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編集部2018年8月24日

イワナ釣り/ブナに守られたべっぴん尺イワナをテンカラで

イワナ 魚種別釣りガイド

新潟県関川村を流れる女川。 その名のとおり、女性らしく穏やかな流れが続く。 釣れるイワナもまた女性的な色の白いべっぴんさんが多い。ブナの森に守られた純粋無垢なイワナたちをテンカラでねらった。

おすすめ時期:8~9月(解禁期間要確認)

大沢健治◎レポート

新潟県関川村を流れる女川。
その名のとおり、女性らしく穏やかな流れが続く。
釣れるイワナもまた女性的な色の白いべっぴんさんが多い。ブナの森に守られた純粋無垢なイワナたちをテンカラでねらった。


この記事は『つり人』2016年10月号に掲載したものを再編集しています。

大沢健治
昭和47年生まれ。埼玉県日高市在住。釣り歴は35年。渓流釣りは大学に入ってからのめりこむ。釣り好きがこうじて㈱上州屋に入社。現在は上州屋川越店店長を務める。『全日本暇人協会』会員。テンカラ用品、渓流用品にも力を入れているので気軽に足を運んでいただきたい



10年ぶりの再訪


 前回訪れてから10年ほど経ってしまっただろうか。林道入り口の目印にしていた酒屋の看板はなくなり、少し通り過ぎてしまった。スマートフォンとカーナビで確認して林道に入る。前回の時もかなり荒れていた林道だけに少し心配していた。不安は的中し、乗用車では走行が困難。やはり山と共に生活する人が減っているのだろうか、普段あまり使われてないようだ。仕方なく林道の途中で車を置き、車止まで約4㎞を余計に歩くことになった。車止は多少の草が生えていたもののしっかりと分かる広さを保ち、ここでひと休み。ここからが蕨峠への本当のスタートだ。

046-050tenkara_syaku_cs6 (3)_1 人があまり入っていないため、ゼンマイ道では藪漕ぎを強いられる場面も

046-050tenkara_syaku_cs6 (4)_1 ゼンマイ道を行くのにフェルト底の渓流シューズでは滑ってしまい危険。ピンソールやチェーンスパイクを用意したい

 以前とさほど変わりない踏み跡を辿り、尾根道に取り付く。ここから以前はなかった急登を強いられたが、あとは前回の記憶を思い出しながら、歩きを楽しんで進んだ。やがて蕨峠のピークを越え、道は徐々に下降を始める。最後の急な下りを一気に下りると女川本流が出迎えてくれる。

046-050tenkara_syaku_cs6 (17) 新緑に青空が映える明るい渓相の女川

046-050tenkara_syaku_cs6 (5) 今回の入渓メンバーは大沢健治さんと梁取宏史さん



046-050tenkara_syaku_cs6 (20) 蕨峠からは朝日連峰の山々が見渡せた


046-050tenkara_syaku_cs6 (6) ブナの森を抜けて女川を目指す

 ここにもテント場はあるのだが、今回は私のお気に入りのほうまで、あと少し本流をソ行する。時おり走るイワナを見ながら無事に白沢のテント場まで辿り着いた。まずはビールや食材を冷やし、タープを張って、薪を集める。林道を歩いた分時間をとられたため、急いで準備しなくてはならない。谷の夕暮れは早い。すでに16時を回っていた。とりあえずテント場の設営が終わったので一息。夕飯にイワナがなくては話にならないため、とりあえず1尾を釣りに行く。時間的にも夕マヅメなのでよいだろう。

テンカラ尺イワナへの道1
■ポイント選び■
p 046-050 point
 今回の渓は落差があまりなく、落ち込みも少ない。瀬と曲流部、ブッツケとヒラキの繰り返しで、時おり深い淵といったぐあいだ。競争力のある尺イワナはいいポイントに付いている確率が高い。大場所と感じるようなところ、ヒラキでも面積があり、他の場所より水深がある川幅の広い瀬からのブッツケなどその川のなかでも規模の大きなポイントは良型の付き場になる。また大場所前後のポイントも気を抜かないでほしい。意外と尺ものが出る。

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テント場前で尺イワナ

046-050tenkara_syaku_cs6 (2)_1 ファーストヒットが35cm。色白い美形イワナに惚れ惚れしてしまう


 まずねらったのはテント場から目と鼻の先、ブッツケからのヒラキだ。ヒラキは浅く広い。一番よさそうな場所に、毛バリが打てる距離まで静かに詰める。チビイワナが右往左往したがねらいは良型だ。ブッツケからの流れが左岸の岩沿いを進む。その流れが緩くなる前、ここぞという場所に毛バリを打つ。答えは早かった、文句のつけようがない出方。バックリと咥えた。合わせるとガツンと腕が止まる。勢いよく走りまわるイワナの引きをじっくりと楽しんだ。今回の釣行の1尾目は35㎝の尺ものだ。このイワナはさっそく刺身でいただいた。イワナの刺身は鮮度が命だ。みんなで味わうその身は格別で、入渓祝の食卓を飾ってくれた。

046-050tenkara_syaku_cs6 (9) テント場に着いたらまずは1杯。「お疲れ様で~す!」

046-050tenkara_syaku_cs6 (7) 046-050tenkara_syaku_cs6 (8) 釣れたイワナは必要な分だけキープし、刺身や漬け丼で食した
※編集部注:生食は寄生虫に中る危険があります




沈ませても好反応


 翌日、同行の梁取さんと交互にサオをだして楽しんだ。イワナの反応はよく、飽きない程度に釣れてくれた。この日は前半にフォーム素材を使った毛バリを使用した。浮力があるため、浮力剤を使用しなくてよいのがメリット、テンポよく釣り上がりたい源流には向いている。しばらくソ行すると通らずになる。狭く深いトロでパッと見た限り魚は浮いてない。手前のカケアガリに小型が付いていたがさっと深みに入って行った。右岸側からできる限り近づき、その深みの中心に向かって毛バリを打つ。流れは緩く、浮いた毛バリはほぼ止まっているような感じだ。10秒ほどそのまま放置。ちょっとよそ見をして振り返ると波紋がたっている。おそらくかなり下からゆっくりと上がってきてくわえたのだろう。2日目最初の尺イワナだった。

046-050tenkara_syaku_cs6 (12) 瀬尻に定位していた34cm

046-050tenkara_syaku_cs6 (14) 流木の下をねらい良型イワナをヒットさせた梁取さん

テンカラ尺イワナへの道2
■毛バリの選択■
046-050tenkara_syaku_cs6 (10)
 私はまず浮くタイプの毛バリから使うことが多い。今回のように夏場であればバッタや小型のカナブンのような虫をイメージしたものだ。また、#8前後の比較的大きめの毛バリが多い。大きめの毛バリはイワナに早く気づいてもらえる。深い場所、早い瀬、白泡の上など、小型の毛バリで出なかった良型が勢いよく出るのも魅力だ。

 魚が沈み気味な時、活性の低い時などは沈めるタイプに変える。また先行者が浮く毛バリを使っている時などは、後ろから釣り上がる時に沈むタイプを使うのも有効。これは浮く毛バリに反応しなかった魚が釣れるのと、流す場所、筋が変わることで出る魚がいるためだ。いずれにせよ、面倒がらずに、どんどん毛バリを変えて試し、その時の状況にマッチするものを捜してほしい。



046-050tenkara_syaku_cs6 (11) ブッツケ後の緩流帯を流すと魚が素直に反応してくれた

テンカラ尺イワナへの道3
■キャスト■
p 046-050 cast
 それほど規模の大きくない源流では、灌木の被る場所も多い。キャスト時にバックスペースが取れないシチュエーションなどはよくある。そこで役に立つのがロールキャストやサイドキャスト。私は少し大きめの毛バリを使用することが多いので、ラインはキャストがしやすいテーパーラインかレベルラインでは4号を使用している。細いラインに大きめな毛バリではバランスが悪く、ロールキャストも普通のキャストもしづらくなる。バランスも大切にしたい。

046-050tenkara_syaku_cs6 (13) タモを使わない源流ではいつも以上に最後まで気が抜けない

 後半、逆さ毛バリで楽しむことにした。浮かせても釣れなくはないのだが、釣りは漁ではない。他の毛バリも使って楽しみたくなる。ただし、浮かせて反応しない魚がこの日いたと思われたことも、毛バリを変えた理由の1つだ。逆さ毛バリでも順調に釣れた。比較的流速のある場所をねらっていく。しばらくしてよさそうなヒラキのポイントが現われた。このヒラキでは魚は出なかったのだが、ここにはいそうだと直感が働いた。毛バリを徐々に上流へずらしながら流していくと、魚は開く前の瀬尻に付いていた。浅く早い流れだがしっかりと毛バリをくわえたイワナは引きが強い34㎝だった。

046-050tenkara_syaku_cs6 (1)_2 深く緩い流れに毛バリを投じ、しばらく待つと底から尺イワナが浮上し毛バリを食み込んだ

046-050tenkara_syaku_cs6 (15) このサイズをコンスタントに掛けていた梁取さん

p 046-050 tackle 046-050tenkara_syaku_cs6 (18) 046-050tenkara_syaku_cs6 (19) 大沢さんの使用ロッドがszm『天空テンカラSpecial SE34』で梁取さんがダイワ『ネオテンカラ32』。大沢さんはレベルラインを使い、梁取さんはテーパーライン3.6 ~ 4.5mにハリス1.5 号1m というラインシステム

テンカラ尺イワナへの道4
■ファイト■
 釣る前に魚を掛けた後のやり取りを必ず想像している、この場所で掛けたらどういうやり取りをしてどう取り込むか。特に源流ではタモを持ち歩くことがないので、大型の掛かりそうな場所はよく考えてから振り込むようにしている。また良型は掛かったら必ず障害物の下に潜ろうとする。

 最近のレベルライン向けのテンカラザオは特に柔らかく、スローテーパーの物も多い。岩の下、エグレ、重なる大石の隙間などに潜られやすい。そのため、腕を高く上げて魚を持ち上げるようなイメージでやり取りすることをおすすめしたい。



釣れない時のワンポイントアドバイス

 釣れない理由はいろいろと考えられる。アプローチ、キャスト、毛バリ、そして釣り人にはどうしようもできない自然条件。まずはアプローチ、不用意にポイントに近づきすぎないこと。姿勢を低くしてそっと近づこう。

 キャストは水面をラインで叩かないようにし、毛バリから着水するようにすること。そしてキャストの回数は減らし、フォルスキャストをなるべく少なくしよう。毛バリの選択は迷うかもしれない。ただ、源流では大きめの毛バリが効く。そして浮く毛バリ、沈む毛バリの用意は最低限しておいたほうがよい。「どんな名人でも、自然にはかなわない」。私の師匠のお言葉だ。だから、自分ができる精一杯の努力や準備はしておきたい。

 楽しい時の流れは早く、気づけば昼を過ぎていた。昼食の後は残された時間を惜しむように釣り上がった。緑の隙間に青空が映える。底石の白い渓もまた美しい。保護色をしたここのイワナは色白だが、尾ビレの大きさがたくましさを物語っており、引きも強く申し分ない。今回も楽しい釣りができたことに感謝し、少し早めにテント場へ戻った。

 焚き火を前に飲む酒もまた格別だった。ブナの巨木に囲まれたテント場は居心地が最高。見上げると巨木の合間に星空が広がっていた。また訪れたようと思いシュラフに潜り込んだ。

046-050tenkara_syaku_cs6 (16) 焚き火の前で語らう時間は格別だ

Guide
基本 CMYK 問合先●荒川漁協(℡0254・62・1163)
解禁期間=要確認
t交通●東北自動車道・白石IC または国見IC からR113 を西へ。小国の市街地を抜けて県道261 号を荒川沿いに北上。舟渡から林道で蕨峠へ

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2018/8/24

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