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編集部2017年5月25日

クロダイ・アジ釣り/鬼に金棒!「虫ヘッド釣法」の手引き

アジ クロダイ-海 魚種別釣りガイド

アジやメバルをねらうジグヘッドリグにワームの代わりに虫エサを刺したらどうなる?  という発想で生まれた「虫ヘッド釣法」はルアーの誘いとエサの威力が合体した「鬼金」釣法なのである。 お手軽で簡単な防波堤のカサゴねらいから沖磯でのマニアックな釣りまで多種多彩な魚にアプローチ。

おすすめ時期:周年

高崎冬樹◎写真と文

アジやメバルをねらうジグヘッドリグにワームの代わりに虫エサを刺したらどうなる? 
という発想で生まれた「虫ヘッド釣法」はルアーの誘いとエサの威力が合体した「鬼金」釣法なのである。
お手軽で簡単な防波堤のカサゴねらいから沖磯でのマニアックな釣りまで多種多彩な魚にアプローチ。


この記事は『つり人』2016年7月号に掲載したものを再編集しています。

ジグヘッド+エサの威力


 「虫ヘッド釣法」とは、そもそも10年近く前に兵庫県の淡路島で流行し始めた釣りである。某ショップのブログに掲載された「ガシラ(カサゴ)釣りすぎ注意!」という記事に端を発し、当時発売されていた釣り雑誌の誌面を飾ったのを関西のアングラーなら記憶されているかもしれない。要はメバリングなどのライトタックルで、ジグヘッドリグにワームの代わりにアオイソメなどの虫エサや生きエサを刺して釣るというだけのものなのだが、これが実に効果的だった。ジグヘッドリグが持つルアー的な誘いの要素とエサの集魚力が合体することで鬼に金棒の釣法が出来上がる。

124-127mushi-hed_cs6 (2)オーナー「虫ヘッド」とはエサ釣り専用に工夫されたジグヘッドである

 そして当時のジグヘッドはメバリングやアジング用のものが流用されていたのだが、それをよりエサ用として使いやすく機能的にし、オーナーばりから発売されたのが、その名も「虫ヘッド」であり、これにより対象魚もカサゴなどの根魚だけにとどまらず淡水魚まで拡大、エサもオキアミやシラサエビ(モエビ)、イカの切り身などバリエーションを増やすことで多種多様な魚種が手軽にねらえる「虫ヘッド釣法」が出来上がっていった。

 ちなみに、2015年7月からオーナーばりが行なった「虫ヘッド釣法・目指せ100魚種キャンペーン」では、約4ヵ月間で100魚種まであと一歩の95魚種の釣果投稿があったというから驚きだ。とにかく手軽で簡単な釣法で何が食いついてくるか分からないのが魅力といえる。

124-127mushi-hed_cs6 (3)防波堤や護岸、写真のようなスロープで手軽に根魚などをねらえるのが虫ヘッドの魅力

5サイズのウエイトで底から表層までタナ探り


 虫ヘッド釣法はとにかくシンプルな釣りである。細いラインの先に虫ヘッド1個を結ぶだけ。それ以外の仕掛けパーツは全く不要なので初心者でも取っつきやすく、指先がかじかむ厳寒期でも仕掛けのセットが苦にならない。

124-127mushi-hed_cs6 (11)虫ヘッドの釣りにはフロロカーボンラインを通しで使うのがおすすめ。ただし沖磯など根が荒いポイントではリーダーをつないだほうが安心な場合も。柴山の磯で西浦さんが使ったのはラインは『ザイト・マイクロゲームフロロ』(オーナーばり)の2lb(0.5 号)、リーダーが『ザイト・磯フロロ』1.25 号

124-127mushi-hed_cs6 (9)ヘッド部の両サイドが平らになっており虫類などのエサを刺すときにつまみやすい。またシャンクには生エサキーパーがありエサがずれないようになっている。さらにハリ先が若干外向きのため、カワハギなどがエサをついばむアタリでもしっかりとらえてフッキング。シンカー部の両サイドにはサイズが表示され、ラインアイも大きくイトを通しやすい

124-127mushi-hed_cs6 (10)ウエイトは0.5 g、1g、2 g、3 g、4.5 gの5 サイズでフックサイズも3 段階に大きく太くなっている

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 基本的なタックルはライトゲーム用ロッドの6~7フィートに小型スピニングリール。ラインはフロロカーボンの0・5号以上。PEラインでもOKだが、その場合はフロロリーダーを接続する。

 そんな虫ヘッド釣法で最も簡単、手軽に楽しめるのが、そもそものルーツである防波堤や護岸からのカサゴねらい。釣り方は簡単。虫ヘッドにアオイソメやイシゴカイなど虫エサを刺して壁際に落とし込み、着底したら再び少し持ち上げてまた落とす。これだけでよい。ワームで釣る場合は夜でないと釣果がそれほど期待できないが、生きエサであれば日中でもバンバン釣れてしまう。これも虫ヘッド釣法の強みなのだ。

 アタリはサオ先にグググッと出ることもあるし、落とし込んでいる途中でラインが止まったり引き込まれたり。それほど水深がない場所ならノベザオでもかまわない。そのほうが、かえって手返しのよい釣りができ、トラブルも少ないので初心者には簡単だ。

 何だ、それなら古くからある探り釣りと変わらないじゃないか?という意見もあろう。ただ大きく違うのはハリとオモリが一体となっている点で、この意味が実に大きい。探り釣りで定番の管付きオモリから下バリを出した仕掛けや、枝スを出すドウヅキ仕掛けに比べ、ハリとオモリが一体のため、とにかくアタリがダイレクトに出る。また誘いをエサに伝えやすく、ルアー釣り同様の細かいアクションが可能になる。

 また仕掛けがシンプルなのでケーソンとケーソンの隙間など、他の仕掛けでは引っ掛かって釣りにくいポイントの攻略も容易。そんな場所にこそ手つかずのカサゴが多く残っている。

 虫ヘッドには0・5gから4・5gまで、重さが違う5アイテムがあり、壁際を落とし込む際は2g以下の軽いものを使う。リールを使っていれば2g以上の重めの虫ヘッドに交換、キャストして前方の底をねらうことができる。防波堤や護岸の少し沖には基礎となる敷石などが入っており、そこにカサゴが付いているのだ。その場合は投げて仕掛けが底まで沈んだら、ゆっくりリールを巻いてアタリを待つ。もしくは時おり50㎝ほどチョンと仕掛けを浮かせて落として、を繰り返す。

 底を釣ると根掛かりが心配だが、虫ヘッドは最大でも4・5g。海底の岩や石の隙間に入り込むことが少なく、ちょっと引っ掛かったかな? という抵抗を感じたらチョンとサオをあおって浮かせてやれば根掛かることはまずない。また、そんな場所にこそ根魚が付いているし、その動作が誘いにもなる。

 この壁際と底を釣る方法ではカサゴだけでなくアイナメやメバル、クロダイ、アコウ(キジハタ)などが食い付いてくるかもしれない。砂底のポイントをねらえばシロギスやメゴチ、カレイなども対象魚になる。

但馬海岸の沖磯で大アジねらい


 壁際、底の釣りだけが虫ヘッドのテリトリーではない。実は表層や宙層の釣りも可能なのだ。ねらうのは潮流。潮が流れてヨレができていたり潮目ができていたりする場所。そこに軽めの虫ヘッドを投入し、ゆっくり引いたり落とし込んだりする。ウエイトは潮の速さ、ポイントの距離にもよるが、おおむね1g以下でよいだろう。

 エサは虫エサでもかまわないがオキアミを使うと釣りやすい。ボイルのオキアミならエサ持ちがよくエサ取りにも強いのでベター。数匹ずつでかまわないので、仕掛けを入れるたびに潮筋に寄せエサを入れるのも効果的。これで釣れるのはアジにサバ、コッパメジナなど。シラサエビや虫エサを使えばスズキやメバルなどもターゲットにできる。

124-127mushi-hed_cs6 (22)尾羽根を切って、そこからハリを通すのが基本の刺し方

124-127mushi-hed_cs6 (23)リフト&フォール、リトリーブに特化した刺し方。オキアミを真っ直ぐにすることで水中での回転を防ぐ

124-127mushi-hed_cs6 (24)ゆっくりフォールさせたいときはオキアミを折りたたんで腹側にハリを掛ける

124-127mushi-hed_cs6 (25)ボイルのオキアミは乾燥しやすく、そのまま解凍すると浮きやすいものがあるので水汲みバケツなどに海水を張って入れておく。寄せエサは少量ずつ、仕掛けを入れる前後に潮上に撒くこと。手でもかまわないがマキエヒシャクがあれば便利

 この表層から宙層の釣りをマスターすれば、かなりマニアックな釣りも可能になる。初心者には敷居が高いかもしれないが、渡船を利用して沖磯に出るのだ。ターゲットはクロダイにマダイ、メジナにイサキ、青ものと磯釣りの対象魚。地方、季節によっては大アジがねらえたりもするので面白い。

 4月13日、オーナーバリの虫ヘッド担当、西浦伸至さんが大アジをねらいに行くというので同行することにした。場所は兵庫県の日本海側、山陰海岸ジオパークにも認定された但馬海岸の柴山である。午後3時ころ、福祥渡船で沖磯の大島へ。

 水汲みバケツに入れて解凍したボイルのオキアミを潮上にパラパラと撒きつつ1~2gの虫ヘッドにボイルを刺して20~30mほど沖に投入。潮は適度に東に流れているようす。まだ日が高いので仕掛けを底まで落としてリフト&フォールを繰り返す。

 この釣り方で、しばらくはベラが相手をしてくれる程度だったが、1時間ほどして西浦さんの7・6フィートのアジングタックルがひん曲がる。しかし足もとに張り出した根に擦れて2・5ポンドのフロロラインがブレイクしてしまった。引き方からして、けっこう大きなクロダイだったようで残念。しかし6時前、再び同じようなアタリをとらえて今度は逃がさない。サイズは30㎝台半ばで大きくはないがイブシ銀のクロダイを手にし、先ほどのリベンジに成功。

124-127mushi-hed_cs6 (4)虫ヘッド2gが、がっちりとカンヌキをとらえた

 そのころから雨が激しく降り始め、日が暮れても目的のアジはなかなか回遊して来なかったが、7時半を過ぎてからアジのアタリが出始めた。最初は20㎝そこそこの小型だったが、徐々にサイズアップし8時前についに興奮の時間帯に突入する。最大38㎝まで30㎝オーバーを8尾ゲットすることに成功した。もう少し早い時期だと40㎝、45㎝というギガアジも釣れるらしい。

124-127mushi-hed_cs6 (5)日が暮れたところで興奮の大アジタイムに突入!マックスは38 ㎝だった

124-127mushi-hed_cs6 (6)4月中旬に訪れた兵庫県柴山の沖磯、大島。潮に乗せて虫ヘッドを流すうちにアジングロッドが一気にひん曲がった

 この日、アジが釣れたパターンは虫ヘッド1gの場合と2g使用時の2とおり。まず1gのときは潮上にキャストし着水したらカウントダウン20~30の後、ラインを張ってテンションフォール。潮流に乗せ1分ほど待ってアタリがなければ回収して再キャスト。2gの場合は着水と同時にラインの出をストップ、表層からのテンションフォールで、その後は1gのときと同様。この2パターンを潮流の速さ、投入距離で使い分けた。

 何度か試しに西浦さんのタックルを借りてキャストしてみたが、ライトタックルゲームに慣れていないとアタリどころか仕掛けがどこに入っているかも分からない。沖磯で風も流れも強いのでなおさらだ。とはいえアジングやメバリングに慣れている人なら、すぐにマスターできるだろう。

 しかし、あくまでも虫ヘッド釣法は手軽な釣り。柴山の大アジねらいは、こんなマニアックな釣り方もあるという一例だ。まずは防波堤のカサゴねらいで、虫ヘッド釣法の手軽な魅力にじっくり触れてみよう。

124-127mushi-hed_cs6 (8)柴山の沖磯には福祥渡船を利用。出船時間などは要相談

124-127mushi-hed_cs6 (7)この日の西浦さんは30cm 以上を8 尾もキャッチした。春先は条件がよければ40cm オーバーのギガアジもねらえる


虫ヘッドで釣れた魚たち
カサゴ、メバル、アジはもとよりキジハタ、メジナ、キス、ガッチョから青ものまで。何とヤマメやニジマスなど淡水の魚たちまで虫ヘッドの守備範囲は広い(提供=オーナーばり・西浦伸至さん)
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2017/5/25

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