大分県南部はいくつかの半島が突き出ており、沖合には豊後水道が流れ潮流も強い。複雑な地形であるが奥まで潮が入り込み水の循環がよいため、アオリイカが豊富である。秋イカシーズンの開幕を楽しみに河野誠さんが鶴見半島をランガンした。
大分県南部はいくつかの半島が突き出ており、沖合には豊後水道が流れ潮流も強い。複雑な地形であるが奥まで潮が入り込み水の循環がよいため、アオリイカが豊富である。秋イカシーズンの開幕を楽しみに鶴見半島をランガンした。
写真と文◎編集部
秋イカの数釣り
アオリイカの産卵は4~6月だと言われている。その時に生まれた新子が、胴長15㎝ほどに成長してくるのが、夏が終わり秋になる頃だ。その頃のアオリイカは相対的に数も多く、また集団を形成していることが多いことから、数釣りを楽しめる時期でもある。「この時期のサイトでの釣りは、結構ワクワクしますよ。ブラインドでアタリをとっていく釣りも面白いのですが、見えているイカにエギを抱かせる釣りもじれったくてドキドキ感がたまらないです」
とエギングフリークの河野誠さんは話す。
河野誠(こうの・まこと)
宮崎市在住。飲食店や遊漁船などを経営して忙しい中、生来の趣味である釣りに寸暇を惜しんで行っている。エギングの他に渓流釣り、ジギングなども楽しんでいる。ちなみに釣った魚はもれなくお店(酒菜屋diningまこorうろこ)で食べられる
大分県の南部は、幾つかの半島が東西に豊後水道に突き出ている。しかもそれぞれの半島がリアス海岸を形成しており複雑で入り組んだ地形が特徴だ。複雑に入り組んだワンドの奥は藻場ができやすくアオリイカの産卵場所となっている。潮流の早い豊後水道に面していることから複雑な地形の奥まで潮が流れてくるので新鮮な海水が常に入り込んでくる。まさに稚イカが育つためのゆりかごのような場所だ。もちろんイカだけでなく小魚もこのような場所で大きくなるまで過ごすことが多く、エサも豊富なため秋イカをねらうならうってつけと言える。
「こちらに来るのは16年ぶりかなあ」
と河野さんはいう。うっすらと記憶にあるものの、ほぼ初めてとのこと。宮崎に住んでいるが、大分まで遠征に来ることは稀なのだという。
ポイント豊富な大分南部
大分の南部では春のデカイカの情報があまり出てこない。成長したイカは潮流に乗って南下するのだろうか、良型のアオリイカは宮崎北部のほうが有名だ。
この地域は、地形が複雑なことからポイントとなる場所が多いのも特徴で、道路沿いの岸壁からでもちょっとした地磯があったりして場所選びに困るほど。港だけでも何十もある。その上状況変化も多いので潮の流れや水質などを見ながら場所を絞り込んでいくことになる。この日も最初にいくつか入って状況を確認してから場所を絞り込んでいく作戦だ。
足もとにはアジやサバを始めとしてさまざまな種類のベイトが群れていた
秋イカがいる場所
春や夏の良型ねらいと秋イカのポイント選びは違うという。
「今日の釣り場は基本シャローになると思います。海底が見えるくらいで水深2、3mくらいの場所が広がっている所を探します。それと潮通しのよい場所がいいですね。岩がゴロゴロしている場所でシャロー。それと潮の動きも確認しながらやりましょう。それと、なによりベイトがいるところを探しましょう。それが一番大事です」
まずは地図上で潮通しのよさそうな場所を探す。朝マヅメのチャンスタイムを無駄にしないようにいくつかのポイントが近くに固まっているところを選ぶ。
半島の南側を三ヵ所ばかり回って、「ベイトはいるようですが、潮目が遠いですね。時間帯が違うのでしょう。隣の四浦半島の北側に向かいましょう」そう言って河野さんは場所移動を決断した。
いくつもの半島が東西に突き出たここの地形は豊後水道を流れる潮流の影響で、南からの流れの場合は半島の南側に潮が当たり、北からの流れの時は北側に当たるのだ。それを考慮しながら、場所選びをしていく。 移動してみると、水色がよくベイトも多い。潮の流れも利いていてよさそうだ。堤防のそばにいるベイトの奥に河野さんはキャストしていく。
「ベイトが堤防の下に溜まっている場合、あまりベイトを散らさないようにキャストすることも大切ですが、ベイトの沖側にいいサイズのイカがひそんでいることも多いです」
そう言ってキャストを数回繰り返すと最初の1パイ目が釣れた。手のひらサイズのイカだ。小さめだが秋イカの走りと考えればアベレージサイズといえよう。
「堤防の先端部分より根本の岸に近い場所が秋イカのポイントです。エギより小さいイカがたくさん追いかけてきたので、その場所より沖をねらってみたのですがこのサイズでした」
秋イカは浮かせる
その後も同じサイズをいくつかキャッチしていくが、それにしても見えイカが多いように感じる。
「数釣りをするなら、寄せてサイトでねらうという方法を覚えるといいですね。とにかくイカを浮かせましょう。沖めに投げたらボトムをとり、シャクリながら斜め上に引いてきます。イカが確認できそうな距離になったら海面近くまでシャクリあげてイカを浮かせます。そうするとイカが目視できるので、そこからサイトでねらいます」
見えイカが多いのは、河野さんが浮かせていたからだったのだ。ねらうポイントも深場からカケアガリへ、カケアガリから浅場へイカを寄せてくるようにキャスト位置を変えていく。寄せてきたイカはどのように釣ったらいいのだろうか。
「せっかく寄せてきたイカを散らさないように少し離れた場所にキャストしてからイカのそばにエギを寄せてきます。その時にイカが反応を示したら抱かせるためにアクションをかけます」
河野さんが愛用するエギングロッドはラグゼEGXアルティメイト S86ML+_solid(ラグゼ)。軽くてティップがソリッドなのでエギに細かいアクションを入れやすい。また、ソリッドならではのしなやかなティップはイカがエギを触った時に違和感を与えにくいという。そのためサイトフィッシングにも非常に便利なロッドだという。「サイトでの釣りは、イカのようすを見ながら反応のいいアクションを探して釣っていくというやり方です。今日はフリーフォールに反応がよかったですが、日によって違うのでいろいろと試してみるといいですよ」
そう説明しながら次々とイカを釣りあげていく。なかなか抱かないイカをねらって掛けた時のしてやったり感はサイトならではの面白さだ。小型が多い秋イカと言えども、そこには大いに楽しめる魅力がある。
エギより小さい新子たちをかわして掛けた1 パイ。シャローの先にあるカケアガリを探っていた
【使用タックル】
ロッド:ラグゼEG X アルティメイト
S86ML+_solid(がまかつ)
リール:ステラC3000SDH(シマノ)
ライン:シーバスPE 0.6 号(東レ)
リーダー:ショックリーダースムーズ
ロックプラス 14lb(東レ)
ラグゼEG X アルティメイトはとにかく軽い。一見するとアジングロッドかと思うほどバット部分から細い。さらにトップがしなやかなソリッドティップになっておりわずかなアタリにも反応してくれるのに加えて、しなやかなティップがラインスラックを出しやすい。ダートの幅を任意に変えられて細かなアクションも入れやすいのでサイトでの釣りに向いている
ラグゼEG X アルティメイトのティップ部分。ソリッドになっている部分のガイドのところにオレンジのスレッドが巻いてあり視認性がいい。ちょっとしたアタリも見やすく、潮の動きも確実に感知できる。適度な張りがあるので、サイトでの釣りの時に細かくエギをコントロール可能
ダート系のエギで小さな入力でもキビキビ動いてくれるエヴォリッジ3.5 号(ラグゼ)。サイトでの釣りに最適で河野さんのスタイルにも合っている。上からシャローモデル(沈下速度は4.2 秒/m)、ベーシックモデル(3.2 秒/m)、デッドフォール(6.5秒/m)
輪ゴムを付けておくとエギを引っ掛ける時に便利
※このページは『つり人 2024年11月号』を再編集したものです。