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編集部2024年10月28日

熊本県/球磨川 復活!日本一の大鮎釣り選手権大会の当日の様子│3尾で1mを目指せ

アユ 月刊つり人ブログ

巨アユの王国、球磨川。令和2年豪雨によって中止を余儀なくされていた「日本一の大鮎釣り選手権大会」が、2024年9月、5年ぶりの復活となった。

巨アユの王国、球磨川。令和2年豪雨によって中止を余儀なくされていた「日本一の大鮎釣り選手権大会」が、2024年9月、5年ぶりの復活となった。

写真と文◎編集部 後援◎人吉市、球磨村 特別協賛◎東京燃料林産株式会社、株式会社尾鷹林業

3尾で1mの巨アユを釣ろう!

球磨川は日本三大急流のひとつ。九州山地から発し幾筋もの支流を集める奔流は、人吉盆地や球磨村の峡谷を大蛇のように曲がりくねって滔々と流れ八代海に注ぐ。荒瀬の岩盤や大岩には大きく育ったアユが付く。肩が盛り上がり尾ビレの発達した力強い魚である。

「球磨川の尺アユは格別。一生に一尾釣ってみたい」

と憧れを抱く釣り人は多く、シーズン終盤となる9月のシルバーウイークには剛竿を担いだ釣り人が全国からやってくる。

しかし、令和2年7月豪雨で球磨川は変わった。災害の復旧工事は現在も続き、活気が乏しくなっていると漁協は嘆く。球磨川を元気にしたい、盛り上げたいという釣り人の声は多く「釣りで復興の後押しをしたい」と立ち上がった企画が「復活‼日本一の大鮎釣り選手権大会」である。

同大会は釣りあげた3尾のアユの合計長寸を競う。「3尾で1mの巨アユを釣ろう!」のキャッチフレーズで2019年まで球磨村の商工会などでつくる実行委員会が毎年開催していたが、2020年以降は甚大な被害からの復興のため中止を余儀なくされていた。実に5年ぶりの復活である。

アユ釣り

まるでアユと綱引きでもしているかのようなやり取りが太い流れで展開する

 

人吉市長も球磨村村長も応援

9月21日。人吉市街地の中川原公園を拠点に水の手橋から繊月橋までを予選会場に全国から56人の参加者が集まった。中川原公園は水害前に県内外の大アユファンが詰めかけた駐車場所。5年ぶりに修繕され予選のための本部テントが建てられた。開会式には人吉市長の松岡隼人さん、球磨村村長の松谷浩一さんも参席。また今大会のために特別協賛をくださった東京燃料林産の関係会社尾鷹林業代表取締役の野村友彦さんも応援に駆け付けた。

松岡市長はアユ釣りもたしなみ「復興はまだ道半ばではありますが、アユは例年どおり大きく育っています。皆さん大いに楽しんでいってください!」と話す。

競技委員長は激流大アユ釣りのレジェンド、野嶋玉造さん。

「全国から多くの釣り人が集まって感謝します。この大会を開催できただけでもうれしいよ」

と笑顔で挨拶。野嶋さんは昨年、本大会につながるプレ大会をNFS(野嶋フィッシングスクール)で企画した。そして参加選手のひとりとなって自らもサオをだす。

またダイワの瀬田匡志さん、シマノの坂本禎さん、がまかつの田嶋剛さんと各社大アユ名手の姿もある。

予選は7時~14時まで。今年は遡上不良で「アユの顔が見られる人が何人いるか?」との前評判だったが、開始早々にサオを曲げる選手もいる。中でも本部上に架かる大橋上流の瀬では次々に剛竿が孤を描いた。

早々に3尾のアユを揃え、検量所に1番乗りでやってきたのは田中忠男さんだ。最大27㎝を筆頭に26㎝と24.5㎝の3尾で計77.5㎝と見事なアユを釣りあげた。試合終了の1時間前になると続々と選手が本部検量所に戻ってくる。大会前の不安をよそに3尾以上のアユを持ち込んだ参加者は12名もいた。

鮎釣り大会

参加者は56名。九州だけでなく栃木、群馬、埼玉、愛知、広島、高知と球磨川を愛する大アユファンが全国から集まった

 

川

予選は上流水の手橋から下流繊月橋の間で行なわれ剛竿が連なった

 

アユ釣り大会

試合開始早々にアユをキャッチした群馬の千明宏隆さん。NFS 所属の大アユハンターだ

 

アユ

「ドラゴン」の愛称で親しまれる栃木の名手、坂本禎さんも3尾をキャッチ

 

同長寸、重量差で優勝者が決まる

21日夜には決勝進出選手の発表パーティーが行なわれた。球磨川で釣りあげられた大アユを火力の強い尾鷹林業の黒炭を使って焼き上げた塩焼きも振る舞われ、夢追い人の参加者たちはおおいに懇親を深めた。そして決勝進出者20名が発表されると盛り上がりはピークに達した。

22日の決勝は球磨村の「渡」地区で行なわれる予定だった。しかし未明から雷鳴が轟き、大粒の雨が降った。夜が明ける頃には洪水警報が出るほどの濁流となり決勝は中止となってしまった。

予選結果をもとに球泉洞で行なわれた表彰式では、主催者を代表して弊社社長の山根和明が挨拶。

「これまで何度も取材で球磨川を訪れてきましたが、水害後の変わり果てた被災地に愕然としました。決勝の中止は残念ですが、来年以降も大会を継続して球磨川のアユ釣りを盛り上げていきたい。ぜひ来年もチャレンジしてください!」

との呼び声に会場は沸く。開催地の球磨村の松谷浩一村長は「多くの釣り人が私たち以上に球磨川愛していることを感じさせてもらいました。豪雨災害後、川の環境が変わっていますが、地元としてアユ釣り場の環境をしっかりと守っていくのが使命です。毎年、地元を応援してもらえばうれしいです」とお礼を述べた。

 

釣り人

大型賞の平祐二さんには小社社長の山根和明より二升五合(益々繁盛)の球磨焼酎が手渡された

 

順位は予選の結果で決まり、優勝は一番乗りで検量を行なった田中忠男さんだった。2位は山口県の髙村收さんで、なんと田中さんと同長寸の3尾合計77.5㎝を釣りあげたのだが、重量差4gの僅差で田中さんに敗れた。3位は群馬の千明宏隆さん。3尾の長寸は76.7㎝。大物賞を獲得したのは28㎝を釣りあげた福岡県の平祐二さんだった。表彰式では参加者全員に豪華な賞品が手渡され、和気あいあいとした和やかな雰囲気の大会となり「来年も参加します!」と喜びの声は多かった。

 

表彰式

左から2 位の髙村收さん(3尾合計77. 5cm、重量492g)、1 位の田中忠男さん(3尾合計77.5cm、重量488g)、3 位の千明宏隆さん(76.7cm、重量492g)

 

大鮎

今大会の最大魚は福岡の平祐二さんが釣りあげた28cm。体高のある球磨川らしいアユだ

 

尺鮎

2 位の髙村收さんは山口県在住。小誌の愛読者でご長寿連載「17 文字の釣り人生」では「尺鮎の目にも涙」のペンネームで20 年以上川柳を投稿。2 年連続で年間大賞に輝いている

 

釣り

福岡県矢部川をホームにする優勝した田中さん。「予選で優勝になったのはラッキーだと思います。また来年も頑張ります(笑)」とこの笑顔

 

野嶋玉造、鈴木康友

表彰式では競技委員長の野嶋玉造さんと小社会長の鈴木康友が「まず開催できたことが本当にうれしい。これを継続していくことが大切」と話す

 

釣り

「復興は道半ばですが球磨川のアユは元気です」と話す人吉市の松岡市長

 

釣り

「みなさんが愛する球磨川の釣り場環境をこれからも守っていきたい」と球磨村の松谷村長

 

川口商店

球磨村球泉洞の名物オトリ店「川口商店」は豪雨被害にあった。ご遺族の平野みきさんも大会運営に尽力。決勝進出者発表パーティーの挨拶では大会の開催を涙を浮かべて喜んだ

 

NFS

運営に尽力されたNFS の田村聡さん

 

尾鷹林業

尾鷹林業代表取締役の野村友彦さん

 

 

※このページは『つり人 2024年12月号』を再編集したものです。

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