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編集部2024年10月13日

守るべきバス釣りの法律とルールまとめ/これからもバス釣りを続けていくために必要なこと

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バスの取り扱いに関して法律面でのルールを改めてまとめる。外来生物法は施行から20年近くが経過しており、この法律を知らずにバス釣りを知る人も増えている。若いアングラーが知らず知らずのうちに罪を犯すことがないよう、周囲の人に伝えるときなどに参照していただければ幸いだ。

守るべきバス釣りの法律とルールまとめ

編集部=文と写真

※この記事はBasser2023年8月号に掲載した記事を再編集しています

 バスフィッシングを楽しめる環境を末永く守っていくために、日本各地で奮闘している人たちがいる。地道な行政との折衝や地域との関係作りなどが実を結んでいるフィールドもある。

 一方で、バスアングラーがルールを無視した行ないをしてしまえば、そうした努力の足を引っ張ってしまうことになりかねない。とくに外来生物法は施行から20年近くが経過しており、この法律を知らずにバス釣りを知る人も増えている。

 そこでこの記事では、バスの取り扱いに関して法律面でのルールを改めてまとめる。ルールを守って釣りを楽しんでいる小誌の読者には本来不要なものではあるが、若いアングラーが知らず知らずのうちに罪を犯すことがないよう、周囲の人に伝えるときなどに参照していただければ幸いだ。

バスの取り扱いに関する法律&ルール

生きたままの運搬・譲渡・飼育などを禁止(外来生物法)

 2005年6月に施行された外来種の取り扱いについて定めた法律。この法律では、外来種のうち生態系に重大な影響を及ぼすとされる生き物を「特定外来生物」に指定し、その生き物を生きたまま運搬したり、別の場所に放ったり、飼育や保管することを禁止している。

 違反すると個人の場合「3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金」、法人の場合「1億円以下の罰金」という非常に重い罰則が科される。遵守の徹底をお願いしたい。

 バスフィッシングで一般的に釣れる可能性のある魚類では「オオクチバス」「コクチバス」「ブルーギル」「チャネルキャットフィッシュ」が特定外来生物に指定されている。 

 フィールドで釣れたバスを生きたまま公道に持ち出して運搬し、別の場所に放してしまうのは明確にアウトだ。だが、この法律では、釣ったその場でリリースする限りキャッチ&リリースの規制はされていない。

 ライブウエル式トーナメントを運営する際にも注意が必要。帰着場所での扱い方を誤るとこの法律に抵触する恐れがある。

 また、魚ではないが新利根川や長門川によくみられる植物「ナガエツルノゲイトウ」「ミズヒマワリ」も特定外来生物に指定されており、知らず知らずのうちに持ち運んでしまうケースも考えられるので注意!

●外来生物法で禁止されていること

・運搬
・保管
・譲渡
・飼育、栽培
・輸入
・野外への放出

※特定外来生物に指定されている生き物が対象
※釣った場所でのキャッチ&リリースは問題なし

 

●特定外来生物に指定されている生き物の例

魚類:オオクチバス(ラージマウスバス)、コクチバス(スモールマウスバス)、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)など

植物:ナガエツルノゲイトウ、ミズヒマワリなど

※2023年6月1日から、アカミミガメとアメリカザリガニが「条件付特定外来生物」に指定されている。通常の特定外来生物から規制の一部が除外されたカテゴリーで、野外への放出や販売は禁止されるが、捕獲・飼育・譲渡は問題ない。

キャッチ&リリース禁止の都道府県もある

 外来生物法では規制されていないキャッチ&リリースだが、都道府県によっては条例や内水面漁場管理委員会による指示などで禁止されている場合があり、これも遵守しなければならない。

 2023年4月から新たに岐阜県でもスモールマウスバスのキャッチ&リリースが禁止されるに至った。

「内水面漁場管理委員会による指示」とは、各県の漁業者、学識経験者、遊漁者らの代表で構成される内水面漁場管理委員会が出すことのできる指示で、禁止期間や禁止区域などを定めるものだ。

 委員会の構成メンバーに漁業者(漁協の組合長など)や遊漁者の代表とあることからわかるとおり、生態系云々の問題だけでなく、アユなどの漁業や遊漁にバスアングラーの存在が不利益になるととらえられてしまえば、規制を行なう自治体が今後も増えてしまうことになる。まだ規制されていないフィールドに通っているアングラーも無関係と思わず、そのことを意識した行動を心がけたい。

 該当する都道府県でバスをキャッチしたときには、その場で〆て処分(食用に持ち帰る際は外来生物法に注意)する必要があり、管理者が釣り場に回収ボックスを設置している場合もある。

 都道府県別のキャッチ&リリース禁止状況は表のとおり。

都道府県名 対象魚種 条例名・例外など
岩手 ラージ/スモール  
秋田 ラージ/スモール  
山形 ラージ/スモール  
宮城 ラージ/スモール  
栃木 ラージ/スモール  
群馬 スモール  
埼玉 ラージ/スモール  
神奈川 ラージ/スモール

芦ノ湖を除く

※相模湖・津久井湖などは適用外

山梨 ラージ/スモール 河口湖、山中湖、西湖を除く
長野 ラージ/スモール 野尻湖を除く
岐阜 スモール  
福井 スモール ※令和7年4月1日から
滋賀 ラージ/スモール ※滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例
新潟 ラージ/スモール  
広島 ラージ/スモール 県内における江の川水系の公共用水面にのみ適用
鳥取 ラージ/スモール  
佐賀 ラージ/スモール ※佐賀県環境の保全と創造に関する条例
熊本 ラージ/スモール ※江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害の防止に関する条例、江津湖地域のみ適用

※参考:日本釣振興会 県別キャッチアンドリリース禁止状況/2024年10月現在

※ブルーギル、チャネルキャットフィッシュも規制の対象となっている場合もある

※条例名を記載していない県は「内水面漁場管理委員会による指示」による規則。神奈川県など漁業権のある漁場にのみ適用の県もある。適用範囲は指示の内容によるため、最新情報は各県の水産課で確認のこと

なぜ法律を守る必要があるのか

 私たちバスアングラーはバスフィッシングを愛しているし、この素晴らしいレクリエーションを将来も末永く続けていくつもりだ。若い世代のアングラーにそのための環境を残していくことも私たちバスアングラーひとりひとりの責務だ。

 私たちはブラックバスを資源ととらえ、バスフィッシングを楽しむことでフィールドを擁する地域にも経済的・社会的に貢献できる釣り人であろうとしてきたし、これからもそんな釣り人であり続ける。すでにアングラーを歓迎してくれているフィールドで釣りをしている人はこれからも大いに楽しんでほしい。折り悪く地域と溝ができてしまっている釣り場で理解を得ようと奮闘しているアングラーがいるならば、あらゆる協力を惜しまない。

 だからこそ、私たちはバスフィッシングを取り巻く法律やルールを全員が正しく知る必要がある。

「生物多様性」「生態系サービス」「捕食圧」などの言葉を持ち出さなくても、たとえば貴重なタナゴの保全活動がされている水域にバスを持ち込んでしまうのが絶対にNGだということはわかるだろう。

 そうでなくても、環境破壊などで数が激減してしまった生き物が、ひっそり生き残っている野池や小川のような場所が日本にはまだまだある。そこにバスが「こんにちは!」してしまえば、やはり招かれざる客ということになる。

 一方で、外来生物法が施行されてかなりの時間が経った今も、スモールマウスバスの生息域が広がり続けている現状がある。水域の隔たりを超えた場所で見つかるケースもあり、意図的なものか事故によるもの(他魚種の放流に交じってしまったなど)かはさておき、人為的な要因と考えるのが自然だ。

 鳥が運んだなど、自然に広がったという主張もある。この際、その妥当性は問題ではない。重要なのは、その主張が世間に認められた場合、いまバスフィッシングを楽しめているフィールドでも規制が強められる可能性があるということだ。人間に管理ができないのなら、元の生息場所でバスを減らし、自然に拡散する確率を下げるのが保全のうえでは合理的な手段だからだ。

 もちろん、根拠なくバスアングラーや釣り業界全体を犯罪者扱いするような言説には、私たちは断固として反論していく。化学農薬・護岸工事・山林の開発などの影響を評価せず、生物多様性が棄損されたあらゆる事例の要因を外来種のみに帰結させるような意見にもだ。

 だが、我々の主張に正当性をもたせるためには、バスアングラー全員が法律を守っているという前提が必要なのだ。その前提を強固なものにできれば、バス釣り場を守る、バスアングラーの地位を向上させるなど、逆風の中で取り組んでいる人たちの後押しにもなるはずだ。

 

02-Jun-21-2023-12-11-00-3192-PM

外来生物法の成立過程にはさまざまなことがあったが、若いアングラーの未来を奪わないためにも、法律の周知と遵守が必要だ

 

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