが掛かるとティップがもたれることで潮流の強弱が感じ取りやすくなる。つまり、リグがどんな流れの中にいるのかが把握しやすいのだ。この把握能力が釣果を向上させる。
P!NKO さんは基本的にあまり荷物を持って行かず、リュックにすべて入るようにしている。オレンジのケースには予備のワームやジグヘッドなどを入れており、使うものはウエストバックに分けておく
P!NKO さんがジグ単で主に使うのはA.W. Swin HEAD にマッスルバグ1.8in かスーパージャコ1.6inの組み合わせ
P!NKO さんプロデュースのワーム。名称はピンピンピンコワーム(仮)
良型に負けないパワーも必要
さらなるサイズアップをねらいポイントを探し回る。波止の外側を探っている時にP!NKOさんのロッドが強く絞り込まれた。アジではないようだが強い引きだ。ロッドが絞り込まれるものの、バット部分がかなり強くベリー部分で魚の引きを受け止めているように見える。上がってきた魚は25cmほどのアコウ(キジハタ)だった。尺アジが掛かっても充分対応できるロッドパワーを感じた
サイズアップをねらって波止の外側を探るとP!NKO さんのロッドが絞り込まれた。アジのように走らずトルクのある引きで上がって来たのは25cmほどのアコウ
「尺超えのアジだとやり取りが結構大変になりますが、25から30cmのアジが掛かるとかなり楽しめます。20cmクラスのアジの数釣りにちょうどいいと思います」
確かに尺上アジが釣れる場所は限られているし、大物に合わせたパワーで小さいアジを釣ってもロッドは曲がらず扱いにくいばかりか楽しさも半減してしまう。
日が陰り始め湾内に新たな群れが入ってきたのか20cmを超えるアジがコンスタントに釣れ始める。先ほどと違ってゆったりとロッドが曲がる。傍から見ても楽しそうなロッドの曲がりにP!NKO さんが言っていたことがよくわかる。
オールマイティーな一本を用意したい
アジングは状況や釣れるサイズもさまざまなので使われるリグも多彩だ。そのため、それぞれの用途ごとにロッドがあると便利だ。1g前後の軽量リグが投げられるジグ単のロッドでは10g以上のフロートやメタルジグを投げたりはできないし、ゴロタや磯であればロッドの長さも欲しくなる。
自分が釣りをする場所やシチュエーションに合わせてロッドは選んでいくべきだが、初心者にその質問は意外と難しいのではないだろうか。自分がどんな場所でどんな釣りをしていくのかわからないからだ。これは初めての場所に釣りに行く時も同じだろう。もしくは何本もロッドを持ち込めない状況もあるかもしれない。ゆくゆくはさまざまな状況に見合った専用ロッドを揃えていくにしても、まずはオールマイティーなロッドを一本は用意しておきたいところだ。
汎用性が高くアジングに必要な性能 を持つコルトUX シリーズは、上級者でもうなってしまうほどのスペックを持つ。初心者が持つべき1本として、ひとつの答えと言えるのではないだろうか。
オリムピックのオリジナルカーボンリールシート(OP-01)はブランクスに直接手が触れる仕様になっており、よりアタリを感じやすくしている。握りぐあいも手にすっぽり収まる感じで持ちやすい
642L-HSのティップ部分。HS(ハードソリッド)というだけあって張りがあり、食い込みのよさを残しつつ、小さなアタリでも手もとにも伝わってくる
※このページは『つり人2024年1月号』を再編集したものです。