世界最高峰のB.A.S.S.エリートシリーズでも優勝を決めるなど、破竹の快進撃を続ける藤田京弥さんが愛用するTALEXの偏光サングラス。その有効性を聞くインタビュー。
釣り、遡り、泊まり、食う。「衣食住を背負う釣り」とも表現される源流釣り。そこではどんな道具が使われているのでしょうか。別冊『渓流』でもお馴染みの源流釣りガイド・渡邉大樹さんが、桝形川の遡行動画(YouTube釣り人チャンネル)で使用したものを中心に、愛用のアイテムたちをピックアップ!
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【紹介してくれたのはこの人】
渡邉大樹(わたなべ・ひろき)
埼玉県在住。沢登り・源流釣りのガイド、教室、ロケーションコーディネーターなどを手掛ける。原生林をフィールドに、渓流魚をどのように釣り、渓でどのように泊まるのか、実践で役立つ技術を伝えている。
<ガイドサービス>
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原生林の中でイワナを釣り、沢でたき火を囲んで泊まる、源流釣りの世界にぜひ足を踏み入れてみては?各人のレベルに合わせた源流で、たっぷりと釣り旅を味わえます!詳細は、以下のYouTubeページから。
Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/c/nabekichi
●参考動画
川を遡る巨大イワナ。その核心部に迫る!(山形県/朝日山地)>>
絶景。源流の大奇岩・ガンガラシバナへの釣り旅。(新潟県/早出川)>>
源流ガイドでは、もちろん渓での食も魅力の一つ!
源流釣りでは、山中に何泊もしながら上流を目指すことも珍しくありません。釣り道具の他にも衣類や泊まり道具、そして食材と調理器具を携行しなければなりません。どんなアイテムを持っていくかは各人のスタイルによっても大きく異なりますが、エキスパートたちのザックの中身は、定番アイテムから意外なものまで、きっと参考になるものが多いはず。源流での「生活道具」と、シンプルなタックル構成をご紹介します。
ザック
基本は60~70L
これまでに数々の遡行を共にしてきたザック(ジャックウルフスキン/アガディールⅡ70L)。中は2気室構造になっており、食器類と服・寝袋などを分けて収納している。背面のポケットも大きいので、そこにロープなどを仕舞えるのも便利。ザック自体に防水機能はない。70Lをパンパンにするとかなりの重荷になるので、実際には少し余裕がある程度で使っている。
沢タビ
ヌメる沢ではフェルトソール
普段はラバーソールの沢靴も出番が多いが、ヌメリのある岩のヘツリが多いことを想定して、今回は渓流タビをチョイス。下山が登山道ではなく、沢通しで戻る計画だったことも、フェルトソールを選んだ理由。
ヘルメット
行動中は常に着用
源流域の釣りでは、落石等からも頭部を守るヘルメットは必須。基本的に行動中はずっと付けている。
ウエア(上半身)
一度着ると、これなしでは考えられない
水に浸かることが想定されるので、保水せず、撥水性のあるものを選ぶのが基本。2024年にリニューアルされ、着用時の着圧感が均等になるように再設計。実際に水から上がってもウエアに水分が感じられない快適さ。
右/ドライレイヤーウォームロングスリーブ(finetrack)
撥水して身体からすぐに水分を離してくれるインナーウエア。ラピッドラッシュの快適性をより引き立てるためにセットで着用。
※レイヤリングの参考はこちら!
https://www.finetrack.com/layering/water/climb/
高井撥水性能を持つラピッドラッシュ。一度着たら、これなしではもう遡行したくないかも……
ウエア(下半身)
体力の維持はウエアでも左右される
今回の沢では泳ぎを想定して、裾が短い「ハーフ」を着用。上半身のウエア同様に保水せずに撥水機能があることに加え、薮漕ぎなどでも安心な強度も欠かせない。
上半身に身に付けたラピッドラッシュのタイツ版。やはり濡れた時の快適性は何にも代えがたい。
今回は沢足袋を履いているので、ソックスも足袋タイプに。保温性がある足袋型のソックスは少なく、重宝している。陸上でも蒸れにくいのがネオプレーンと違うところ。ソックスが合わないと、何をやっても不快なので、ここはこだわりたい。
行動中はこんな感じ。これで泳いでも歩いても快適。
水に浸かっていることの多い下半身のウエア。このレイヤリングが不快だと、体力の消耗にも繋がってしまう
沢の防寒着
真夏でも必要
テント場では、化繊のウエア・寝袋で寒さをしのぐ。季節によってダウンも使うが、濡れたらアウトなので防水対策は万全にしたい。基本的にテント場以外では使わないので、ザックの奥の方に収納。渓の夜は冷え込むので、真夏でも防寒着は必須。
テント場のグラウンドシート
レジャーシートでもOK!
タープの下に敷く、一人分のレジャーシート。地面が薮や泥といったケースもしょっちゅうなので、汚れてダメージを受けることを前提にチョイス。水を含まない素材が大前提。
ちなみに、渡邉さんは“調理場用”として、小さいサイズのレジャーシートも準備。これは角を合わせて壁を作れるタイプ。
マット
地面からの冷えを断つ
地面からの冷えを防ぐために、テント場で寝る際に敷くマットも準備。写真はフォームマットだが、ほかにも小さく畳めるエアマットも愛用している。
タープ
折り畳んだら手のひらサイズ
使用したのはゴージュタープ(finetrack)。源流釣りでは、テントではなくタープを使用することがほとんど。地面の形状に影響されず設営できることと、壁がないことで増水等の危険も察知しやすい。メンバーがしっかり下に入れることはもちろん、広げた荷物等もカバーできるように余裕を持ったサイズを選びたい。
コッヘル
源流釣りといえばこれ!
焚火に掛けて使用するコッヘル(DUG/焚火缶)。米を炊く用とお湯を沸かす用の2サイズを携行。焚火で使用しているので、煤が付いて真っ黒。
食器1&オタマ
軽量で壊れにくいものを
焚火に掛ける鍋とは別に、こちらは食器。そして、焚火缶で沸かしたお湯を救う際にもオタマは便利。アルミ製で折り畳めるものをチョイス。
食器2
ちょっとした時に活躍
さらにシリコン製の折り畳める容器も準備。調味料を入れたり、小皿として使用したり、用途は色々。
まな板
実は何役もこなしてくれる
平らな場所のないテント場で調理するためには、まな板が必須。時には食器を乗せるお盆にもなり、火を熾す際のうちわにもなる。
ガスストーブ
焚火をしても必要
炊飯や湯沸かしを焚火で行なうとはいえ、テント場周辺に薪がなかったり、雨で火が付かなかったりすることもあるので、ガスストーブは必須。渡邉さんは安定感のあるガス缶分離型を使用。もちろんこれに加えてガス缶も持っていく。
フライパン&包丁
渓では包丁!
山でも調理には包丁(ペティナイフ型)が何かと使いやすい。さらに炒め物や焼き物をする際の軽量フライパンも活躍する。焚火に掛けて使えないものは、ガスストーブで調理する。
オカズなどを作る際にもフライパンは便利。人数が多い時には、取っ手を取り外せる中華鍋を持って行ったことも……
菜箸
竿と一緒に……
これも調理に欠かせない、菜箸。調理器具としては収まりが悪いが、これは竿ケースなどに入れてザック収納。もちろん釣り竿も一緒に収納。
針金類
焚火セットに忍ばせておきたい
枝で三脚を作り、焚火に掛ける鍋を吊るすのに使用しているが、このほかにもちょっとした修理など、様々なことに使えたりする。煤が付いているので紙に巻いて鍋などに入れておく。
革手袋
やっぱり革の安心感
焚火で薪の位置を調整したり、熱い鍋と掴んだりと、軍手では力不足な場面に重宝。ただし濡れると乾くまでに非常に時間が掛かるため、水に浸からないよう要注意。
地形図
防水の工夫は……
源流釣りに欠かせない地図だが、渡邉さんは必要エリアの2万5000分の1地形図を印刷したものを、ラミネートして携行。こうすることで濡れや破れの心配がなくなる。ザックの上蓋など、取り出しやすい場所に入れている。
コップ/ネット/ナイフ/コンパス/ライター/ヘッドランプ
まとめて上蓋に収納している物たち
コップは、他の食器と別にザックの上蓋など取り出しやすい場所に入れておき、清水を飲む時に使用。
ネットは釣れた魚を活かしておいたり、茹でた麺の湯切りにも活用できる。川でビールを冷やす時にも便利。ライターにはガムテープを巻いておき、着火剤として利用。
ネットがないと、麺類の湯切りは至難!
ポリ袋(大)
あると便利!
これも何かと使うので、ザックに入れているアイテム。寝袋や着替え等はそれぞれこうしたポリ袋に入れたうえで、ザックにパッキングしている。もちろんテント場で出たごみを持ち帰るためにも活用。
ノコギリ
美しい焚火のために
焚火用の薪は切り揃えておくと、炎や燠を安定させやすい。折ったりできない太さの薪には、やはりノコギリの出番となる。かさばらず、なるべく軽いものを選びたい。
テンカラ竿
テンカラは遡行と相性がよい
テンカラ竿は3.9mを選ぶことが多い。そのほか、予備や細流用として3mほどのハエ竿も持っていくことも。これももちろんテンカラ竿として使っている。
テンカラ仕掛け
ラインは多め
テンカラで使用するラインはレベルラインと瀬畑ライン(撚ってテーパーを付けた自作ライン)を、サオの長さ分用意している。浮かせる毛バリではレベルライン、沈める毛バリでは重さのある瀬畑ラインを選ぶことが多い。
釣り用小物類
ツールはこれだけ!
(左から)針研ぎ/ドライフライ用ジェル/ドライフライ用パウダー/ハサミ/フォーセップ
これらは皆毛バリ釣りに使うツールで、一纏めにして釣りをする時だけ首から下げている。
毛バリ
浮くものと沈むもの
基本的に視認性のよいドライフライと、沈めて使う逆さ毛バリなどの2タイプを用意。フックサイズは#12~14で、源流では黒っぽい色の出番が多い。
ロープ
場所によって長さ・太さをチョイス
今回の遡行では8㎜×30mのロープを携行した。そのほか取り回しのよい6㎜×10mなどの補助ロープがあると便利。ロープを使用する場面のなさそうな沢でも、7㎜×20mなど、いずれかは必ず携行する。
登攀用具
遡行のために基本装備
今回は懸垂下降や登攀が想定されたので、ハーネス、エイトカン(下降器)、カラビナ(3~4つ)、スリング(60cm、120cm)などを携行。基本的にこのセットは、メンバー各人が用意。
以上、渡邉大樹さんが普段の源流釣りに使っている道具類をご紹介しました。もちろん釣りに重点を置くケースや、山歩きのセクションが長い場合など、計画ごとにザックの中身は変わっていくはずです。改めて今回の遡行動画と合わせて、ご自身の参考になさってください!