肘掛け椅子にゆったり座って、釣りにまつわる読書をしたり、釣り場や魚たちに思いをはせたり、お気に入りの道具を眺めたり……。雨の日など釣りに行けないときのそんな過ごし方を英国では「アームチェアフィッシング」と言うそうです。このコラムでは、つり人社の社員が「アームチェアフィッシング」の時間にオススメしたい愛読書を紹介します。
『バス釣りがある日突然上手くなる』/青木大介 著
月刊Basser編集部/谷川駿介
肘掛け椅子にゆったり座って、釣りにまつわる読書をしたり、釣り場や魚たちに思いをはせたり、お気に入りの道具を眺めたり……。雨の日など釣りに行けないときのそんな過ごし方を英国では「アームチェアフィッシング」と言うそうです。このコラムでは、つり人社の社員が「アームチェアフィッシング」の時間にオススメしたい愛読書を紹介します。◎今回の紹介者
月刊Basser編集部/谷川駿介
1990年5月21日生まれ。東京都出身。祖父の影響で始めた荒川のハゼ釣りをきっかけに釣りにのめりこむ。中学生のころから地元の先輩とバスフィッシングに没頭するようになり、気が付いたらBasser編集部で働いていた。
なぜバスが釣れないのか。答えは簡単なことだった
私がバスフィッシングを始めたのは2004年ごろで、当時中学2年生でした。
始めた理由は、生きエサを殺すのがかわいそうだから。
「何も犠牲にせずに魚が釣れるルアーフィッシングってなんて素敵なんだろう」と思ったものです。
しかし、なけなしのお小遣いをはたいて道具を揃え、いざバス釣りを始めてみたものの、まったく釣れません。雑誌やバス釣りの本を読んで、書いてある小難しいことを色々試したりもしましたが結果は同じ。結局、初バスをキャッチするのに半年ほどかかりました。
転機となったのが、地元の川で会った釣りウマのお兄ちゃん(当時高校3年生)。その人と釣りに行くようになってから、劇的にブラックバスが釣れるようになりました。
もちろん、技術的なことを教わったり、秘密の釣れる水路・ため池なんかに連れて行ってもらったりした、という理由もあります。でも、何より大きかったのは、そのお兄ちゃんが大切なことに気づかせてくれたことです。
「難しいこと考えなくても、ねらったところに正確に投げられるようになれば釣れるよ」
バスフィッシングは「攻め」の釣りです。イトを垂らしてアタリを待つのではなく、バスが潜んでいそうなところにアグレッシブにルアーを投げ込んでいくわけです。
しかも、ブラックバスは得てして物影に隠れがちです。オーバーハングした木の根もとやアシ際のえぐれ、乱立した杭と杭の隙間などに身を潜めてエサを待っているわけです。そんなピンポイントに、ときには数十m離れたような距離からルアーを投げ込むのは容易ではありません。そもそも最初は、そんなところにはルアーを投げ込む、という発想すら浮かびませんでした。
一方、その釣りウマお兄さんは驚くようなキャスト精度でルアーを物影に滑り込ませ、面白いようにバスを釣るのでした。
以来、毎朝近所の川に通ってキャスト練習をするうちに、だんだんとねらった場所にルアーを投げ込めるようになりました。それに伴って、どんどん釣果も上げられるようになったんです。
月日は流れ、大学生となった僕はこの本に出会います。
「キャスト精度の重要性」という項目にはこう書かれていました。
「広大なフィールドからバスがいるスポットを絞り込む能力も当然重要です。しかし、仮にキャスティングだけを極めたアングラーがいたとしたら、その人もかなり釣るでしょう」
もちろん、バスフィッシングを極めようとするなら、さらに細かく難解なパズルと向き合わなければなりませんし、それこそがこの釣りの魅力でもあります。でもその難解さのあまり自分を見失いかけたときは、ぜひこの本を読んでほしいです。キャストに関すること以外にも、悩めるアングラーの目を覚ましてくれるエッセンスにあふれています。
『バス釣りがある日突然上手くなる』
文庫: 146ページ
出版社: つり人社
発売日:2011/7/1