アジングは「手軽に楽しめるのが魅力」。だから身近で気軽なオカッパリ釣り場を求めるニーズが多数である。しかし都心近郊には安定して群れが入るポイントが少ないのも現実。そこで「ぜひ一度ボートアジングを味わって欲しい」と言うのが駒崎佑典さんだ。東京湾の沖合には、数も型も有望な濃密なアジングフィールドが広がる。それこそ出船して数十分という身近な海で、アジのアタリをたっぷりと堪能できる。
アジングは「手軽に楽しめるのが魅力」。だから身近で気軽なオカッパリ釣り場を求めるニーズが多数である。しかし都心近郊には安定して群れが入るポイントが少ないのも現実。そこで「ぜひ一度ボートアジングを味わって欲しい」と言うのが駒崎佑典さんだ。東京湾の沖合には、数も型も有望な濃密なアジングフィールドが広がる。それこそ出船して数十分という身近な海で、アジのアタリをたっぷりと堪能できる。
写真と文◎編集部
道具は陸っぱりの延長で
「アジングにハマった当初は外房に毎晩通い込んだ時期もあります。オカッパリの釣りはアジの付き場を探すのも楽しいし、いろんな条件にハメていく組み立ての面白さがありますが、日によってムラもあって時合もマヅメの一瞬だけという日が多いんです。これではヒットパターンを見出すのも、技術を高めるのも難しい。だからビギナーのお客さんにはボートアジングを本気でおすすめしています。一度でいいからアジのアタリをとことん味わったほうが、ステップアップにつながるし、アジングの魅力や奥深さも分かると思います」
そう話すのは東京都足立区のルアー専門店「アングラーズショップマニアックス」を経営する駒崎佑典さんだ。駒崎さんは買い物をしてくれたお客さんに、きちんと釣ってもらえるまで面倒を見たいという接客ポリシーがある。だから安心して紹介できる釣り船やガイド船と付き合いを深め、接客業同士の太いパイプをもっている。今回乗船した『Anglers Staff』もそんな船宿のひとつである。
2007年創業の『Anglers Staff』は高橋知也船長が切り盛りする。シーバスガイドが隆盛する東京湾のガイド船サービスで、いち早くアジングガイドを看板に掲げてきた。独自にアジのポイントも開拓し、四季折々で変わるアジの付き場も熟知している。夜が主体と思われがちなアジングだが、ボートでは日中でも充分すぎるほどの釣果を出せる釣り場がある。まだ明るい14時集合だったこの日も開口一番「一投目から釣れますよ。100尾以上は顔を見れます」と自信たっぷりに話す
高橋船長のボートは江東区の砂町運河から出船する。乗り込んだのは駒崎さんと、「マニアックスWEB ショップ」店長の高木祥行さん、リールハンドルなど釣り具のカスタムパーツを製造販売する「ドライブフィッシング」の佐藤潤弥さんの3名だ。
「ボートだからと特別なタックルを用意する必要はありません。ジグヘッドは3g程度の重めがよいですが、オカッパリの道具をそのまま使えて、キャスティングスタイルで楽しめるのが高橋船長のアジングガイドです」
駒崎さんはロッド5フィート前後、リール2000番、エステル0・4号にリーダー1・2号という道具立てにジグ単と小型メタルジグを用意。深場をねらうボートアジングは、2オンス(15号相当)のダウンショットリグを用いるバチコンスタイルも人気だ。しかし重いオモリも背負える専用ロッドが必要でまた違う釣趣となる。
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凄まじい数釣り
「美味しいアジを持って帰ってもらいたい。だからポイント毎に食べ比べをして、どの時期にどの場所で美味しいアジが釣れるのか念入りに調べています」
そう言う高橋船長が案内した美味アジ釣り場は川崎沖の水深16mライン。「どうぞ」の合図で一斉にジグヘッドを落とすとフォール中からモゾモゾ、コンコンというアタリが出て、一投目にして全員アジを釣りあげた。
「座っていても釣れますからね。ビギナーはもちろん家族連れでもアジを釣らせる自信があります」
と船長も操船しながら連発させる。
高木さんも「ジグヘッドが落ちていきません」と次々に掛かるアジに笑いが止まらない。多彩なジグヘッドとワームを使う高木さんはワームにバス用フォーミュラーを振りかけている。味を付ける効果というより、ワーム同士のくっつきや変色を防止してつまみやすくするためだ。
バスフィッシング用のフォーミュラーを振りかけた高木さんのアジングワーム
高橋船長おすすめジグは月下美人プリズナー(ダイワ)10 g。ヒット率を上げるためにフロントフックは平打ち加工された小アジバリを2 本付け、リアはトレブルというチューンを施す。おすすめカラーは夜光ホロシラス
「15カウントくらいでベールを戻してテンションフォール。それだけでもアタリは出ます。ただし合わせないと掛からないのがアジングの面白さです。モゾッと感じたりフッとテンションが抜ける小さなアタリを合わせられると、上顎にフッキングします。アタリを取る練習にもボートは最適なんですね。注意点はアタリが遠のいた時はワームがズレていないか必ずチェックすること。ワームがズレていると極端にアタリが途絶えます」
駒崎さんはそう言いながらサイズアップできるレンジをカウントダウンで探る。底層ほど大型が出るのではないかという期待感もある。サイズがあがりだしたのは西日の色合いが濃くなった16時過ぎ。駒崎さんのラグゼ「宵姫天」を絞り込み、チリチリとドラグの快音を響かせたのは体高のある尺クラスのアジである。
「ボトム付近に良型がいるかと思えば、意外と表層に浮いています」
と次々に良型を抜き上げていく。
一方の高木さんはメタルジグを使い、こちらもたて続けのヒットを決める。小型メタルジグを使ったこの釣り方を高橋船長は「アジギング」と呼ぶ
「お客さんにアジギングをすすめるようになったのは2年ほど前から。ジグの重さは10g程度、ジグヘッドよりも手返しを速くできます。魅力はマニュアルな操作感です。弾いて落としてジグを上手く踊らせないと反応しません。それが楽しいんです」
ジギングは佐藤さんも連発させ、そのうち駒崎さんもジグに参戦。マヅメの時合もピークになり一投一尾でアジが舞った。
普段は根岸湾周辺でアジングを楽しむという「ドライブフィッシング」の佐藤潤弥さんもメタルジグで連発
「いろんなルアーを試してみたくなりますね」
と駒崎さんが取り出したのは「ローリングベイト66」である。フォール時も水平姿勢で微波動のアクションをする。これならアジも食うだろうと投入すれば間もなくヒット!
駒崎さんはローリングベイト66 でもアジをキャッチ
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12月以降は50cmクラスも出る
日が落ちると同時にアジのレンジはシビアになって、ジグヘッドを軽くしてフワフワとゆっくりフォールさせないとアタリが出ない。サイズが上がらなくなったので高橋船長は場所を移動することに。
「ここでは50cmオーバーも出るし、40cmクラスなら確率の高い釣り場です」
そこは常夜灯が利くストラクチャー周りの水深24m。アジのレンジはボトム付近だ。着底から1mほどレンジを上げ、潮の流れに乗せてワームを漂わせる。ここでは高橋船長も真剣に釣る。そして微かなバイトを合わせると、これまでのサイズとは明らかに違う重量感でロッドが曲がる。しかし間もなくラインブレイク。
腰を落として耐えるほどの引き。しかしこの魚はシーバスだった
この後で駒崎さんも高木さんもアジを掛けたが、マヅメ時よりもサイズダウン。またもや高橋船長がヒットさせたが、時間をかけてやり取りした末にあがってきたのは60cmクラスのスズキだった。
「残念ながら大きなアジの群れがかたまっていません。本格シーズンは12月以降でしょう」
高橋船長はそう言うと港に向けて舵を切った。
「都心から1時間もしないで40cm、50cmクラスが釣れるアジングフィールドがあるんです。アジはお土産になりますから、たくさん釣れても奥さんや子どもが喜んでくれますし、気心知れた友人と自由な時間設定で楽しめるのもボートの魅力です。それと高橋船長はたくさん引き出しを持っています。固定観念にとらわれた釣りをバージョンアップしてくれますよ」
終わってみれば32ℓクーラーは満タンである。リリースしたアジも数知れない。これほどの大釣りをアジングで味わえるのだから素晴らしい。
※このページは『つり人2024年1月号』を再編集したものです。