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編集部2024年10月22日

静岡県/松崎町雲見・沖トンビ エギングのエキスパートが釣行に出かけました│中層スイミングで攻略

アオリイカ 全国おすすめ釣り場 静岡

大型のアオリイカを追い求める芝賢さんが得意とする『潮の釣り』は、潮に乗って回遊する個体に抜群の威力を発揮する中層スイミングである。ティップエギングと共通する部分が多く、秋も早生まれの良型を釣るのにもってこい。基本を覚えてフィールドに繰り出そう!

大型のアオリイカを追い求める芝賢さんが得意とする『潮の釣り』は、潮に乗って回遊する個体に抜群の威力を発揮する中層スイミングである。ティップエギングと共通する部分が多く、秋も早生まれの良型を釣るのにもってこい。基本を覚えてフィールドに繰り出そう!

写真と文◎伊藤 巧

連日の好釣果に沸く沖トンビで回遊待ち

竿、釣り人

入り込んだ海岸線と荒々しい岩礁が織りなす西伊豆の磯は潮通もしよくハタ類や青物が釣れることで人気が高い。この西伊豆の磯に足しげく通っているエギングのエキスパートが芝賢さんだ。

サイズにこだわる芝さんは、動いている潮の層にエギを馴染ませ、エサを求めて回遊してくるアオリイカをねらう『潮の釣り』を得意とする。回遊してくるアオリイカは型がよく、今シーズンも取材を行なった6月下旬の時点で3.9㎏を筆頭に数多くの2㎏超えをキャッチしている。芝さんによると潮の釣りは秋にも有効で「障害物に身を寄せる新子を釣る一般的な秋の釣り方とは異なるので先行者が叩いたあとでも釣果を得られますし、ティップエギングに共通する点も多い。ゲーム性に優れるので、ぜひ覚えてください」とのことだ。

6月20日、芝さんは産卵最終盤を迎えた松崎町の雲見磯へ大型個体をねらいに出掛けた。雲見港の愛な るみまる海丸に乗り込み、午前5時前に好釣果が出ている沖トンビに渡った。今シーズンの伊豆半島は例年になく海藻が少なく産卵場が限定的とのこと。沖トンビの内向きには藻場が広がっており、今も多くのアオリイカが雲見に入ってきているという。

この日は中潮で午前3時過ぎに満潮を迎えており、すでに下げに入っていた。沖トンビは満潮から2時間ほど経過してから潮が大きく流れだすケースが多いとのこと。「回遊してくるアオリイカは食い気が旺盛な個体なので、ねらいどおりに潮が動けば30分ほどで釣れますよ」と芝さんは牛着岩向きに釣り座を構え、さっそくセフィアクリンチの3.5号をセットした。

 

エギ

セフィアクリンチ3.5号の上からディープ、ノーマル、シャロー。今回アオリイカを深場の潮から呼び寄せたのは、ディープフラッシュブーストのT ケイムライワシ

 

餌木

芝さんが監修したセフィアクリンチシャローのシバザクラとマリンベイト。潮馴染みのよいシャロータイプでありながらキレのあるダートを演出するハイアピールモデルだ

 

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底からシャクり上げて水平移動で大型ヒット

岩場

まずは正面にエギをフルキャストして潮の流れぐあいを上層から刻みながらチェックすると、ゆっくり左から右に流れていた。沖で水深が20mほどあるので、フォール中に一定の間隔でシャクリを入れつつ、ラインをメンディングしながらエギの引き抵抗が重くなるレンジを探していく。そして、ようやく底近くまでエギをフォールさせたところで、潮に引っ張られて重くなる感触があった。潮が利いているレンジで誘いを入れつつしばらくエギをステイさせてからピックアップすると、後方から2㎏級のアオリイカが追尾してきた。惜しくも抱くことなく戻っていったが、芝さんの読み通り潮に乗ってアオリイカが回ってきた。激しい雨が降り続いた影響で苦戦すると思われたが、活性は高そうで芝さんのテンションも上がる。

底近くの潮が動いていたので沈下速度の速いディープに交換して効率化を図る。加えて周辺にイワシらしいベイトが群れていたのでカラーもフラッシュブーストのケイムライワシに変更した。芝さんはラインからテンションが抜けないようにフォールをコントロールしながら素早く底まで沈め、シャクリ上げて動く潮の層に入れた。

潮に流し込むとアオリイカらしき反応が頻繁にティップに出る。普段と流れる潮の向きが逆なこともあってか、気配は濃厚ながらも素直に掛からない。そこで左斜めにフルキャスト。潮に馴染ませながらフォールさせて、ちょうど正面で乗せるよう意識を集中する。そして数投目にロッドが大きく曲がったが、横抱きだったのか一瞬で真っすぐに戻ってしまった。

「回遊してきた活性の高いアオリイカはエサに執着するので、カンナに掛かっていなければもう一度抱いてきますよ」と、今と同じコースに入るようにキャスト。底から10回ほどシャクって潮の層に入れたところでロッドをサビいて水平移動に切り替える。すると5秒ほどで腕ごと持っていかれる勢いでイカがエギを引っ手繰った。底取りから掛けるまでの流れは、まさにティップエギングだった。

「やっぱり磯に渡ってから30分で釣れましたね!」と、慣れた手つきで2㎏クラスを取り込んだ。「捕食モードに入っている個体は活性が高いので、回遊する層にアプローチできれば高確率で反応が得られます」と、芝さんはねらい澄ました一発に満足の笑みを浮かべた。

 

イカ

底から10 回シャクり上げたところで水平移動に移ると、身体をグイっと持っていかれるような勢いでアオリイカが抱いてきた。まさにティップエギング

 

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潮流に合わせてエギを選択する

釣行

潮の釣りで重要なのは、潮に応じたエギの選択。芝さんは潮乗りを感じながら水深とは関係なくシャローやディープなどのタイプを使い分けていた。「潮の釣りは、海の中をいくつかの階層に分けて上から探り、潮の流れている層を見つけたら集中的に探るスタイルです。アオリイカは底付近に定位していると思っている方が多いようですが、成長すると藻場から離れ、潮に乗って広く回遊するようになります。ヤエン釣りはエサの生きアジが自ら潮の層に泳いでいくから釣れるわけですが、同じようにエギも動く潮の層にとどめておければ生きアジに劣らぬ釣果を上げることができます」

動く潮は、フォール中に一定間隔でシャクリを入れて、感じる重さの変化で察知する。特に沖トンビのように15~20mという深場のフィールドでは、底までフリーフォールさせるとラインが潮に取られて大きくたわんでしまう。それでは潮の層を把握できないので、カウントを数えながら10秒や20秒といった間隔でシャクリを入れ、エギが自分に向かって真っすぐになるようラインを張る。このときに潮の重みを感じなければ再びフォールする。これを繰り返して潮の重みを感じたところがアオリイカの回遊層というわけだ。この抵抗が重くなる潮のカウントを覚えておけば、沈下速度が異なるエギに交換する際も変換して同じように攻めることができる。

「ちなみに1m沈むのに4秒を要するエギを水深10mのフィールドで使う場合、単純に考えれば40秒で着底しますが実際には底に届きません。エギとラインが潮を受けて沈下にブレーキが掛かるので、ある程度アバウトで問題ありません。すべてはエギの重みがチャンスゾーンを教えてくれます」

芝さんが推奨する初場所の攻略パターンは、最初に着底が明確なディープタイプをセットし、扇状に左右と真ん中にキャストして大まかな地形と潮の把握に努めるというもの。着底を確認したらテンポよく5~10回シャクっては水平移動を繰り返して手前まで探ってくる。そこで反応が得られなければ、次に見つけた潮の層にマッチするノーマルやシャローのエギを送り込んでアオリイカを待ち伏せするというもの。

「潮の釣りは、動く潮の層にとどまってくれるエギを正しく選択できるか否かが釣果の鍵を握っています。これに関しては固定観念にジャマされている人が多いように感じます。水深3mの浅場でも川のように潮が流れていればディープタイプを結びます。昨年の春には潮が動かないので、沈下速度7.4秒/mのクリンチロングアピールジェットブーストを水深15mのフィールドで結び、100秒以上カウントして底近くで僅かに流れる潮を捉えて3300gをキャッチしました」

たとえ深場でも潮が緩ければ、ためらわずシャロータイプに交換するといった判断が速やかに行なえるようになれば、潮の釣りで釣果を得られるようになると芝さんは言う。重たい潮にエギが入るとグッとシャクリが重くなるので、ゴミでも拾ったかな?と巻き上げず、その階層からエギが外れないよう誘い続けること。信じて待っていればきっとアオリイカが回遊してくる。

 

アオリイカ

障害物周りに付く警戒心の高いイカではなく、活性の高い回遊個体をねらうので釣果率は俄然高い。この潮の釣りは場所を選ばず、しかも周年有効なので、いろいろなフィールドで試したい。底を叩く先行者がいても関係ない点も魅力だ

 

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この記事で使用したロッドはセフィアエクスチューンのS810ML。遠投性に長けた8フィート10 インチで、潮の重みをしっかり感じられるミディアムライト。エギはセフィアクリンチ3.5号。沈下速度3.7 秒/mのノーマルを軸に、1.9 秒/mディープ、6秒/mのシャロー、7.4 秒/mのロングアピールを使う。潮に馴染ませながらフォールさせるので、この沈降速度にプラスアルファしてレンジまで送り込む。

 

 

※このページは『つり人 2024年11月号』を再編集したものです。

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