生きたエサではなく、ABS樹脂や軟質プラスチックでできたルアーを用いて魚との駆け引きを楽しむバスフィッシング。
濁りの境目「マッドライン」は入れ食いのチャンス!?
Basser編集部=文
濁りは悪か
生きたエサではなく、ABS樹脂や軟質プラスチックでできたルアーを用いて魚との駆け引きを楽しむバスフィッシング。
釣りにおいては、多くの場合敬遠されがちな「濁り」。しかし、水が濁るとルアーがニセモノだと見破られにくくなるため、バスフィッシングではそれがマイナスな要素とは決して言い切れません。それどころか、エキスパートアングラーたちはこの「濁り」を本質的に理解し、利用することで、多くの釣果を上げています。
ここでは、『Basser』2019年9月号(No.333)に掲載されている内容から、バスフィッシングにおける歓迎すべき濁りと避けたい濁り、そして濁りへの対処について考えてみます。
時にアングラーを途方にくれさせる激しい濁り。私たちはそれにどのように向き合えばいいのだろうか
『The Bass リグ大全』
ワームの釣りをするために必ず必要となるのがリグと呼ばれる仕掛けの知識。 ここ数年で、そのリグは次々に派生し、各地域ごとに独自の進化を続けている。 そこで本誌では、いまさら聞き直せないリグの基礎知識を見直しつつ、平成から令和へかけて進化し続けている最先端のリグを徹底紹介。リグの引き出しを増やして、釣果を倍増を目指そう!
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濁りの種類
「濁り」といっても、それにはさまざまな種類があります。
台風などの大雨により発生するもの、田んぼなどの代掻きによって発生するもの、春や秋など朝晩の気温差が激しい季節に、水の比重の変化で表層と低層の水が掻き混ぜられることによって発生するもの(=ターンオーバー)など。
代掻きによる濁りには農薬が混ざり、ターンオーバーによる濁りは底に沈殿したプランクトンの死骸などを大量に巻き上げることがあり、「悪い濁り」とされることが多いようです。
では、雨によって生じる濁りはどうでしょうか。
タイミングと水温
大雨により、川や湖に土砂を含んだ水が流れ込むことで発生する濁りは、ポジティブにとらえられることが多いです。先述したように、エサではないニセモノ(ルアー)の正体を曖昧にしてくれますし、濁りのなかに身を潜めることで、バスはより効率的な捕食ができるようになります。
また、大量の水の流入によって水中に溶け込んでいる酸素量(溶存酸素量)が増えることでバスの活性があがり、ルアーへの反応が著しくよくなることもしばしばです。
よって、濁りが発生した場合には、ルアーのサイズを大きくする、ルアーが発する波動(音や光や水押し)を強くするなど、簡単に言えば「バスにより気づいてもらいやすいルアー」を使うことが一般的です。
ここで、さらにもう一歩、濁りの核心に近づくために考えたいのが「タイミング」と「水温」についいてです。
濁りへの一般的な足し対処は、ルアーの存在感を増すことです。澄んだ水ではルアーに見向きもしないスレたバスがビッグベイトや派手なカラーのスピナーベイト、クランクベイトに激しい反応を見せるのも、「濁り」がルアーの存在感を曖昧にしてくれるからです
チャンスは濁りはじめと澄み始め
たとえば、日本のフィールドタイプで一般的な、リザーバー(山間部の川をせき止めてできたダム湖)を例にとって考えましょう。
大雨が降ると、まず湖に流れ込む川の上流部(バックウォーター)から濁りが流入してきます。日本のリザーバーは比較的透明度の高いフィールドが多いので、強い濁りが入ると、濁りとそうでない水の境目にくっきりとした境界線(マッドライン)ができます。
この「マッドライン」こそが、アングラーがねらうべきスポットです。先ほど、「バスは濁りのなかに身を潜めて効率的な捕食ができる」と書きましたが、それは捕食対象となるベイトフィッシュが濁っていないスポットにいることが前提です。湖全体が濁ってしまっては、ベイフィッシュも濁りに包まれてしまい、バスはその姿を視覚で追うことができなくなってしまうからです。
つまり、バス自身が濁りに身を潜め、澄んだ水を泳ぐベイトフィッシュをねらうことができるのが、まさにこの境界線、「マッドライン」なのです。
時間がたつと、濁りは湖全体に広がり、バスも視界が完全に奪われてしまいます。こうなるとアングラーも苦戦することが多く、一般的な対応策は、やはりルアーをより存在感の強いものにするか、もしくは濁りの影響を受けにくいスポットを丹念に探るということになります。濁りの影響を受けにくいスポットとは、水が動きにくい場所。水に浸かったブッシュやアシの奥、テトラ帯のインサイドなどがそれにあたります。
さらに時間がたつと、流れ込んでくる水が澄み始め、川の上流から水質が回復してきます。こうなると、濁り初めとは逆パターンのマッドラインが形成されることになり、再び爆釣のチャンスが訪れます。
マッドラインを見つけたらしめたもの。境目にルアーを通してベイトを待ち構えているバスをねらいましょう。マッドラインの位置は常に動くので(時間がたつと消滅する)、それを追いかけるのも重要です
2枚は同フィールド、同日の写真。雨の前後やエリアの違いで、これほどまでに水色は変化します。透明度に合わせたルアーチョイスを心がけるといいでしょう
水温による濁りの立体的な判断
また、濁り水の「水温」も無視することのできないファクターです。
まず考えるべきは、流れ込んでくる濁り水が、湖の水温より高いか低いかです。水温が30℃ほどにもなる夏季は、流入してくる水がそれ以下の温度であることが多く、24℃が適水温といわれているバスにとっては快適(涼しい)な水となります。
逆に、まだ水温が低い早春などに冷たい雨が降ると、湖より水温の低い水が流入してくることで、バスの活性は下がることもあります。つまり、その濁り水の温度はバスにとって快適なものか否かを考える必要があるのです。
さらに、湖と流入してくる濁り水の水温差を知れば、より濁りを立体的に捉えることができます。
水は、温かければ軽く、冷たければ重い物質です。よって水温の異なる水どうしは簡単には混ざり合わず、表層に暖かい水、低層に冷たい水と、上下に分かれます。
つまり、先述した「マッドライン」は水中にも形成されうるということなのです。
流入する濁り水が湖の水温より高い場合、濁りは表層付近に留まります。アングラーから見て濁っている水でも、50cm潜ればクリアウォーター、という場合もあるわけです。
逆に流入する水のほうが湖の水より冷たければ、一見澄んでいても、ボトム付近は濁っていることも考えられます。
これらは、水を注意深く観察したり、ボートフィッシングであれば魚群探知機を活用したりすることで気づくことができます。
この水中にできたマッドラインを意識して、その境目に泳層を合わせたルアーをチョイスすれば、より多くの釣果を得ることができるでしょう。
徹底深堀した記事は『Basser』で
ここまでの記事は、『Basser』2019年9月号の内容の一部を端的に紹介したものです。
さらに細かい濁りの種類や攻略法、フィールドごとの濁りの違いやルアーローテーションの具体例などをご覧になりたい場合は誌面を手にとってみてください。これまで憂鬱で、途方にくれていた濁りが、急に味方に思えてくるかもしれません。
表紙をクリックすると試し読みができます
今号の特集は「濁り」。バスの活性を著しく上げ、時に下げることもあるこの現象を掘り下げます。
過去に濁りに見舞われた取材でのケーススタディーに始まり、水温や流入量による濁りの立体的な捉え方、良い濁りと悪い濁りの違い、濁り始めから濁りが抜けるタイミングまでの釣りの切り替え方、ルアーローテーションの具体例、科学的見地から考える濁りへの対処など、注目トピックが満載です。
モデルとなるフィールドは八郎潟、桧原湖、霞ヶ浦、利根川、亀山湖、津久井湖、琵琶湖、七色貯水池、そしてアメリカなど多岐にわたります。
また、JBTOP50レポートでは最年長優勝記録を「59」に更新した沢村幸弘さんの強さの理由を詳報。試合後の追加取材では、フィジカルを維持するための日々のトレーニングや、メンタル強化に繋がるゴルフへの取り組み、ボートデバイス(魚探)の選定理由などを明かしてくれています。
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さらに細かい濁りの種類や攻略法、フィールドごとの濁りの違いやルアーローテーションの具体例などをご覧になりたい場合は誌面を手にとってみてください。これまで憂鬱で、途方にくれていた濁りが、急に味方に思えてくるかもしれません。
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2019/7/26