本命視していたのは花室川でのトップウォーターカバーゲームです。ねらっていたのは陽が射して水温が上がるとカバーの下に浮いてくるビッグバス。そのタイミングをねらって、初日も2日目も複数回花室川に入って釣りをしています。
オカッパリ&レンタルボートでも真似できる出場選手のメインパターン
2022年10月29~30日にかけて利根川・霞ヶ浦水系で行われたBasser Allstar Classic2022。トーナメントの釣りには、オカッパリやレンタルボートの釣りに生かせるヒントが詰まっています。今回は江口俊介選手の釣りを紹介します。
◎まとめ:編集部 ◎写真とフットステップレポート:DAY1 塚田智 DAY2 堀川海都
江口俊介選手のプロフィール
江口 俊介(えぐち・しゅんすけ)
1980年生まれ
主な戦歴:
2008年 JB TOP50 旧吉野川戦優勝
2018年 JB TOP50 霞ヶ浦戦優勝
ボトムとトップの両極カバーゲーム
江口俊介選手のメインルアー
■野良ネズミマグナム(ティムコ)
+インフィニ #4/0(リューギ)
■エグチャンク3in(レイドジャパン)
+リミット2/0(リューギ)
+バザーズワームシンカーTG NEWバレット 3/16oz(ダイワ)
江口俊介選手のヒットルアーはエグチャンク3inの5gテキサスと野良ネズミマグナムでした。
テキサスリグでは沖宿エリアのシェードを撃ち、690gをキャッチ。テキサスを選んだ理由は「カバー撃ちからスイミングまで持ち替えずにいろいろやれて手っ取り早いから」。波動が強めのエグチャンクで速すぎも遅すぎもしないフォールスピードを出すために5gのシンカーを合わせ、効率よくバスのポジションを探れるよう、回収時もスト(シェイクしながらの中層スイミング)で誘いました。バイトがあったのは着底後にシェイクして誘っている最中で、岸から50cmほどリグが離れたときでした。ただし、この1尾をキャッチした後も「これが正解とはわからない」とスモラバ(エグダマタイプレベル4.5g+バトルホッグ2.6in)やフリーリグなどとローテーションしながら探っていきました。
本命視していたのは花室川でのトップウォーターカバーゲームです。ねらっていたのは陽が射して水温が上がるとカバーの下に浮いてくるビッグバス。そのタイミングをねらって、初日も2日目も複数回花室川に入って釣りをしています。また、バスのポジションを絞り込みやすく食わせどころが作りやすい、シェードが狭くなって草と絡んだ場所や時間帯をねらうことも重視していました。
ルアーはカバーの最奥から速いスピードでリアクションをねらえるルアーとして「悔しいくらい最高のルアーだよ」という野良ネズミマグナムを選択。 江口選手の2尾目のバス(690g)はオーバーハングの最奥に送り込んだ野良ネズミマグナムを3~4回首振りさせたときにバイトしてきました。
[タックル]
■野良ネズミマグナム(ティムコ)用
ロッド:グラディエーター G-65MLCブラックスパロー(レイドジャパン)
リール:メタニウム(シマノ)
ライン:スーパーストロング PE x8 3号(東レ・モノフィラメント)
■エグチャンク3in(レイドジャパン)テキサスリグ用
ロッド:プロトタイプ67MH(レイドジャパン)
リール:アルファス(ダイワ)K.T.Fフィネスチューン
ライン:エクスレッド13Lb(東レ・モノフィラメント)
江口俊介選手のフットステップ
DAY1
―――――
▼ランチング前
緊張しますか?
「全然しない。デコるぞ~マジで。昨日は昼メシでいいウナギを食って胃もたれしてるから夜メシは食わなかった。酒も飲んでない。麦茶しか飲んでない。結局ちゃんとは寝付けなくて、多分22時に寝たと思う」
水筒の中身はローソンのコーヒー。
「ローソンはメガサイズがあるからね」
5:53
ランチング動き出す。「はあ~、はじまってしまった~」
5:56
ファンの人と会話。「ブンボカン~」盛り上がる。
ファン「江口さんけっこう厳しいですか?」
江口「余裕で厳しい!」
ファン「昨日は飲んだんですか?」
江口「昨日は飲んでない。一昨日飲んだから大丈夫!」
6:04
伊藤選手と会話。
伊藤「利根川バス死んじゃったのかなあと思ってます」
江口「いやあ巧ならやるでしょ~。おれは華麗にデコるかな」
6:23
スタート。17番フライト。
「ドブまで走るよ」
6:42
最下流の萩原閘門待ち。藤田京弥、千葉、三原艇も一緒。
オサカナスイマーのプロトで暇つぶし。サイズは170で、テールが今出ているオサカナスイマーとは全然違う。
ウエイトチューンして、スローフローティングにする。
6:57
萩原閘門開く。
上がった閘門からエビが降ってくる!
閘門出たところのマウスで藤田さんが早速釣り開始。
「京弥もうやるんだ。ここ釣れるのかな? 目の前でバゴーンと出たりして」
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▼霞ヶ浦・古渡に流入する水路、通称ドブ
「リミットをそろえるよりも、ビッグフィッシュねらいをします。本湖絡みの魚で勝負したい。ドブはプロテクトされてて、水温の上下にもあまり影響を受けないのでは」
7:27
ドブからスタート。レッグワーム5gヘビダン。
「そんなに活性高くないと思うからね。プラでは、ドブでレッグワームで釣ってるんだよ」
「水温変わらないね~意外と。プラ最終日(10/27)に来たけど、そのときと変わらないもん。今13℃か……。まあ、ある意味水温変わってないということはそろそろ魚も慣れてきていいと思う」
「まあ、延々やってくしかねえな。ちょっとした沈みモノもあるけど、なんでもない壁についてたりもする。ていねいにやってくしかないでしょ。魚探の魚っけはすごいよ」
※ドブではシェード側を撃っていく釣りがメイン。魚探には壁沿いにつく魚影がかなり映った。あまり釣りを絞れていないようす。タックルをとっかえひっかえ試す。以下、ドブで投げたルアー↓
●スモラバ(エグダマタイプレベル4.5g+バトルホッグ2.6in、エグダマタイプ極+2way)
シートパイルの棒のようなものにラインをもたれかけさせてシェイク。シェイクしながら、だんだん沈めてボトムまでゆっくり落としてく感じで操作。
●D2ホッグの7gヘビダン
ボトムをトンットンッと移動させる感じ。「まあリアクションだよね。小さくて波動が強い、これはけっこう水押してると思うよ」
●5inスリムヤマセンコーの0.9gジグヘッドワッキー
「ジグヘッドはあくまでも補助的なオモリ。ワームの自重で沈ませたほうがいい」
●エグチャンク3inのフリーリグ
●野良ネズミウルトラ
●スティーズスピナーベイト3/8oz
8:48
ここまでバイトなし。気温は上がってきているはずだが、ドブの中はそんなに暖まりそうな感じがせず、空気が冷たい。あまり釣りを絞れていないようす。
「う~ん、悩ましいぜ。折り返そうかすげえ迷ってる」
「そろそろ魚たちも元気出てくるのか、もっと上流行けばいいのか……。魚っけがあるような気はするんだよな」
8:59
橋の下、沈みモノで底がガビガビのところでヒット!
しかしアワセ切れ。ボトムのガビガビに引っ掛けながら動かしていたら食った。5inスリムヤマセンコーの0.9gジグヘッドワッキー。
「やっちまった~! そこそこ重かったね」
9:10
下りながらスティーズスピナーベイト3/8ozを巻く。
「水温13℃、秋のスピナベ、アリだと思うんだけどなあ」
「ドブまで来たから、1尾はとりたい。来た甲斐がないよな。いやあ~甘くないね」
「寒くなったり暖かくなったりして、バスもどうしていいのかよくわかってないんじゃねえかな。昨日も暖かくて、今日も暖かい。今朝は冷えたけど、放射冷却はそこまででもなかった。リアクションの釣りに振っていいと思ったけど、そうじゃないのかなあー。難しい」
9:27
「よしいくべ! 移動。花室いこう」
「花室川はプラで釣れた。魚いっぱいいるんだなあ~って思った。行ったのは冷える前。陽が出てくると魚が浮くと思うんだよな。花室はある意味本命です」
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▼花室川
江口のビッグフィッシュパターンは花室川シェードでの野良ネズミマグナムorウルトラ。少し時間は早いが本命パターンでビッグフィッシュをねらいにいく。
9:42
花室到着。本湖はベタベタ凪ぎで、ハルが湖面に吸い付く感じがした。
「あれ、ちょっと濁ってるな。この濁り怪しいな。ちょっと違うと思う。雨でも降ったのか?」
「水温低いな~13.6℃」
3inエグチャンクのフリーリグからスタート。下流部~マウスのエリアがメインになる。
「ダメってほどの濁りでもないなあー。でもめっちゃ釣れそうという感じでもない」
「まだ野良ネズミという感じではないなあ。シェードの幅が狭くて、草と絡んだ感じになってるところがいいんだよね」
3inエグチャンクの5gテキサスをオーバーハングに撃つ。
「このシェードの感じは違うかな~。まだ中に入ってなくそうなんだよな。シェードの幅が広い。もうちょい陽が上ってからのほうがよさそう。こういうときはコレ(オサカナスイマーのプロト)だよ」
ジョイントタイプになったオサカナスイマーのプロトは、前後のボディーに発泡の浮力体が入っている。ゆっく~り動かして首振りさせる。シェードの切れ目まで引いてきたら回収。
「カバーびたびたについているっていう感じじゃないと思うんだよな。あとこうやってゆっくり操作するルアーって、すっ飛んでくる感じじゃないじゃん。チェイスしてきたり、下から見上げてる可能性もある。それが見えないからある程度の距離は引いてきたい。本当はオサカナは外したんだけど、今朝なんとなくひらめきで入れようと思った。ひらめきみたいなもの。ちなみにこいつの初フィッシュは花室川だったんだよね」
10:12
移動。
「まだ花室じゃない気がする。あと1時間後かな。こういうときにだらだらやらないこと! 移動!」
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▼沖宿
10:20
沖宿あたりの木ジャカに移動。釣ってないけとプラでは触ってるエリア。エグチャンク5gテキサスでインサイドのシェードを撃ち、回収時はストる。水温14.6℃。ドブ、花室よりちょっと高い。
「もしかしたらおれがいちばん遠くまで来ちゃったかな。ハシタクさんとかは来るかなあ。水も悪くないしけっこう釣れそうだけどな。こういう北面で風をプロテクトできる場所はいいはずなんだけど」
10:32
エグチャンク5gテキサスにバイト? 乗らなかった。1ブロック目の木ジャカ、オーバーハングのシェード。
「こういう疑わしいやつもアワせていかないといけない」
10:47
エグチャンク5gテキサスで690gをキャッチ。
「デコはなくなった!(笑) 着底してチョンチョンしてたら、ラインが走り出した。バンクびたびたではなくて、意外と50cmくらい離れてたね。本湖に面している1本目の木のところだったから出入りしているバスだったのかも」
10:58
スモラバ(エグダマタイプレベル4.5g+バトルホッグ2.6in)も試す。
「テキサスで釣れたけどあれが正解なのかはわからない」
ちなみになんでテキサスだったんですか?
「ところどころカバーもあるし、極力持ち替えもせずに、スイミングもしつついろいろやれるから。いちばん手っ取り早いよね。5gのフォールスピードは、遅くもないし速すぎもしない。エグチャンクは波動強めだしそれもいいかと。さっきのコンディションのバスでデカいのがきたら、けっこうウエイトいくんじゃないかな?」
「しかし、関西にいるとピッチングが下手になる(笑)。向こうはこういうカバーってあんまりないから。こっちにいるときはこればっかりだったけど」
11:13
野良ネズミマグナムに変える。木ジャカではなくバンク側、シャローのピンスポットのシェードをねらう。
「陽が当たってるじゃん。トップいいんじゃねえかな。きたらデカいと思う」
「野良ネズミは悔しいくらい最高のルアーだよ」
「バンク際の水深は40cmくらい。この水深なら、トップでやってもバスの目線ってそんなに変わらないから、大アリだと思うんだよな。カバーのなかでスピード感出せるルアーっていうと限られちゃうから。陽が当たったら表層だと思うんだよ」
かなりボートポジションをとってキャストしているのが印象的。10m以上はとっているのでは?
「そりゃできれば近づきたくないからね。ラインはPE3号。いうてもマグナムはそんなに重たくないから、ライン細いほうが投げやすい」
「水温が15.3℃まで上がってきた。これが17~18℃くらいあれば1日野良ネズミやってもいいと思うんだよな。朝冷えて、風もないし、暖まってきて、カバーの下でひなたぼっこみたいなことしてるバスは絶対いると思う」
11:22
「もう1周しよう」
木ジャカエリアを最初から入りなおす。
アウトサイドに行くと、「こっちのほうが水温高い! たしかに考えてみれば太陽が真上にくるまでのあいだ、陽が当たり続けているのはアウトサイドのほう。シェードの幅も狭い。もしかしたらこっちだったのか? インサイドのほうがセオリーだけど、固定観念にとらわれてちゃダメだ」
3inエグチャンク5gテキサスでていねいに撃っていくもバイトなし。迷いを拭えないようす。
「テキサスをやっているのは、この木のカバーが意外とイカついから。スキッピングとかもテキサスだとやりやすい。リアクションも多少期待できるけど、ヘビダンとかに比べたらそうでもない。便利なんだけど、半端っちゃあ半端なんだよね。スモラバつけてもいいのかもしんないけど、この低水温だからやっぱりリアクションの要素はほしい」
11:55
水温グングン上がる。15.9℃。木ジャカエリアを一周やり終えて、再度花室川へ移動。
「移動しないと後悔する。明日の展開もあるし。そろそろシェードもいい感じになっているんじゃないか?」
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▼花室川
1回目に入ったときと同じくマウス~下流部を釣る。陽が上がってきてシェードがいい感じに狭くなっていることを期待する。水温も上がっているか?
12:04
水温15.3℃。野良ネズミマグナムでスタート。
「ボトムが冷たくて晴れてるから、浮いててもおかしくない」
12:16
野良ネズミウルトラに替える。
「こっちのほうがスキッピングの軌道が低い」
12:32
野良ネズミマグナムで2尾目キャッチ! 690g。
右岸下流、オーバーハングの最奥からチェイスしてバイト。どシャローから出てきた。
「3~4アクションくらいで食った。やっぱり低水温トップってあるんだよ! よっしゃ! しびれたね!」
12:39
花室川を出る
13:36
閘門通過後、時間まで利根川のテトラで5inスリムヤマセンコーの0.9gジグヘッドワッキーを撃つ。
13:50
帰着へ。
「厳しいね~。もう少し時間あれば、花室川でもう1尾獲れてたんじゃないかな。明日はあれをやり通せればいい魚出ると思う」
DAY2
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▼桜川水郷橋下流左岸
7:13
7:49
「これだけやって釣れないならないかなー」
7:53
「ここで釣れたらスーパーラッキーだけど甘くない」
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▼花室川
8:00
エグチャンクの5gテキサスでカバーを撃つ。
野良ネズミにチェンジ。
「表水温が温まって魚が動き出せばいい。放射冷却を避けられる竹のカバーの下にバスが浮いていることがあるからそれを野良ネズミのリアクションでねらう。バズベイトがこの時期に効くことがあるのと一緒」
「ほんと野良ネズミってすげー。あんなに奥まで突っ込んでもこのスピードで誘える」
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▼沖宿の木ジャカ
8:52
9:15
500mほど東へ小移動。
9:45
「なんか違うな。フォールスピード遅くしてみる」
ジグにチェンジ。
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▼花室川
10:06
野良ネズミマグナム。
「水濁ってんなー。でも出そう。釣れそうだけど判断が難しい」
「いやー、デコはやだな……」
11:38
「もうここまで来たらやり切るしかない。条件的にはかなりいいけどな」
エグチャンクの5gテキサスでカバーを撃つ。
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▼外浪逆浦・トンボ公園前
12:31
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▼利根川・東関道下流左岸
13:11
帰着へ。
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Basser Allstar Classic2022 最終成績表