周年開催されているがとりわけ冬期には毎週末のように開催されるトーナメント。興味はあるけれど、参加するのはちょっと不安というあなたに贈るベテランアングラーの山口昌裕さんからの回答集。
周年開催されているがとりわけ冬期には毎週末のように開催されるトーナメント。興味はあるけれど、参加するのはちょっと不安というあなたに贈るベテランアングラーの山口昌裕さんからの回答集。
回答者◎山口昌裕 写真◎編集部
山口昌裕(やまぐち・まさひろ)
オフィスユーカリのトラウトプロスタッフ。通称・監督。初めてのエリアトラウトはバーブ付きのトレブルフックが当たり前だった35 年ほど前に体験。トーナメントは2014 年の地方予選に2回出場し、翌年の第15 回トラウトキング選手権より本格的にトーナメントに参戦すると即座にトライアルで入賞しエキスパート戦進出(通算7 回進出)。最近の主な戦績は、トラウトキング選手権大会のペア戦優勝、チーム戦優勝、予選優勝など。大小の大会で年に5~6 回は表彰台に上がっている。
エリアトラウトのトーナメントの魅力や醍醐味を教えてください
イコールコンディションで競い、結果がはっきり出ること。単純にイベントとしても楽しい!
自分が普段から参戦しているのはエリアトラウトの数釣りトーナメントで、そのほかにもサイズを競うトーナメントもあれば、2人一組のペア戦、仲間3~4人でのチーム戦などもあります。いずれも魚はネイティブではないからこそ限りなくイコールコンディションで競えるのが特徴です。
同じ条件で魚を探し、さまざまなルアーを駆使して、決められた時間内に対戦相手と尾数を競います。接戦になったときに1尾差で釣り勝った際などは嬉しさも大きいですし、同じ条件で競い合うと「実はもっと釣れる釣り方があった」「やっぱりこの釣り方がダントツに効いた」ということが如実に分かるのも醍醐味です。
また、トーナメントを通じてたくさんの人と出会え、そこから交流が始まることもあり、普段は会うことのないメディアに出ているような名手に直接釣り方を教えてもらえることもあります。上位に入賞すれば豪華な副賞が貰え、ビンゴ大会やジャンケン大会などでも思わぬ景品が当たることもあり、とにかく大会が終わるまで楽しいことがたくさん用意されているのも大きな魅力です。
休日をひとりで、あるいは家族や仲間と過ごすだけでも楽しいのがエリアトラウトの釣りだが、同じレギュレーションで競うことでより深い発見がある
ユーカリカップでは毎年女性目線で選んだ賞品が用意され、今年も釣り大会ではあまり見ない某有名ブランドのバッグ等が用意されて喜ばれていた
競技のあとはじゃんけん大会などでも盛り上がるから楽しいイベントとして参加するのもいい
エリアトラウトのトーナメントは大小合わせてシーズンにどれくらい開催されていますか?
年間200試合以上。毎週末どこかで開催されています
国内最大のエリアトーナメントとして知られるトラウトキング選手権大会だけで約50試合(予選大会および入賞者のみの上位大会)があります。シリーズ戦をやっている団体で年間約30試合。そのほか管理釣り場主催で行なっているシリーズ戦、プロショップ主催の大会、近年はSNSによる個人発信も多くなった影響もあり、個人や仲間で主催の大会もあり、それらすべてを合わせると、おそらく200試合くらいあります。
シリーズ戦ではポイント制を採用し総合順位を決めますが、ポイント上位者によるファイナル大会で最終順位を決める場合もあります。こうした長丁場のシリーズ戦では運の要素が減る傾向にあり、単発の大会も予選・決勝と勝ち進むには運の要素が薄まっていきます。
ただし全部ガチの大会というわけではなく、「大会初心者限定」、「女子限定」、「大物1尾」、「特定ルアーのみ」といったルールの個性的な大会もあり、中には運の要素が多分に含まれるものもあります。とにかく毎週末のようにどこかでさまざまな大会が開かれていますので、自分に合った大会を見つけてぜひ参戦してみてください。
ユーカリカップは御殿場の東山湖FA で開催。ここだけでもいくつものトラキン地方予選のほか大小のトーナメント会場になっている
今回のユーカリカップの簡単なレギュレーションを教えてください
ルアーメーカーの冠大会ではそのメーカーのルアーのみが使えます
今回のユーカリカップの上位3名はトラウトキング選手権大会エキスパート戦への参加資格が得られる地方予選のひとつとして開催されました。主なレギュレーションは「オフィスユーカリのルアーを使用する」ことですが、これは冠メーカー主催の大会ではほとんどがこのルールを採用しています。以下はユーカリカップのレギュレーションですが、他の大会と基本的なことは変わりません。
トーナメントにぜひ参加してみたいです。最低限、揃える必要のあるアイテムを教えてください
ラバーランディングネットで掬ってリリーサーで放すのが基本
トーナメントに参加するには、タックル一式(ロッド、リール、ルアー)、ラバーランディングネット、帽子、サングラスがあれば出場可能です。さらに、魚に触らずに素早くリリースできる「リリーサー」があると魚へのダメージも少なくおすすめです。ネットインした時点でキャッチとなるため、一旦ネットから魚を出してリリースする方法が一般的です。
また、試合中にタックルトラブルが起きないとは言い切れませんので、タックルは2セット以上あったほうが安心です。なお、規定の本数内で複数のタックルがある場合は、予備ロッドは必ずロッドスタンドに差しておくようにしてください(ロッドスタンドはバッカンに付いている物でもOKです)。
ネットインの時点でキャッチが成立。このとき、審判がスレ掛かりしていないかなどのチェックも行なう
ネット内でルアーを外すとフックが絡んだり魚が傷む可能性があるので、一旦ネットから魚を出し、改めてリリーサーを使ってフックを外す方法が一般的
トーナメントへの一般的な参加方法を教えてください
メーカーや団体主催はネットから申し込める場合が多い
エリア主催の場合は釣り場での申し込みが多いです。その他の大会(ユーカリカップ含む)についてはネットでの申し込みが多く、各団体、メーカー、ショップなど主催する側のHPより申し込みができます。
なお、今回のユーカリカップでいえばインターネットと開催場所の東山湖FAで申し込みを受け付けていて、事前受付は8000円(釣券=A券5500円+参加費2500円)、当日受付は8500円(釣券=A券5500円+参加費3000円)で、意外と当日参加も多いので、締め切りが過ぎても参加可能かどうか確認しておくとよいでしょう。
トーナメントで好成績を上げるために必要なことはなんですか?
練習の積み重ねが一番
やはり練習に限ると思います。釣り場により魚のクセ、動き、付き場、よく釣れるルアーの傾向種類などがありますので、トーナメントに出る釣り場に行って練習してクセを掴んでおくのは必要だと思います。
好成績にはあまり関係ないかも知れませんが、自分はゲン担ぎをしたり神頼みでお参りに行くこともあります(笑)。
縛りがあるといっても膨大な数のルアーが使用できる。この中から当日のメインやサブになりそうなルアーを試していく
今大会を振り返っての解説をお願いします
風を味方にできた人が勝ち上がり、決勝はBスパークが活躍
今大会は10時スタートという特殊な大会で、事前に参加者の皆さんが直前までプラクティス(練習)をできる状況でした。そのため、クジ順で選手が会場に入ると、あらかじめ釣れる手ごたえのあった風下の釣り座は早々に埋まり、一番最後に入った自分は風上のオーバーハングの下しか空いていない状況でした。
今回は風が強く吹く予報だったため、PEラインのタックルは1本にし、残りは風の影響を受けにくいエステルラインセッティングにしました。
なお、大会当日は魚の放流はなく、居付きの魚は比較的レンジが低く活性は若干低め。回遊している魚は中層に多く、回ってきてレンジが合っていれば比較的簡単に口を使ってくれる状況。風下など魚影が濃い釣り座に入った方が釣果を伸ばして予選を勝ち上がった印象です。
回遊魚はミニクラ、Neiクラがよく釣れていました。釣り方としては、着水後リールのハンドルを3~5回巻いて急速に潜らせレンジキープする釣り。レンジの低い魚はBスパークのリフト&フォール。リフトの幅を調整しテンポを変え魚に見切られない釣り方がよかったです。スプーンでも釣れなくはないのですが、レンジがシビア過ぎて強風下ではちょっと難しい状況でした。
決勝エリアは風上でも風下でもない中間エリアで、釣り座で釣果に差が出にくい場所を選定していたため、誰にでもチャンスはある状況。
決勝の釣果の分かれ目は、レンジ低めの低活性の魚をねらうか、活性は高いがいつ回ってくるか分からない回遊魚にするかで変わってきました。
実際、決勝進出者の多くはレンジ低めの魚をねらっていましたが、誘い方、巻き速度などで釣果が変り、表彰台に上がった皆さんは、リフト&フォール後に食わせの間(2~3秒)を作ることで難しい状況でも釣果を重ねていきました。ヒットルアーはBスパークが多かったです。
30 分一本勝負の決勝戦は西岸に横一列で釣る
朝のくじ引きには参加せず、最後尾から釣り場入り。入りたかったのは朝の試し釣りの段階から魚が多いといわれていた北岸だったが空きがなく、ぽっかり空いていた南岸へ。予選前半は順調だったが後半に失速。決勝進出とはならなかった
決勝の一番クジを引いた山下晃平さんが右端の釣り座をチョイス。予選もほぼ同じエリアに入っていて後半にBスパーク2.9 gをブルブルではなくプルプルという微振動で誘うパターンが効き、その釣り方が決勝でも炸裂。Bスパークのみで7尾を釣って優勝。自身2度目のエキスパート戦進出を決めた
準優勝の遠藤将一さんは26 人中で26 番目というクジを引き、空いていた中央の釣り座に入ると、B スパーク2.9 gのデジ巻きでヨコ方向を探り5 連発
※このページは『つり人2024年2月号』を再編集したものです。