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編集部2023年9月25日

カルカッタコンクエストBFS XGのインプレ│渓流ルアー釣りで使う場合

月刊つり人ブログ

「渓流ミノーイングの専用機」と表現したくなるほど時代にマッチしたスペックを搭載

「渓流ミノーイングの専用機」と表現したくなるほど時代にマッチしたスペックを搭載

解説=宇野章則

聞きたいのは川に入り浸っているアングラーの声

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今回は熱心なトラウティストであり、そしてまた渓流ベイトキャスティングのエキスパートでもある水出さんによる、23年モデル・カルカッタコンクエストBFS(以下、23カルコンBFS)のインプレッションをまとめてみたい。彼はメーカーのエンジニアでもなくテスターでもない、ただ川に入り浸っているいちアングラーだから、当然のことながらリニューアルの詳細や内部機構などのマシン的なところはまったくの不案内。しかし、大の釣り好きで道具 好きによる忖度なしの生の批評は、きっと多くのアングラーが知りたかった痒いところに手が届くのではないかと思う。

 

 

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最大巻き上げ長81cm!待ちに待ったエクストラハイギア

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そもそも水出さんが23カルコンBFSを試してみようと考えたのは、同シリーズで初となるエクストラハイギアモデル(XG)がラインナップに加わったためだ。その最大巻き上げ長は、じつに81cm。前世代の17年ハイギアモデルに比べるとハンドル1 回転につき13cmも速い巻き取りが可能になるので、使い勝手が飛躍的に向上すると考えたのである。

「それなりに使ってはいたものの17カルコンBFS HGが最終的にメイン機に定着しなかったのは、最大巻き上げ長68cm起因するストレスが原因の1つでした。渓流アップストリームでは巻き上げスピードが速いほうが有利ですし、特に源流では斜度がキツく流れが速い状況が多いうえに、足場の関係から直アップの釣りを余儀なくされることがよくあるので、手前にフケていくラインを速く回収できるに越したことはありません。その点、最大巻き上げ長81cmはシマノ2000 番スピニングのハイギアモデルと変わらない数値なわけで、ストレスはほぼゼロ。ついにここまで来たか、と感慨深いものがありますよね……」

と、思わずシミジミしてしまうほど長年エクストラハイギアを熱望していた水出さんにとっては、「最大巻き上げ長81cmカタログ値を目にした時点ですでに23カルコンBFS XG の優勝は決定していたようなものなのだが、実際に同機種を現場で使ってみたところ新鮮な驚きもあったようだ。これまでのハイギア、ノーマルギアに比べて、エクストラハイギアはより鋭く「水をつかんでいる感覚」が得られたのである。

「ほんとに微妙な話ではあるんですが、ミノーのリップが水を噛んでいる、その強弱を手もとで感じ取りやすい気がしています。一般的にリールはギア比が高くなると巻き上げ力が弱まり、逆にギア比が低くなるほど巻き上げ力が高まると思うんですけど、ちょうど流れの変化を『手応え』に変換する方向にエクストラハイギアの巻き上げ力が作用してくれている印象です。巻きが速いからハンドルを回した時にすぐにリップが水をつかんでくれるので、それで水圧の重さを感じ取りやすいのかもしれませんが、いずれにせよ気に入っています」

 

 

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純正だから得られるすべてが噛み合った巻き心地

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先ほど最大巻き上げ長の物足りなさゆえに水出さんが17カルコンBFS HGの使用を断念した経緯に触れたが、その代わりに彼がメイン機として長年愛用してきたリールがカルカッタコンクエスト101 HG( 以下、カルコン101 HG)だ。15年モデルも21年モデルもカルコン101HGは最大巻き上げ長77㎝の巻きスピードを実現していて、充分に渓流および源流のアップストリームに堪える基準をクリア。ただ、軽量ルアーのキャストに特化したフィネス仕様ではないことから、5g 超の重さがないルアーを投げるにはカスタムが必須で、水出さんは軽量カスタムスプールに組み替えた同機種を使ってきた。

さて、そのカルコン101HGを相棒に、軽いものだと1〜2g台のバルサミノーをねらうスポットにライナーで撃ち込み、そしてまたトゥイッチで誘うアップストリームをこの10年ほど楽しんできた水出さんには、1つ不思議に思っていることがあった。なんとなくの微弱レベルではあるものの、「巻き感」が軽すぎる瞬間がある気がするというのだ。

「軽量カスタムスプールは本当に優れもので、これがなければ個人的には現在のような渓流ベイトの釣りは成立しなかったと思います。ただ、軽さと剛性はトレードオフの関係なので、必然的にカスタム後のリールは剛性を失なうことになるんですけど、それが影響しているのか巻き取り時の感度が若干弱まる気がするんです。その点、23カルコンBFS XG は純正で軽重ルアーを気持ちよく投げられるのでスプールを組み替える必要がなく、流れの変化を感じ取りやすいエクストラハイギアも相まって、しっとりした『巻き感』が常にキープされている印象を受けます」

釣り道具全般は軽いほど感度が高まるようにも思うのだが、水出さんによれば23カルコンBFSXGは箱から取り出したそのままの状態で渓流を釣り歩けるフィネス仕様であるため、製品としての剛性とそれに付随して得られるトータルバランスを崩さずに使うことができ、すべての細部が完全に噛み合っている感覚が味わえるのだという。「あれ、ルアーが動いてないかも?」といったようなアップストリームで水圧を見失なう瞬間がなく、とにかく目を見張る巻き心地を実現していて、これも同機種の大きな魅力になっているとのことだった。

 

 

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マグネットでも最後まで失速しないキャストフィール

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ところで、カルコン「BFS」とはベイトフィネスの略であり、もちろん初代モデルの17カルコンBFS H G もフィネス仕様として開発されたリールである。そのためカスタムなしの純正で使うことができ、巻き感のよさで言えば水出さんはかなり気に入っていたが、ネックとなったのは前述の最大巻き上げ長。そしてまた彼にとってはマグネットブレーキが利きすぎることも、軽量カスタムスプールに換装したカルコン101HGを優先する大きな理由となっていた。カルコン101 HGは遠心ブレーキ機構が採用されていて、こちらは一般的に軽量ミノーを投げるにあたってはトラブルと隣り合わせだったりするのだが、ゆるゆるの設定で1〜2gを飛ばす技術に熟達すると着水点までスーッと滑っていくような気持ちのいい伸びが体感できるのだ。

今でもスピニングの釣りが好きで、にもかかわらず水出さんが長くベイトタックルでの釣りに夢中になってきたのは、この最後まで失速しにくい伸びのあるキャストフィールに他では得難い面白さを感じてきたため。なので、23カルコンBFS XG の購入にあたってはエクストラハイギアの巻きスピード向上に期待しつつも、マグネットブレーキの利き具合には一抹の不安を覚えていたらしいのだけれど、マニアならではの不安はわずか数投でうれしい驚きに変わったようだ。23カルコンBFSXGはマグネットブレーキでありながら、遠心ブレーキのカルコン101 HG に遜色ないキャストフィールが味わえる1台だったのである。

「あくまで僕の主観で、なぜそうなるのかはまったく分かりませんが……(笑)。17カルコンBFSH G にあったブレーキが利きすぎて着水点近くで失速してしまう感じが、新機種にはほとんどありません。ともかく低速でもスーッと飛んでいくので、ねらう着水点まであとひと伸び、ふた伸びという距離感をより高精度でコントロールできます。それと、リリースした際のスプールの初動がめちゃくちゃ軽いのもすごいですね。1.5g ほどの重さがあれば普通にミノーを対岸まで飛ばせますよ」

ちなみに現状の水出さんのブレーキセッティングは、サイドプレートにあるマグネットブレーキのダイヤルを中間位置にセットし、メカニカルブレーキはクラッチ解放時にルアーがスルスルと落ちるくらいの緩さに設定するというもの。これは最近の彼が3 〜4gのミノーを主軸にしているためで、より軽いミノーをメインに釣行する時はメカニカルのダイヤルをより緩めに設定したほうがマッチするだろうとのことだった。

 

 

唯一これだけが不満エキスパートがそう語るパーツとは?カスタムしている点は以下の本誌にて確認できます。

※このページは『鱒の森 2023年10月号(No.72)』を再編集したものです。

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