今回の記事では2012年4月号に掲載した特集「HOOK ハリ合わせの妙 使う理由と求める理想。」のなかから、「極度のフックフェチ」という青木大介さんを取材した記事を紹介します。 フックを重要視するようになった経緯やこだわりについて青木さんに尋ねました。
ショートバイトはフックセレクトのミスが原因!?
Basser編集部=写真と文
今回の記事では2012年4月号に掲載した特集「HOOK ハリ合わせの妙 使う理由と求める理想。」のなかから、「極度のフックフェチ」という青木大介さんを取材した記事を紹介します。フックを重要視するようになった経緯やこだわりについて青木さんに尋ねました。
※この記事はBasser2012年4月号に掲載されたものを再編集しています
掛かり方はコントロールできない
バスボートやロッドといったタックルに比べれば、今回のテーマであるフックはいかにも地味ぃ~な感じだ。しかし……、
「タックルはどれひとつ欠けてもダメだけど、フックとラインがなかったらそもそも釣りになんないですよね。しかもハリ掛かりの仕方って、アングラーの技術やコントロールどうこうの範疇にない。フックは手もとから一番遠いタックルだから、掛かるか掛からないか、どう掛かるかは、フックの性能と魚任せの部分がかなり大きい。たとえアワセの動作が完璧でも、フックに問題があったら魚は絶対に釣れない。釣りを続けることは、理想のフックを求め続けること。だから自分の場合は、一生フックを追求すると思います。それくらい重要なタックルです」
青木大介さんがプロデュースしたフックのひとつ、D・A・Sオフセット(フィナ)。ワームにセットしたときにハリ先が外を向く形状で、これまで乗せられなかったバイトを掛けられるようになったという。2015年のオールスターで2570gのスーパーキッカーをキャッチしたのがこのフックだった
「フックフェチ」に目覚めたある冬の日
青木さんを取材するたびに感じるのは、とにかくミスが少ないということだ。その理由をフックに求めるならば、釣るたびにハリ先に気を配るのは当然として、1尾1尾掛かり方を確認し、イメージどおりにハリ掛かりしないことが続けば、フックのタイプやサイズを状況に合わせて替えていっていることにあるだろう。
以前、冬の河口湖で取材したときにこんなことがあった。青木さんは出船前、「午前と午後でハリ掛かりする位置や深さが違ってくる」「午前中のファイトは一瞬でもラインテンションを抜いたらすぐバレるから、とくに注意が必要」と言い、実際にそのようになったのである。
そのときの青木さんはスモラバを使っており、スイープ気味のアワセ方は午前も午後も共通。しかし、上アゴの奥に深くフックアップした午後に対して、早い時間帯に釣ったバスのハリ掛かりは皮一枚であることが多かった。また、深く食っているように見えてもバーブの下まで刺さりきっておらず、ハリ先が口内に立っているだけ。何尾かはネットインした瞬間にポロリとフックアウトするような状態で、ルアーを食った後に反転できない低活性のバスが、いかにハリ掛かりしにくいものなのかをまざまざと見せつけられた。
※写真は2016年6月30日~7月1日のオカッパリオールスタークラシック取材時に青木さんが使っていたもの
とはいえ、そんな状況でも青木さんはノーミスで、アワせた回数と釣った尾数はイコールだったように記憶している。今、こういう芸当ができるのも、フックとハリ掛かりにこだわってきた成果なのだという。
「プロになる前の話なんですけど、冬の河口湖でバイトはけっこうあるのにぜんぜん釣れないことがあって、そのときからですかね、俺が『フックフェチ』になったのは。当時自分のフック選びは、ソフトベイトの太さと長さにサイズを合わせて、ラインとロッドの強さに軸の太さがマッチしてればOKという感じでした。けど、そのときの河口湖で、あまりにもハリ掛かりしないもんだから、こうすりゃ刺さりがよくなるだろ、ってハリ先を外に開いてみたんですよ。そしたらちゃんと掛かるようになった。それまではアタリがあったらしっかり食い込むまで待ってみたり、逆に即アワセを入れてみたり、いろいろやってもぜんぜん掛からなかった。なのにフックをいじったらフツーに釣れるようになったんです」
この出来事以降、青木さんはアワセのすっぽ抜けやファイト中の口切れを引き起こす「ショートバイト」をバスのせいにはしなくなった。
「正しいフックセレクトをすれば、口内の奥のほうに掛けられる。(奥に掛けられれば)最悪刺さりが浅くても、キャッチすることはできる。『ショートバイト』ってバスのせいじゃないんです。釣れないのは、アングラーがフックセレクトをミスってるから」
……次回 青木大介がこだわる「フックの重要性」 :後編
「マニュアルのないワームフック選び。各種類の特性を知っておこう」
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2016/11/26