ポッパーをはじめとするトップウォータープラグに装着されていることが多い、ルアー用のフェザーフック。「フェザーフックって、もっといろいろパターンがあっていいのでは?」と新たな可能性を提示してくれたのは、フライフィッシングのエキスパート・嶋崎了さん。フェザーフックに応用可能なフライマテリアルやタイイング法も教えてもらいました。

解説◎嶋崎了
写真と文◎Basser編集部
東京都出身、在住。株式会社ティムコ勤務。姉妹紙『FlyFisher』ではおなじみのベテランフライフィッシャー。高校生の頃から20代前半まではバスフィッシングにのめり込み、ハンドメイドルアーを作るほどまで。ティムコ社に勤務してからはフライフィッシングをメインに製品開発を手掛ける。
目次
フェザーフックが装着される理由
なぜポッパーのリアフックにはフェザーフックが使われるのか。水の抵抗を受けてポッパーの移動距離を抑えるブレーキとしての役目や、水を吸わせてポッパーの飛距離をアシストする働き、さらにはフェザーが誘いとなってバイトを誘発するといった効果がその理由とされている。
では、ほとんどのポッパーに標準装備されている白系のフェザー、もしくはそれにティンセルを合わせたものが、それらの機能を果たすのにベストといえるのだろうか?素材の特性を正しく理解すれば、ポッパーのフェザーフックにはもっと考察の余地があるのではないだろうか。
たとえば、フライフィッシングの世界では羽が持つそれぞれの特性を活かして1本のフライを巻き、対象魚の状態に合わせてフライをセレクトすることが求められる。それも、ほとんどのフライフィッシャーが自分でフライを巻くのだから、オリジナルのフライパターンは星の数ほどある。
素材は鳥の羽が一般的
餅は餅屋。素材の種類と特性について聞くため、フライフィッシングのエキスパートである嶋崎了さんを訪ねた。
嶋崎「フェザーフックには鳥の羽が用いられることが一般的です。具体的には『ハックル』と呼ばれるニワトリの羽である場合がほとんどです。フライフィッシングにも、ブラックバスをねらうポッパーが存在します。ポッパーはバス用のフライパターンとしてもポピュラーな部類で、マテリアルにハックルを用いるのは昔からある考え方ですね。ただ、フライ本体ではなくルアー用のトレブルフックに巻くとなると……私の知る限りでは日本で最初にハックルを使ったのは泉和摩さんだと思います。オリジナルのポップRに使われているバックテイル(シカの尻尾の毛)をハックルに変えたチューンを施した、ハンクルポップRが最初だと思います」
嶋崎さん流ルアー用フェザーフックの提案
嶋崎さんが実際に「こんなフェザーフックがあってもいいんじゃないか」というフックを巻いてくれた。3枚のハックルをアイ側から覆うように、傘状にマラブーが巻き留められている。

嶋崎「移動距離を抑えるということであればこういう巻き方があってもいいのかなと思い、巻いてみました。マラブー特有のなまめかしさと、しっかり水を噛んで動くハックルの組み合わせ。これまでにない動きが表現できるんじゃないかと思います。
マテリアルに関しては、ハックル、マラブー、バックテイル、ティンセル、どれも特徴があるので正解・間違いというのはないと思います。
ただ、羽ひとつとっても、“よく釣れる羽”というのはあります。たとえば下の写真はニワトリの羽ですが、表面のまだら模様のなかに、深い緑のきらめきが見えます。経験上、こうした光沢を持った羽は、どこか魚を惹きつける。あくまで憶測でしか話せないですが、フェザーを工夫すれば、もっと世界が変わってくると思いますよ」
フェザーフックのマテリアル4種類
ハックル、マラブー、バックテイル、ティンセルの特徴を詳しく聞いた。
ハックルはよく動き、ブレーキ力も高い

ニワトリの羽。部位は、頭から首にかけて生えている「コックネック」がもっとも適しており、実際多くのポッパーに採用されている。ストーク(中心を通っている骨のようなもの)が先端に向けて細くなっていて、全体的に張りがある。フライタイイングでも使用頻度の高いマテリアルで、比較的安価に入手できる。
「今現在市場に出回っているポッパーの多くで使われていますね。しなやかで柔らかく、水中でゆらめきます。吸水量も多いので水噛みがよく、移動距離を抑える役割も持ちます」
艶めかしい動きは唯一無二のマラブー

本来はアフリカハゲコウという鳥の尾の下のフサフサした羽を指すが、現在は捕獲禁止となったためターキー(七面鳥)、ダチョウから取ることが多い。わずかな水流にも敏感に反応する艶めかしい動きが特徴。水中ではボワッと広がるように思えるが、実は線のように細くなるのだという。
「ストリーマーという小魚をイミテートしたフライパターンに使われることが多いです。張りがなく軟らかいのでブレーキ性能は弱いですが、動きはマラブーにしか出せない艶めかしさがあります。ポッパーにはあまり使われていないみたいですが、全然アリだと思います」
動きは控えめだがしっかりとしたブレーキ力のバックテイル

ポップRに使われているマテリアルで、ホワイトテイルディアというシカの尻尾の毛。ハックルに比べると水中での動きは硬く、ルアーの抵抗となり移動距離を抑える役割を持つ。
ティンセルは、組み合わせでフラッシング効果を出したいときに

フライショップではフラッシャブー、クリスタルフラッシュ、といった名前で売られている人工の素材。フラッシング効果を生み、ハックル、バックテイルと組み合わせて使われることも多い。
フェザーフックの巻き方 タイイング方法
現在フェザーフックでもっとも多く用いられているハックルを使って、嶋崎さんにトレブルフックのフェザーフックタイイングを実演していただいた。用意するものはバイス、ボビンホルダー、スレッド、ハサミ。フライタイイングと比べて、そこまで難易度の高いテクニックは必要としない。是非挑戦してみては?
- フック:スティンガートリプルフック(オーナーばり)
- スレッド:ベネッキ ウルトラストロングスレッド #12/0(ティムコ)
1.下巻きを行う
ボビンホルダーにスレッドをセットし、下巻きを行なう。シャンクにスレッドを交差させ、アイのすぐ後ろから巻き始める。フックポイントと同じくらいのところまで進んだら、スレッドの余りをカットし、シャンク前方1/3まで巻き戻しておく



2.ハックルの下処理
できるだけ長さが均等なファイバーを選び、6本むしる。2本を手に取り、羽が軟らかい下の部分は不要なのでこちらも手でむしる



3.ファイバーを巻き留める
ファイバーを2本重ね、フックとフックの間にシャンクと水平になるように置き、スレッドで巻き留めていく。この作業を3ヵ所で行なう。このとき、ハックルの表側を内側にしておかないと、巻き留めたあとにハックルが外側を向かず、動きが悪くなる



4.折り返して巻き留める
アイ側に飛び出た余りのストークを折り返して巻き留めたら、再度アイ側にスレッドを戻す


5.ハーフヒッチで固定
アイの根もとでハーフヒッチを行なう。ここではウィップフィニッシャーというハーフヒッチ専用のタイイングツールを使っている

6.余りのスレッドとストークをカット
余ったスレッド、後方に折り返したストークの余りをカット

7.瞬間接着剤でコーティング
瞬間接着剤で巻き留めたスレッドをコーティングして完成

※この記事は『Basser』2021年9月号に掲載したものを再編集しています。


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