東京からもアクアラインを渡ってすぐ。千葉県の木更津周辺には、豊穣な干潟と繋がるクロダイ河川が複数ある。このエリアで特に効果を発揮しているのが、ハードルアーの つであるバイブレーションだ。その使いこなしのコツを、シマヤ釣具木更津店に勤める遠藤真一さんに聞いた。
流入河川のクロダイサマーバイブレーション
写真と文◎編集部 写真協力◎荒牧伸弥、遠藤真一
この記事は『つり人』2020年10月号に掲載したものを再編集しています。
東京からもアクアラインを渡ってすぐ。千葉県の木更津周辺には、豊穣な干潟と繋がるクロダイ河川が複数ある。このエリアで特に効果を発揮しているのが、ハードルアーの1つであるバイブレーションだ。その使いこなしのコツを、シマヤ釣具木更津店に勤める遠藤真一さんに聞いた。
遠藤さんは地元で豊富な品揃えを誇るシマヤ釣具木更津店勤務。ルアー、エサとジャンルを問わず楽しみ、直近の釣りだけでもマグロのキャスティングゲーム、源流のトラウトルアー、タコエギングと多忙な日々
ハイアピール&数を伸ばしやすい
ルアーでのクロダイ釣りといえば、ポッパー、ワーム(ジグヘッドワーム)、ラバージグ、底ズルなども人気だが、そんな中でバイブレーションを使い、地元のクロダイ河川を攻略しているのが遠藤真一さん。
なかでも現在のメインルアーは、自身が開発に携わった20g・7cm・シンキングタイプのバイブレーションだ。
リップがなく細かく震えるアクションで対象魚を誘うバイブレーション
「自分の釣りは数もデカイのも求めません。ねらいのポイントで、ねらいどおりに食わせることができれば満足です」
遠藤さんがバイブレーションに感じているメリットは、キャストのしやすさ、落ちていくエサによく反応するクロダイへのアピールのしやすさ、テトラ際などのクロダイが付きやすい場所のねらいやすさ、クロダイのレンジであるボトム付近でのハイアピール、一定の使い方をしたうえでのフッキング性能のよさなどにある。
「一般的にチニングというと、特にワームなどではフワフワとアクションを付けながらじっくりねらう釣り方が多いと思います。
一方、自分の場合はタックルもシーバス用を使った巻きの釣りを基本にしています。
そうした釣りが好きで、結果も出ているからということになりますが、釣りのテンポは早めですね。
基本はクロスからダウンに広くキャストして、ラインが触れる感触なども含めてクロダイの群れが付いている場所をある程度捜したら、あとは群れから少し外した場所を砂けむりを上げながら底ベッタリでバイブレーションを速く引いて、やる気のある魚に一尾ずつ追わせて群れから離してフッキングさせていくイメージ。クロダイはそんなパターンでねらっています」という。
まだ潮位が高く川幅いっぱいに水があった小櫃川。この釣りの基本はダウンだが、この時は広く探るためにアップクロスにキャスト
ルアー、ライン、ロッドは一直線にしたい
使用するロッドはシーバス用の8フィート6インチ、リールはスピニングのハイギア3000番、ミチイトはPE1号、リーダーはフロロカーボンのポンド。
その先にルアー用のスナップを付けてバイブレーションをセットするが、クロダイ用としてはやや重めの20gを選択することがほとんどというのが遠藤さんのタックルセレクトの特徴だ。
これは飛距離もさることながら、前述のとおり、なるべくボトムを速く巻いてきたいためである。
「バイブレーションを効果的に使うには、まずティップを動かしたくありません。
ロッドは脇に挟み、ルアー、ライン、ロッドが一直線になるようにして、巻きの釣りを安定してできるようにします」
ロッドを脇に挟みルアーまで一直線をキープ。スラックを排して巻きアワセに備える
「そしてフッキングは巻きアワセです。
実際に見てもらうと分かりますが、クロダイは口の中が非常に硬いですよね。
特にこのあたりの川は、釣れるクロダイのアベレージサイズが50cm前後と大きいです。
その時、たとえばサオを立ててアクションを付ける釣り方だと、アワセの時もサオで合わせることになりますが、するとサオ先の曲がりでフッキングの力の大半は吸収されてしまう。
それによってバラシの頻度も多くなるのではないかと感じています。
それもあって、自分はバイブレーションを追ってきたクロダイがバイトしてきてもとにかく巻き続けて、その結果、最後に口先の皮一枚にハリが刺さるようなイメージで釣りをしています」と遠藤さん。
いわゆるチニング用ロッドには、アクションを付けることを前提とした7フィートクラスが多い。
それよりも長い8フィート台のシーバスロッドを使用タックルに選ぶのには、こうした釣り方が前提にある。
着水後は基本的に一定速で早めのリーリング。ともかくボトムをキープ
クロダイねらいのシーズンとタイミング
木更津エリアの川クロダイは、周辺で代掻きや田植えが始まる4月後半から5月頃から始まる。そこから月頃になって干潟に海苔棚が作られるまでの9月くらいまでは、だいたいどの川でもJR内房線が川を渡っているところくらいまで(だいたいそのあたりに潮止堰がある)の範囲でクロダイがねらえる。
その際、おすすめはずばり「先中~大潮の潮周りで、木更津の潮位が80㎝より低くなるタイミング」だ。
この時は川筋が絞られるのでクロダイの群れが見つけやすくなる。
潮位80cm以下のタイミングではこれくらいまで流れが絞られる。この時は非常に釣りやすいチャンス
逆にいうと、潮位が80cmより上がったら、川から移動して満ちてきた河口の干潟を探るのも面白いそうだ。
なお、木更津エリアの各河川は、干潟の延長といえる硬めの砂泥底。
護岸の上からねらえる場所もあるが、広く釣り歩くならいずれにしてもウエーダーを着用するか、もしくはウエットウエーディングスタイルが必要になる。
ロッドは8フィート6インチのシーバス用ロッド(アステリオン86ML)
ミチイトとリーダーはミッドノットで接続
遠藤さんが監修した、ソルトウオーター用のシンキングバイブレーション「ビラン70」(メガバス)。15gと20gをラインナップし、背部のフィンの効果でキレのあるアクションと高いレンジキープ力を備える。
まずは潮位表をチェックして挑戦
8月7日、勤務先の釣具店がオープンするまでの時間、遠藤さんと釣友の荒牧伸弥さんが入ったのは小び櫃川の下流部。
二人は前々日の5日(大潮3日目)にそろってクロダイをヒットさせていて、当日の木更津の潮位は、午前10時(51cm)~午後2時(53cm)が80㎝以下のタイミングだった。
そして、そこからわずかに潮位が上がる午後3時過ぎにシーバスを含む釣果を得ていた。
この日は朝まで潮位が高く、同様の条件になるのが午前11時(66cm)~午後3時(68cm)だったが、遠藤さんの仕事の都合もあって、それより前の時間帯にようすみを兼ねて入川。
すると荒牧さんのバイブレーションにマゴチがヒットするも、川の水位はやはりまだ相当高く、本命のヒットはお預けとなった。
木更津の詳細な潮位は気象庁のウエブサイトから確認できる
気象庁「木更津の潮位」
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/tide/suisan/suisan.php?stn=KZ。
例年、9月までは充分チャンスがある。潮時もチェックして、シーバスやマゴチもヒットの可能性がある巻きのクロダイ釣りに挑戦してみてはいかがだろう?
2日前にはシーバスをキャッチ。シーバスの気配がある時は、ボトムべったりでなく、少し浮かせて中層を引くと効果的とのこと
千葉県/小櫃川
交通●東京湾アクアライン・木更津金田ICを利用。クロダイの釣り場はJR内房線の線路より下流くらいまで。川沿いの道で駐車スペースを捜すが、農道を塞ぐなどの迷惑駐車は絶対に避ける