早春の渓流は雪代含む釣り場がほとんど。 魚たちの活性も低い。 でも日当たりや湧水など水が温みやすい渓谷だって各地にある。 ここでは解禁当初から実績の高い川筋を案内したい。
長野、山梨、静岡をまたぐ大水系。早春にねらうは南部の支流
望月竜也 解説
早春の渓流は雪代含む釣り場がほとんど。魚たちの活性も低い。
でも日当たりや湧水など水が温みやすい渓谷だって各地にある。
ここでは解禁当初から実績の高い川筋を案内したい。
この記事は『つり人』2016年4月号に掲載したものを再編集しています。
解説◎望月竜也
1970 年生まれ。山梨県南部郡在住。富士川水系をはじめ、大井川水系にも通じる。盛期は大ものを求めて本流に通うが、渓流域の釣りも大好き。
富士川水系の概要
日本三大急流と謳われる富士川は富士山の西側を流れる。釜無川を水源に笛吹川や早川などいくつもの支流を集めて駿河湾に注ぐ。中でも南部に位置する支流群は早期から活性の高い渓流魚が多い。温暖な気候により解禁を迎える頃には山肌の雪も姿を消す。また新東名の新清水ICができたことでアクセスも格段によくなった。
早期からねらえるエリアとしては、静岡県富士宮市を流れる芝川漁協、山梨県南部の富士川漁協管内がおすすめである。3月15日に解禁を迎える支流の早川漁協管内も集水域は広く魅力ある支流を抱える。対象はアマゴ、イワナ。稚魚放流が主体なのできめの細かい肌をした魚が釣り人を魅了する。芝川はニジマスも放流していて、時おり50㎝を超えるサイズが顔を出すので驚く。解禁直後から良型アマゴが釣れることで人気だ。
サオは4~5mクラスを主体に下流部なら6~7mを用意、ハリスは0・2~0・5号、ガン玉は3号~3Bを準備して状況で調整。エサは川虫もよいが平水なら食い込みのよいブドウムシ、イクラを主体に、ミミズも用意したい。
芝川
芝川の柚野橋下流は深瀬がねらいめ。石裏に潜む魚をねらう
解禁初期から良型が揃うのが芝川の魅力
芝川の羽鮒地区は大場所が多いが水量の多い時は移動に苦労する
富士川支流で最下流の釣り場となる芝川は富士山の湧水を集めて流れ、一年を通じて水温が安定している。早春はもちろん夏場でも楽しめる。
対象はアマゴ、ニジマスで下流部の羽鮒地区や、柚野地区の実績は高く、深瀬の中にある定位しやすいポイントには良型が潜む。淵、堰堤下も越冬した魚が溜まっているのでねらいたい、エサはヒラタ、クロカワムシを現地で採取。キヂの実績も高いが食い渋り時はイクラでカバーしたい。
サオは7mクラスがベスト。ハリはエサに応じて5~7号を使い分けハリスは0・4号前後。透明度が高く、押しも強い流れなので自分が感じるよりワンランク重いオモリを使用しないと底に入らずアタリが出にくい。また数年前からC&R区間ができ、久保大橋付近はエサ釣り禁止だ。注意してほしい。
●問合先:芝川非出資漁業協(℡ 0544・66・0270)
●入漁券販売所:田中屋商店(℡0544・65・0640)ほか芝川交番近くのコンビニでも
●交通:東名高速道路・富士川スマートICを降り、県道10 号を山梨方面へ。JR 身延線・芝川駅で富士川と合流する芝川最下流部へ。そこから県道75 号を芝川沿いに上り上流エリアへ
福士川
福士川は幡竜橋より上流は初期にねらいたいポイントが多く実績も高い
幡竜橋下手は開けていて釣りやすい
福子川の尺アマゴ。きめ細かな肌である
福士川は山梨県南部町を流れる。アユ釣り場としても人気である。対象はアマゴ、上流部はイワナも混じる。
初期は森のオアシス(河川公園)付近から蕎麦処「ひのき」上にある堰堤までが足場もよい。サオは6mクラスが取り回しはよい。アベレージは20㎝前後なのでハリは7号で水中イトは0・3号でよい。
堰堤上流は良型の実績が高いが、岩盤、巨岩が現われる。ソ行も難しく入渓者も多いため魚の警戒心が高い。中、上級者向きである。スレた魚が多いためハリは6号前後。ハリスは0・2~0・3号。ブドウムシの食いがよく、初期はイクラも有効である。石の下に潜む渓魚にエサを見せるように流すと効果的。前年に放流された小型も多いので釣れたら速やかにリリースしよう。
なお、水量が多い時は南又地区の支流南又川へ逃げるとよい。ボサが多いのでチョウチン釣りになる。
福佐野川
佐野川の流れ。小さな落ち込みも丁寧にねらうとチャンスは増える
佐野川は透明度が高いので細心のアプローチを
佐野川は富士川左岸に注ぐ。柿元ダム(通称天子湖)より上流をねらうと良型のアマゴが拝める。ただし、標高が高く気温も低いので初期は魚にサビが残る。古い養鱒場付近にある林道ゲート脇に駐車して入川。少し歩いて踏み跡を捜す。落差も少なく滝もないのでソ行は楽だ。が、万一熊と遭遇した時には熊避けの鈴は身に着けよう。
大雨でも濁りにくいのが魅力であり、他の河川が駄目な時は好機。アクセスが悪く道も荒れるので要注意、初期は路面が凍結しやすく、冬用タイヤを履いて防寒対策も怠らないこと。
サオは5m前後、ハリスは0・3~0・5号を用意。エサはブドウムシ、イクラ、ミミズを持参し当たり餌を探す、川幅も狭く透明度も高いのでアプローチに注意して低い体勢でアプローチしたい。
栃代川
栃代川の取水堤から上流は落ち込みが多く魚の潜むポイントが増える
初期は深みに魚が溜まっているのでジックリねらおう(栃代川)
旧下部町を流れる栃代川は常葉川の支流である。入渓は大炊平地区の杉山橋から、農業取水用の堰堤を越えると落ち込みが出てくる。石裏に姿を隠して静かに釣ろう、和名場地区の温泉を越えると大堰堤が続くので温泉まで行ったら右岸の県道に上がって車道を戻る。途中にも県道に上がる道があるが慣れないと判りづらい。釣り橋を目安に見つけよう。
サオは4・5~5mの硬調がよく遊動式の天井イトにするとポイント毎に調整が効く。で気温の上がる午後のほうが釣果は上がる、エサは初期ならイクラがよくブドウムシも有効である、ハリは6号で食いがよければサイズを上げる。
福奥沢谷
奥沢の取水堰堤までは落差のあるポイント
早川漁協管内は3月15日に解禁を迎える。早川支流の奥沢谷は私が好きな渓のひとつで、盛期には尺アマゴの実績もある。入渓はダムのバックウォーターからと老平地区の笊ヶ岳登山道駐車場から林道を歩いて終点で川に降りる方法がある。初期は林道終点付近からの入渓をすすめる。この辺りは落ち込みや淵もあり釣り下っても面白いが、上流にある取水堰堤まで釣り上がるのがベター。石が凍ることもあれば、雪が残ることもあるのでソ行には充分注意したい。
比較的頭上が開けており6mクラスのサオが振れる、解禁直後は痩せている魚が多いが活発にエサを追うのでハリスは太めの0・4号以上でよい。川虫が採取しにくく、イクラとブドウムシを併用する。納竿後は「ヴィラ雨畑」の温泉に浸かり体を温めるとよい。閉校した学校の校舎を利用した温泉で宿泊もできる。
奥沢の林道終点付近は水深もあり魚が溜まりやすい
●問合先:早川漁協(℡ 0556・45・2302)
●入漁券販売所:丸山釣具店(℡ 0556・42・2455)
●交通:中央自動車道・双葉JCT より中部横断自動車道で増穂IC を降り、R52で身延町飯豊へ進む。県道37 号を経て、雨畑ダム方面に進み硯島郵便局の路地を右折して登山道駐車場へ
2017/2/25