2016年初めて訪れた山形県の真室川。ヤマメ釣りがたいへん面白くそして印象的だった。今年は徹底的に釣り歩きたい川である。
食わず嫌いだったソ上ヤマメの川。今年も行きたいベスト渓谷
文◎我妻徳雄 写真◎浦壮一郎
わがつま・とくお
1960 年生まれ。山形県米沢市在住。サクラマスをはじめとする本流釣り、源流のイワナ釣りが大好き。テンカラ釣りも楽しむオールラウンダー。山岳渓流釣倶楽部群遊会所属
この記事は『つり人』2017年3月号に掲載したものを再編集しています。
秋の爆釣でハイポテンシャルを実感
2016年初めて訪れた山形県の真室川。ヤマメ釣りがたいへん面白くそして印象的だった。今年は徹底的に釣り歩きたい川である。
真室川はサクラマス釣りで有名な鮭川の一大支流だ。私が初めてサクラマスを釣ったのも鮭川である。以来幾度となく訪れているが、その上流の真室川には行ったことがなかった。地元の人によれば昔はかなりの数のサクラマスが真室川にもソ上しており、現在もその姿は見られるという。サクラマスがソ上する川にはヤマメが多い。当然、大型も有望。しかし真室川に行け(行か)なかったのは、移動距離の長さと情報の少なさによる。私の住む米沢から真室川まで片道3時間ほど掛かる。
そんな真室川を訪れたのは2016年の秋だった。米沢周辺は台風の影響で増水。「降雨の少ない県北部ならば釣りができるだろう」と、足を運んだ。
サオをだした区間は奥羽本線の釜淵駅の辺りから田代集落までの間である。この間は奥羽本線と県道が上流部まで沿って走っているため、地図では入渓しやすいように見える。しかし、実際は奥羽本線を横断できる踏切等が少なく、線路を越えるのがまず大変だ。そして深く切れ込んだ谷筋のため、入渓点も限られる。
初めて訪れた河川である。どこに魚が集まるかなど分かるはずもない。とにかく入渓しやすい場所に入り、サオをだした。落差が少ない平川だが瀬と淵が交互に現われる。川幅もまずまず広く、本流と渓流の中間といった感じ。サオは6~7mがよい。立ち込めば6mでほぼカバーできる。
川は両岸にヨシが密生しているため、ポイントの移動は大変。また石にはヌルヌルの苔が生えてとにかく滑る。釣行当日は増水気味でニゴリがあった。しばらくは手のひらサイズのヤマメに遊ばれていたが、釣り続けると徐々にニゴリが薄れ、水量も減り出した。それからは33㎝の雄ヤマメを筆頭に良型を連発する。鮮やかなパーマークが並び、薄っすらと婚姻色に染まったプロポーション抜群の魚体である。
特筆すべきはその引きの強さである。鍛えられた流線形の美しい魚体がハリから逃れようと疾走を繰り返し、ワクワクドキドキさせてくれる。釣りをしたのは半日だが、いずれのポイントも良型が姿を見せてくれた。
その日は増水からの減水で、魚の活性が高かったのかもしれない。しかし、多くの川を釣り歩いた経験から、好条件を差し引いても、真室川のポテンシャルは非常に高いと感じた。
解禁当初ならヨシも成長していないのでソ行は楽だ。この時期に川全体の状況を把握し、できれば大ものの付き場をイメージする。雪代が収まりフジの花が咲く5月下旬からが大ものは本番だろう。目星をつけた場所を集中的に探ればきっと面白いようにヒットする。この川は40㎝クラスも潜んでいるはず。
落差の少ない平川だが淵と瀬は交互に現われる
変化に乏しい流れは見送り、瀬の落ち込みから続く深みなどにねらいを絞る
田園の横を流れる区間もあり、黄金の稲穂とのコントラストはいかにも里川の風情。6mのサオで充分に探れる流れである
「これはいるゾ」と思うポイントに仕掛けを振り込むと面白いように良型がヒット。その引きはパワフルで素晴らしい
タックルデータ
サオ:シマノ『弧渓ZM H61』
天井イト:0.8 ~ 1号= 2.6 m
水中イト:0.3 ~ 0.6 = 3.5 m
オモリ:B ~4B
ハリ:グラン「きじブドウ虫」3号、「川虫ハードタイプ」3号
エサ:キヂ、現場採りの川虫
サオ:シマノ『弧渓ZM H61』
天井イト:0.8 ~ 1号= 2.6 m
水中イト:0.3 ~ 0.6 = 3.5 m
オモリ:B ~4B
ハリ:グラン「きじブドウ虫」3号、「川虫ハードタイプ」3号
エサ:キヂ、現場採りの川虫
●交通:山形自動車道から東北中央自動車道に入り東根IC で降りる。R13 を新庄方面に走り県道308 号を左折。県道35 号を右折して釜渕方面へ
2018/1/25