すっかり関東のデカサギ釣り場として定着してきた神奈川県津久井湖。12月からはドーム船も賑わうが、自分で操船して群れを探すレンタルボート派の人気も高い。
すっかり関東のデカサギ釣り場として定着してきた神奈川県津久井湖。12月からはドーム船も賑わうが、自分で操船して群れを探すレンタルボート派の人気も高い。
写真と文◎丸山剛
芦ノ湖から津久井湖にスイッチ
神奈川県北部にある津久井湖は相模川を城山ダムでせき止めて造られた人造湖だ。相模湖の下流に位置し、調整湖としての役割をしているので、夏の間は水位が下がるが、秋になると水位が高くなる。ワカサギの釣期は定められていないが、水温が高いうちはエアレーションが動いているので、ワカサギの動きも活発で、群れもバラバラになってポイントが絞りにくい。ワカサギの群れが固まって、底に落ちてくる12月上中旬頃から釣りやすくなり、3月下旬くらいまで釣れ続く。津久井湖のワカサギは当歳魚で7~8cm、2年魚になると10~11cmになる。ポイントに当たれば2年魚が鈴なりに釣れることもある。臭みはなく、大きくても柔らかく、食べて美味しいと評判だ。
今回、津久井観光ボートを訪れたのは、オフィス・ユーカリ代表の石川優美子さん、社員の戸塚明子さん、フィールドスタッフの小菅愛斗夢さんの3名。オフィスユーカリは『SUZUNARI』という、スピニング仕様のワカサギ専用のロングロッドをリリースしており、特に空バリ仕掛けを群れの真上から落とし込むシューティング釣法にマッチし、空バリの釣りが盛んな芦ノ湖では使用する人が年々増えているご当地ロッドだ。
津久井湖観光では、12 月に入るとドーム船も営業を開始するが、今回はボートからの釣りを楽しんだ。今回3人に同行してくれたのは、相模原市の釣具店「相模屋」の副店長でルアー担当の吉田輝彦さん。バスアングラーということもあり、12月以降も自ら操船し、魚探を駆使して群れを追うスタイルでワカサギ釣りを楽しんでいる。
12月中旬に禁漁を迎える芦ノ湖と違い、津久井湖は冬の間もボートからの空バリの釣りが楽しめるとあって、実は芦ノ湖ファンからも注目を集めているのだ。
津久井観光ボートの桟橋。レンタルボートは各種あり、装備もいろいろ選べる。始めたドーム船も人気だ
アタリを弾かないナイロンがマッチ
「SUZUNARI」ロッドにはナイロン製の「SUZUNARI」ラインがマッチする。0.3、0.4、0.5 号がリリースされている
14ftのボート2艇をレンタルし、自前のフットコンタイプのエレキを取り付けた。上流の遠い名手ワンドを目指すので、バッテリーは2個ずつ積んだ。吉田さんのボートに石川さんが乗り、もう1艇に戸塚さんと小菅君が乗った。あいにく戸塚さんのフットコンの調子が悪く、急遽ボート店からレンタルしたが、吉田さんのフットコンとはパワーに差があり、目指す名手ワンドまで40分以上掛かりそうだ。吉田さんは魚探で近場を探ってみたが、やはり食い気がありそうなワカサギの群れが見つからず、名手ワンドにポイントを絞ることにした。名手ワンドに着くと、風が止んで湖面は鏡のようになった。
4人全員が『SUZUNARI』ロッドを使って、空バリ仕掛けを使った。芦ノ湖もそうだが、12月になって水温が下がっても空バリ仕掛けはまだまだ有効だという。
ラインはナイロンの『SUZUNARI』ラインを使用。『SUZUNARI』ロッドはPEラインよりもしなやかなナイロンラインのほうが多点掛けになりやすいという。津久井湖はワカサギのサイズが大きいので0.5号をチョイス。オモリは水深があるので8~10gを使う。仕掛けは芦ノ湖の定番であるオーナー『スーパーパニック』14本バリの2.5号をチョイス。もともと『SUZUNARI』ロッドは14本バリの仕掛けに合わせて作られているので、この長さがジャストマッチする。フラッシャーも付いてない金バリの空バリだが、これが鈴なりに釣れる高実績仕掛けなのだ。一方の吉田さんは、自身が考案したハヤブサ×相模屋のコラボ商品である6本バリの『ヨッシーボンバー』を使用。こちらはハリにフラッシャーが付き、ピッチが12cmと、短か過ぎず、長すぎない仕掛けだ。ワカサギのサイズが大きいのでハリの号数も2号と大きめを選んだ。
ユーカリチームの面々が使用した仕掛けは芦ノ湖の定番である『スーパーパニック』。食いのよさは津久井湖でも同様だった。仕掛け長もSUZUNARI ロッドにちょうどいい
津久井湖は水深があるので、オモリは8~10g くらいを使う
吉田さん考案の仕掛けはその名も『ヨッシーボンバー』。フラッシャー付きの6本バリ仕掛けだ
14 本バリ仕掛けを台紙から外すときは、台紙ごと水に浸けて紙を柔らかくしてから外すと絡みにくい
のんびり楽しく釣って袋にパンパン
魚探にはこんもりとしたワカサギの群れがはっきり映し出された
吉田さんの釣りも魚探で群れを見つけて空バリ仕掛けを直撃して釣る、芦ノ湖と同様のシューティングスタイル。エサを使わないので1ヵ所で待つ釣りではなく、エレキを使って移動しながら群れを追い続ける。戸塚、小菅組はエレキをレンタルしたことで振動子がなくなり、用意した魚探が使えなくなったものの、吉田さんのボートと付かず離れずの距離を保つことで問題なし。しかも吉田さんの使う最新魚探は前方20m、後方5mの範囲が映るもので、ここ津久井湖ではこうした魚探を駆使して冬にワカサギ釣りを楽しむバスアングラーも少ないないという。
順調に全員に良型ワカサギが釣れるが、群れの移動が速いため、ポイントも早い。
「津久井湖は昨年も来ましたけど、ほんとに魚が大きい!」と戸塚明子さん
また、この日は掛かったワカサギにブラックバスがヒットしたり、空バリにもニゴイ、ヘラブナが掛かるハプニングも。戸塚さんが掛けた大物はなんと50cmオーバーの巨ベラだった。しかも1本のハリが口に掛った状態でランディング。『SUZUNARI』ロッドの軟らかくてコシのある性能があってこそキャッチできた1尾と本人もビックリ。
空バリにはワカサギのみならずこんな巨ベラも食ってくる。それにしても、仕掛けを切られることなく水面まで引き寄せる「SUZUNARI」ロッドの柔軟さとパワーは圧巻!
その後も群れに仕掛けが入ると、2点、3点と多点掛けになる。最初の鈴なりは吉田さんの6本バリに5尾の釣果。吉田さんの後ろで釣っている石川さんも魚探に映る自分の仕掛けでタナを調節し、多点掛け連発。戸塚さんも吉田さんの指示で多点掛け、ワカサギ 釣り2度目という小菅君もなんとか多点掛けしている。
その後は吉田さんの提案で、2艇のボートをドッキング。これで群れが入ると4人が同時に当たるように。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。もともと朝も10時近くの出発とのんびりだったが、戻りも時間がかかることを考慮して早めに納竿。それでも終わってみれば4人ともジップ付きビニール袋にパンパンの釣果。これから水温が下がると群れが固まって底に落ちていき、さらに釣れるようになるから、ベストシーズンに突入した津久井湖で、ぜひ鈴なり体験を!
※このページは『つり人2024年2月号』を再編集したものです。