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編集部2020年4月23日

少年よ、大ヤマメを抱け。/アームチェアフィッシングの部屋 第14回

月刊つり人ブログ アームチェアフィッシングの部屋

肘掛け椅子にゆったり座って、釣りにまつわる読書をしたり、釣り場や魚たちに思いをはせたり、お気に入りの道具を眺めたり……。雨の日など釣りに行けないときのそんな過ごし方を英国では「アームチェアフィッシング」と言うそうです。このコラムでは、つり人社の社員が「アームチェアフィッシング」の時間にオススメしたい愛読書を紹介します。


『続 渓流釣り北海道120河川』/北海道新聞社発行

ノースアングラーズ編集部/平澤裕樹

肘掛け椅子にゆったり座って、釣りにまつわる読書をしたり、釣り場や魚たちに思いをはせたり、お気に入りの道具を眺めたり……。雨の日など釣りに行けないときのそんな過ごし方を英国では「アームチェアフィッシング」と言うそうです。このコラムでは、つり人社の社員が「アームチェアフィッシング」の時間にオススメしたい愛読書を紹介します。
 
◎今回の紹介者
ノースアングラーズ編集部/平澤裕樹

hirasawa-profile
1975年生まれ、生まれも育ちも北海道札幌市。1999年、大学在籍中にアルバイトとしてつり人社に入り、以来、North Angler’s編集部ひと筋。好きな釣りはトラウト&サーモンのルアーフィッシング。


釣りの原点は何ですか?

 僕は小学1年のときに海の町から、川まで徒歩数分という町に引っ越してきた。その川は、手稲山を水源とする琴似発寒川。約200万都市(現在)を流れる川だけに三面護岸が目立ち、いかにも釣れそうに感じないが、以前からヤマメが放流されていて、夏になると釣り人の姿が見られる。
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 今でも時間さえ合えば釣行をともにする親友が、あるとき転校生の僕に「釣り行かない?」と誘ってくれた。自転車を漕いで行った琴似発寒川で、初めて川釣りを楽しみ、ヤマメの美しさに魅了された。これが、僕にとっての釣りの原点である。

 琴似発寒川は侮れず、数人の友達は小~中学時代に「尺ヤマメを釣る」という目標を達成していた。ちなみに僕が知っている最大はT君が小学5年のとき『ブレットン』でキャッチした38㎝。夏が短い北海道では、“超”が付く大ものだ。彼は生かして魚を持ってきて見せてくれたが、はっきりとパーマークが残るメスだったのをよく覚えている。その頃、僕の最大は27㎝……。嫉妬するほど羨ましかった。
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 ウチは父も釣りが好きだったので、琴似発寒川で何度も一緒にサオを振った。しかし、好奇心旺盛な少年は、近くの川だけじゃ物足りなくなる。川釣りのガイド本を読みあさり、よさそうな川を見ては「父さん、来週は○○川へ連れてってよ」とせがんだ。

 札幌から遠い川ほど釣れそうな気がしたが、現実はそうあまくはない。厳しい結果も多かった。釣れないとき、気性の激しい父は決まって「この本、デタラメ書きやがって」と怒っていた。意気消沈した僕と父は琴似発寒川でヤマメを釣っては、「遠出することなんてない。灯台下暗し」とよく言ったものだ。とはいえ、尻別川や真狩川、美国川、古平川、鳥崎川、然別川などでは本当によい思いをさせてもらった。
 父はもう、川を歩けなくなってしまったけれど、今も実家に帰ると当時の川釣り談義に花が咲く。

 そんな少年時代を過ごしたせいか、川釣りのガイド本を書店や釣具店で見つけると、つい手に取ってしまう。これまで何冊も読んできたなかで、『渓流釣り北海道120河川ガイド』は保存版だ。掲載している川が多いのはもちろん、札幌市内の川も紹介されていて、僕は昔を思い出してワクワクする。
 著者の塩田彦隆さんには一度だけお会いしたことがあるが、とても優しい人柄の紳士。この方が薦める川なら“デタラメ”はないと信じられる。なお、弊社刊『新編 釣り旅北海道’13-‘14』では塩田さんに「渓流釣りと温泉の旅」という記事をお願いした。
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 北海道は6月1日、道央と道南で待ちに待ったヤマメの解禁日を迎える。
 札幌市内だって夢はある。
 少年よ、大ヤマメを抱け。

『続 渓流釣り北海道120河川』
単行本:271ページ
出版社:北海道新聞社
発売日:2012/6/5

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