徳島県最南部、高知と県境を接する宍喰(ししくい)は古くからグレ(メジナ)を始めイシダイ釣りなどの磯釣り場として有名。 そんな宍喰では例年5月中旬以降から8月いっぱいは半夜釣りができる。徳島県下の釣り場としては希少な存在で「夏場も磯釣り」という人にとって、暑い日中を避け釣りができる非常にありがたい釣り場なのだ。特にエサ取りが少なくなる夕マヅメはグレねらいには最高の時合いで、良型イサキも釣れるからたまらない。
22時納竿。夏の半夜釣りが楽しめる、宍喰のフエダイ釣り
レポート◎高崎冬樹
この記事は『つり人』2020年9月号に掲載したものを再編集しています。
徳島県最南部、高知と県境を接する宍喰(ししくい)は古くからグレ(メジナ)を始めイシダイ釣りなどの磯釣り場として有名。
そんな宍喰では例年5月中旬以降から8月いっぱいは半夜釣りができる。徳島県下の釣り場としては希少な存在で「夏場も磯釣り」という人にとって、暑い日中を避け釣りができる非常にありがたい釣り場なのだ。特にエサ取りが少なくなる夕マヅメはグレねらいには最高の時合いで、良型イサキも釣れるからたまらない。
標準和名フエダイ。穴喰ではなぜか鹿児島名のシブダイで通っている
大物注意!ハリスはフロロ7~8号で挑もう!
釣り方はフカセ釣り。本場の鹿児島ではドウヅキ仕掛けのブッコミ釣りも盛んだが、宍喰ではフカセオンリーだ。というのもイサキも同時にねらいたいから。
ただし道具立てをあまりにもイサキ寄りにセッティングすると、フエダイをはじめ突然の大ものにあっけなくハリスを引きちぎられる。80cm近いクエがフカセにヒットしたこともあるだけに、絶対に油断禁物だ。
宍喰の半夜で確実にフエダイをねらうなら最低でも磯ザオ3号、ハリスはフロロ8号を使いたい。船長によるとこれまでのフエダイ記録は55cmほどで特別な大型魚ではないものの、その引きは半端なく強烈。
またフエダイではないかもしれないが8号ハリスでも太刀打ちできない魚も多いと聞く。前述のクエだけでなく80cmをオーバーするようなタマミ(ハマフエフキ)だっているかもしれないのだ。
フエダイねらいの仕 掛け。オモリ負荷0. 5 号の中通し電気ウキ にガン玉5B。サルカ ンは頑丈なものを
この日、フエダイねらいのエサはボイルのオキアミのみ。海水に浸して解凍すると乾燥しにくい。イサギもねらうならアミエビを混ぜるとよい
井手さん、まずはショアジギング開始!すぐにツバスをヒットさせた
グレ、カサゴ、ワカシ……フエダイのほかにも様々な魚種を楽しめる!
2020年シーズン、ようやく6月29日に宍喰へ釣行することができた。同行は淡路島は「まるは洲本店」の井手良一店長。梅雨の中休みでお天気もよく絶好の夜釣り日和になった。
磯に出たのは午後3時前。南下した梅雨前線の影響か多少ウネリがあるため、普段グレ釣りで渡るような沖磯へは行けず。磯上がりしたのは水床湾の港を出てすぐのサビ島で、鹿子居(ししが)島との水道先端部だ。
フエダイ釣りにはまだまだ時間が早いので井手さんはメタルジグを投げ出した。釣りはオールマイティーの井手さんだが基本的にはルアーマン。あっという間にツバス(ワカシ)をヒットさせたが、これは磯の上でポロッと外れてカメラには収められず。
その後、ジグサビキを取り出して磯裏の穴や海溝を探る井手さん。すると小型だがガシラ(カサゴ)が入れ食い。何といっても圧巻だったのはサビキバリ4本にガシラがパーフェクト!井手さん曰く「オモリの代わりジグを付けることでアピール度が全然違います」とのこと。それにしてもサビキに食ってくるガシラって?
ジグサビキでガシラ4連!ってマジですか?すごい!
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フエダイの時合に入る前、我慢できずに細い仕掛けでグレをねらったら!
ルアーマン必見!ショアジギングロッドでねらえます!
17時、足下から右に出た潮流がサラシと合流し、いかにもグレが釣れそうな雰囲気。そこでフカセマンの血が騒ぎ、ハリス2号でグレをねらってみると答えはすぐに出た。
クチブト 37 cm! 「おおっ、ええグ レおるやん!」と思ったが、その後は 木っ葉ばかりになり、フエダイの時合も 近付いた 18 時過ぎ、本命用パワータックルにチェンジ。井手さんもガシラねらいからフエダイねらいにシフト。
ただ井手さんはルアーマンにも「この釣りの面白さを、ぜひ知ってほしい」と、あえてショアジギングロッドでのウキ釣りだ。磯ザオにくらべ短いショアジギングロッドなのでラインを磯際の貝類などに引っ掛けないよう注意が必要だが、1ヒロまでのショートハリスでOKの半夜釣りなので取り回しは楽だろう。そんな井手さんの仕掛けにも中型グレが飛びついてきた。ハリス7号だ。
井手さんは「ルアーマンにも興味を持ってほしいので」と、あえてショアジギングロッドでウキ釣り
これ1本でジグもウキも!リーズナブルなパワフルロッド
プロトラスト『スマッシャー962M』
「ショアジギングもフエダイのウキ釣りもできます」と、まるは釣具洲本店の井手店長がおすすめするプロトラスト『スマッシャー962M』は、元々シーバス、タチウオ、サワラ、小型回遊魚までオールラウンドに楽しめる汎用性が高いマルチアクションのライトショアジギングロッド。1万円以下というリーズナブルな価格設定ながらパワーは申し分なし!
時刻は7時前。夏の日暮れは遅く、まだ周囲は明るい。磯際に張り付けていた僕のウキがゆっくり沈んだ。それまでに何度かハリ掛かりしなかったアタリがあったので、このときはじっくり待って遅アワセ。
その瞬間、ロッドに衝撃が伝わる。リールのレバーを握りしめサオの弾力で耐える。気弱になってラインを送ると負けだ。ハリス8号でもシモリに擦れればワケもなく切れるに違いない。
そしてついに! 海面に浮上させたのは、まぎれもなくフエダイ! シブダイだ! ここでのレギュラーサイズ 40 cm強。思っていたとおりフエダイの引きは半端ない。素晴らしいファイターだ。
念願のフエダイ40cmオーバー!このサイズでも引きは半端なく強い
それからしばらくアタリはあるものの、なぜかフッキングしない状況が続いたが、電気ウキに灯を入れ19時半を過ぎたころに再びファイターがヒット。2尾目のフエダイゲット!? と思ったが、これが何と45cm近いクチブトグレ。
「ハリス8号やで。普段のグレ釣りっていったい?」
そう、それが夏磯の半夜釣り。まったく異次元の釣りが楽しめるのだ。
この直後に井手さんにもアタリがあり「ガチガチにドラグ締めてるのに少しずつラインが出ます」と、かなりの大もののようだ。魚の走りに合わせ磯の上を右へ左へ。ところが浮かせてみると……。
60 cm近い怪力ノトイスズミ! 特に夏場は磯臭く残念な魚ではあるがショアジギングタックルのポテンシャルはかなりのものだ。うん、ルアーロッドでのウキ釣り、大いにアリ!
これ以降、潮が変わったのか全くエサを取られなくなり、小雨がパラ付くなか午後22時納竿となったが、別の磯では42〜45cmのフエダイ4尾という人を筆頭に、ほとんどの磯で本命や良型グレをゲットしていた。
梅雨が明ければ雨の心配なし。8月末まで半夜釣りが楽しめる。フエダイは夏が旬。適度に脂が乗り甘みが強い身が最高!ぜひチャレンジしてほしい。
ハリス8号に食ってきた45cm近いグレ。ゴボー抜きしてやった!
井手さんを引きずり回わした怪 魚の正体はノトイスズミ。でかい! ショアジギングロッドのポ テンシャルも想像以上
この日釣ったフエダイは焼き霜造りで!身に甘みがあり絶品!夏の味!
まるは釣具洲本店
住所=兵庫県洲本市下加茂1-656
問い合わせ=0799・23・1075
営業時間=平日9〜22時土曜日:4〜22時、日・祝日:4〜20時
交通●徳島市内から国道11 号、55 号を室戸方面 へ南下。宍喰大橋を渡ってすぐ右折。すぐの突き当 たりを右に海岸沿いの高台を進めば浜部渡船の乗 り場が左手下に見えてくる。
渡船●浜部渡船(TEL:0884・76・2707)半夜釣り料金は4000 円
レポート◎高崎冬樹
関西の某釣り週刊誌編集部勤務を経て現在はフリーランス。1960年生まれの磯釣り大好きオヤジ。徳島県南の宍喰磯は20数年来のホームグラウンド