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編集部2024年10月29日

広島県/倉橋島 秋イカエギングの探り方│やる気のある個体の見分け方とは

全国おすすめ釣り場 広島

秋は数釣りの季節だろうか?正解ではあるが、そこまでイージーに釣れる時代ではなくなった。ゲーム性が高まるショートロッドでテクニカルに釣ってこそ数につながる。

秋は数釣りの季節だろうか?正解ではあるが、そこまでイージーに釣れる時代ではなくなった。ゲーム性が高まるショートロッドでテクニカルに釣ってこそ数につながる。

写真と文◎松本賢治

群れをねらうか単体をねらうか

例年9月中旬にもなると瀬戸内、広島呉エリアの島々で200g前後のコロッケサイズの秋イカシーズンがスタートする。瀬戸内と日本海は太平洋よりもエギングのシーズンが明確なことも特徴だ。

林さんが好きなのは呉エリア。特に、本土から離れ少し車を走らせて倉橋島などの島々へ渡ると水質もよく自然も豊かでイカも濃い。そして、風光明媚な瀬戸内独特の景色も楽しめるとあって癒しを求めて秋イカシーズンを満喫している。

「春はデカイカを求めて島根や九州へ行くんですけど、秋はこのエリアへ通っています。景色もいいしイカも濃い。ポイントも多いんで楽しめます」

 

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漁港のミオ筋のブレイクは秋の定番ポイント

 

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岬周りの潮通しのいいところなども秋の定番ポイント

 

とはいえ、やはり近年は秋とはいえ、そして新子とはいえ難易度が上がっている。

「だから秋は機動力が一番重要だと思います。いくらイカがいっぱい見えているところを見つけても、それに囚われていたら釣果が伸びない。エギに反応しないイカは捨てて、次々ポイント移動してくのが得策です」

というスーパーランガンを林さんは勧める。自然が多く残る豊穣な海であることは、海を覗けばすぐにわかる。近年、見ることが少なくなった数十パイの新子の群れも、このエリアだとかなりの確率で見ることができる。ただ……。「全然、反応しないでしょ。賢いんですよ。エギを投げたら群れごと沈んでいくでしょ……次行きましょう」という感じで取材当日もスーパーランガンを繰り返すこととなった。では、林さんはこんな状況にどう対応しているのだろうか?

「僕はエギに反応するイカだけをねらっています。反応するかしないかは潮が一番影響し、秋イカの場合、潮さえ動いていればそんなにシビアにならなくてもいい。動いているのに反応が悪いときはと通り軽くチェックして深追いせずに高活性なイカを求めて移動します」

必要以上に粘って負のスパイラルにハマらないようにしている林さんのねらい方はこうだ。まず、群れを見つけたら群れの奥(潮上)5mほどにエギを着水させる。群れの先頭(潮上)にいる個体が一番強くひと回り大きいことから、その個体がどう反応するかを目安にするという。

 

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足もとのシャローは1m を切る。チェイスしてきたイカがどうエギへ反応するのか丸見え。何度かショートキャストして反応を見て、それでも距離を縮めなければ諦める

 

潮上の一番強い個体がエギへ反応すれば、数ハイのイカがエギをチェイスしてくるので脈ありだ。だが、逆にその個体がバックすると群れ全体もバックして沈んで終わる。見切りをつける。だが、そのポイント全体を捨てるのではなく、別の群れがいないか探してみる。そう、群れによって性格が違うというのだ

「ちょっと水深のあるところの群れがダメでもシャロー側の群れの反応がよかったり、港内の群れのほうが反応がよかったりもするので、ひととおりは探ってみます。でも、どの群れもダメな時もある。そういう時は群れから外れた個体のほうが反応がよかったりすることもあります」

群れから外れた単体のイカはフラフラしているようで、実はフィーディング状態にあるケースも多くスイッチも入りやすいケースが多々あるという

「単体でいるイカは群れよりもサイズがいいことが多い。エサをよく食っているんだと思います。エサを探してウロウロしているからエギへ反応がいいことがある」

群れと単体。その両方を意識して秋を柔軟に探っていく。

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季節を問わずサイズをねらうなら潮通しのいい場所のブレイクが絡んだポイントがいい

 

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ショートレングスの強み

秋イカへ対する使用エギサイズは3寸(=号)をメインとする林さん。

「イカのサイズからすると2.5寸なんですが、2.5寸から使っちゃうと反応が悪い時にサイズをそれよりも落とせないでしょ。だから、3寸スタートで使う。そして、潮通しのいいところでマシなサイズをねらえそうなら、3.5寸も使いますが、今日のタイミングではまだ出番はないです」

 

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エギはクリックス・プロスペックスタンダード(クロノ)の3 寸とイカメタルカラーの2.5 寸を使った

 

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ロッドはカリスタ76ML / TJ(ヤマガブランクス)にリールはステラC3000(シマノ)。ラインはPE0.5 号。リーダーはフロロ2. 5 号を1ヒロ(PR ノットで結束)にスナップ使用。この組み合わせを周年使用している

 

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9月中旬、倉橋島の最南端にある鹿島まで走り、そこからスタートした。林さんが実績場としてマークしているポイントには共通点がある。それは潮通しとブレイクが絡んでいる点だ。

「これは季節に関係なくですが、少しでもいいサイズをねらおうと思ったら、やっぱり潮通しのいい場所、そしてブレイクが絡んだポイントですね。ただ秋は、沖の潮が走っていれば手前も引かれて動く程度でいい。でも、ブレイクは必須です」

漁港のシャローをのぞくと手前のシャローには新子が群れで浮いている。まずは3寸をセレクトして、水深のある沖へキャスト。

「秋はサイトフィッシングできるのが醍醐味です、ヤル気のあるやつは沖でそのままブラインドで釣れちゃいますけど、沖にいる少しマシなサイズは手前まで寄せてサイトでねらいます」

浮いているイカをいきなりはねらわない。3寸で抱かないようなら最終的に2.5寸へチェンジ。

「ここの群れは完全無視ですね。群れから外れたやつもチェイスで終わり。次に行きましょう」

こんな感じで移動のテンポはなかなか早い。この展開の早さを可能にするのは使用しているロッドのお「カリスタ76ML/TJ(ヤマガブランクス)のTJはテクニカルジャークの略。7ft6inというショートレングスもかなりよく、秋は特にオススメします。82MLと2本あればシーズンを通じて完璧ですね。ヤル気のあるイカを探してランガンする際、手返しよくパパパッとシャローを探っていけるショートロッドは本当に使いやすい」

進化したニューモデルのカリスタで林さんが特に気に入っている部分があるという。

「前モデルよりも反発力が強く収束力が速くなったんで曲がりの戻りが速い。シャキッとしているように感じるんですが、決してピンピンではない。しなやかだから、ストレスなく腕の延長で使えて、操作が楽しくなる。秋はエギをクイックに連続ダートさせたい時が多々あるでしょ。ショートロッドで戻りが速い分、これまでより1回多くシャクれる感覚がある。スラックも少ないのでティップ絡みすることもないんでトラブルレスです」

1回多くシャクれる感覚というのは通常なら3回シャクってティップのブレが収まるのを待つところを、この76だと同じ3回シャクったあともティップがブレないため、違和感なく4回目のシャクリへスムーズに入れるということ。つまり、同じ距離でも多く誘えるし、いろんなシャクリを加えることもできる。そして、どのアクションに対してもレスポンスがよくなる。

「風が強い時でも風を切って低弾道でキャストできます。その時はオーバーヘッドではなくサイドキャストがオススメですね」

コントロール性能が高まるとエギングへ対する発想も増す。秋のサイトは春イカの練習にもなると林さん。このロッドでよりスキルが上がりそうだ。

 

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何回シャクって何カウントすればエギがどこにあるかを把握しているため、ナイトゲームでも再現できるということ。これを秋のデイゲームで身につけると大きなスキルアップとなるだろう

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思い通り=再現性の高さ

次に入った鹿老港でも、新子がいくつかの群れで浮いていた。だが、反応した群れは1つ。最初にエギをチェイスしてきたのは4、5ハイ。干潮からの上げの潮が利き始め全体的に活性が上がっているような雰囲気だが、エギには警戒して、その距離を縮めることはなかった。しばらくして、単体がふらりと現われた。

「こいつはヤル気ありそうですよ……」

と、クリックスプロスペック3寸をロックオンしたのを感じた。狭いダート幅とスローカーブフォールでイカとの距離を縮め……乗った。だが、2ハイ目が続かない。群れのイカはたくさんいるのだが単体はこれだけ。その後、転々と場所移動しても、どこも単体の反応がいいことに林さんは気付く。そこで、より潮通しのいいところで群れをねらいつつも群れから外れた単体を集中的に探すことにした。

それが功を奏して島の西側に面した大向港ではこの時期にしてはいいサイズの300gを沖から寄せてサイトで乗せることに成功した。「3寸で寄せて乗り切らないから2.5寸にしても乗らない。2.5寸のカラーを替えても乗らない。今日は3寸がいいのかなって思ったんで3寸で、カラーはマジックオレンジがよかった。フルキャストして暗くなってる沖から寄ってくる単体をダート回数多めで強めにアピールしてフォールは弱め(スロー)のメリハリをつけたのがよかったみたいです。乗ってきたのは、そればっかりでした。その日のパターンってやっぱりあるんで、コントロールしやすいロッドだと再現性が高いので釣果を伸ばしやすいと思います」

再現性というテクニカル面にも大きく左右するロッド選び。林さんの釣りを参考にチョイスすれば1年間を2本で回すことができる。

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カリスタ76ML / TJ はグリップも細くなり100 gアンダー(87g)という軽量設計。林さんは軽く手のひらへ乗せアタリや潮などを感じ取れるようにしている。「サイトというと目視だけでアワセを入れているように見えるんですが、それだとタイミングが早くなって空振りすることってあるでしょ。軽量になったことで手感度のアタリもより取りやすくなった。カリスタ76ML / TJ はアタリを取りにいけるロッド。だから、サイトでも目と手の両方でアタリを取っています」

 

 

※このページは『つり人 2024年11月号』を再編集したものです。

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